こんにちは。これです。もう昨日のことですが、私は東京の方に映画を観に行ってました。なぜなら同日に観た『王様になれ』が長野じゃ全然やらないからです。向こうが来ないのなら、こちらから出向くしかない。


そして、同じ日に観たもう一本は『無限ファンデーション』。映画にも出演している西山小雨さんの楽曲『未来へ』のMVを作るというクラウドファウンディングで存在を知ったこの映画。クラファンに参加して鑑賞券を貰ったので、観なければと思い、はるばる東京にまで観に行ったという次第です。


なお、上映前には大崎監督やキャストの方々のトークショーもありました。群馬は雷が多い、大崎監督のいびきがうるさかったという話をしつつ、大崎監督の誕生日だということで、花束やケーキのお祝いもありました。サプライズの件はグダッてましたが、とても和やかな雰囲気のトークショーでしたね。


では、ここから本編の感想を始めたいと思います。拙い文章ですが、何卒よろしくお願いいたします。




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ー目次ー

・全編即興劇は良くも悪くもリアル
・キャストについて
・肯定してくれる存在の有難さ




ーあらすじー

人付き合いが苦手な女子高生・未来は、服飾デザイナーになる夢を胸に秘め、誰にも打ち明けることなく退屈な日々を過ごしていた。ある日の帰り道、リサイクル施設から聴こえる澄んだ歌声に導かれ、ウクレレを弾きながら歌う不思議な少女・小雨と出会う。さらには未来が描いた洋服のデザイン画を目にしたナノカたちに誘われ、舞台の衣装スタッフとして入部することになる。戸惑いつつも小雨やナノカたちに心を開いていく未来だったが、彼女たちの一夏はやがて思いがけない方向へと走り出していく…。

(映画『無限ファンデーション』公式サイトより引用)



映画情報は公式サイトをご覧ください。





※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。








・全編即興劇は良くも悪くもリアル


この映画最大の特徴は全編即興劇というところにあります。最初は脚本があったそうですが、予算等の事情で即興劇になったとのこと。全編即興で果たして物語が成立するのかどうかは疑問でしたが、大まかなストーリーラインはちゃんとあって一本の映画として成立していました。本当にセリフがあるかのように何度も思います。


そして、その即興劇という特性からもたらされるリアル感が良くも悪くもこの映画のカラーでした。


この映画では俳優さんたちがその場で考えて喋っているだけあって、会話はまさに一般的。え?という反応しか返せなかったり、前の人が言ったことを繰り返したり。特に間に耐えきれず食い気味に喋ってしまうシーンが多く、実際の会話っぽかったです。


一方で黙ってしまうシーンもそれなりにあり(未来に問い詰められる百合が印象的)、何を言おうか今まさに自分の頭で考えていることが伝わってきます。実際の会話でも返答に困るシーンは多々ありますしね。私も何言おうか迷って喋れないことが日常なので、この辺りはいたく共感しました。


また、物語の中で、演劇部の一員であるナノカが映画のオーディションを受けるため、演劇から抜けたいというシーンがあります。ここのギスギス感がとにかく凄かったですね。まだ最終に進めるかどうか分からないのに、もう行ける気になっているナノカもナノカですが、何者でもない部員たちとの対比がキツくて。皆が素で感情をぶつけ合っているから、やり場のないエネルギーがどんどん溜まっていくんですよね。いい意味で息苦しかったです。


後は百合関連で衝突するシーンもあったりと、この映画は10代のままならなさをこれでもかと突きつけてきます。台本のある映画とはまた違った種類の、より切実なギスギス感がありましたね。なかなか味わえるものではないので観られてよかったと感じます。


ただ、悪い面としては、なまじリアル感があったおかげで実際の会話のような出口の無さを味わってしまったこと。台本のある映画とは違い、会話の出口が見えないので、探して迷っているその時間が長く感じられてしまいました。ギスギス感もそれに拍車をかけていましたし、体感的には上映時間の1.5倍に感じてしまいました。


さらに、実際の会話のようなグダグダ感も否めないんですよね。確認し、この後のセリフを考える時間を作るためにも、相手が言ったことを繰り返すというシーンが何度も観られましたが、これがまあテンポが悪い。台本のある映画には少ないであろうシーンの繰り返しに少し冗長さを感じてしまいました。私が慣れてないということもあるんですけど、個人的にはやっぱりちゃんと台本のある映画が好きなんだとは感じましたね。試み自体は肯定したいのですが。


でも、この映画を最後まで観ることができたのは、結末を知りたかったということもありますが、ひとえに出演した若手俳優さんたちが魅力的だったからです。




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・キャストについて


この映画で主人公の未来を演じたのは南沙良さん。昨年の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』での熱演で一気に好きになった女優さんなのですが、今回も同じく引っ込み思案な女の子を好演。最初は孤独でなかなか喋れなかったのですが、演劇部に入るうちに明るくなっていく過程が良かったですね。泣くシーンも迫真で切実でした。期待していた通りの演技で満足です。来年の『もみの家』も観たいです。


一方、服をデザインし作ることができる未来を演劇部に引っ張ってきたのが原菜乃華さん。こちらは未来とは違い快活なキャラクターで、その明るさで物語を引っ張ります。でも、映画のオーディションでは苦しんでいて、何者かになりたいという思いは彼女も持っているんですよね。部員と衝突する際の決意した表情がよかったです。物語が進むにつれて輝きを増していましたね。


彼女ら2人の他にも、多数魅力的な俳優さんが出演していましたが、やはり特筆すべきは西山小雨さんでしょう。その温和ながらもミステリアスな佇まいが、この映画に深みを与えていました。リサイクル場の雑多な感じ、ピンクと水色のゴミ袋との対比も映えていましたね。登場すると途端にボヤけるカメラも不思議さを増幅させていて、正直見辛くもなくはなかったのですが、後のことを考えると演出として十分に機能していましたね。


また西山さんは主題歌や挿入歌等の音楽も担当していて、これがまたいい。柔らかく包んでくれるような歌声にウクレレの素朴な響きがマッチしていました。主題歌も好きなんですが、個人的には夜のリサイクル場で雨の中演奏するシーンがより好きですね。幻想的な雰囲気があって。




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・肯定してくれる存在の有難さ


主人公である未来はデザイナー志望の少女。しかし人との会話は苦手で、なかなか喋ることができません。しかし、未来のデザインノートを見たナノカは才能があるといい、未来を衣装担当として演劇部に誘います。


無理やり連れてこられた未来でしたが、ちょっとのトラブルはありますが、徐々に演劇部に馴染んでいきます。そんな最中、ナノカが映画のオーディションのため演劇部を抜けたいと言い出します。ここでのギスギス感は前述の通りです。


さらに、未来とナノカ、同級生の百合の仲もどんどん拗れていきます。未来は自分の才能を信じられていません。ナノカはオーディションに苦戦。百合は演劇をぶち壊すある行動に出てしまうなど、映画は辛い展開へと進んでいきます。即興のリアルさがここに限ってはいい方向に出ていました。


この映画のテーマとしては、何者かになりたいという思春期の葛藤と言えるでしょうか。演劇というのは自分ではない何者かになる行為ですし、思春期は自分を信じられず、自分にないものを持っている他者ばかりを羨み、自己の存在は揺らぎに揺らぎます。そこから抜け出そうとしたのがナノカで、未だもがいているのが他の面々と言えるかと思います。


ただ、ナノカの何者かになるという取り組みは失敗し、他の面々は言わずもがな。でも、小雨はそんな彼女らも無条件で肯定してくれるんですよね。時には言葉で、時には歌で。話を聞けども否定的な言葉は終ぞ発しません。


それは、小雨がもう何者にもなることができないから。小雨から見れば、もがく彼女たちは眩しかったんだろうなと思います。自分とは違う彼女たちを全力で肯定する姿勢は、このギスギス気味の映画において、最大の清涼剤であり、オアシスとなっていました。映画で会ったのは未来とナノカだけでしたが、きっと他のキャラクターにも優しくしたんだろうなぁ。間違いなくこの映画のMVPです。


私も学生時代にこういう存在がいてくれたらなと感じます。親からの信頼には、どうしても補正が入っているように思えるんですよね。それはそれで有難いんですけど、親以外で認めてくれる人がほしかったなと、見終わって回顧してしまいました。未来たちが羨ましいです。たとえそれがこの世にそぐわない存在であったとしても。




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以上で感想は終了となります。『無限ファンデーション』、K’sシネマ新宿でも上映の延長が決まったみたいですし、まだまだこれから公開される劇場も控えています。興味のある方は観てみてはいかがでしょうか。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい

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