こんにちは。これです。

いきなりですが、このブログで何回か言っているように私はthe pillows(以下ピロウズ)が好きです。出会った時から今まで世界中のバンドの中で一番好きです。

そして今日9月19日、the pillowsが22枚目のアルバム「REBROADCAST」をリリースしました。およそ一年半ぶりのニューアルバムで、ピロウズの30周年イヤーの始まりを告げるアルバムでもあります。

今回のブログはそんな「REBROADCAST」の感想になります。拙い文章ですが何卒よろしくお願いいたします。




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前作「NOOK IN THE BRAIN」から1年半ぶりのリリースとなった「REBROADCAST」。フラゲ日である昨日に買ってさっそく聴いてみました。変わらない安心できるロックンロールがそこにはありました。


さわおさんの歌声は年を重ねているにもかかわらず、ここにきてキレを増し、29年という積み重ねたキャリアの分だけコクも感じられます。真鍋さんのギターは変わらずピロウズの音楽を牽引する存在であり、「REBROADCAST」でも耳に残るギターリフやエモーショナルなギターソロが輝いていました。シンイチロウさんのドラムも安定感が抜群で、ピロウズの音楽をぎゅっと引き締めていましたし、サポートである有江さんのベースも、3人の音を包み込むようにまとめ上げていて、ピロウズにはもうなくてはならない存在です。4人の演奏は年を取っても衰えることはなく、20代のようなエネルギーがほとばしっていました。


そして、それぞれの曲も素晴らしい。「Rebroadcast」でぶちかましたかと思うと、「Binary Star」で繋ぎ、「ニンゲンドモ」「ぼくのともだち」で感情が解き放たれます。その次の「箱庭のアクト」で勢いそのままに繋いで、「眩しい闇のメロディー」「Bye Bye Me」「Starry fandango」でダークサイドを見せたかと思えば、「BOON BOON ROCK」でそれを吹き飛ばすように歌う。最後の「Before going to bed」まで飽きさせない構成でアルバムとしてのまとまりも出色の出来です。今までのピロウズが好きな人ならかなりの高確率でハマる。そんなアルバムに「REBROADCAST」はなっていると思います。








さて、このアルバムのタイトル「REBROADCAST」とは再放送という意味です。その名の通りに「REBROADCAST」には過去のピロウズの曲を思い出させる要素が多くあります。「ニンゲンドモ」はどうしても「Smile」の「クタバレニンゲンドモ」を思い出してしまいますし、「眩しい闇のメロディー」は「Fool on the planet」のような曲調です。「Starry fandango」の最初のピコピコ音は「Thank you, my twillight」を思い出さずにはいられませんし、「BOON BOON ROCK」にはアルバム「GOOD DREAMS」収録の「ローファイボーイ、ファイターガール」がそのまま歌詞として使われています。これはこのアルバムのコンセプトに基づいて意図的にやったものだと思われます。


そのコンセプトとして、私は「re」というものがあると思います。「REBROADCAST」ではいろいろな曲に「re」のつく言葉が歌詞として散りばめられているんですね。それは1曲目の「Rebroadcast」から明らかで、リタイア(retire)、redo、リターン(return)の3つが使われています。


「ニンゲンドモ」には「戻れるのか」で「return」。
「ぼくのともだち」「箱庭のアクト」では「remember」。
さらに「箱庭のアクト」では「生まれ変わりたくなるくらい」で「reborn」もあります。
「眩しい闇のメロディー」も「憶えてるか」で「remember」。
「Bye Bye Me」では「Rebroadcasting」。
「Starry fandango」では「再生」で「renaturation」。
「BOON BOON ROCK」では直接的には使われていませんが、「ローファイボーイ、ファイターガール」が「再登場」で「reappear」。


といったように、「re」のつく言葉が多くの曲に登場しています。「re」は動詞や名詞の頭につく語句で、後ろに、逆に、以前に、引き返すといった意味をその単語に付け加えます。どちらかというとマイナスの意味ですね。これはこのアルバムがどこか悲しげで暗い曲が多いことにも関係していると思います。









このアルバムは基本的に過去を回顧(retroscope)する形式で多くの曲がつづられています。「ニンゲンドモ」や「ぼくのともだち」「眩しい闇のメロディー」「Bye Bye Me」などがそうで、なかでも、その最たるものが1曲目の「Rebroadcast」やラストの「Before going to bed」です。「Before going to bed」は寝る前に今日を、今までを回顧する歌ですし、「Rebroadcast」では「振り返ったら」(in retroscope)とズバリそのままこのアルバムの姿勢を打ち出しています。振り返るという姿勢なので昔の曲の要素が多くなっているのです。


しかし、過去は回顧することはできても二度と戻ることはできません。「もう一度やり直しを望んでもいい?」といってもその望みが叶うことはありません。過去に戻りたくても戻れない、やり直したくてもやり直せない、そこから来る悲しみが「REBROADCAST」には漂っています。まあそこが私がこのアルバムを好きな理由の一つなんですけどね。









では、過去に戻れないならどうするか。その答えとしては今を生きて、未来に向かうしかありません。「re」には名詞や動詞の前について、「再び…する」「新しく…する」という意味を加えることもあります。これは未来志向でプラスの考え方です。「箱庭のアクト」の「reborn」や「Starry fandango」の「renaturation」がそうですね。


また、「REBROADCAST」には「再放送」という意味の他に「中継放送」という意味もあります。「REBROADCAST」はピロウズが今までの29年を振り返るアルバムというだけではありません。振り返り終わって前を向いて再度歩き出す。そんなピロウズの「今」を映したアルバムです。マイナスのようで実際暗い曲も多いですが、そんなプラスの意味も確かに込められていると思います。


ピロウズは29年を経ても、衰えるどころかまだまだ進化の途中であることを、「REBROADCAST」の39分17秒で見せつけました。そして最初の繰り返しになりますが、ピロウズは今年結成30周年イヤーです。「REBROADCAST」の次にはどのような進化が待っているのか。今から楽しみでなりません。とりあえずは11月から行われるREBROADCASTツアーを心待ちにしたいと思います。私の住んでる長野がツアーの初日ですからね。チケット確保して行きますよー。30周年イヤーを迎えるピロウズからはますます目が離せないなと「REBROADCAST」はそう思わせてくれるアルバムでした。間違いなく名盤ですので、聴いていない方はぜひ聴いてみてください。お願いします。





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以下、全曲感想(?)のようなものに続きます。前述した内容と被っているところもありますが大目に見てやってください。


1.Rebroadcast


このアルバムのタイトル曲にして始まりを告げる曲。最初の映画のエンディングのようなムードから一転、明るい曲調に変わります。ピロウズには珍しいサビで鳴るブラスが賑やかさを演出し、コーラスがそれを盛り立てる。とても楽しい気分になれる曲で、この後に控える曲の期待感を高めます。名曲ぞろいのピロウズの一曲目の中でも個人的にはかなり好きな部類に入りますね。個人的には「後悔しかけた崖っぷち」で「雨上がりに見た幻」を思い出しました。





2.Binary Star

歌詞に特に意味はなくその響きを堪能する曲です。次の曲ひいてはアルバム全体を盛り上げるという、「Waitting at bus stop」や「Give me up!」タイプの2曲目ですね。サビで四つ打ちになるのが今までのピロウズではそんなにない感じで新鮮です。歪んだギターとベースに意味のない歌詞が上手くハマっていて聴いていて心地いい。ちなみに「Binary Star」は「連星」という意味で、共通の重心の周りを公転する星々のことを言うらしいです。ピロウズという共通の重心の周りをまわる私たちみたいですね。





3.ニンゲンドモ

YoutubeでMVが先行配信されたこの曲。真鍋さんの一度聴いたら耳から離れないギターリフが特徴的です。ジャンルとしてはオルタナに入るのかな。第3期初期の黄金期と呼ばれたころにピロウズに回帰(recurrence)してる感じがします。noodlesのyokoさんをコーラスに迎え入れたことからもPIXIESっぽさがうかがえます。ブラック・フランシスの歌にキム・ディールが絶妙なコーラスを入れていたころのPIXIESみたいな。でもそこから戻ってきて今までのピロウズ式オルタナとは違う「ネオオルタナ」になった。そんな印象です。後歌詞がピロウズぽっくない。さわおさんってこんな生活に密着した歌詞書く人でしたっけ。30年目にしてもまだ新たな引き出しを残していてすごいなって思います。





4.ぼくのともだち

こちらもライブ会場限定CDでアルバムよりも世に出ていた曲。緩急をつけたシンイチロウさんのドラムがいいですね。最初は穏やかに入って、途中で急に激しく展開する構成が「Smile」を思い起こさせます。最後の「Please remember again」は「クタバレニンゲンドモ」に変えて歌えなくもないですし。でその後の好き勝手やってる感じはとても好み。それと初めてギターを抱いた時の高揚感ったらなかったですよね。なんでも弾けそうな気がして。聴いていてそんなことを思い出しました。





5.箱庭のアクト

一回通して聴いた時に個人的に一番気に入ったのがこの曲。速いテンポでキャッチ―な曲調で前の2曲のどこか悲しいムードをはねのけてくれるようです。この曲もシンイチロウさんのドラムが輝いてる。でも、歌詞を見てみるとこの曲もなかなか暗いですよね。「悲しい気分で仰ぐ空は」で始まりますし、「僕は何者でどこへ行くんだろう」というのが重く響きます。そうなると明るく聞こえていたこの曲もどこか哀愁を帯びて聴こえてきます。そういった一筋縄ではいかない感じが個人的には大好きです。





6.眩しい闇のメロディー

「REBROADCAST」の中でも抜群のエモさを誇るこの曲。一緒になりたいのに慣れない二人の悲しさを歌っています。もう最初からエモい。「Fool on the planet」を思い出せるような切ない曲調に有江さんのベースが今までにないほど動き回っていているのが本当にマッチしている。それにさわおさんの「Baby」という叫びが胸に迫ります。この曲が主題歌の映画「純平、考え直せ」は9月22日から全国の劇場で公開です。





7.Bye Bye Me

前曲の重たい雰囲気を和らげるための箸休め的な役割を果たしているこの曲。スーッと体に入ってくるような曲でリラックスして聴くことができます。サビも「Rebroadcasting」の繰り返しでシンプルですし。でも当然この曲にも力が入っていて真鍋さんのギターソロは「REBROADCAST」の中でも随一の長さを誇っています。最後の畳みかける感じもたまらない。




8.Starry fandango

レトロゲームのようなピコピコ音で重苦しい始まりを告げるこの曲。「Thank you,my twillight」を意識せざるをえません。どうしようもない現実から逃げるように踊るような、空元気のような雰囲気が悲しいです。サビでのさわおさんと真鍋さんのツインギターの掛け合いがより涙を誘う。Starryは「星の多い」とか「星をちりばめた」という意味で、fandangoはスペイン発祥の陽気な踊りで、それが転じて「馬鹿騒ぎ」みたいなニュアンスで使われることもあるそう。満天の星空のもと辛さから目を背けるように馬鹿騒ぎをしている姿を想像するとこれまた悲しい。どこまでいっても悲しい曲です。





9.BOON BOON ROCK

前曲の悲しい雰囲気をはねのけるように元気を振り絞るかのような曲。疾走感のあるシンイチロウさんのドラムに載せて、さわおさんと真鍋さんのギターが吠え、有江さんのベースが唸ります。「居心地の悪さに慣れてしまって」からの歌詞は第三期初期のピロウズぽっくて好きです。それに「GOOD DREAMS」収録の「ローファイボーイ、ファイターガール」をそのまま使ってくるとは思わなかった。あと正直タイトルがちょっとダサい。でも曲はかっこいい。





10.Before going to bed


曲名からもっと穏やかな曲を想像していましたが、そんなことは全然なかった。シンイチロウさんの雷みたいに鋭いドラムと、さわおさんと真鍋さんの滝のように激しいギター。こんな攻撃的なサウンドのラスト曲、「Advice」以来だと思います。歌詞はというと、最後めちゃくちゃ感謝してて笑いました。さわおさん、25周年のときは「20周年のときはうっかり世の中に感謝してしまった。本来俺はそんな人間じゃない」って言ってたのに。激しいサウンドももしかしたら感謝の照れ隠しかもしれないですね。そう考えるとなんかかわいい。余韻もちゃんと残りますし、このアルバムの最後を飾るにふさわしい曲だと思います。






























以上で感想は終了となります。

「REBROADCAST」は本当に素晴らしいアルバムなので、このブログにくるような方でいないとは思いますけど、まだ聴いていない方がいたら強くオススメしたいと思います。ぜひ、ぜひどうぞ。


お読みいただきありがとうございました。



おしまい