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―あらすじ―


本当の悪は、人間の笑顔の中にある。


「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母親の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。
都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに密かに好意を抱いている。
笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気あふれる〈悪のカリスマ〉ジョーカーに変貌したのか?
切なくとも衝撃の真実が明かされる!

映画『JOKER/ジョーカー』公式サイトより引用)











こんちわ~。『JOKER/ジョーカー』観てきたよ~。私ね、アメコミには疎くて、バットマンもこの映画を観る前に辛うじて『ダークナイト』を見たぐらいのぺーぺーだったんだけど、単体の映画として凄い面白かった~!バットマンはおろか、ジョーカーさえも知らなくても楽しめる~。だって一から説明してくれるから~。めっちゃ分かりやすくて、超楽しかった~!!観ている間ずっと笑顔だったもん~!流石コメディアンの本領発揮って感じだよね!


いや、最初は流石に引いたよ。この映画の主人公のアーサーってね、ひょんなことから笑い出しちゃう性質の持ち主なの。最初にアーサーが笑うシーンあったんだけど、そこ悲しみを必死に堪えて笑っている感じで超胸に来るの~。めっちゃ怖かった!ホアキン・フェニックスの迫力マジヤバい~!


でね、アーサーがね、この前半は大体虐げられてんのね。悪ガキに蹴られたり、子供の母親に睨まれたり。で、そのストレスが溜まりに溜まって、地下鉄で三人を射殺しちゃうの。で、ピエロの仕事もクビになっちゃうわけ。ここ凄い悲しかったし、それでも笑うホアキン・フェニックスえぐ過ぎ笑。


それで、アーサーは精神障害ってことで、市の福祉支援を受けているんだけど、その支援が打ち切られちゃうの。ここでアーサーが「ぼくが死んでも誰も気にしない」みたいなこと言うの。いや、めっちゃ分かりみ~。分かるボタン超連打~。私も一応働いてはいるんだけど、本当に誰にでもできる仕事で給料安いし~。手取り15万がこの前話題になってたけど、私の手取り10万もないし~。全然貯金できないヤバい~。


それに、私って超コミュ障だから、人と全然喋れなくて、友達もいないし~。なんかこの世に存在してる感じがしないのよね~。私が死んでも誰も悲しまない、まあ親は悲しむと思うけどそのくらいかな~。このまま暗い未来しか待っていないから、いつ死んでも同じだなみたいな感じ~。だから、世の中に認識されてないアーサーの気持ちめっちゃ分かるのよね~。


で、こっからアーサーの反攻が始まるの!自分たちを虐げてきた奴らをどんどん殺してく!虐げられてきた者の反攻って感じで超スカッとした!観ている間、超笑顔だったもん!人死んでるのに笑。極めつけはアーサーは市長候補の隠し子みたいな展開になって、市長候補を問い詰めるんだけど、殴られて。そこで何こいつムカつく!ってなった~。ふんぞり返る上流階級マジ何様って感じ~!


私も手取り10万以下で貧困層の自覚あるし、この上流階級への不満めっちゃ分かるんだよね~。ほら日本って最近、消費税上がったじゃん?貧乏人の支出増えてるじゃん?でも、所得税や法人税は下がってんじゃん?金持ちから全然取られてないじゃん?それっておかしくない~?貧困層凄い虐げられてんじゃん~!だからジョーカーになったアーサーが起爆剤となって、上流階級への不満が爆発するっていうの気持ちいいんだよね~。私もああしたいなって思う~。あの暴動、参加したかった~。もちろん死なない程度に笑。


そんで、最後はジョーカーは下流階級に祭り上げられて踊るの!ジョーカーは下流階級の彼らのシンボルになったの!支配的な上流階級に、反旗を翻す私たちのヒーロー!願望の具現化!下流階級にいる私たちのリーダー!みたいな?マジカッコよかった!心の中でめっちゃ拍手してたもん!凄い清々しかった!


なんかね、試写会とかでこの映画を観た人たちが「凄すぎてしばらく他の映画を観る気がしない」みたいなこと言ってたでしょ?確かに凄い映画だったんだけど、他の映画を観る気がしないっていうのはよく分かんないな~。だってこんなに清々しい映画なかなかないよ!?終わった後も長い時間、笑顔だったし~。エネルギーめっちゃ貰った~。


なんか今の気分を言うと、ほら、映画のCMとかで女子高生らへんが「〇〇、最高!!」みたいにいうやつあるじゃん?まさにあんな感じ!超楽しかった~!


『ジョーカー』、最高!!!!!





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さて、冗談はこれぐらいにしておきましょう。ここからが本当の感想の始まりです。


確かに映画を観ている途中は、上記のように笑いながら観ていたんですけど、その一方で死にたくもなったんですよね。それは映画を観ている最中もそうですし、映画が終わった後、今この感想を書いている途中でもです。本当にきつい。忠告しておきますけど、ここからの感想は私がどうして死にたいって思ったかをつらつらと書き連ねていくのみなので、それが嫌な人は読まないでください。映画同様そんなに良いことは書かないつもりですので。よろしくお願いします。




※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。




まず、辛いのがアーサーの置かれた境遇なんですよね。アーサーは父親が分からず、母親は介護が必要な状態。ピエロの仕事は上手く行かず、突発的に笑ってしまう障害のせいで、周囲から白い目で見られてしまう。そして、劇中で残酷な事実が判明し、職も母親も失ってしまう。ここで、アーサーは何も失うものがない状態。あまり使いたくない言葉で言えば「無敵の人」となってしまいました。


「無敵の人」というのは、逮捕されて失う社会的信用がないため、犯罪を起こすことにためらう必要がありません。今日本はおろか世界中で「無敵の人」は問題となっています。でも、誰しもある日突然職を失う可能性はありますし、いつそういった窮状に追いやられてもおかしくないんですよね。私も、友達はいませんし、社会的信用も一応働いているとはいえ、一つの目安として給料=社会的信用だとすると、無いに近いんですし。いつタガが外れるか、自分でも分からなくて不安です。自分が「無敵の人」になって周囲を巻き込むならば、一人で迷惑のかからないように、それこそ縊死とか服毒自殺とかしなきゃいけないのかなという気持ちにはなりましたね。


で、私がアーサーと違うのが、アーサーはどうにもならない外的要因が原因で孤独になったんですけど、私の場合はまだ自分でどうにかできるということ。私が人と喋りたくないのって、人の話し声が単純にうるさくて嫌で、自分から進んで嫌な気持ちを味わいたくないなというのが大きいんですが、それも我慢すればいいことですし。給料が低くて不満なら、一生懸命努力して資格取るなりなんなりして、より出してくれるところに転職すればいいだけですし。全部自分がいけないんですよ。でも、大変だからやらないという。自分の駄目さ加減に死にたくなりました。


脱線してしまったので話を戻しますと、「無敵の人」という存在はどんどん増えているわけですよね。個人的には、臭い物に蓋をするように社会全体が、彼ら彼女らを見ないように、叫びに耳を貸さないようになってきている印象があります。それは私もそうなので、この無自覚な現状に自分なんていなくなればいいなと感じました。


そして、彼ら彼女らに残された手段というのが犯罪なんですよね。自分の存在を認識してもらうにはその犯罪のインパクトは大きければ大きい方がいい。ジョーカーとなったアーサーがカメラの前で司会者を射殺したように。ここで、多くのものを奪われていった被害者が、逆に人から奪うという加害者になってしまっているんですよ。最近も書きましたけど、被害者と加害者は表裏一体だという指摘はこの映画でもなされていたと思います。私もいつ加害者になるかなんて分からないという点でゾクッとしました。


どうして、彼ら彼女らが犯罪に及ぶかというと、それが簡単だからなんですよね。現代は100均の包丁で人を刺し殺せる時代です。いくら貧しくても、大した力が無くても100円さえあれば、殺人は可能です。何もない彼ら彼女らでも犯行に及ぶことができる。この点で、触れておきたいことがあります。それは自爆テロです。




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自爆テロとは言わずもがな「犯人自身が必然的に死ぬことを承知の上で行う攻撃」。以前にも書きましたが、自爆テロは貧しくて高度な教育を受けていない人のグループでも実行できてしまい、お金のかかる電子装置などを用意しなくても確実に攻撃目標を攻撃できてしまうので『貧者のスマート爆弾』とも呼ばれています。貧者という点で彼ら彼女らとも共通していますが、この映画には他にも重要なポイントがあります。それは、この映画の題材の一つにもなっていた笑いです。


この映画でアーサーが主に用いていた笑いというのは自虐ネタです。「大きくなったらコメディアンになりたい」という夢を母親に諭される。「子供のころはコメディアンになると言ったらみんな笑ったのに、今は誰も笑わない」など。「ノック、ノック」と言いながら自らのあごに銃を突きつけるのは、自虐の象徴でしょう。自虐は、自分で自分を痛めつける行為です。そして、自分で自分を痛めつけた先にあるのが自爆です。私も普段、「自分はダメだ」「自分なんていない方がいい」と自虐をしているので、ここは笑いながらも心が痛みましたね。


それに、自虐の特徴はネタにするが容易であるという点です。誰もがコンプレックスの一つや二つ持っていることでしょう。それを語ればいいだけなのですから、心理的な抵抗さえ乗り越えれば簡単です。面白くなるかどうかは別問題ですが、誰にでもできる一番身近な笑いの一つだと私は思います。


でも、アーサーの自虐は訳が違う。実の父親は分からない。虐げられたストレスから人を殺してしまい、職を失う。母親が自身を虐待していたことを知り、母親も殺害。そして、虐げてきた者たちへの反攻へ。まさにその人生は悲劇と言って差し支えないものですが、もう本当に意地の悪いことに酷い目に遭うアーサーを笑顔で眺めている自分がいたんですよね。いいぞ、もっとやれという。




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それは、私はこんな酷い目にはあっていない。下にはまだ下がいるという優越感からくる笑顔で。まあめちゃくちゃ醜い笑顔なわけですよ。人が酷い目に遭っているのにそれを喜んでみている自分に、反吐が出る思いです。もうですね、今「無敵の人」なんて書いている自分も嫌なんですよ。だってわざわざ「無敵の人」という名前を与えることで、自分たち「人間」とは別の生き物なんだぞって言っているようなものじゃないですか。こんなものは隔離ですよ。排除ですよ。


これ知っているかどうかは分かりませんけど、昔ジャンプで連載されていた『魔人探偵脳噛ネウロ』という漫画で、シックスという「絶対悪」のキャラクターがいたんですよね。で、敵の葛西がシックスを説明するときに、

「今の世の中、やたらと性善説がはびこってる」
「『本当は善い奴だったんだ』みたいなラスボスばっか」
「そんな半端な悪倒しても…見てる側はスッキリも何もできやしねぇ」
「いるんだよ『悪』は」
「結果悪とか必要悪とかそんな不純な『悪』じゃない」
「『絶対悪』だ」



と言っていたんですが、ジョーカーって「絶対悪」だと思うんですよね。『ダークナイト』を見た限りでは。凡人には理解不能な「絶対悪」のカリスマ性がジョーカーの魅力だと『ダークナイト』を見て感じたんですが、「絶対悪」というのもそう名付けることで、人間とは別の存在とする行為ですよね。自分とは違う存在なんだという安心感があったと思うんです。


でも、それがこの映画ではひっくり返されているジョーカーは「絶対悪」ではなく、私たちと同じ人間だったというのが示されているんですよ。ここたぶん受け付けない人いるんじゃないかなぁ。自分とは違う領域にいたジョーカーが、自分の領域に侵入してくるわけですからね。拒否反応が出ても当然だと思います。私たちもいつジョーカーのようになるか分からないという恐怖が、この映画の最大の特徴だと思います。私は苦しむジョーカーの姿を見て、内省しきりでした。




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あと語りたいことといえば、アーサーの精神障害ですかね。たぶんアーサーはPTSD(心的外傷後ストレス障害)だったと私は思います。圧倒的な外傷的出来事の記憶が頭の中に割り込んでくるように繰り返しよみがえることが特徴のPTSD。アーサーは幼いころ母親に虐待されたことで、このPTSDを発症してしまったのだと思います。遺伝的要因ではなく、外的要因なのが辛いですね。


これは推測ですが、アーサーの頭の中にも虐待の記憶が繰り返し浮かんでいたのではないでしょうか。でも、思い出すことを回避するために笑うという行動を起こしていただけで、それはおそらく無意識の回避症状だと思います。で、実は私もこのPTSDを簡易的にではあるのですが、この映画で味わってしまったんですよね。


この映画って心理的に凄惨なシーンや展開がとても多いんですよ。もう私のキャパシティでは受け止められないくらい。心にかなりダメージを受けてしまって、それを見ないように笑って誤魔化している自分がいました。映画の中のアーサーと同じ気分を味わってしまったんですよね。同じように笑ってしまって。本当笑っている途中にふと嫌な気分、死にたいという感情を味わってしまって、非常に複雑な状態での鑑賞でした。「無敵の人」と名付けられてもおかしくないアーサーから、心の目を逸らして笑って。自分のあまりの酷さに死にたくなりましたよ。


この映画って公開前に警察が中止を求めていたって話ありましたけど、それ今なら分かる気がします。単に下流階級が上流階級に反攻する、現代の一向一揆を危惧しただけではなく、私のようにあまりに自分を内省するあまり、死にたいと思う人も出るのではという理由もあると思いますね。確かにこれは凄すぎてしばらく他の映画観る気しませんね…。ちょっと3日ぐらい休みたいと思います...。あぁきつかった。観ているときも書いているときも。オススメですが、まだ観ていない方は飲み込まれないように心して観に行ってください。



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以上で感想は終了となります。冒頭の馴れ馴れしいテンション、大変失礼しました。映画『JOKER/ジョーカー』、さすがベネチア国際映画祭最高賞・金獅子賞に輝いただけあって、心にずしんと来る映画です。私のようにねじ伏せられないよう、覚悟を持って観に行ってください。オススメです。


お読みいただきありがとうございました。




参考:

映画『JOKER/ジョーカー』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/index.html

無敵の人とは(ムテキノヒトとは)[単語記事]- ニコニコ大百科
https://dic.nicovideo.jp/a/無敵の人

自爆テロ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/自爆テロ

心的外傷後ストレス障害(PTSD) -10.心の健康問題 - MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/不安症とストレス関連障害/心的外傷後ストレス障害-%EF%BC%88ptsd%EF%BC%89#v26234317_ja


※今年に入って「無敵の人」を描いたもう一つの映画↓





お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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