こんにちは。GWが終わってしまって寂しいこれです。GW中は4本見ましたけど、あと1,2本は観たかったなぁ。


ただ、GWが終わっても映画の公開は終わりません。今回観た映画は『ラ・ヨローナ~泣く女~』。ジェームズ・ワンが製作を務める『死霊館』シリーズの一本です。ただ、私『死霊館』シリーズ観たことないんですよね。今回観た理由も時間的に都合がよかったからですし、観ようと決めたのも前日ですし。


でも、そんな完全初見の私でも『ラ・ヨローナ』は、怖く楽しく観ることができました。想像以上によかったですね。


それでは、感想を始めたいと思います。あまりビシッと纏まってはいませんが、何卒よろしくお願いいたします。
 




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―目次―

・しっかり怖かった
・悪霊 vs 呪い
・子供の成長と家族の絆





―あらすじ―


1970年代のロサンゼルス。不可解な死を遂げた子供の母親が、不吉な警告を発する。しかし、それを無視したソーシャルワーカーのアンナ(リンダ・カデリーニ)と彼女の子供たちは、ほどなくしてある女の”泣き声”を聞いてしまう―。その日を境に数々の恐ろしい現象に襲われることとなった家族は、教会に助けを求めるが、そこで語られたのは、呪われたすすり泣く女”ヨローナ”の存在だった―。ヨローナはプールやバスタブ、トイレであろうが、水のある所に現れる。果たして家族は逃げ場のない恐怖から逃れることはできるのか―。

(映画『ラ・ヨローナ~泣く女~』公式サイトより引用)




映画情報は公式サイトをご覧ください












※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。









・しっかり怖かった


この映画の主人公・アンナは、あらすじにもあるようにソーシャルワーカー。警察官の父親を失くしてしまい仕事に追われ、サム(妹)とクリス(兄)、二人の子供に十分な愛情を注げないままでいます。このアンナを演じたのが『グリーンブック』での演技が記憶に新しいリンダ・カデリーニ。基本的には子供思いで、子供を逃第一に逃がそうとしますが、やっぱり怖いので一緒に怯える。その挙動が迫真で、観ていてドキドキしました。溺死した兄弟の写真を見て悲しむシーンが好きですね。あとセーター姿がなかなかに扇情的でした。


アンナは仕事である家庭を訪れます。そこでは、母親であるパトリシアに二人の子供が監禁されていました。扉には目のような不気味な模様が描かれていましたね。鍵を開けて子供たちを救い出すアンナ。子供たちは病院に預けられます。しかし、その夜、女のすすり泣く声を弟が聞く。入り口には兄が立っていて、廊下を虚ろに歩き続けます。しばらく歩いた後、兄は止まって鏡を指さす。そこには白いドレス姿の女が映り、二人を攫っていきます。パトリシアの子供たちは川で溺死しました


二人が溺死した現場に駆け付けるアンナ。パトリシアに「あんたのせいよ」と言われ、ここでようやくラ・ヨローナの名前が出てきます。実はこの現場にクリスとサムもついて来ていました。クリスは女のすすり泣く声を耳にし、ラ・ヨローナの姿を見つけます。気づくとすぐ隣にいて、クリスの手をガッチリと掴むラ・ヨローナ。クリスは慌てて車に逃げ込みますが、窓が一人手に開いていく。ここはアンナが戻ってきたことで事なきを得ましたが、ここからクリスとサムは、ラ・ヨローナにロックオンされてしまいます。


傘を開くといるラ・ヨローナ。カーテンの裾を揺らすラ・ヨローナ。アンナがするみたいにサムの髪を解くラ・ヨローナ。からの水中首締め。水のあるところに現れて、さまざまな手を使ってラ・ヨローナはクリスとサムを殺そうとしてきます。ただ、その方法は腕を掴んで攫うというわりと良心的なもの。サメやエイリアンみたいに一噛みで腕を食いちぎるみたいなことはありません。思いっきり首を絞めていましたけど、まあそれはそれで。




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ただ、それでも『ラ・ヨローナ』は、ホラー映画としてある程度の強度を保っていました。それは焦らしです。ラ・ヨローナは腕を掴むだけで、すぐに殺すようなことはしません。一つ一つは小さくても、恐怖を小出しにしていくことで、テンションを徐々に高めていっていました。まるで『本当にあった怖い話』みたいですね。


また、ラ・ヨローナは悪霊なので基本的には見えません。見えないのに勝手にドアが開閉され、窓が開けられ、しかもそれが結構な勢い。インパクトがあります。なかなか姿を現さないことで不安を煽り、焦らして焦らして姿を現す。そこで、発生した恐怖は観客の中に少しずつ溜められていき、後半のシーンの土台となっていましたね。前振りをとにかく丁寧に行っていた印象です。


また、このラ・ヨローナ自身もなかなかに秀逸なデザイン。細い体型に薄汚れた白いドレスが不気味に合わさっています。顔にも黒い涙がこびりついていて、広いオデコに吸い込まれるかのようです。また、締めるのが主な攻撃手段であるラ・ヨローナ。その生命線である手も、色彩を失くした灰色で皺が寄っていてゴワゴワしており、黒い爪は皮膚に食い込んできそうでした。艶を失ってぼさぼさになった髪の毛もただならぬ気配を醸し出しています。終盤でサムとクリスの二人に迫るシーンの絵力って言ったらなかったですね。




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ラ・ヨローナに振り回されるアンナたち。子供にしか見えない系で行くのかと思いきや、普通に大人にも見えていました。恐怖を感じたアンナは教会を訪ねます。教会にいた神父の話では、ラ・ヨローナは浮気した夫にキレて、子供を溺死させた。その後、ラ・ヨローナも同じ川に飛び込んで命を絶った。ラ・ヨローナは今も子供を探し回っている、とのことでした。といってもこれは伝承の話で、子供に「いい子にしないとラ・ヨローナが来るぞ」みたいに脅して、言うことを聞かせるという使われ方が大半だって言ってましたけどね。これ日本でも聞いたことある。世界中にあるんだ。


あ、このシーンに出てきた神父の名前はペレス神父というらしいですが、調べてみたら死霊館シリーズではおなじみのキャラクターなんですね。見たことないんで分かりませんでした。ただ、そんな私でもチラリと出てきたアナベル人形は分かりましたよ。『アナベル 死霊館の人形』ですよね。それくらいはシリーズ未見の私でも、うっすらと聞いたことがあります。見たことはないですけど。


しかし、神父に尋ねてもラ・ヨローナの攻撃が止むことはありません。そりゃそうだ。サムが浴槽でラ・ヨローナに殺され、アンナは耐えきれずもう一度ペレス神父に相談します。ここで、ペレス神父はある人物を紹介します。ここから『ラ・ヨローナ』は私の好みの展開になっていきました。




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・悪霊 vs 呪い


ペレス神父が相談した人物。それは呪術医のラファエルです。このラファエルは数年前まで神父だったというキャラクターでしたが、それはさておき呪術!なんて素敵な響き。呪いですよ、呪い。アンナたちが訪れたラファエルの店も怪しいアイテムが盛りだくさんで、ワクワクします。そして、アンナはラファエルに「ラ・ヨローナをどうにかしてほしい」と頼みます。


はい、出ました。「呪いには呪いをぶつけんだよ!」的な展開。『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』で紹介された『哭声』を思い出します。『哭声』の最大の見どころは10分にも渡る日韓呪術合戦で、あのヤバいテンションの呪術が見れるのかと期待値も跳ね上がります。こういう「毒を以て毒を制す」みたいな展開大好きなんですよ。他に例えると『バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!』でおなじみの『貞子vs伽耶子』(こちらは未見)でしょうか。2019年版『貞子』もそろそろ公開されるんで、見たいなとは思ってるんですけど。


とりあえず以下に、その両者が紹介されている『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』のアフィを貼っておきます。面白いので買ってね(ダイマ)。










話を『ラ・ヨローナ』に戻します。アンナ家を訪れるラファエル。家族にまず指示したのは、卵を壁にこすりつけるということでした。謎の呪文を放ってから卵を割ると、中からドロドロとした黒い液体が出てくるではありませんか。さらに、クロスに置かれた卵は震え、自立した後、パーンと破裂。黒い液体がアンナたちを汚しました。


そして、窓のサッシには謎の土を撒いたり、サムが大切にしているぬいぐるみには謎の煙を浴びせかけたりします。さっきから謎々言ってますけど、本当に謎なんだからしょうがない。そして、階段からロウソクをこれでもかと並べ、アンナたちを囲い準備は完了。この怪しさ満点の画がたまらない。ちなみにこのロウソクは何の役にも立たず、アンナはラ・ヨローナに首をガシーッ掴まれて、壁にグシャーッと叩きつけられていました。最高です。


なんだかんだありながらも、協力してラ・ヨローナを家の外に押しやることに成功する一行。ここで、ラファエルはドアのへりに木くずを撒いて結界を張ります。この木くずはただの木くずではなくて、ラ・ヨローナが自分の子供たちを溺死させていたのを見ていた木を細かくしたもの。らしい。何を言ってるか分からないと思うが、私も何を言っているか分かりません。まあここで笑ってしまうんですよ。だって、展開上どうせ破られることが分かっているじゃないですか。案の定結界は破られ、サムはラ・ヨローナにギュイーンと外に連れ出されます。いやギュイーンなんてもんじゃないな。ギュイーーーンて感じですか。目にも止まらぬパワフルさでしたね。



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とまあ、ここまではものすごく楽しみながら見ていたんですが、実はこれ『死霊館』シリーズではお決まりの展開らしく、こちらのサイトには『死霊館』シリーズは


・前半:日常生活の中でJホラーっぽい描写でチラ見せ幽霊で何十分もビビらせる
・中盤:心霊現象の専門家たちに助けを求めるが苦戦する
・後半:悪霊もしくは悪魔との派手な最終対決。



という構成になっているとありました。今振り返ってみるとそのままだったなと思います。最終対決も画面がバシバシ切り替わったり、ラ・ヨローナがすごい勢いで迫ってきたりと、前半の慎重さはどこかに行ってしまったかのように、派手に推し進められていました。ただ、この構成は個人的には好きなので、たぶん他の『死霊館』シリーズも見れば面白く感じるんじゃないかと思いました。今度何か借りてみてみようかな。




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・子供の成長と家族の絆



個人的にこの映画で印象に残ったこと。それはクリスの成長です。サムは自分からドツボにハマるようなことをしていて、そこまで成長はしていなかったんですけど、クリスの成長度合いはすごくて。だって最初の方はラ・ヨローナにビビりっぱなしだったのに、最終局面ではサムに「後ろについてて」ろ言ってサムを守ろうとするんですよ。『IT/それが見えたら、終わり』でもそうですけど、臆病な子供が勇気を出す展開に私は弱い。王道の展開に感動すら覚えます。子供が奮起する姿を観たいという方には『ラ・ヨローナ』は自信を持ってお勧めできる作品ですね。


それとこれは、ここ最近の洋ホラー映画、『クワイエット・プレイス』や『ヘレディタリー/継承』(怖すぎると評判なので観れてない)、『インサイド』などにも共通することなんですが、家族の絆が強く押し出されているのが特徴的だなと。映画の冒頭で、アンナは子供に十分な愛情を注げていませんでしたよね。パトリシアが子供を監禁したのも虐待だと断じています。


ただ、映画が進んでいくに連れて、これがひっくり返っていきます。ラ・ヨローナの恐怖を直に味わううちに、アンナは子供たちをぎゅっと抱き寄せていましたし、歩み寄ろうともしています。さらに、アンナも子供たちをラ・ヨローナから逃がすために、クローゼットに押し込んでいるんですよ。これはパトリシアと同じ行動で、パトリシアも子供を愛していたと。嫉妬に狂って子供を殺してしまったラ・ヨローナとは対照的です。


これらのことを鑑みるに、『ラ・ヨローナ』に限らず、『IT』など近年の洋ホラー映画で描かれた恐怖の対象を言い換えると、通過儀礼試練とも言えそうです。子供が成長するためのステップを視覚的に描き出し、家族が団結するために試練を与える。そういった傾向が最近の洋ホラー映画にはあるかなと素人ながらに感じています。成長物語再生物語は私の好きなジャンルの一つなので、この例に漏れず『ラ・ヨローナ』も個人的には好きな映画ですね。




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で、これは余談になるんですけど、このホラーを通しての成長物語というのが最近の邦画にもありまして。そのものズバリ『がっこうぐらし!』です。




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この映画はゾンビ映画なんですけど、ゾンビに青春期に襲い掛かる試練という役割を持たせていて、主人公4人が試練を乗り越えて成長していく様子を描いたとても素晴らしい映画なんです。設定上の粗があったり、序盤の演技は正直拙かったりと欠点も多いですが、それ以上に魅力的な映画です。なのでぜひ7月3日に発売されるDVD&Blu-rayを買うなり、レンタルするなりして観てみてください。こちらも『ラ・ヨローナ』同様自信を持ってお勧めします。




【Amazon.co.jp限定】がっこうぐらし!(特典映像ディスク付き) [DVD]
阿部菜々実
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2019-07-03




観てね!!!(再びのダイマ)




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以上で感想は終了となります。映画『ラ・ヨローナ~泣く女~』、ホラー映画として最低限の強度は保っていますし、少年の成長物語としても、家族の再生物語としても楽しめるいい作品だと思います。機会があればぜひ観てみてください。オススメです。




参考:

映画『ラ・ヨローナ~泣く女~』公式サイト

「アナベル 死霊館の人形 (2014)」舐めてたが凄い良かった。悪魔を倒せない理由。隣の部屋と駆け寄る幼女の怖さ(gook221B)



お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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