こんにちは。これです。最近は夜中あまり寝れなくて、昼間眠くて仕方ない日がたまにあるのですが、今日がまさにそうでした。頭痛くて何もやる気起きなくて、本当に何もしなくて。これじゃダメだなって、なんとか自分を奮わせて映画を観に行きました。


今回観た映画は『劇場版 FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん』。FFもやったことなければ、原作も未読、ドラマも未見と本当に何もない状態だったのですが、評判がやたらよかったので観に行きました。で、観たところ泣いてしまったんですよね…。心を温かくするハートフルコメディーでした。


では、感想を始めます。拙い文章ですが、何卒よろしくお願いします。





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―目次―

・はじめに
・笑えるし、FFを知らなくても大丈夫だった
・たかがゲーム、されどゲーム
・自分も肯定されたような気がした





―あらすじ―


「この人が死んだ時、僕は泣いたりするんだろうか」 ── 父親の背中を見ながら、心の中で呟くアキオ(坂口健太郎)。広告代理店に 勤めるアキオは、ずっと単身赴任中だった父の暁(吉田鋼太郎)のことを何も知らない。そもそもアキオが子供の頃から、典型的な仕事人間の父はいつも出張ばかりだった。たまに家にいる時も、ムスッと押し黙ってテレビを睨んでいる。そんな父が、突然会社を辞めて、家へ戻って来た。何があったのか一切語らない父に、母の由紀子(財前直見)も妹の美樹(山本舞香)も困惑するばかり。
父のことが知りたい、そう思ったアキオは、ある計画を閃く。すっかり忘れていたが、父と遊んだ思い出が一つだけあった。かつてゲーム「ファイナルファンタジーIII」で一緒に戦ったのだ。アキオは今自分がプレイしているオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」に 父を誘い、正体を隠して共に冒険へ出ようと考える。アキオは顔も本名も知らないからこそ、本音で語り合えるゲーム仲間たちに協力を依頼する。
さっそく、退職祝いの名目で、父にゲームソフトをプレゼントするアキオ。父は自分の“光の戦士”に、“インディ・ジョーンズ”と名付けてゲームを始める。父に気付かれないように、自室のパソコンから参加するアキオの名前は“マイディー”だ。数日後、思い切って“インディ”にフレンド申請してからは、父のもう一つの顔に驚くばかりのアキオだった。最初こそ、言葉づかいも 硬かったが、仲間と共に戦ううちに、「一人で冒険するより皆さんと一緒の方がずっと楽しいです! 」と、オンラインゲームの素晴らしさに目覚めたのだ。
そんな中、先輩の吉井(佐藤隆太)と重大なコンペに参加することになり、アキオを慕う同僚の里美(佐久間由衣)が心配するほど、 急に仕事が忙しくなるアキオ。ある夜、久々にログインすると、父はすっかりこの世界を楽しみ、アキオが「これ、本当に父さんだよな?」 と呆然とするほどはしゃいでいた。協力して強敵を倒し、また一歩心の距離が縮まった“インディ”に、“マイディー”は仕事で悩んでいることを打ち明ける。すると“インディ”は、自分の経験から的確なアドバイスをくれる。その言葉を活かしたアキオは、見事仕事を 獲得するのだった。
仲間たちと、さらに胸躍る冒険へと突き進む父とアキオ。「もっと、感動したいです」とコメントする“インディ”に、“マイディー”は 最強の敵への挑戦を持ちかける。アキオはこの勝負に勝ったら、自分の正体を明かすと決めていた。だが、約束の金曜日の21時、思いもかけない出来事が二人を待ち受けていた──。


(映画『劇場版 FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん』公式サイトより引用)




映画情報は公式サイトをご覧ください。











※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。








・はじめに



最近、考えるんですよね。「救い」って何なんだろうって。何が人を救うんだろうって。前までは「自分の足を前に動かすことができるのは自分だけ。だから自分を救えるのは自分だけ」みたいに考えていたんですけど、最近になっていや、それは違うなって思うようになったんですよ。


だって、自分ではこれ以上ないくらい頑張っているのに、どうしようもない人っているじゃないですか。例えば依存症の人ね。依存症の人って自分ではやめようと思っているのに、結局やめられなくて。あれ、脳にそういう欲しがる回路が出来ちゃっていて、意志の力では抗えないんですって。だから病気と捉えて、適切な治療プログラムを受けさせなければないそうなんです。


で、そういった依存症の人に、やめられないのはお前が頑張ってないからだみたいな自己責任論を押し付けても、どうにもならないわけですよ。頑張りで解決できるならとっくにやめてるよって。依存症から回復させるには適切な治療プログラムと周囲の理解や支援、つまりは他者の力が必要で、他の人に自分を救ってもらうということになるんですよね。自分を救えるのは自分だけではないと。何でこういう話をしたかというと、私はこの映画を「救い」の映画だと感じたからです。




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・笑えるし、FFを知らなくても大丈夫だった


アキオは広告代理店に勤める一介のサラリーマン。父と母と妹といわゆる普通に暮らしています。坂口健太郎さんの「普通」を感じさせる飾らない演技がよかったですね。ただ、父のは仕事一筋の仕事人間。会社内でも専務になろうとするほど一定の地位を築いています。吉田鋼太郎さんは近寄りがたい雰囲気で貫禄の演技でした。あと、母親役の財前直見さんは健康用具を使っているのがツボでしたし、妹役の山本舞香さんはかなり砕けた演技をしてましたね。


ただ、そんなある日、暁は突然仕事を辞めてしまいます。単身赴任から戻ってきても、アキオとはあまり会話を交わすことはありません。暁のことを知りたいと考えたアキオが思い出したのは、かつての暁との思い出。かつて一緒に遊んでいたファイナルファンタジー(以下FF)を浮かべ、唯一の父親との思い出であるゲームという手段を通じて、暁とコミュニケーションを図る。暁をゲームの世界に招待しようと考えます。


アキオから贈られたFF14をプレイし始める暁。この映画は現実世界とゲーム世界が交互に繰り返されるという構成なのですが、びっくりしたのがゲームの画面がスクリーンに映っても何ら安っぽく感じないことなんですよね。グラフィックは壮大で美しく、また細部まで作りこまれており、大スクリーン用に引き伸ばされても何ら問題のない強度。自分がゲームの世界に入り込んだようとまでは言いませんが、家でゲームをしているような気分を映画館で味わえるとは思ってもみませんでした。映画のHPにもあった「ゲームには視聴するという楽しみ方が増えた」というコメントもうなずけます。CGも使っていないみたいですし、素晴らしいですね。


また、この映画の特徴として、笑えるポイントも結構多かったということがあります。正体を隠してのオンライン上でのやり取りは、一種のすれ違いコントのようなものですし、暁のゲーム初心者ならではの慣れていない挙動がいちいち笑いを誘う。喋れないので辺りをぐるぐる回ってみたり、変なポーズを決めてみたり。ゲーム初心者あるあるで笑い、慣れてのめり込んでからのハイテンション、はっちゃける吉田鋼太郎さんでまた笑う。劇中のコントも個人的には面白かったですし、今年で一番笑った映画かもしれないです。


それと、私ってFFをやったことはなくて、ドラマも見たことないんですけど、それでも特に引っかからずについていくことができました。RPGという枠組みを知っていれば、何が起こっているかは大体理解できますし、オンラインゲームってSNSの原型じゃないですか。私は普段からオンラインゲームと同じ匿名性のあるツイッターをよく見ているので、特に疑問を持つこともなく見れました。今の十代はSNSネイティブですし、そういった層にも問題なく受け入れられそうですね。




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・たかがゲーム、されどゲーム


さて、この映画で重要なのが、たかがゲームごときでという視点だと思います。もう言ってしまえばゲームなんてなくても人は生きていけるんですよ。映画だって音楽だって、スポーツだってギャンブルだって、あまねく趣味は別に生きていくだけなら必要ないんですよね。


また、オンラインゲームの世界はバーチャル世界です。バーチャルな世界をいくら大切にしていても、私たちが生きているのは現実世界。バーチャル世界で生きていこうとしても、結局は現実世界でしか生きられないんです。


でも、人生に必要のないモノやバーチャル世界によって救われている人も確実にいるんですよ。「たかが」ゲームでも、その人にとっては「されど」ゲーム。他の人にとっては大したことがないことでも、その人にとっては人生に不可欠なものなんです。それに、バーチャルに居場所がある人だっているんですよ。現実世界に居場所がないように思えていても、バーチャルに居場所を見つけて、それを支えに生きながらえているとすれば。リアルが大事なんて分かってんだよ。生きているんだからそれでいいじゃないかよって思うんですよね。


で、この映画の最大の特徴って、こういった生きていくうえで直接的に必要のないゲームや、リアルとは違うバーチャル世界を否定しないことなんですよね。アキオと暁はゲームで会話できたからこそ、互いを分かりえたわけですし、アキオの同僚の里美はアキオに近づくことができたわけですし。離れているけどゲームの中で会えるというラストは、バーチャルでの繋がりも無下にすることはできないと思わせます。


それに、バーチャル世界での会話が、現実に影響していくというのもこの映画の特徴でして。というかバーチャルの世界を扱った物語って大体現実とリンクするんですけど、この映画はそれがとってもハートフル。暁のアドバイスのおかけで、アキオはコンペに合格することができますし、逆にアキオのアドバイスのおかげで、暁はアキオの妹との関係を修復することができています。バーチャルの力を現実世界に可視化して見せたこの展開は個人的にはかなり好みでした




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・自分も肯定されたような気がした



そして、「救い」。実は、暁は病気を抱えていて手術が必要な状況に陥っていました。ただ、手術に踏み切る勇気のなかった暁。縋るようにゲームの世界にログインします。そして、強敵ツインタニアとの最終決戦。ツインタニアは今までとは比べ物にならないほどの強敵でしたが、チームワークを駆使して打ち倒すことに成功します。


重要なのはこの後なんですが、暁は仕事一筋だった自分が仕事を辞めて、生きている意味が分からなくなったと語っているんですよ。でも、オンラインゲームというバーチャル世界に居場所ができて、生きる意味ができたと。そして、みんなでツインタニアを倒したことで勇気が出て、手術に臨むことにした。これが「救い」じゃなくて何なんですか。ゲームやバーチャル世界という生きる上で必要のないものが、一人の人間を救ったんですよ。こんなのあまねく趣味の全肯定ですよ。映画も含めて。ああ自分は映画が好きでいいんだなって、自分までも肯定されたようで気づいたら泣いていました。ズルい。


それに、最後にはアキオも救われるんですよね。暁に正体を明かした後の反応が、これまた泣けて。過去の自分の暁にかまってもらえなかった苦い思い出が一気に清算されていって。でもそれを為せたのはゲームやバーチャル世界のおかげ。フィクションが現実を救ったんですよ。人を救うのは必ずしも人じゃなくていい。フィクションやバーチャルにだって人は救われることができる。私もかつてはゲームをやっていて、そのおかげで人と話せたこともありますし、今でもフィクションである映画は好きですし。「救い」は自分にも与えられたような気がこの映画を観てしました。


なので、この映画は何か趣味を持つ人にはぜひ見てほしい映画ですね。ゲームという生きていくうえで必要のない趣味が肯定されるんですから、あなたの趣味も肯定されて、生きる糧になるはずです。大げさじゃなく、この映画を観ることで救われる人もいるのではないかと。評判もいいですし、FFをやっていなくても楽しめるので、気になっているならばぜひ観ることをオススメします。




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以上で感想は終了となります。『劇場版 FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん』、笑えてほっこりとするいい映画だと思います。ぜひご覧ください。FFを知らなくても全然大丈夫ですよ。


お読みいただきありがとうございました。

おしまい






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