Subhuman

ものすごく薄くて、ありえないほど浅いブログ。 Twitter → @Ritalin_203



こんにちは。これです。今回のブログも映画の感想になります。


今回観た映画は『MOTHER/マザー』。日本を代表する女優である長澤まさみさんの主演作です。意気揚々と観に行きましたが、なかなかどうしてよろしくない映画でしたね……。最初に行っちゃうと個人的にはあまり好きじゃないかなと......。


それでは感想を始めたいと思います。けっこうな酷評なので、それが嫌な方はどうか読まないことをお勧めします。いつにも増して書き殴っただけの拙い文章なので、そちらにもご注意ください。




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―目次―

・俳優さんたちの演技がほとんど唯一の長所
・ブレないキャラクターに人間味を感じられなかった
・悲惨な目に合わせれば、堕落していけばリアリティが出るなんて大間違い





―あらすじ―

シングルマザーの秋子(長澤まさみ)は、息子・周平(郡司翔)を連れて、実家を訪れていた。その日暮らしの生活に困り、両親に金を借りに来たのだ。これまでも散々家族からの借金をくり返してきた秋子は、愛想を尽かされ追い返されてしまう。金策のあてが外れ、昼間からゲームセンターで飲んだくれていた秋子は、そこでホストの遼(阿部サダヲ)と出会う。二人は意気投合し、遼は、秋子のアパートに入り浸るようになる。遼が来てから、秋子は生活保護費を使い切ってしまうばかりか、一人残した幼い周平を学校にも通わせず、遼と出かけたまま何週間もアパートを空ける始末だった。
周平が残された部屋の電気もガスも止められた頃、遊ぶ金がなくなった秋子と遼が帰ってきた。二人は、以前から秋子に気があった市役所職員の宇治田(皆川猿時)を脅して金を手に入れようとする。だが、遼が誤って宇治田を刺し、一家はラブホテルを転々とする逃亡生活を余儀なくされることに……。

そんな中、秋子が妊娠した。だが父親が自分だと認めない遼は、「堕さない」と言い張る秋子と周平を残して去っていく。ラブホテルの従業員・赤川(仲野太賀)と関係と持ち、敷地内に居候をつづける秋子は、周平を実家へ向かわせ金を無心するが、母の雅子(木野花)から今度は絶縁を言い渡されてしまうのだった。
5年後、16歳になった周平(奥平大兼)のそばには、妹の冬華(浅田芭路)がいた。秋子は定職にも就かずパチンコばかり。一方、周平は学校に行くこともなく、冬華の面倒をみていた。住む家もなくなった三人に児童相談所の亜矢(夏帆)が救いの手を差し伸べ、簡易宿泊所での新しい生活がはじまった。亜矢から学ぶことの楽しさを教えられた周平は、自分の世界が少しずつ開いていくのを感じていた……。

母と息子は後戻りのできない道へ踏み出そうとしていた———。

(映画『MOTHER/マザー』公式サイトより引用)





映画情報は公式サイトをご覧ください












・俳優さんたちの演技がほとんど唯一の長所


この映画を観終わった後、私に湧いてきたのは怒りにも似た感情でした。はっきり言って、深刻そうに見せかけているけど全然浅いなと思ったんです。認めない認めてたまるかとさえ思いました。今年観た映画の中でもちょっとワーストの方に位置する映画かもしれないです。


それでもこの映画にも良いところはあって。それは俳優さんたちの演技です。ここはメインに日本有数のキャストを揃えていて、文句などありません。今年公開される邦画の中でも間違いなく上位に位置するでしょう。


まずは何といっても主演の長澤まさみさんですよ。出る映画出る映画でヒットを飛ばす日本一のヒットメーカーですが、それは確かな実力に基づいたものだとこの映画で証明。全く弁解の余地のない毒親を演じていますが、口調の使い分けや虚無を表す瞳で十二分すぎるほど表現。静かに脅す口ぶりからは底知れない怖さが滲み出ていて、立ち姿にですら畏怖を感じてしまいます。


もうすぐ公開される『コンフィデンスマンJP』とは(多分観ないけど予告編を見る限りでは)正反対の演技をしていて、演じられる役の幅広さに感服する思いです。(やたらと太ももを出してましたけど、あれは大森監督のフェチですか?)


また、周平を演じた奥平大兼さんは、この映画が初出演と言うことで、擦れていない雰囲気が良きでした。母親である秋子から虐げられて、自らの意志を出せなくなった周平をおずおずとした佇まいで表現。台詞の一言一言に、苦渋が満ち溢れていました。良い意味で秋子の分身、操り人形であることが窺える演技でしたね。


さらに、遼を演じた阿部サダヲさんはもう安定の演技ですよ。あれだけブチギレた後にヘラヘラできる俳優さんは他にいないのではないでしょうか。時折見せる刺すような口調がこちらをもドキリとさせます。一分の隙もないクズ男を清々しいほどに全うしていました。


他にも皆川猿時さん(使い捨てられっぷりに泣ける)、仲野大賀さん(こんな濃い顔だっけって思った)、木野花さん(叫ぶおばあちゃんはさすがにハマる)など魅力的な俳優さんたちが大勢出演していましたが、個人的に好きだったのは亜矢を演じた夏帆さんですね。


予告編で見たときから良いと思ったんですよ。あのおいてけぼりの表情。今までどちらかというと自然的なイメージがあったんですが、この映画では不自然なぐらい人工的で、この変わり身はどういったことだろうと思ってしまいます。ラストシーンも(シーン自体は)ずば抜けて良かったですし、なんか最近私の中で夏帆さんがブームになっている気がします。観ていて「夏帆論書きたいな」と思ってしまったぐらいです。それくらい良いです。




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。











・ブレないキャラクターに人間味を感じられなかった


とここまで俳優さんたちを褒めちぎってきたのですが、お気づきでしょうか。「全く弁解の余地がない」「秋子の分身、操り人形」「一分の隙もない」「不自然なほど人工的」と、キャラクターを一つの型にあてはめる表現が用いられていることに。そうなんです。この映画が一番ハマらなかった個人的な要因はキャラクターにあるんです。


秋子は、自分の気の向くままに暮らす女性。仕事をする気も一切なく、パチンコに明け暮れ、苦しくなったら臆面もなく金をせびる同情の余地のないキャラクターです。周平は秋子の呪縛から逃れられず、言いなりになるしかない。遼は借金を踏み倒すクズ男だし、亜矢は曇りのない心で周平と冬華を助けようとする存在。それは別に良いんです。でも、問題だなと思ったのがキャラクターが一面的に見えてしまったことです。


本来、人間ってもっと複雑な存在だと思うんですよね。良い面と悪い面の両面があると思うんです。でも、この映画はキャラクターの片面しか強調しておらず、どこか人形のような印象があります。観ていて失礼ながら「大森監督、『セーブ・ザ・キャットの法則』ってご存じ?」と思ってしまいました。


この『セーブ・ザ・キャットの法則』というのは、ハリウッドの有名な脚本術の本です。まぁ実を言うと私も読んだことはないのですが、なんとなく理解はしていて。不良が猫を助けるとキュンとなるっていうアレだと思ってるんですけど、要するに両面を描けっていうことなんですよね。良い面と悪い面の。この映画ってキャラクターの一面しか描いてなくて、『この女、聖母か、怪物か』みたいなキャッチコピーがありますけど、映画を観る限り、話の上では秋子の聖母感はゼロですよ。


それに、キャラクターがあまり悩んだり迷ったりしないことも少し問題かなって。全くブレないから、次にどんな展開が来るかなんとなく分かってしまうんですね。「このキャラクターならこうするだろう」というのが百発百中で当たってしまうんです。勘の鈍い私ですら、橋の上のシーンになった瞬間に「これは祖父母を殺す流れだな」と気づいてしまいましたし、最後の周平の告白も「お母さんがどうのこうの言うんだろうな」と思ったら、これも当たり。


要するに、話に意外性がないんです。よくキャラクター作りの上ではブレないことが強調されますけど、あまりにブレないとかえって遠く感じてしまうんだなと。実際の人間はもっとブレるし、悩むし、迷う。実話ベースと言っておきながら、キャラクターに人間味が薄いのは大きな問題だなと思いました。もしキャラクターに深みみたいなものが感じられたのなら、それは100%俳優さんの功績であって、もうちょっと脚本でキャラクターの人間味を見せてほしかったなと思ってしまいます。


でも、これらはきっと意図的なものでしょう。そうしてあえて遠く離れたキャラクターにすることで、彼ら彼女らがそれほど追い詰められていた、視野狭窄に陥っていたということを表現したかったのかもしれませんし、実際その試みは成功しています。ただ、あまりにフィクションを感じてしまったので、この演出は個人的には認めたくはないですけどね。



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・悲惨な目に合わせれば、堕落していけばリアリティが出るなんて大間違い


それにお話にも少し問題ありだと思います。順を追ってみていきましょう。秋子と周平は親子二人暮らし。ですが、秋子は自堕落な生活をしており、両親に金をせびるも拒否されます。ゲームセンターで遼と出会ってからは、周平を置いて二人で名古屋に出て行ってしまいます。この周平が一人でゲームをするシーンは嫌でも『誰も知らない』を思い出させますね。観ていて一番キッツイなと思いましたし、この感じで行ってくれれば期待できると思ったんですけどね......。


秋子と遼と周平は事情があり、どこかの海辺の町へ越します。ただ、その事情がさほど深刻ではなかったことを知ると、秋子と遼はケロッと元の町へとんぼ返り。ラブホテルで暮らす日々を送ります。ここのラブホテルのオーナーを秋子が誑かすシーンは、まさに魔性の女という感じで良きでした。ただ、問題はここからです。この後に挿入されたシーンが致命的でした。


ここで、周平は父親と会うんです。この父親が取り付く島もない状態だったらまだ良かったのですが、周平のことは今でも大事に思っているし、秋子にも養育費と称してお金を入れています。抱きかかえるほど周平のことを愛していますし、いやもう父親の方行った方が絶対良いじゃんというのは誰の目にも明らかです。それでも周平は秋子を選ぶ。それは共依存と称された精神的な呪縛のせいでしょうが、この父親と暮らせばいいじゃんというのはずっと映画中ついて回るんですね。


う何が起こっても、父親の元へ行けば万事解決じゃんと思ってしまうんです。子供に金をせびらせても、ラブホテルの屋上のテントで夜を明かしても、学校に行けなくても、住処を転々としても、なんで父親の方行かないのとしか思えないんですよね。この逃げ道を作ってしまったのは大失敗だなと思います。あんな中途半端に父親を出すなら、いっそのこと出さない方が良かったのに。


それに、この映画を観ていて「悲惨な目に合わせれば、堕落していけばリアリティが出るだろう」という思惑を感じてしまったのもダメでした。はっきり言ってそれは大間違いですからね。脚本上の怠慢、思考停止とさえ言えると思います。もしそういう展開にするなら、逃げ道はしっかり潰しておかないとダメです。不幸の押し付け、マッチレース、地獄めぐりは主人公がどうしようもない状況にないと、疑問ばかりが浮かんでしまうというのをこの映画を観て思い知らされました。


というかその描写自体も……という。これは完全に個人的な問題なのですが、映画っていうのはやっぱりいつ観るかというのが大きいと思うんですよ。私の場合はこの前日に『娘は戦場で生まれた』というシリア内戦のドキュメンタリー映画を観てしまってましたからね。もう爆撃は普通に映るわ、壊滅した都市が何度もインサートされるわ。銃痕、欠損、血まみれの連続ですからね。言葉を失ってしまうほどキツかった。


もちろん比べたらダメなのは分かっていますが、『娘は戦場で生まれた』と比べてしまうと、この映画がやってることはどうしてもフィクション、ひどい言い方をすればおままごとにしか映らないというか......。間違いなく今の私が観る映画ではなかったですね。せめて順番が逆だったらよかったかもしれないです。まあそれでもこの映画にはあまり良い評価は下せませんけど......。




あと引っ掛かったのが、周平による祖父母の殺害が物語の山場になっていることです。まぁストーリー的には良いとしても、ここで言いたいのは「なんで宣伝や予告編で殺害したって言っちゃったの?」ということです。え、どうして最大の山場をバラしたんですか?殺害するって分かってたら緊迫感も何もあったもんじゃないんですけど......。


いや、そっちの方が引きがあってお客さんを呼べるのは分かりますよ。でも、長澤まさみさんらの名前である程度お客さんは呼べそうな気はするんですけどね。予告編見ないで観たかったなとどうしても思ってしまいました。私だったら「親子の行く末は……?」みたいな煽りにするところです。現場の苦労も知らず生意気言ってすいません。でも、宣伝や予告編が映画の鑑賞体験に全くプラスに働かないのは由々しき事態だと思います。もっとどうにかできなかったんでしょうか……。




というわけでまとめると、『MOTHER/マザー』は、お話があまり良くないのを俳優さんたちの演技でどうにかしちゃっている映画だと私は感じました。もちろんそれで良い映画もあるんですが、この映画はそういうタイプの映画じゃないと思います。正直、全然ハマりませんでした。あぁ切ない。



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以上で感想は終了となります。映画『MOTHER/マザー』、お話はあまりお勧めできないのですが、俳優さんのファンの方には観て、損のない映画になっていると思います。ハマる人も絶対にいると思うので、興味のある方は映画館でご覧になってはいかがでしょうか。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい






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こんにちは。これです。

コロナ禍なかなか収まりませんね。東京でも連日50人以上の感染者が新規発生していて、まだまだ予断を許さない状況です。映画館も一席開けての販売になったり、消毒やマスクが義務化されたり、新作映画が減って名作映画がリバイバル上映されたりと大分様変わりしました。まだお客さんは戻ってきていないものの、少しずつ延期になった映画の公開も決まってきています。日常が戻るまであともう一踏ん張りですね。


さて、早いもので今年も半分が終わろうとしています。そこで、今回のブログはこの時期恒例の上半期映画ベスト10を発表したいと思います。


今年はコロナ禍で映画館も休館したりと大変でした。ただ、私のもうひとつの趣味であるサッカー観戦もできなかった分、映画館に足を運ぶ回数はさほど変わらず。公開延期になった映画と多いですが、2020年上半期もそれなりに楽しい映画ライフを過ごすことができました。


では、これから2020年上半期映画ランキングを発表したいのですが、選考基準は以下の2つです。


・2020年1月1日〜2020年6月30日に映画館で鑑賞した映画であること
・個人的な好きという感情を最優先にすること


このあたりは繰り返しになりますが、私は地方に住んでいるので、ミニシアター系の映画は公開から2ヶ月3ヶ月を経て上映されることが珍しくないんですよね。なので、ノミネートされた映画の中には2019年に公開した映画も含まれています。


さらに今年は自粛期間、ステイホームが長かったためNetflixなどの配信で映画を観る機会が多かったですが、私には映画館で観る映画と家で観る映画を一緒くたに扱うことはどうしてもできないので、今回も映画館で観た映画限定でランキングを作らせてください。配信作品にも『タイラー・レイク』や『ハーフ・オブ・イット』、『泣きたい私は猫をかぶる』など面白い映画は多かったんですけどね。


そして、最大のポイントは個人的な好きという感情を最優先にするということでしょう。正直私には映画の完成度というものはよく分かりません。演技も脚本も撮影も語れない浅学な人間です。なので、ただひとつ好きという視点だけで選びました。その方がその人の個性や、バラエティも出ていいと思いますし。


前置きが長くなりましたが、そろそろ本文を始めさせていただきます。まずは今年観た映画一覧から。今回のベスト10は以下の作品の中から選ばせていただきます。




2020年上半期に鑑賞してブログに感想を書いた映画一覧


・映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
・国家が破産する日
・パラサイト 半地下の家族
・幸福路のチー
・ラストレター
・リチャード・ジュエル
・ジョジョ・ラビット
・サヨナラまでの30分
・ロマンスドール
・前田建設ファンタジー営業部
・AI崩壊
・37セカンズ
・静かな雨
・わたしは光をにぎっている
・犬鳴村
・影裏
・"隠れビッチ"やってました
・Red
・ミッドサマー
・劇場版 SHIROBAKO
・仮面病棟
・Fukushima 50
・デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆
・mellow
・一度死んでみた
・三島由紀夫 vs 東大全共闘 50年目の真実
・さよならテレビ
・新卒ポモドーロ
・スウィング・キッズ
・失くした体
・もみの家
・プリズン・サークル
・ファンシー
・彼らは生きていた
・ハリエット
・ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
・水曜日が消えた
・ドクター・ドリトル
・his
・ザ・ピーナッツバター・ファルコン


計:40本




2020年上半期に鑑賞したけれどブログに感想は書かなかった映画一覧


・フォード vs フェラーリ
・1917 命をかけた伝令
・エクストリーム・ジョブ
・スキャンダル
・初恋
・転がるビー玉
・ハーレイクインの華麗なる覚醒
・ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ
・PMC ザ・バンカー
・在りし日の歌
・レ・ミゼラブル
・CURED/キュアード
・ANNA/アナ
・恐竜が教えてくれたこと
・エジソンズ・ゲーム
・ソニック・ザ・ムービー
・子どもたちをよろしく


計:16本

合計:56本



こうしてみると、去年の上半期の鑑賞本数が54本だったため、意外と減っていないですね。むしろ2本増えています。


加えて感想を書かなかった映画が増えました。最近やたらと眠く映画を観ている途中にウトウトしてしまったり、感想を書くエネルギーがなかったり、そもそも映画の感想ってどうやって書くんやというモードに入りつつあるなどの理由がありますね。ごめんなさい。もう少し工夫して下半期は感想をよりたくさん書けるようにがんばりたいと思います。


まあそんな弱音はさておき、いよいよランキングの発表に移りたいと思います。映画ファンの方々とはちょっと違う、よく言えば個性的なランキングになっています。どうぞ最後までお付き合いいただけると幸いです。


ちなみに去年の年間ベスト10はこちらからどうぞ。




それではまず第10位~第4位の発表です!果たしてどの映画がランクインしたのでしょうか!?









第10位:デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆



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感想はこちら↓





まず言っておくと、私はあまりデジモンで育っていないんですよね。明らかなポケモン派で。でも、この映画はガツンと来ました。大人になるにつれてデジモンと別れるという展開なんですが、それがそのまま現実の子供たちと重なるんですよね。


でも、太一たち"選ばれし子どもたち"は前に進む、大人になることを選ぶ。そのことがかの名曲「Butter-Fly」の歌詞に重なって、心底感動したんですよ。燃えるような展開や演出をあえて外してきたのも今考えれば納得。デジモンで育った方にはぜひ観てほしいなと思います。









第9位:ザ・ピーナッツバター・ファルコン



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感想はこちら↓




このランキングが締め切られる前日に観た映画が滑り込みで9位にランクインです。漁師とダウン症の青年の旅を描いたこの映画の特徴はなんといってもその優しさ。根っからの悪人が一人も登場しない優しい世界で、最初は嫌々ながらも旅をしていた二人が徐々に友情を深めていくというロードムービーの王道を行っており、みるみるうちに心は癒されていきます。


なにしろ漁師がダウン症の青年を「お前は強い」とめちゃくちゃ肯定してくるのですから。これに勇気づけられるなという方が無理な話です。それに、ダウン症も関係なく同じ目線に立つことという人と人とが分かり合う基本を描いていて、その点でも好感度は高いです。観ると元気になれる随一のセラピー映画でした。









第8位:37セカンズ


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今年2月に突如として現れた新星・HIKARI監督の初長編作品。その特長はなんといっても主演の貴田ユマ役に、実際に脳性まひを持つ佳山明さんを起用したことでしょう。床をはいずる動きなど、健常者だとどうしても嘘になってしまう演技に計り知れないリアリティを付加。か細い声も自信の無さを表していて良き。


また、障害に真摯に向き合っていて、何もできないからとユマを縛り付ける母親さえも肯定する優しさも特長の一つ。一人の人間の自立の物語としても出色の出来でした。発達障害当事者である私に必要な映画でしたね。
















第7位:サヨナラまでの30分



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今年の1月に公開された青春音楽映画が第7位にランクインです。まず魅力的なのがダブル主演を務めた新田真剣佑さんと北村匠海さんです。ポジティブな中に悲しさをにじませる新田さんと、二つの人格の入れ替わりを繊細な表現力で演じきった北村さん。二人とも今までのベストアクトを更新するような演技を見せています。


さらに、音楽映画とだけあって二人の歌も素晴らしく、また曲自体もいい。さらに、人物に寄り添う撮影や圧巻のオープニングなど見どころも多い。さらに、上書きというテーマの扱い方も絶妙で。上書きされても、元の記憶は残っている。土台となって消えることはない。前向きなメッセージを受け取って、気持ちよく映画館を後にすることができました。









第6位:三島由紀夫 vs 東大全共闘 50年目の真実


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50年前の伝説の討論会を記録したドキュメンタリー映画です。正直、登場人物はみんな頭がよく、高尚な議論に私はついていけなかったのですが、それでもハッとさせられるものがありました。


まずこちらも一本の映画として面白いんですよね。張りつめているのかと思いきや、適度に笑いもあって。現代の有識者の方がわかりやすく解説してくれるので、置いてけぼりを食らうこともそこまでありません。


ただ、それ以上に議論の内容が現代にも通じると思っていて。三島由紀夫が東大全共闘に対して「私は諸君の熱量だけは認める」とだけ言って、ちゃんと相手にリスペクトを払っているんですよ。さらに、言葉は刃ということを自覚して、刺し返される覚悟で発言をしている。今のSNSに必要なものが詰まっていると感じました。もっと多くの方に観ていただきたかったですね。










第5位:劇場版 SHIROBAKO


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私が武蔵境に住む大学生だった時に放送されていたアニメ『SHIROBAKO』。TVシリーズを一気見してから劇場版を観ましたが、その判断が正解だったと思える映画でした。


序盤は夢かと見間違うほどの暗い展開が続きますが、中盤にかけてかつての仲間たちが再集結していく展開が熱いんですよね。遠藤のエピソードとかもう最高でした。


また、趣味で創作みたいなことをしている私にとっては、メッセージはアニメで、作品で伝えるというこの映画の姿勢が刺さって。ジタバタし続けるムサニの面々や劇中作のキャラクターを観て、私ももう少し頑張ろうと思えました。











第4位:前田建設ファンタジー営業部



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この映画の特徴は熱さと楽しさ。マジンガーZの格納庫を作る(実際に作るとは言っていない)ために予算の見積もりを出すというのがこの映画のストーリーで、一見地味に思えるかもしれませんが、見ていて今年一番かと思うほど楽しかったんですよね。


キャラクターが好きというエネルギーで動いていて、最初は乗り気じゃなかったメンバーもその熱にあてられて、どんどんとのめり込んでいく姿が痛快でした。俳優さんたちの演技も少し過剰気味でしたけど、それも熱があってこの映画にはまっていましたしね。


オープニングからエンドロールに至るまで、どこを切り取っても楽しい瞬間しかなく、観終わった後にこれほど楽しい時間を、今年ほかに経験できるだろうかと感じてしまったほどです。















以上第10位~第4位の発表でした。いかがでしたでしょうか。もしかしたら、これを読んでいるあなたのベスト10に入っている映画もあったかもしれません。もしそうだとしたら、お互い嬉しいですね。


では、ここで閑話休題。惜しくもベスト10に入らなかったけど、好きな第20位~第11位を発表します。


第20位:水曜日が消えた
第19位:Red
第18位:もみの家
第17位:静かな雨
第16位:パラサイト 半地下の家族
第15位:彼らは生きていた
第14位:mellow
第13位:ラストレター
第12位:失くした体
第11位:プリズン・サークル





それでは、いよいよベスト3の発表です!56本中1位に輝いたのはどの映画なのでしょうか!?




第3位:映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ


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ここで去年公開の映画がまさかのランクインです。でも、観たのは今年だし、えんえんと泣いてしまったのだから仕方がない。流した涙の量では、間違いなく今年一番です。


私はすみっコぐらしを全く知らなかったのですが、ちゃんと映画冒頭で説明してくれますし、井ノ原快彦さんと本上まなみさんの穏やかなナレーションにリラックスしてみることができました。画面も実にほんわかしていて、すみっコたちが色々な物語の世界に放り出される様子は飽きることがありません。


でも、終盤になってそんなほんわかした画面に似合わないほど壮絶な展開になりまして。そんなのありかよっていう感じだったんですが、それでも最後は優しさですべてを包んでいて、終盤はとめどなく涙があふれてきましたね。去年あれだけ話題になったのも納得の傑作でした。










第2位:さよならテレビ


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第2位は今年一番最初に公開されたドキュメンタリー映画です。東海テレビが自らの制作現場にカメラを入れたこの映画は「テレビの今」を映し出します。行き過ぎた視聴率至上主義や月100時間を超える残業時間に慄きます。


そして、この映画は報道の役割を三人の登場人物に焦点を当てることで、説いていきます。この三人の目的は分かりやすく、まるで劇映画みたいにキャラクターが立っていましたね。三人ともに苦労しながらも、なんとか前向きなエンドを迎えます。


とここまでは、ありきたりなドキュメンタリーなんですが、この映画が一線を画すのが最後の展開。「ドキュメンタリーは嘘をつく」という森達也監督の言葉を体現したかのような展開に、私は頭を殴られるような衝撃を受けました。今まで私が観てきたものは何だったのかと。でも、メディアを観るうえでの姿勢を示しているようでこの上なく好きですけどね。












第1位:his



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感想はこちら↓




第1位は6月の終わりというギリギリに鑑賞したこの映画です。同性愛者のカップルと、それを取り巻く人々を描いたこの映画。その最大の特徴は画面作りにあるでしょう。この映画では主人公の迅をはじめ登場人物があまり真ん中に来ないんですよね。さらに、登場人物間の距離も空いており、わざと真ん中を空けるように設計。これにより、登場人物のどこか居心地の悪い感じを表しているように思えました。


また、ストーリーも一級品。こういったLGBTQ映画では、LGBTQの方々の辛さが語られがちですが、この映画では、シングルマザーの大変さにもスポットライトが当たっているんですよね。弱いのは誰でも同じなんです。そのことを同列に描いて、最後にはそれらをすべて認めるというこれ以上ない優しいストーリー。ラストシーンも完璧で、ちょっとやそっとじゃ揺るがない大好きな映画になりました。文句なしの第1位です。






2020年上半期映画ベスト10結果一覧

第10位:デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆
第9位:ザ・ピーナッツ・バターファルコン
第8位:37セカンズ
第7位:サヨナラまでの30分
第6位:三島由紀夫 vs 東大全共闘 50年目の真実
第5位:劇場版 SHIROBAKO
第4位:前田建設ファンタジー営業部
第3位:映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
第2位:さよならテレビ
第1位:his


















以上、2020年上半期映画ベスト10でした。いやー偏っていますね。歪ですね。なんとまさかの洋画が1本のみ。普段は洋画もランキングに入ってくるんですけど、今年はそこまでピンときた洋画がなかったので…。


『パラサイト 半地下の家族』も好きなんですけど、この10本にはちょっと及ばないかなと。『1917 命をかけた伝令』はワンカット風で撮る必要があったのか微妙ですし、『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』は映像はピカイチだったんですけど、最後の展開が少し疑問でした。他にも『ミッドサマー』や『レ・ミゼラブル』も好きだけどそこまでではなく…。延期になった映画も多いとはいえ、異常事態です。私は洋画よりも邦画の方が好きな傾向にあるなというのを実感した上半期でした。


また、ベスト10を振り返ってみると、アニメ映画が3本、ドキュメンタリー映画が2本と多く、合計で半数以上を占めています。アニメ映画については大体通常営業ですが、特筆すべきはドキュメンタリー映画が多いこと。といっても上半期に観たドキュメンタリー映画はこの2本と『プリズン・サークル』『彼らは生きていた』のみですけど、どれも質が高く知らない世界を知ることができたという満足感があり、ランクインとなりました。


この知らない世界を知ることができた喜びはランキングにも大きく影響していて。『37セカンズ』や『前田建設ファンタジー営業部』『劇場版 SHIROBAKO』『his』などは、浅学な私が知らなかった世界を見せてくれて、映画館から出たときには世界が一つ広がったというとても気持ちいい感覚がありました。映画などの創作物に触れる意味は自分の世界を広げることにもあるかもしれないですね。


下半期にも楽しみな映画はいくつも控えていますし、Jリーグ再開で忙しくなるとはいえ、引き続き映画ライフを楽しみたいと思います。世界が広がった感覚を何度でも味わいたいなと感じます。順調に鑑賞でき、感想を書くことができたらならば、最終的な年間ランキングも変わっているでしょうし、どんなランキングになるのか自分でも楽しみです。


では、これにてこの記事を終わりたいと思います。半年後にまた会いましょう。そして、よければ普段から弊ブログ「Subhuman」をたまにでも覗いていただければ嬉しいです。体調を崩さない程度にはがんばりたいと思っていますので、これからも何卒よろしくお願いします。


お読みいただきありがとうございました。



おしまい


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2020-09-02



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こんにちは。これです。今回のブログも映画の感想になります。


今回観た映画は『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』。今年2月に公開されたアメリカ映画です。実は私は2月に東京に行って、その時にこの映画も見ようと思ったのですが、タイミングが合わずに見逃してしまったんですよね。しかし、今回地元の映画館が上映してくれるということで、もう配信がスタートしているにもかかわらず、わざわざ映画館まで観に行ってきました。


そして、観たところ素晴らしい映画でした。現時点で今年観た洋画の中では間違いなく一番です。好きが詰まっていましたね。


それでは感想を始めたいと思います。拙い文章ですが、よろしくお願いします。




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―あらすじ―

老人の養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃から憧れていたプロレスラーの養成学校に入ることを夢見て、ある日施設を脱走する。同じく、しっかり者の兄を亡くし孤独な毎日を送っていた漁師・タイラーは、他人の獲物を盗んでいたのがバレて、ボートに乗って逃げ出す。ノースカロライナ州郊外を舞台に、偶然にも出会った二人の旅の辿り着く先は……? やがて、ザックを探してやってきた施設の看護師エレノアも加わって、知らない世界との新たな出会いに導かれ、彼らの旅は想像をもしていなかった冒険へと変化していく。

(映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』公式サイトより引用)





映画情報は公式サイトをご覧ください。













※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。







この映画を一言で言うならセラピー映画でした。最初は嫌々だった二人の旅が、次第に中を深めていくうちにかけがえのないものになっていくという、ロードムービーの王道を気持ちよく進んでいるんです。根っからの悪人が一人も登場せず、ザック、タイラー、エレノアのメイン3人は凄くいい人たちで、優しい世界に包まれて、心が癒されていくようでした。本当に好きなタイプの映画です。


ダウン症の青年ザックは養護施設で暮らしています。プロレスラーになることを夢見る彼は、ビデオのヒールレスラー・ソルトウォーターに夢中。彼がプロレス学校を開いているエイデンへと向かうべく施設から脱走します。ザックを演じたのは同じ名前のザック・ゴッツァーゲン。ダウン症にも理解のある彼は、ゆっくりと少しどもりがちに話すことで障害を表現。決して誇張しすぎず、いい塩梅の演技だったと思います。


一方、どこかの漁師町。漁師のタイラーは他人の獲物を盗んでしまい、相手のダンカンからきつくお灸をすえられます。その腹いせにダンカンのカゴに火をつけてしまいます。でも、彼は彼で兄を自分のせいで亡くしたということが傷になっていて、やさぐれていただけなんですよね。だからといって火をつけたのが許されるわけではありませんが。タイラーを演じたシャイア・ラブーフは少し無骨でぶっきらぼうなところもありましたが、自分を理解してくれる相手を求めていたという寂しさをうまく滲み出していました。


火をつけたのが相手にバレて、タイラーは自分のボートに乗って逃げ出します。そこに偶然身を隠していたのがザック。ここで全く接点のなかった二人が出会います。なんとかダンカン達から逃げ出すことができた二人。タイラーはザックを置いていこうとしますが、ザックは「置いていかないでくれ」と懇願。タイラーも見捨てることができず、途中まで二人で旅をすることにします。この辺りでもうタイラーの本当は良い奴感が滲み出てますね。


そして、タイラーは途中までザックを案内し、いったん二人は別れます。ヒッチハイクを捕まえて、街を目指すタイラーですが、なんとザックの身を案じ、途中で引き返します。何この超良い奴。無理やり飛び込まされるザックを「泳げないんだ」と助けに入るタイラー。ザックの目指す場所がソルトウォーターのプロレス学校があるエイデンと知り、自らの目的地であるフロリダの途中にあるから連れていってやると宣言。ここから二人の旅が始まります。




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この二人旅がすごく暖かいんですよね。ルールを決めるところのほんわかしたやり取りや、川を渡る時のスリルなど見どころ満点なんですが、個人的に好きなのがやはり最初の夜のシーンです。ザックがプロレスラーになりたいという夢を語るんですけど、普通はお腹がブヨブヨのザックがそう言ったら笑ってもおかしくないですよね。でも、タイラーは笑わないんですよね。ザックの言葉を真摯に受け止めるんです。


ザックが自分はダウン症だからプロレスラーになれないと弱気になったときも、「人間出来ないことはあるけれど、お前は強い」ですからね。「ダウン症とかじゃなく人は魂だ」ですからね。ザックの心持ちを認めて、お前はヒーローにだってなれると励ましてくれるんですよ。ダウン症のという枕詞を取り払って、同じ目線に立つタイラーは火をつけた人間と同一人物とは思えないほど、良い奴でした。私もあんな風に認められたいです。


そして、そこからはトレーニングと称してザックを鍛えようとするのですが、この描写がとにかく愛おしい。レールの上でバランスを取ったり、草の塊を押したり、二人にしか通じない特別な握手を作ったり。とくにスイカを分け合って食べて、食べ終わった殻をメットにするシーンとかは見ていて笑顔になるほど微笑ましいものでした。旅先で出会った盲目の老人もめっちゃ良い人でしたしね。いかだを作らせて二人の移動を助けてくれました。


でもって、この映画のピークなぐらい好きなシーンが再びの夜のシーンです。ザックは足首を痛めてしまうんですけど、その解決方法がウィスキーを飲んで誤魔化すという愛くるしさ。さらに、二人は火を囲んでいるんですけど、ここでザックのリングネームをつけるシーンがあるんですよ。そのザックのリングネームがピーナッツバター・ファルコンでした。


これに気分を良くしたタイラーはその辺にあった枝でオリジナルの衣装を作るんです。ああなんて微笑ましい。重い丸太をザックが持ち上げようとするところを「お前ならできる」「お前は強い」ってめっちゃ励ましてくれますし、それまで施設で管理されてきたザックにとってはこれ以上ない暖かい言葉だったと思います。二人ともとても良い奴で、観ていて気持ち良かったですね。もう好きな展開しかなくってどうしようかという感じでした。


それでもって大事なのが癒されているのが、ザックだけではないところなんですよね。タイラーも癒しを受けているんです。兄を自分のせいで死なせてしまって傷を受けていた。孤独だったところにザックが現れて。タイラーがあんなに早くザックを受け入れたのも、きっと一人が寂しかったこともあると私は考えます。イカダで出航するシーンではタイラーはザックに身を委ねていますし、とある部分が欠けてしまったパーツたちが、お互いの欠けた部分を埋め合わせるという構図は私の大好物です。もうこの図式を作れただけで、この映画の成功は決まっていたのかもしれません。










一方、施設では脱走したザックを探す動きもあります。中心となって探していたのが、看護師のエレノアです。タイラーとは一度鉢合わせますが、その後はすれ違うばかり。しかし、前述の二度目の夜が明けた後、ザックを見つけることに成功します(ここ少し唐突だった)。当然ザックを連れ戻そうとしますが、タイラーの説得を受けるんですよね。俺はあいつをエイデンまで送ることに決めたと。まあザックがエレノアが乗ってきた車の鍵を海に投げてしまって、結局三人で旅をするしかなくなるのですが。


三人旅が始まりますが、しばらくはあまりムードは良くない様子。エレノアはザックの世話をするのが私の仕事と言いますが、それはザックの自主性を信じられていないということでもあるんですよね。だから、ウスノロと言って下に見ている奴らと一緒だとタイラーは諭すわけです。ダウン症とか関係なく同じ目線に立つことが大事だともう一度提示されるんです。人と人が分かり合うことの本質を示しているようで、ハッとしましたね。


そして、エレノアも説得されて和やかな三人旅がようやく始まります。ここからのシーンは愛おしさがさらに増していきます。途中海に飛び込むシーンや魚を食べるシーンなど三人の仲の良さを演出。エレノアもザックを一人の人間だと認める良い奴っぷりを存分に発揮。ザックが言うように「このまま三人の楽しい時間が続けばいい」と思ってしまうほどです。自然と笑顔になってしまいます。まあこの後、追いついたエイデンたちにイカダを燃やされてしまうんですけどね。


それでも、何とか先に進んだ三人はソルトウォーターの自宅に到着します。そこはぼろい平屋で、出てきたソルトウォーターもすっかり老人となっています。プロレス学校も十年前に閉校。ザックをがっかりさせたくないタイラーは「ソルトウォーターは元々いなかった」と嘘をつき、三人は立ち去ります。どうなってしまうんだろうと思ったんですが、なんと次のシーンでは顔にペイントを塗ったソルトウォーターが車に乗って、登場してくるではありませんか。悪玉なのにめっちゃ良い奴だ。本当この映画良い奴しかいねぇ。ここはようやくソルトウォーターに会えたザックに感情移入してしまって、思わず泣きそうになりましたね。
 

映画はこの後、ソルトウォーターからの指南を受けたザックがプロレスの試合に臨むという展開になるわけですが、試合前ザックはさすがに怖気づくんですよね。でも、タイラーは「お前は強い」と大声でザックを励ますんですよ。えぇ……めちゃくちゃ良い奴じゃん......(何回目だ)。私もあんな風に励まされたいですよ。勇気づけられたいですよ。そして、ザックはタイラーが段ボールで作った手作りの衣装を着てリングに上がるというね......。ああいうハンドメイド感あふれる演出に私めっちゃ弱いんですよ。どうして私のツボが分かるの……?え......好き……。




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その後は因果応報的な展開はあるものの、最後は三人がタイラーの目的地であるフロリダに行くというハッピーエンドで幕を閉じるんですよね。ここ三人とも笑顔だったのが印象的で。冒頭でザックを逃がしたカールという老人が「友達は自分で選べる家族だ」と言っていましたけど、まさにこれがこの映画のテーマだと思います。


家族に見捨てられたザックと、家族を失ったタイラー。ザックはタイラーとエレノアのことを家族と称していましたし、タイラーもザックを見捨てることだってできたはずなのに、見捨てないことを選んだ。エレノアだって無理やりザックを連れ戻すことだってできたはずです。旅を続ける中で、この三人の間には友情が芽生えていて、ラストシーンはまるで家族のようでもありました。まだこの三人の旅を観ていたかったのにと映画が終わる瞬間は思ったものです


というわけで『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』は、本当に気持ちのいい映画でした。見逃さないで良かったと思います。上手くいかなくてささくれ気味だった私の心を癒してくれて、また明日からも暮らしていくことができそうです。本当にありがとうございました。




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以上で感想は終了となります。映画『ザ・ピーナッツバターファルコン』。すごく癒される理想的なロードムービーでした。こういう優しい世界大好きです。私もかつて趣味でロードムービーのお話を書いたことがあるんですけど、こんな風に書きたかったなと心から思いました。今年観た洋画ではトップクラスに入るくらい好きですね。もう上映している映画館はあまりないですが、配信で見られるそうなので、興味のある方はぜひ観てみてください。お勧めです。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい




 

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