前節、SC相模原相手に2-0でホーム初勝利を挙げたAC長野パルセイロ。長野県サッカー選手権大会でも優勝するなど、公式戦2連勝で上り調子となっています。そして今節の相手は福島ユナイテッドFC。3勝5敗の勝ち点9で13位につけており、パルセイロとしては上位進出のためにも同勝ち点の相手には負けられません。勝利を掴み、まずは一桁順位に入りたいところです。












両チームのスタメンは以下の通り。






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パルセイロは前節からスタメンを1人変更。#26遠藤選手に替わり、#2松原選手が今シーズン初のスタメンを飾りました。また、#9津田選手も今シーズン初のベンチ入り。なお、#17明神選手はこの試合でJリーグ通算550試合出場を達成しました。凄い。フォーメーションは3-4-2-1です。


一方の福島は前節からスタメン3人を変更。#16キム・ミンジュン選手#11川中選手が今シーズン初のスタメンを飾っています。フォーメーションは#10橋本選手をアンカーに据えた4-1-4-1と思われます。


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前半キックオフ!




前半6分、いきなり試合が動きます。パルセイロは右サイドでスローインを獲得。スロワーは#2松原選手。SBでなくCB起用だと両サイドからロングスローを投げられるという利点がありますね。さらに#2松原選手はこの日がリーグ戦初スタメンで、初のロングスロー。福島も対策をあまり練ってきていなかったのでしょう。ニアサイドに選手を置いていませんでした。


#2松原選手のロングスローに#4内野選手が合わせようとしますが、これは空振り。しかし、味方選手にボールが当たり、ボールは再び#4内野選手のもとに転がります。これを#4内野選手は着実に決めて、パルセイロが先制に成功しました。#4内野選手は今シーズン初ゴールで、またチームとしても今シーズン初の前半での得点です。





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パルセイロが先制をしましたが、ボールを握っているのは福島です。福島は松田監督になってから、ディフェンスラインからパスを回して攻撃するサッカーを標榜しているので、ロングボールは少なく、ショートパス・ミドルパスで崩そうとしてきています。


これに対してパルセイロは前線からのプレッシャーで対抗します。この日のパルセイロは#27竹下選手がCBの一人にプレスをかけに行き、ボールサイドのシャドーはSBを、逆サイドのシャドーはアンカーの#10橋本選手を見ていました。2対1になっているので、当然CB間では回されますが、福島の攻撃は#10橋本選手を経由するパターンが多く、パルセイロはちゃんとそこに蓋をできていました。


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#10橋本選手からボールが出ないとなると、福島はCBにボールを戻すしかなくなり、そのぶん攻撃に時間がかかってしまいます。パルセイロはこの間に5-4のブロックを形成。CBの二人をフリーにする代わりに、#27竹下選手#10橋本選手につき、シャドーは両SBについています。このとき、パルセイロの守備9人に対し、福島の攻撃は7人。パルセイロとしては2人も数的優位があり、セカンドボールの奪取でも優位に立っていました。


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パルセイロが人数を揃えていたこともあり、福島のCBのパスの優先順位は①#10橋本選手、②SB、③ロングボールとなっています。#10橋本選手#27竹下選手が見ているので、SBにパスを出そうとしますが、シャドーの素早いチェックに遭い、ボールを戻す羽目になってしまっています。福島はボールを持っていても、立ち上がりは決定的なパスを出すことが出来ず、パルセイロとしてはボールを持たせているという構図になっていました。


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さらに、前半のパルセイロの守備が上手くいっていた理由として、ボランチのポジショニングも挙げられるかと思います。この日もボランチは#17明神選手#29山田選手という組み合わせでしたが、二人とも人につくよりもバイタルエリアを消すことを優先して守っていたように思えます。バイタルエリアを消すことで、福島のIH、#23田村選手#40樋口選手にブロックの外でボールを触るように仕向け、福島のゴール前の人数を減らすことに繋がっていました。


ここで、福島のIHが出てきたときにはパルセイロのボランチは基本的にはついていきますが、ディフェンスライン近くまでに引っ張り出されそうなときは、ついていくのをやめ、再びバイタルエリアを消します。この判断が抜群によく、パルセイロは福島にスペースをあまり与えていませんでした。


一方の福島。ボールを回すことはできても、決定的な縦パスを入れることが出来ません。これは思うにフリーでボールを持っても前方へとドリブルをすることなく、プレッシャーを受けるとすぐに後ろに戻してしまうことが原因だったのではないでしょうか。ドリブルで前に運べれば選手を複数人引き付けることができ、スペースができます。でも、福島はこれをしなかった。福島の選手はボールを持って前を向いてもリスクを取らなかったので、パルセイロにとっては守りやすかったのではないかと思います。


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また、この日の福島は攻撃の手段として、選手間のポジションチェンジを多く行ってきました。前線の選手は流動的にポジションを入れ替え、SBは頻繁に中に入り、ボランチとシャドーの中間ポジションでボールを引き出そうとします。


それでも、この日のパルセイロはマンツーマンというよりはゾーンに重点を置いて守っており、マークの受け渡しがたいへんスムーズにできていて、フリーにする瞬間を作りません。SBが中に入ってくるのにはやや手を焼いていましたが、ボランチが遅らせたり、福島の選手の消極的なプレーもあり、しっかり守れていました。


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パルセイロは攻撃時にはカウンターがメインになります。狙うはアンカーの#10橋本選手の脇。そこで#27竹下選手やシャドーの選手がボールを持てれば、最短距離でゴールを目指すことが出来ます。ただ、福島はこのスペースを埋めるためにSBを中に絞らせてきていました。この時、福島のサイド深くには大きなスペースが生まれています。前半のパルセイロはこのスペースを狙って前線の選手を流しており、SBのポジションが最初から中にいた分、この攻撃は普段よりも機能していました。


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また、ボールを繋いでのサイド攻撃でもパルセイロは優位に進めることが出来ていました。まず、#10橋本選手が中央を閉めています。この際にサイドには福島の選手はSB、SH、IHの3人。一方パルセイロはWB、#27竹下選手orシャドー、ボランチ、そしてサイドCBの4人を崩すことができ、単純に数的優位を得ています。


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ここで、パルセイロはサイドでボールを回して、WBにSBの選手が食いついた時に、シャドーの選手に裏を狙わせることができます。たとえ行き詰っても、ボールを戻せばそこではCBの選手がフリーになっており、アーリークロスを上げることだってできます。これに対して福島は選手をピッチの縦半分に全員入れて密度を高めて奪おうとしたり、ゴール前に人数を割くことで跳ね返していましたが、サイドの攻防ではパルセイロは優位に立っていました。


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さらに、福島はあまり前からプレスに来ず、リトリート主体の守備をしていたこともありますが、この日のパルセイロはビルドアップも上手くいっていました。福島は大体#18小牟田選手一人、来てもIHの選手と2人しか前線にプレスをかけてこず、パルセイロとしては3バックで数的優位に立てているため、いつものようにボランチを落とす必要性がありません。また、規制も緩かったので、ボランチやWBに簡単にパスが入り、福島の選手を引き出し、スペースを自ずから作っています。これが最大限に発揮されたのが前半40分の追加点のシーンです。


パルセイロは左サイド中盤からワンタッチでパスを繋ぎます。福島の選手はピッチを横に圧縮して守っているので、右サイドの#25有永選手がフリーになっており、そこに#27竹下選手がパス。#25有永選手はダイレクトでクロスを入れ、これに#19三上選手が合わせますが、シュートはポストを叩きます。ただ、こぼれ球もパルセイロ側に転がり、#19三上選手が一度ボールを下げたところに、#29山田選手が走り込んできて、ミドルシュートを突き刺しました。これで、パルセイロは前半で2-0のリード。#29山田選手は開幕戦以来の今シーズン2点目です。





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このゴールは#29山田選手のシュートも素晴らしかったのですが、その前のワンタッチでのパス交換に大きな要因があったと思われます。ここでのポイントは2つ。まず1つはパルセイロの選手がパス&ゴーを実践していたこと。#19三上選手のシュートに至るまでに、リターンパスが2度ほどあり、これもボールを出した選手が動きなおしてパスコースを作っていたことによる成果です。


2つ目のポイントはパルセイロの選手が、福島の選手を釣り出して作ったスペースを有効活用できていたこと。左サイドを崩す際に#10橋本選手#3阪田選手をパルセイロは引っ張り出しており、空いたスペースに#14東選手#19三上選手が入って斜め前のパスコースを提供しています。福島の選手はスライドが間に合わず、パスコースを消せていなかったこともあり、縦パスが立て続けに入ったことが、このゴールでは大きかったですね。おそらく福島がやりたいであろう崩しをパルセイロが実現して、奪ったゴールでした。過程からして、現時点での今シーズンベストゴールではないでしょうか。


そのままスコアは動くことなく前半終了。パルセイロの2点リードで試合を折り返します。ボールを握っていたのは福島でしたが、パルセイロは前線の選手が遅らせることでブロックを形成し、ほとんど危なげなく守れていた印象です。オフサイドもきっちり取れていましたしね。後半もこのまま続けていきたいところです。


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後半開始に当たって福島は選手交代を行います。#11川中選手に替えて、#17諸岡選手を投入。2点差をひっくり返すために、早めに手を打ってきました。#17諸岡選手はIHに入り、#23田村選手が左SHに移ります。


パルセイロに選手交代はなく、後半キックオフ!


後半になって福島はロングボールを使ってくるようになりました。#18小牟田選手がサイドに流れるようになり、ボールを引き出しています。また、パルセイロのディフェンスラインが前半よりも下がり目になっていたこともあり、スペースが徐々に空いていきます。特にSBがボールを受けた時に、シャドーがプレスに行ってボランチの脇が空いたところにIHの選手が落ちるというパターンが、福島は前半よりも高い位置で実行できていました。


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後半12分。福島が2人目の選手交代を行います。#18小牟田選手に替えて、途中加入の#20イスマエラ選手を投入。前線に新たなパワーを加えてきました。


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後半もパルセイロは変わらず、前線からプレッシャーには行かず、5-4のブロックを形成する守備で福島を迎え撃ちます。これに対して福島はSBを前半よりも自由に動かすことで崩そうとしてきました。福島の#6輪笠選手#14星選手の両SBは積極的に中に入っていき、時には逆サイドまで進出してきます。パルセイロはこの両SBの動きをあまり捕まえ切れておらず、それが後半に福島がゴール前まで近づいてきていた要因の一つだと思います。


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さらに、ボールサイドのCBはまるでSBのように振舞い、とても攻撃的。さらに、福島はリスク管理も後半になって修正してきています。両SBが上がった際にはCBがサイドのスペースを埋め、#10橋本選手とIHが中をケアしています。また、自陣に引いての守備でもIHのプレスバックを早くしたり、ボールサイドのSHがディフェンスラインに入り5バック化し、中に人数を確保して跳ね返しています。パルセイロは前半ほどには決定的なチャンスを作れなくなっていきました。


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後半32分。パルセイロが最初の選手交代を行います。#19三上選手#27竹下選手に替えて、#23大城選手#9津田選手を投入という2枚替えを敢行。前線でプレスがかからなくなり、ブロックが下がっていてしまったので、そこに対するテコ入れでしょうか。#9津田選手は今シーズン初出場です。


ただ、その直後の後半33分。福島は右サイドでのスローインから#17諸岡選手がペナルティエリア角でボールを受けます。ここで#6輪笠選手がオーバーラップを仕掛け、一瞬パルセイロの選手を迷わせ、その隙に#17諸岡選手は中にクロスを供給。ここで#1小澤選手が判断に迷ってしまい、少し前に出てゴールががら空きに。#20イスマエラ選手#4内野選手の上からヘディングでシュートを叩きこんで、福島が1点差に詰め寄ります。#20イスマエラ選手はこれがJリーグ初ゴールでした。







1点を返した福島は、徹底的に#20イスマエラ選手をターゲットにし、2点目を奪いに来ますが、パルセイロも集中して跳ね返します。#14東選手#8堂安選手#27池田選手#39雪江選手と両チーム選手交代を行いつつもゲームは最終盤に。後半アディショナルタイム3分もパルセイロはコーナーフラッグ付近で時間を使い、福島に攻撃に機会を与えません。そしてそのまま試合は終了。2-1でパルセイロがリーグ戦2連勝、公式戦3連勝を果たしました。


この試合においてはパルセイロのブロック守備が機能し、マークの受け渡しがスムーズにいったことが主な勝因ですね。また、2点目のシーンなど新たな可能性を感じさせるシーンも随所にありました。守→攻への切り替えが速くなってきていて、とてもいい傾向だと感じます。







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<ハイライト動画>














選手コメント(Jリーグ公式)

J3順位表(Jリーグ公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第9節 vs 福島ユナイテッドFC|試合結果(長野公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第9節 vs 福島ユナイテッドFC|フォトギャラリー
(長野公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第9節 vs AC長野パルセイロ|試合結果(福島公式)

AC長野、今季初の連勝 10位に浮上(信濃毎日新聞)













この結果を受けてパルセイロは3勝3分3敗の勝ち点12で10位まで浮上。じわじわと順位を上げてきています。そして、次戦は天皇杯1回戦。5月26日(日)13:00~、佐久総合運動公園陸上競技場で新潟医療福祉大学サッカー部との対戦です。去年と同じ対戦カードですが、しっかりと勝利を収めたいところですね。


その翌週にはリーグ戦。パルセイロはホーム長野Uスタジアムでカターレ富山と戦います。6月2日(日)14:00~と観戦しやすい時間帯なので、よろしければUスタにお越しください。



頑張れ!AC長野パルセイロ!!


おしまい


愛がなんだ (角川文庫)
角田 光代
KADOKAWA
2006-02-24



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