前編はこちら




では、最初にスタメンの確認です。


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それでは参りましょう。


前半キックオフ!

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立ち上がりから鳥栖はディフェンスラインを高く設定してきています。しかし、ハイラインはスピードのある#7前田選手にとっては歓迎すべきもの。スピードを生かして裏を狙う動きを果敢に見せます。しかし、裏に走ったからとはいえ、ボールが出てこなければ意味がありません。そこで山雅は#10レアンドロ・ペレイラ選手がCBを引き付けたり、#13中美選手が中盤でのボール回しに参加し、ボールを出てきやすくするなど工夫を施していました。


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前半10分。左サイドのスローインから#14パウリーニョ選手が前線へと浮き球でボールを送ります。これに反応したのが#7前田選手。初速の速さで#5ニノ・ガロヴィッチ選手と入れ替わり、ワンタッチでシュート。これが#1大久保選手の上を越えてゴールインし、山雅が早い時間帯での先制に成功します。#7前田選手は今シーズン初ゴールとともに、J1での初ゴールも決めました。


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同点に追いつきたい鳥栖は、前線に人数をかける攻撃的なフォーメーションを採用しています。#9フェルナンド・トーレス選手が中央に位置し、#44金崎選手#7イサック・クエンカ選手との3トップ的な構成になりますが、ここでポイントは3選手とも中央に入り距離感を近くしていること。これによってクロスのこぼれ球をものにしてゴールに結びつけようという意欲が見えます。


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さらに重要だったのが山雅の3バックを中に引きつけていたこと。これにより、山雅の3バックとWBの間に有意なスペースを生み出そうとしています。そして、生まれたスペースをIHの#41松岡選手#14高橋義選手が2列目からの飛び出しで使おうとしてきます。カウンター攻撃でも鳥栖はIHに3バックの脇を突くタスクを与えていて、かなり攻撃的でした。


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しかし、そこは当然山雅のWBも中に絞り、スペースを消してきます。となると今度はサイドが空く。鳥栖のSBはこの日、サイドに張り出し高い位置を取っていたため、プレッシャーの少ない状態でクロスを上げていきます。山雅としては中もサイドも守りたいところでしたが、両方を守るのはさすがに不可能。ゴールは中央にあるので、やはり中央に人数をかけて重点的に守り、そのぶんサイドはやや捨てていた印象です。


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とはいっても完全フリーの状態でクロスを上げさせるわけにもいかないので、鳥栖のSBには基本的に山雅のシャドーがつきます。この日の山雅のシャドーは高い位置を取るSBの対応に追われ、いつもよりもポジションを押し下げられていました。#10レアンドロ・ペレイラ選手も前線で孤立しないために落ちてくるので、攻撃の開始点はいつもより下げられ、それが山雅の攻撃を難しくしていたように感じました。


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山雅の持ち味といえば前線からのプレス。この日も前からいっていましたが、これまでと比べると頻度は控えめでした。しかし、数少ない前プレを鳥栖は脅威に感じたのか、最初は4バックで回していたものの、だんだんと#36高橋秀選手を下げて、SBを上げるようになります。


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しかし、このとき前線とディフェンスラインが分断されがちになり、#14高橋義選手が中継役になろうとしますが、#14パウリーニョ選手に見られていて、パスを出せません。結果としてロングボールが増えていて、この日は#9フェルナンド・トーレス選手がいたので、それでもよかったのですが、ポゼッションを標榜するならば、解決すべき問題のように感じます。CBにもっと配球力の高い選手を入れるとか。


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試合は鳥栖が優位に進めますが、山雅もカウンターで応戦します。鳥栖は2人のIHが高い位置を取るので、アンカーの#36高橋秀選手の脇がどうしても空きがちになります。ここを#10レアンドロ・ペレイラ選手が落ちて使おうとして、ファウルを受けてFKを獲得するなど、一定の形を作れていましたね。


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加えて、遅攻の際にも前半の山雅は前線までボールを運べていました。鳥栖の前線の3人は戻ってまで守備することはないので、第一ラインを突破できれば、中盤で3対4を作ることができます。中盤の一人がボールホルダーにプレスをかけると、スペースができるので、前半の山雅はそこをうまくつけていた印象です。人数が揃っている最終ラインを突破することはできませんでしたが。


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また、この日絶妙だったのが#14パウリーニョ選手#35宮阪選手の2ボランチの関係性。#35宮阪選手が積極的にボールに絡んで、前線へパスを配給する。一方で、#14パウリーニョ選手はカバーに徹し、危険なスペースを埋め続け、リスク管理を行うという役割分担がきっちりとなされており、中央では安定感がありました。


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前半の半ば頃から鳥栖は#7イサック・クエンカ選手が中盤に落ちて、ボールを受けるようになります。これは山雅の5-4のブロックの外でボールを貰いたいといった思いや、#36高橋秀選手#14高橋義選手二人になりがちな中盤に人数を増やして、前線にボールを出したいという狙いがあるでしょうか。


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しかし、ドリブルが持ち味の#7イサック・クエンカ選手が下がることで鳥栖の攻撃の威力が減じていて、さらに#44金崎選手も下がって受けるという場面が見られたため、山雅にとっては助かる展開でした。山雅はマンマークでしたが、CBからボランチ・シャドーへのマークの受け渡しができていて、スペースを開けさせていませんでしたね。


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一方で山雅の攻撃では、最終ラインを突破するために、斜めの動きが多く用いられています。アタッキングサードで前を向いてボールを持てたら、シャドーのどちらかが斜めの動きをするように設計されていました。CBの間を横断することで、CBから離れ、もう一方のCBの背後を取ることでフリーでボールを受けようとします。ブロックにはあってしまったものの、追加点を奪うための有効な形で、後半も続けていくことが求められますね。


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アディショナルタイムはなく、前半は1-0で山雅のリードで終了。先制こそしたものの、どちらかというと鳥栖ペースで試合は進んでいきましたが、山雅は中央をガッチリと固めていて、鳥栖の攻撃をシャットアウトしていました。後半に向けては、早い時間帯に追加点を取って試合を決めたいところです。


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ハーフタイムにはアウェイツアーのPRがあったり、


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県内ではよく見る旗がスタジアムを一周したりしました。











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両チーム選手交代のないまま後半キックオフ!


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後半になって1点のリードを持つ山雅は、引いて守ります。ディフェンスラインをやや下げて、守備の早い段階から5バックを形成していました。これに対し、鳥栖はサイドから崩していこうとします。


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鳥栖はSBが大きく外に開きますが、後半はIHも外に開きサイドに二人当てる傾向を強くしてきました。山雅のサイドは基本的にWB1枚なので、WBが鳥栖のSBに行ってしまうとIHを誰が見るのかが課題になります。ここで、サイドのCBが釣り出され、山雅のハーフスペースが空く瞬間が訪れます。


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CBがスライドしたり、ボランチが落ちたりして山雅も対応しますが、その一瞬の隙に、#44金崎選手#7イサック・クエンカ選手がハーフスペースに侵入し、危険な位置でボールを受けられてしまうシーンが後半は増えていました。これに対応するには前半のようにシャドーをSBにつければいいのですが、そうすると今度は攻撃が弱くなってしまうため、難しい課題です。この日の山雅は時間が経つにつれてシャドーも守備に参加するようになり、前に行けなくなっていましたね。


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しかし、山雅にもカウンターで攻撃の瞬間が訪れます。この日は左サイドからの攻撃が多かったのですが、いつもと違うパターンの攻撃が見られました。それは#42高橋諒選手がインナーラップをするということ。シャドーの選手や#10レアンドロ・ペレイラ選手がサイドに出た時、#42高橋諒選手はサイドから中に向かって走り出します。勢いを持ってハーフスペースに侵入し、シュートに繋げるというシーンが後半立ち上がりと終盤の二度見られましたね。意表を突いたいい攻撃だったと思います。


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後半13分。1対2の未曾有のピンチを#42高橋諒選手が戻って防いだ直後、鳥栖が選手交代を行います。17歳の#41松岡選手に替えて#4原川選手を投入。前半から狙っていた右サイドの攻撃を強めます。


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引き続き鳥栖がボールを保持する展開が続きますが、山雅も5-4のブロックを作って対抗します。それぞれ、30mほどに収まるようにコンパクトに設定し、中のスペースを消していきます。サイドに追いやるという狙いは上手くいっていて、鳥栖はブロックの中に縦パスを通すことができず、外で回すことが多くなっていました。山雅もシャドーを下げて守備的に来ていますしね。


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そして、山雅がボールを奪った時、鳥栖の中盤とディフェンスラインとの間は空いてしまっています。後半の鳥栖は攻める気持ちが強く、陣形をコンパクトにできていなかったため、前線と中盤、中盤とディフェンスラインの距離が開いてしまっていて、山雅の選手は間で余裕をもってボールを受けるシーンが増えていました。しかし、ペナルティエリア前までボールを運ぶことはできるものの、もう一押しが足りません。2シャドーがもっと#10レアンドロ・ペレイラ選手を使えればよかったのですが。


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後半24分。山雅が最初の選手交代を行います。#10レアンドロ・ペレイラ選手に替えて、#11永井選手が投入されました。#11永井選手はそのままワントップの位置に入ります。


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山雅は手を打ったものの、攻めるのは鳥栖。#4原川選手はIHに入っていますが、アンカーの#36高橋秀選手とよくポジションを入れ替えています。山雅は#4原川選手を捕まえ切れていなかった印象があります。#4原川選手は下がることも多く、前線とディフェンスラインの中継役になっていました。#4原川選手が入ることで鳥栖はより円滑にパスを回し、#7イサック・クエンカ選手も前線に張っていることができていましたね。


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後半30分、#35宮阪選手が足をつってしまいます。この日は気温も高く、#35宮阪選手も運動量多く動いていたので、しょうがない部分もありますね。ここで#6藤田選手が投入されますが、ここでアクシデント。第四審がボードを掲げる前に入ってしまったということで#6藤田選手にイエローカードが提示されてしまいました。#6藤田選手は選手交代をやり直すことになりましたが、#6藤田選手はもちろん、その前の鳥栖の交代が終わって時点で試合を始めてしまった審判団にも責はあるかと思います。Jリーグジャッジリプレイで取り上げてほしいなぁ。


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また、その直前には鳥栖が2枚目の選手交代を行っていました。#5ニノ・ガロヴィッチ選手に替えて、#25安庸佑選手を投入。#25安庸佑選手はIHに入り、#4原川選手がアンカーに、#36高橋秀選手がCBにそれぞれポジションを一つずつ下げています。


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#25安庸佑選手の縦に仕掛けるドリブルが加わった鳥栖は、さらに山雅を攻めますが、山雅も集中して跳ね返します。逆にSBが上がった裏のスペースを#11永井選手に突かせるというカウンターも時折見せ、追加点こそ奪えないものの時計の針を着々と進めていきます。


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後半38分には鳥栖は#44金崎選手に替えて、#11豊田選手を投入し放り込み体制へとシフトチェンジ。山雅もそれと同時に#7前田選手に替えて、#20杉本選手を投入し、クロッサーへのプレスを復活させようとします。


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この日の入場者数は16,367人。同じくチケットの完売した川崎戦や神戸戦と比べるとやや少ないですね。田植えの影響でしょうか。


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後半アディショナルタイムには、鳥栖は#3高橋祐選手も前線に上げ、パワープレーを敢行しますが、効果的な肺クロスはあまり上がらず。山雅の選手もちゃんとクロッサーに寄せ、中で集中を保って跳ね返します。そして最後のCKを凌いで試合終了。山雅が1-0で勝利し、2試合ぶりの勝利を手にしました。これで3試合負けなしです。


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勝利のアルプス一万尺もおよそ2週間ぶりです。#16村山選手#7前田選手が前に出てきていましたね。


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反町監督のインタビュー。やや苦み走った顔がこの試合の苦しさを物語っています。「内容は良くなくても勝ち点3を取れたことは大きい」「3試合負けなしだが好調だとは思っていない」とのことでした。


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この日のヒーローインタビューはもちろん#7前田選手。ゴールについては「決まってよかった」とシンプルに一言。これからの抱負を聞かれ、「(久保)建英には負けない」とのことでした。頼もしいですね。


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#7前田選手にはMVP賞として、信州プレミアム牛肉と信州金芽米が贈られました。


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恒例のカメラにサインもあっという間に終わりました。


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また、敢闘賞には#13中美選手が選ばれました。この日も攻守によく走ってくれましたが、やはり攻撃の選手で次の試合はゴールに期待したいです。


この試合においては鳥栖が取ってきたSBをタッチライン際まで開かせたり、サイドでIHとの縦関係を作るという攻撃は、正直かなり山雅対策として有効でした。しかし、内容が悪いながらもそれを跳ね返せて1点を守り切って勝てたのは自信に繋がりますね。反対に、ポゼッション率70%を超えて攻め続けたものの、1点が遠かった鳥栖の得点力不足はかなり深刻ですね。形は出来ているので、1点取れれば上向くと思うんですけど。


また、山雅の側でもディフェンスラインを下げてしまったり、シャドーが低い位置を取り過ぎてしまったりと反省点も多く見られたのも事実。内容も自ずからもっと良くすることができたはずです。きっちり修正して、来節に臨んでほしいですね。














<ハイライト動画>








監督コメント
(Jリーグ公式)

選手コメント(Jリーグ公式)

J1順位表(Jリーグ公式)

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この勝利で山雅は3勝2分3敗の勝ち点11で10位にまで浮上。一桁順位も近づいてきました。次戦は4月24日19:00から。アウェイ・IAIスタジアム日本平で、ルヴァンカップグループステージ第4節vs清水エスルス戦です。ルヴァンカップでは現在最下位ということで、グループステージ突破のためには勝利が必須になりますね。出場機会の少ないメンバーの奮起に期待しましょう。


そして、明治安田生命J1リーグの次節は、こちらもアウェイ・味の素スタジアムで、FC東京との対戦です。現在FC東京は6勝2分の勝ち点20で首位を走っています。未だ無敗という難敵ですが、力を尽くして勝利を掴んでほしいです。私も応援に行きます。今シーズン初のリーグ戦の連勝が見たいですね。


頑張れ!松本山雅FC!!


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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