Subhuman

ものすごく薄くて、ありえないほど浅いブログ。 Twitter → @Ritalin_203

2019年06月



前節のアルビレックス新潟レディース戦も0‐3で落とし、不振のパルセイロレディース。ここ2試合で9失点と守備が崩れていて、現時点で2勝2敗の勝ち点6であるとはいえ、これ以上勝ち点を落とすとグループリーグ突破が厳しくなってしまいます。何としても勝ちたいパルセイロレディースが迎えたのは日テレ・ベレーザ。代表戦で主力9人を欠くとはいえ、去年のリーグ得点王の#9田中選手や、元代表の#22岩清水選手らは健在。3‐0で勝った前回対戦のようにはいかないことは容易に想像がつきます。


では、ここから観戦記を始めたいと思います。なお今回は事情により普段よりも短めになっていますが、何卒ご了承ください。よろしくお願いします。

















この日はどうしても外せない用事があったので、Uスタ到着は16時過ぎ。空は灰色の雲が立ち込めていて、今にも振り出しそうな空気でした。梅雨ですね。


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第2ゲートをくぐると可愛らしいテープのアートがお出迎えです。小さくWINと書かれているのがいいですね。


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この日のスタジアムの各所には「パルワード」と題して、クロスワードの問題が各所に張り出されていました。バックスタンドにもありましたが、時間の都合で今回は断念です。


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それとこれは帰るときに気が付いたのですが、いつの間にか手作り感満載のスタメン表が張り出されていましたね。試合展開によって随時更新されていたみたいです。


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この日のマッチデープログラム。インタビューは#16山岸選手です。高校と撫子リーグのレベルの違いを痛感しながら頑張っているようです。また、ホームタウンページは小川村の紹介がされていました。地図でいうと長野市の西にあるくぼみにすっぽりと収まっているのが小川村のようです。


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グッズ売り場やいつものパルガチャは今日も出店。かのスヌーピーとのコラボグッズが販売されていたようです。

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ピッチでは既にGKがウォーミングアップを始めていました。


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そしてフィールドプレイヤーが登場しますが、このときがこの日の雨のピークで大粒の雨が叩きつけていました。ゴール裏でも多くの人が合羽やポンチョを着用していました。


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雨の中の円陣。


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この日のアップはシュートが比較的よく決まっていた印象があり、試合への期待感も膨らんでいきます。試合の方はあまり攻撃機会が多くなかったんですけど…。


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選手のアップが終わると大型ビジョンには父の日間近ということで、来場された方から父親へのメッセージが流れていました。よく塩尻から呼び込めましたね。


では、ここで両チームのスタメンです。






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パルセイロレディースは前節からスタメン2人を変更。#3五嶋選手がスタメンに復帰し、#30風間選手が加入後初出場を飾りました。また、22歳の#3五嶋選手がキャプテンマークを巻いていることから分かる通り、20歳以下の選手が6人スタメンに名を連ねるなど、ベレーザに負けず若いメンバーです。フォーメーションは4-4-2。


一方のベレーザは最後に試合のあった前々節からスタメン・ベンチともに変更はなし。下部組織であるメニーナの選手も3人出場しています。こちらは4‐3‐3のフォーメーションです。




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スタメン発表が終わり16時50分。選手が入場します。



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この日のパルセイロレディースのゴール裏は雨の当たらない後方に人が集中しています。前方にいるのは20人ほどでしょうか。とりわけ熱心です。


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一方のベレーザゴール裏はややゲート寄りに15人ほど。この日は全力さんはいませんでした。ヴェルディの試合があったからね。しょうがないね。


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この日は父の日が間近ということで、公募されたお父さんとその息子さんがエスコートキッズ(?)で選手と一緒に入場していました。


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選手の登場に両チームのサポーターのテンションも上がります。


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前半キックオフ!


立ち上がりからベレーザはピッチを幅広く使って攻撃します。パルセイロレディースが守備時にピッチの半分ほどに圧縮して守るのに対し、ベレーザはその外にWGを置きます。これによりパルセイロレディースの陣形は横に広げられ、スペースを生み出してしまっていました。


さらに、ベレーザは攻撃時にはSBも幅を取ります。この日のパルセイロレディースはカウンターに備えて、SHの戻りがやや遅く、ボランチも中央を開けるわけにはいかないのでなかなかプレスに行けず、サイドで1対2の状況を多く作られていました。


また、SHがSBを見たとしても、ベレーザは今度はIHを使ってきます。SBやWGが中に入り、パルセイロレディースの選手を引き付けておいて、1人になったサイドにIHを斜めの動きで飛び出させておけば、ベレーザは簡単に1対2を作ることができます。このポジションチェンジにパルセイロレディースの守備陣は対応できておらず、サイドを深くえぐられてシュートに繋げられるシーンが何度もありました。


ベレーザのワンサイドゲームで進んでいた前半17分。パルセイロレディースはCBの#4土光選手がドリブルで持ち上がりを許してしまいます。#4土光選手は右サイド奥のスペースにスルーパス。これに#6有吉選手が抜け出し、クロスを上げて中で#9田中選手がしっかり合わせて、ベレーザが先制に成功します。




この日のパルセイロレディースは積極的に前からプレスに行く姿勢を見せます。しかし、これを無力化するために、ベレーザは#32大山選手を落として3バック化するビルドアップを見せています。パルセイロレディースはここに数的同数の3枚を当ててしまっていました。2トップとSHがプレスに行けば、空いたSBを使われ、ボランチがポジションを上げてプレスに行けば、中央の危険なスペースを開けてしまい、IHに降りて使われるなど完全にベレーザの術中にはまっていたように感じます。ベレーザの選手はディフェンダーでも技術力が高くなかなかボールを奪えないですしね。


前半25分。ベレーザが右サイドでボールを持ち、パルセイロレディースの選手を自陣深い位置に釘付けにします。#15宮澤選手がボールを下げると#4土光選手は完全フリーになっており、簡単になかにボールを入れられてしまいます。これにまたも#9田中選手が頭で合わせゴール。DFに任せるのか#30風間選手が飛び出してクリアするのかという判断がはっきりしなかったこともありますが、ベレーザが前半のうちに2点目を奪いました。




パルセイロレディースは多くの時間守備に追われ、ディフェンスラインが下がってしまっています。コンパクトに保つために、2トップの位置も下げざるを得ず、かなり低い位置でのポストプレーを主に#9鈴木陽選手は強いられていました。決して負けてはいませんでしたが、その後のパスを高い位置で奪われ、ショートカウンターを受けてしまっていたので、もっと高い位置でポストプレーをさせてあげたかったところです。


しかし、前半35分のことでした。ベレーザがGKの#16西村選手にまでボールを戻すと、#16西村選手#4土光選手にパスを出そうとします。ですが、これを#9鈴木陽選手がインターセプト。#16西村選手と1対1になり、ループで落ち着いて決め、パルセイロレディースが1点を返しました。相手のミスからでややラッキーなゴールですが、それでも1点は1点です。


ここからパルセイロレディースは勢いづき、カウンターでベレーザゴール前まで迫る回数が増えていきます。しかし、追いつくことはできずに前半は終了。パルセイロレディースはベレーザの攻撃に対応できず、ずっと攻められていましたが、それでも2失点に抑えたこと、8本あったCKから失点を喫しなかったことは好印象でした。後半は何とかして追いつけるのではないかという雰囲気さえありました。


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両チーム選手交代のないまま後半キックオフ!


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後半に入ってもベレーザペースは変わりません。前半と同じような攻撃でパルセイロレディースの守備を破壊しにかかります。パルセイロレディースもしばらくは耐えていましたが、後半18分。左サイドのペナルティエリア角付近で#15宮澤選手がボールを持ちます。ここで#17菅野選手が外側を回ったときに、パルセイロレディースの守備の意識はそちらの方に向いてしまい、#15宮澤選手へのプレッシャーが弱くなってしまっていました。それを見逃さず#15宮澤選手はミドルシュートを突き刺し、ベレーザが3点目を上げます。




さらに、その直後の後半19分。パルセイロレディースは再び#4土光選手の持ちあがりを許してしまいます。#4土光選手からの縦パスはカットしましたが、クリアしたボールが不運にも#4土光選手に当たって跳ね返り、#15宮澤選手のもとに。ここでパルセイロレディースは裏を取られ、対応が追い付きません。#15宮澤選手は中の#17菅野選手にパスを出し、これを#17菅野選手が落ち着いて沈め、ベレーザが4点目を奪いました。




ここで、パルセイロレディースは選手交代。後半22分に#15原選手に替えて#2野口選手を投入し、失点の起点となっていた右サイドをケアします。また、後半25分には#13中村選手に替えてホーム初出場となる#23川船選手も投入。1点でも取ろうという姿勢を見せます。


しかし、その姿勢は焦りとなって裏目に出てしまいます。パルセイロレディースは前線からのプレスを続けていますが、ディフェンスラインとの連携が合わず、中央に広大なスペースを開けてしまい、ベレーザにボールを持たれてしまいます。また、攻撃でもゴールを奪いたいという気持ちが出すぎて我慢しきれずに、オフサイドを連発してしまい、ゴール前まで迫ることができません。


その一方で、後半31分。またしても右サイドで#15宮澤選手に裏を取られてしまいます。#15宮澤選手はサイドをえぐりDFを引き付けておいたところで、中でフリーになっていた#9田中選手にパス。これを#9田中選手#30風間選手を躱しながら浮かせて決めて、ベレーザがダメ押しの5点目をマークしました。#9田中選手はこれでハットトリックを達成。どうしてW杯のメンバーに選ばれなかったのかが不思議です。




その後はパルセイロレディースの反攻も実らず、ベレーザにボールを回されながら時間を使われてタイムアップ。パルセイロレディースは1‐5という大敗を喫してしまいました。3試合14失点と守備の改善はできず、#30風間選手にとってはほろ苦いデビューとなってしまいましたね。なお、この試合の入場者数は1,212人。ボランティア参加人数は29人でした。





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選手の表情にも悔しさが滲みます。早く勝って浮上のきっかけをつかみたいですね。失いかけている自信を回復するためにも。


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お疲れ様でした!





〈フルマッチ動画〉






公式記録
(なでしこリーグ)

順位表(なでしこリーグ)

2019プレナスなでしこリーグカップ1部 第6節 vs 日テレ・ベレーザ|試合結果
(長野公式)

2019プレナスなでしこリーグ1部 第9節 - AC長野パルセイロ・レディース vs 日テレ・ベレーザ(日テレ公式)


AC長野レディース 今季初の3連敗(信濃毎日新聞)





















この結果を受けてパルセイロレディースは2勝3敗の勝ち点6で4位に後退。グループリーグ突破はますます遠ざかってしまいました。次節は試合はなく、パルセイロレディースの次戦は再来週。6月29日(土)の17:00~、ホーム長野Uスタジアムで日体大FILEDS横浜と対戦です。ここで負けてしまうとグループリーグ敗退が決まってしまう可能性があるので、希望を繋ぐためには勝利が必須となりますね。梅雨も明けているでしょうし、ぜひUスタにお越しいただければ。


また、今日はこの後17:00~、トップチームが長野Uスタジアムでザスパクサツ群馬と対戦します。こちらも合わせてよろしくお願いします。


頑張れ!AC長野パルセイロレディース!!



お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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前節カターレ富山に1-2で敗れてしまったAC長野パルセイロ。3勝3分4敗の勝ち点12で13位につけます。一つでも上の順位に行くために勝利が必要なパルセイロの今節の相手は、FC東京U-23。2勝1分7敗の勝ち点7で最下位に沈みますが、今節は代表戦の関係でJ1の試合はなし。多くのJ1を経験した選手が出場し、パルセイロにとっては厳しい戦いとなりました。








では、両チームのスタメンです。





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パルセイロは前節からスタメンを1人変更。#1小澤選手に替えて#21立川選手がJリーグデビューです。フォーメーションは変わらず3-4-2-1。


一方のFC東京U-23は前節からスタメン8人を変更。特に4バックはJ1経験があるのが3人。残りの二人もトップチームの方でベンチ入りをしており、なかなか強力な布陣です。フォーメーションは4-4-2。






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前半キックオフ!




立ち上がりからパルセイロは左サイドを中心に攻撃します。これは#6太田選手よりも#22中村選手の方が攻略しやすいといった判断でしょうが、#18内田選手はFC東京U-23のSHとSBの間にポジションを取り、ボールを引き出します。しかし、中にカットインする志向の強い#18内田選手に合わせて、FC東京U-23のSBは中を切って対応していたため、ここでいったん攻撃が止まってしまいます。そこからは#29山田選手に下げたり、シャドーの選手を裏に走らせたりして攻略しようとしていましたが、FC東京U-23も人数をかけて対応します。


パルセイロの前線は3枚に対し、FC東京U-23のディフェンスラインは4枚で噛み合っていません。ここでFC東京U-23は#27竹下選手#32渡辺選手をつけ、SBの選手を絞らせてシャドーにつけることで、中の人数を合わせるようにしていました。ここで、逆サイドの#25有永選手はフリーになれます。パルセイロとしてはこのファーでフリーになっていた#25有永選手を有効活用したいところでしたが、なかなかうまくいきません。


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この時なんで#25有永選手がフリーになっていたかというと、#19宮崎選手があまり下がらないからなんですよね。#19宮崎選手は下がってまで守備をするシーンは少なく、カウンターに備えて高めの位置取りをしていました。実際前半3分にはカウンターで#19宮崎選手に持ち上がられ、結果#24原選手にフリーでシュートを許すというシーンがあり、#19宮崎選手はパルセイロの大きな脅威となっていました。


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FC東京U-23は後方からパスをつないでくるチームです。ビルドアップの時にボランチが落ちることはあまりなく、4バックでビルドアップをしています。立ち上がり、パルセイロは主導権を握るために前から積極的にプレスに来ていました。前線の3人に加え、#29山田選手も前に出すことで、4対4の数的同数にする攻撃的なプレッシングです。


しかし、これはFC東京U-23の思惑通りで、#29山田選手が前に出て空いたスペースをボランチの選手が使い、プレッシャーの少ない状態でボールを受けられ、運ばれるというシーンが立ち上がりにはありました。ただ、前半15分からパルセイロは前線からのプレスを控え、#29山田選手もスペースを開けるということは少なくなっていましたけど。


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一方のパルセイロも後方でパスを回します。パルセイロもボランチが落ちるということはあまりなく、主に3バックでビルドアップをしていました。FC東京U-23はあまり前線からプレスに来なかったので、CBがボールを持つ時間が長くなっていましたが、FC東京U-23が前線からプレスに来たときは、パルセイロの狙いが発動します。


FC東京U-23は前線からのプレスの時、2トップの一人がCBを、もう一人が中継点になろうとするボランチを、SHが自分のサイドのCBを見ています。このとき、パルセイロのWBにはFC東京U-23のSBがついており、WBを下げてSBを釣りだして、その裏のスペースをシャドーや#27竹下選手が突くというパターンが何度か見受けられました。パルセイロはサイドを使おうと、FC東京U-23は中央を使うと、相手を動かしていて、両チームのスタンスの違いが立ち上がりから現れています。


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前半20分。#32辺選手が負傷してしまいます。そして、そのまま#47岡選手と交代。#32渡辺選手#27竹下選手のマークをして自由を与えていなかったので、FC東京U-23にとっては痛いアクシデントとなりました。


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このあたりから両チームは前線でのプレスを控えていきます。両チームともディフェンスラインを高めにしコンパクトに設計しているため、スペースもあまり生まれず試合は膠着していきます。しかし、攻撃回数が多かったのはFC東京U-23。パルセイロは守備時に早い段階でWBを下げての5-4-1になります。ここで、SBを上げるなどして中盤で数的優位を作り、ボールを回します。


この日のFC東京U-23の攻撃で特徴的だったのが、#19宮崎選手が中に入る回数が多かったということ。#19宮崎選手が中に入り、FWの選手がサイドに流れるというのが、この日のFC東京U-23で最も多く視られた攻撃パターンで、パルセイロのマークの受け渡しのタイミング、CBとWBがスイッチするタイミングを狙っていて、実際この攻撃は上手くいっていました。パルセイロはディフェンスラインで誰が誰につくのかがわりと流動的で、そこをFC東京U-23に突かれていましたね。


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さらに、#19宮崎選手が中に入ってサイドのスペースを開け、#6太田選手が上がるというパターンもあって、#6太田選手の高精度のクロスにパルセイロは手を焼いていました。


この#19宮崎選手の動きによって、パルセイロのディフェンスラインは中央によって行きます。ここでサイドにスペースが開き、#19宮崎選手はそれを逆手に取り、中からサイドに戻る動きも織り交ぜていました。これもまた効果的で、パルセイロはクロスを上げられますが、中で何とか跳ね返していました。


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攻撃に出たいパルセイロでしたが、守備時に5-4-1のフォーメーションでシャドーがボランチの脇のスペースを埋めているため、攻撃の開始位置が下がってしまっています。前半の終盤はパルセイロはボールを奪ったら#27竹下選手めがけロングボールを蹴っていましたが、#27竹下選手にはCBの選手がついているため、なかなかポストプレーが成功しません。また、サポートも遅かったので、ボールを落とすこともままならず、奪われてしまうシーンが続きます。守→攻の切り替えの速度はパルセイロの課題ですね。


また、FC東京U-23はパルセイロのサイド攻撃に慣れてしまっています。WBにボールが入ったときに、ボランチをバイタルエリアに一人落とし、ボールを受けようと下がってくるシャドーをケア。さらに、右WBの#25有永選手は立ち上がりこそ、#6太田選手を抜き切る前にクロスを上げることができていましたが、#6太田選手が間合いを詰めてきたり、もう一方のボランチにハーフスペースを消されていたりと、攻撃の糸口を塞がれてしまいます。パルセイロは時間が経つにつれてシュートを打てなくなっていっていました。




その後もFC東京U-23がボールを握りますが、パルセイロも耐え、そのまま0-0で前半終了。両チームともあまりリスクを冒さなかったため、やや膠着した前半でした。パルセイロとしてはSBの裏を狙う攻撃が対応されてしまっているので、ボールを動かして、相手を動かして、ずれを発生させて攻撃したいところです。


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後半開始にあたってFC東京U-23は選手交代。#19宮崎選手に替えて#38常盤選手を投入します。#19宮崎選手は悪くなかったどころか、FC東京U-23の一番の武器になっていたので、この交代はもったいない気がしますが、おそらく怪我開けということで、最初から前半45分のみのプレーの予定だったのでしょう。


パルセイロの方に選手交代はなく、後半キックオフ!




後半の立ち上がりもFC東京U-23がボールを握ります。パルセイロが引いて守ってきたこともありますが、ブロックの外ではボールを持てるようになります。後半になると#24原選手#52久保征選手がややサイドに寄って開けたスペースに、#36安部選手が飛び出す機会が増え、パルセイロは誰がつくか迷いチャンスを与えてしまっていました。後半になってFC東京U-23のボランチは#36安部選手が前目、#44品田選手が後ろ目と疑似的な縦関係になっていたと思われます。


重心が後ろ寄りになってしまい、ゴール前まで行けないパルセイロ。流れを変えようと後半15分に2枚替えを敢行します。#27竹下選手に替えて#7妹尾選手を、#17明神選手に替えて#6岩沼選手を投入しました。#6岩沼選手はそのままボランチに、#7妹尾選手はシャドーに入り#19三上選手がワントップに移動します。


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この交代を機にパルセイロは前線からのプレスを復活させます。今度は4対3で数的不利となるのですが、片方のサイドに追い込んで逆サイドのSBを無効化することで、3対3の数的優位を実現しています。また、ボランチの選手が落ちてこようとしても、パルセイロのボランチがついて行っています。ここで中が開いてしまいますが、FC東京U-23の中の人数も足りていないため、大きな問題には至っていませんでした。GKまで追いかけることで精度の低いロングボールを蹴らせ、それを回収することができており、ボールを握れるようになっていきます。


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また、FC東京U-23も1点を奪いたいと前掛かりになってきていて、中盤とディフェンスラインの間が空くようになっています。そこにシャドーの選手が下がってボールを受けられるようになり、CBを釣りだしSBをカバーに走らせることで、WBをフリーにしてそこにパス。からのクロスがパルセイロは増えていきました。特に左サイドでは#2松原選手がリスクを取って上がる機会が増えていましたね。


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後半37分。#18内田選手が敵陣中央でインターセプトをします。ここで右サイドで#19三上選手がフリーになっており、パスコースもありましたが、#18内田選手はパスを出さず。ボールを持ちすぎて奪われてしまいます#24原選手がボールを拾い、中央の#52久保征選手にパス。#52久保征選手の目の前手の空いてから逃げる斜めのドリブルのコース取りが上手く、自らシュートチャンスを創出します。#52久保征選手のシュートは#21立川選手がいったん防ぎますが、こぼれ球が#24原選手のもとに転がってしまい、#24原選手は無人のゴールにボールを流し込みました。ボールを握れていたパルセイロはショートカウンターで痛い失点を喫してしまいます。







その直後にパルセイロは選手交代。#14東選手に代わり、#9津田選手が入ります。この交代により#9津田選手はワントップに入り、#19三上選手がシャドーのポジションに戻ります。


後半42分。FC東京U-23が攻撃しますが、簡単にボールを失います。ここで#19三上選手が開いてボランチの脇のスペースを突き、ボールを引き出します。そしてこのとき、#9津田選手がマークの相手から逃げるように斜めに走って中間ポジションを取り、#19三上選手はそこに浮き球のパス。FC東京U-23のCBのプレスが来る前に#9津田選手はシュート。これがゴール右に決まり、パルセイロはすぐさま追いつきました。#9津田選手は2試合連続の今シーズン2ゴール目です。動きの質でつかんだゴールでしたね。


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その後はパルセイロがチャンスを創出しますが、逆転ゴールには至らず。後半アディショナルタイム3分もFC東京U-23が#6太田選手に替えて#50沼田選手を投入しましたが、大きなチャンスにはつながらず試合終了。1-1で両チーム勝ち点1を分け合いました。パルセイロはリスクを冒した時間帯に失点しましたが、その後カウンターからすぐに追いつけたのは良かったですね。しかし、チャンスもあったので勝てた試合を落としたとも考えられます。連敗をしないのは良かったですが、やはり勝ちたかったですね。





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<ハイライト動画>









選手コメント(Jリーグ公式)

J3順位表(Jリーグ公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第11節 vs FC東京U-23|試合結果(長野公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第11節 vs FC東京U-23|フォトギャラリー(長野公式)

明治安田生命J3 第11節 vs AC長野パルセイロ|試合結果(東京公式)

AC長野、最下位とドロー(信濃毎日新聞)











この結果を受けて、パルセイロは3勝4分4敗の勝ち点13で順位は12位。なかなか上位に行けず歯がゆい日々が続きます。そんなパルセイロの次節の相手はザスパクサツ群馬。4勝3分4敗の勝ち点15で9位につけますが、直近の試合は連勝しており、調子を上げてきているチームです。パルセイロにとってはバトルオブ上信越の第2戦となるこの試合は何としてでも勝って、まずは一桁順位につけたいところですね。6月16日(日)17:00~、長野Uスタジアムでのホーム戦なので、ぜひとも応援のほどをよろしくお願いします。


頑張れ!AC長野パルセイロ!!


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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こんにちは。これです。今回も映画の感想です。3日連続ですね。


今回観た映画は『さよならくちびる』。小松菜奈さんと門脇麦さんダブル主演の青春音楽映画です。本当は先週観たかったのですが、仕事終わりに観られるようなじかんにやっていなかったのと、引っ越しで立て込んでいたのもあり、一週遅れでのこのタイミングでの鑑賞となりました。


で、観たところ個人的にかなり好きな映画でした。でも、そんなに観られていないっぽいんですよね…。先週一日4回あったのが、今週はもう1回に減らされていて、しかも木曜でいったん終了ってどういうことよ…。みんなもっと観てよ…。


では、その悔しい気持ちも抱きつつ、感想を始めたいと思います。いつもの通り拙い文章ですが、今回もお付き合いいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。




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―目次―

・小松菜奈さんと門脇麦さんがかっこいい
・音楽が映画の内容にマッチしている
・劇的なことは起こらない
・「歌い継がれる」という音楽の理想

 



―あらすじ―


「二人とも本当に解散の決心は変わらないんだな?」
全国7都市を回るツアーへの出発の朝、車に乗り込んだデュオ〈ハルレオ〉のハル(門脇麦)とレオ(小松菜奈)に、ローディ兼マネージャーのシマ(成田凌)が確認する。うなずく二人にシマは、「最後のライブでハルレオは解散」と宣言するのだった。
2018年7月14日、解散ツアー初日から波乱は起きる。別行動をとったレオが、ライブに遅刻したのだ。険悪なムードの中、「今日が何の日かくらい憶えているよ」と、小さな封筒をハルに押し付けるレオ。しばらくして、何ごともなかったかのようにステージに現れるハルレオ。トレードマークのツナギ姿に、アコースティックギター。後ろでシマが、「たちまち嵐」を歌う二人をタンバリンでサポートする。
次の街へ向かう車の中、助手席でレオからもらった封筒を開けるハルを見て、「そうか、今日はハルの誕生日か」と呟くシマに、「違うよ。初めてレオに声をかけた日だよ」と答えるハル。二人が出会ったのは、バイト先のクリーニング工場。上司に叱られ、むくれていたレオを、ハルがいきなり「ねえ、音楽やらない?あたしと」と誘ったのだ。



その瞬間から、ずっと孤独だった二人の心が共鳴し始めた。ハルからギターを習って音楽を奏でる喜びを知るレオ。そんなレオを優しく見守るハル。レオの歌とギターは上達し、二人は路上で歌うようになった。
少しずつ人気が出始め、ライブツアーに出ることにしたハルレオは、ローディを探す。その時、「ハルさんの曲と詞のセンスが好きだから」と名乗りを上げたのが、元ホストのシマだった。売れたバンドが使っていたというツアー車を用意し、「俺らも行けるところまで突っ走る」と煽るシマに、ハルとレオも自分の夢を叫んで拳を振り上げた。
地方ライブの集客も増え、若い女性を中心にさらに人気が広がっていくハルレオ。だが、誰も予期しなかった恋心が芽生えたことをきっかけに、3人の関係は少しずつこじれていく。さらに、曲作りにかかわらないレオが、音楽をやる意味を見失っていった。各々が想いをぶつけ合い、名曲と名演奏が生まれていくが、溝は深まるばかり。ついに、この解散ツアーへと旅立つまで心が離れてしまった。
三重、大阪、新潟、山形、青森と、思い出の詰まったライブハウスを巡って行くハルレオ。もはやほとんど口もきかないが、ギターもコーラスもピタリと息が合い、その歌声は聴く者の心の奥深くへと届いていく。そしていよいよ3人は、北海道・函館のラストライブに向かうのだが――。



(映画『さよならくちびる』公式サイトより引用)




映画情報は公式サイトをご覧ください








※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。











・小松菜奈さんと門脇麦さんがかっこいい


『さよならくちびる』は小松菜奈さんと門脇麦さんのダブル主演が話題の映画です。この映画を観て私が二人に抱いた印象はかっこいいというものでした。可愛いではありません。かっこいいです。


まず、小松菜奈さんは、カリスマ的人気を誇るレオを演じていましたが、スタイルの良さはもちろん凛とした演技で、その人気も納得できる存在感を放っていました。でも、レオというのは持たざる者なので、苦悩も演じなければならない役柄でしたけど、そちらの方もバッチリ。近寄りがたい印象もあるレオを感情移入しやすくしていました。映画を観ていてどんどんレオが好きになっていきましたね、私は。


一方の門脇麦さん。個人的に門脇さんは今日本でもトップクラスに好きな女優さんなので、今回『さよならくちびる』を観に行ったのも、門脇さんが出ているからというのが主な理由だったのですが、まあ最高でしたよ。才能はあるんだけども、その才能に絡めとられていて、3人の中で一番将来像が描けないハルというキャラクターに見事にマッチしていました。純粋無垢な役柄よりも複雑な役柄を演じるのが門脇さんの真骨頂ですね。ぶっきらぼうな口調がよかったです。


そして、『さよならくちびる』が持つ険悪で退廃的な雰囲気がさらに二人のかっこよさを際立たせているんですよ。本番以外だと表面上はドライ、互いに互いを思っているんだけど不器用なゆえに結果的にドライになってしまっている関係性がとにかく良くて。特にお酒とタバコが多く登場しているのが最高でしたね。


まず、門脇さんはいま日本で一番タバコを吸う姿が似合う女優さんです。制作側もそのことを分かっていたのか事あるごとに吸わせていて、特に社内でタバコを吸っている姿にやられました。さらに、小松さんもかなりタバコを吸っているんですよね。私はタバコそのものは嫌いだけど、美人がタバコを吸っている姿は好きというわりとろくでもない人間なのですが、そんな私の性癖にガンガン刺さりまくりました。


また、小松さんはお酒もかなり飲んでいるんですよね。ステージの上ではそんな素振りは見せないカリスマ的存在なのに、裏では酒は飲むわタバコは吸うわで人間臭くて、そのギャップにグッときます。二人ともある種のアウトロー感が感じられて、親近感がわきます。『愛がなんだ』もそうでしたけど、溺れない程度にお酒を登場させるのは、キャラクターとの距離を縮めてくれる働きをしてくれますね。


それに、二人がギターを持って歌う姿は、計り知れない切なさがありますし、歌声も爽やかなんですけど哀愁が感じられてグッとくる。さらに、予告にもある通り二人の百合的展開もそれなりに用意されているのが清涼剤になっていて良い。映画の序盤の回想で二人がハルの部屋でギターを練習したり、カレーライスを食べたりするシーンがあるのですが、そこのキラキラっぷりよ。控えめに言って最高ですし、キラキラしているだけでなく切なく苦しい百合もあって、その落差にやられました。これは何としても観てほしい。




また、『さよならくちびる』ではハルレオの二人に加えて、二人のローディーを務めた成田凌さん演じるシマもよかったことに触れないわけにはいきません。個人的に成田さんは今年だけで『チワワちゃん』『翔んで埼玉』『愛がなんだ』に続いて4作目で、まさに今をときめく俳優さんなのですが、『さよならくちびる』の成田さんは、今年一番頼りがいのある成田さんでした。まあダメな男なんですが、他の三作がダメダメな男だったこともあって相対的にですね。ハルとレオの間に入ってうまくバランスを取りながらも、自らも苦悩を抱えているシマを少ないセリフで見事に演じ切っていました。誰もが挙げると思いますけど、ハルレオのラストステージ直前のシーンが好きですね。今まで溜めてきた感情を吐露していてカタルシスを感じました。



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・音楽が映画の内容にマッチしている


さて、『さよならくちびる』の最大の特長といえば、秦基博さんとあいみょんさんが手がけた主題歌・挿入歌でしょう。この映画を語るうえで欠かせない音楽面について、ここで軽く触れたいと思います。


秦さんが提供した「さよならくちびる」。映画のタイトルと同じ名を持つこの曲は、いい意味で「秦さんの曲」ではなく「ハルレオの曲」になっていました。映画用に書き下ろされたということで、歌詞が展開と密接にリンクしているんですよね。「灰色の後悔が~」や「あふれそうな言葉を~」など。映画の結末も「二秒後の私たち~」そのものですし。自分よりも映画に合うことを優先したであろう秦さんはこの映画の功労者の一人です。


一方のあいみょんさんが書き下ろした「たちまち嵐」「誰にだって訳がある」。こちらは笑ってしまうくらいあいみょんさん感が爆発していました。ハルレオが歌っているのにあいみょんさんの顔が浮かんでくるくらいです。でも、女性でギターの弾き語りをされている方は多数いて、曲もオーソドックスなものだったんですけど、いの一番にあいみょんさんが浮かぶのは、それだけ売れて認知されている証なのかなーとも思います。
 

ただ、隠し切れないあいみょんさん感でも、やはり映画の内容に即しているのは流石だなと感じました(書き下ろしな以上、即してないと意味がないけど)。「たちまち嵐」はライフゴーズオン的な希望を歌っていて、映画の大筋のストーリーそのものでしたし、「誰にだって訳がある」はハルとレオが音楽をする理由を多いに語っています。あまり説明が多くないこの映画でも、大事なことは歌に込められており、なんか正しく音楽映画だなって感じました。


あとは劇伴もよかったですね。ギターのしっとりとしたストロークが多くて、3人の苦悩を浮かび上がらせていました。こちらもオススメです。




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・劇的なことは起こらない


『さよならくちびる』はハルレオが解散するという説明から始まります。映画の冒頭で既にハルとレオの二人の関係は壊れてしまっていました。シマを加えた3人で、全国を解散ツアーで回ります。最初はお客さんも入らないのですが、解散ツアーと分かった瞬間にライブハウスは満員になる(ここ辛いよね。解散にならないと来てもらえないなんて)。そして、最後のステージを終えた3人の行く末は―というのがざっくりとしたストーリーです。


まず、冒頭のシーンが個人的にはものすごく好きでして。最初に車内でハルはタバコを吸って、レオはハンバーガーを食べています。飲食禁止、喫煙なはずのルールはすっかり形骸化してるんですけど、注目したいのはこの後。次のシーンではレオがタバコを吸って、ハルはリンゴを食べています。ここに二人の同一性とはいかないまでも近似性を感じて、一気に映画に引き込まれました。




また、私が『さよならくちびる』を好きな理由に、ハルとレオ、それにシマの3人がちゃんと苦悩しているというものがあります。レオはハルに誘われて音楽を始めた、才能のあるハルとは違ういわば「持たざる者」。自分が音楽をやる理由は何だろうと悩んでいて、その苦悩がレオをとても魅力的なキャラクターにしていると感じました。


そして、ハルはレオが好きです。なので、ハルにとってレオの苦悩は自分の苦悩も同然です。「これ以上ボロボロになっていくレオを見るのが辛い」と言っていましたしね。また、ハル自身もレズビアンということで良識的な家族の中で苦労しているようでしたし、将来像が描けていないことも含めて、3人の中で一番悩んでいる印象を受けました。逃げるようにタバコを吸う姿がよかったなぁ。


また、シマはシマで過去に自身のバンドが解散していますし、自分のせいで他のバンドも解散させたりしています。3人とも音楽のせいで苦悩しているんです。だからこそ、ラストライブ前のシマのセリフが生きてくるんですが。




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そして、ここが一番のポイントなのですが、この映画って劇的な事件が起こらないんですよ。いきなり普通のアパートの遠景で映画は始まりますし、その後も3人の旅路とライブをただ映しているだけ。わかりやすく分岐点となる大きな出来事はついに訪れません。ハルレオの解散ツアーという特別な展開の普段を切り取ったのが『さよならくちびる』という映画であり、エポックメイキングな騒動を映画に求めている人には受け入れられづらいと思われます。


でも、個人的にはこのスタンスがとても好きでして。だって生きていくうえで劇的な瞬間ってそう何度も訪れるものではないじゃないですか。ハルレオが解散を決めた理由だって本編中に明かされることはないですし。「ちょっとしたことが積み重なってなんか嫌になった」みたいな感じだと思うんですが、それってすごいリアルだなって思います。


で、『さよならくちびる』はそれをわざわざセリフで説明するのではなく、演出で醸し出すんですよね。3人の車の中の様子や歩き方一つをとっただけで、今3人に何が起こっているのか分かるのは凄いと思います。説明しすぎないんですけど、最低限分かるだけの情報は提示されているところが好きですね。


はっきり言ってしまうと、『さよならくちびる』は3人の関係性の修復、再生の物語なんですよ。3人が解散ツアーの中で自分と2人を見つめ、前に進んでいくというプラスのエネルギーが『さよならくちびる』の物語を形作っています。


でも、劇中で起こる展開は決していいモノではなく、むしろ悪いモノばかり。普通なら映画の雰囲気はますます険悪になっていくところなんですが、『さよならくちびる』では、不思議と良好なものになっていくんですよね。スタートが最低でゴールが最高になっているといいますか。気づくと化かされたみたいに、爽やかな展開になっているんですよ。3人がそれぞれの苦悩をさらけ出し、本気でぶつかっていったからでしょうか。音楽青春映画と謳っていましたけど、その名に恥じないだけの爽快感がありました


それに、終わり方も最高で。映画の展開的に続行は嫌だな、もし続行を選んだら論外だなと思っていたんですが、映画を観ているうちに解散はしてほしくないなとも感じてくるんですよね。どうすんだろこれと思っていたんですけど、ハルとレオの答えが、この映画に限ってはパーフェクトなもので。スッと胸に落ちて、良好な気分で映画館を後にすることができました。頭の中で「たちまち嵐」の歌詞が思い起こされて、幸せな余韻がありました。展開は大概クソなのに観終わった後は幸せになれるのは素晴らしいですね。



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・「歌い継がれる」という音楽の理想


さて、いきなり別の映画の話で申し訳ないのですが、『さよならくちびる』と同時期に公開された音楽映画に『小さな恋のうた』があります。こちらも傑作なのでぜひ観ていただきたいのですが、『小さな恋のうた』では「やさしい歌が世界を変える」と歌われていました。音楽の一つの理想や希望が提示されているのですが、『さよならくちびる』もまた音楽の理想や希望が提示されています。しかし、それは『小さな恋のうた』とはまた違っていて、『さよならくちびる』で提示された音楽の理想は「歌い継がれる」です。


ハルレオのラストライブで、一曲目の「たちまち嵐」の際にホールではシンガロングが発生しました。会場が一つの生き物みたいに歌う姿は『ボヘミアン・ラプソディ』を思い起こさせて、とても感動的なものでしたが、ここでのポイントは「ハルレオの歌が他の誰かの歌になっている」ということなんですよね。


劇中でハルレオのファンに対するインタビューが行われました。私はここを極めて重要なシーンだと捉えていまして。なにが重要かというと、答えた人が全員「なんというか…」で始まっていて語彙力が低いところです。語彙力が低い、ヤバいとしか言えない人でも「なんかいいな」って感じて、歌うことができる。聞き手のレベルなんて関係ないですよ。


それに、リポーターがハルレオの歌の解釈を長々と述べていましたけど、独自の解釈ができるというのも音楽の魅力だと思うんです。これは音楽に限ったことではないんですけど、自分の中で咀嚼して、宝物にできる。作り手を離れてその人のものになる瞬間っていいですよね。




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たぶん、私が考えるに音楽って最も手軽な芸術表現だと思うんです。手を叩くだけで音が発生し、声帯を持っていれば、誰だって歌うことができる。そこに道具は必要ないわけですよ。人に紹介するにしても、道具がなくたって自分で歌えばいい。子守唄などはそうやって伝承されてきたわけでしょう。他の芸術表現よりも音楽は残すハードルが低いと思うんです。


ただ、残すハードルが低いということは忘れられやすいということも意味していて。実際この瞬間にも世界で数多くの歌が生み出され、その大半は記憶に残ることなく消えていきます。現実は厳しいものです。


でも、ハルレオの歌はホールで多くの人に歌われているんですよね。会場外でも生配信でライブを見ている人が多くいましたし、その人その人にハルレオの歌は自分の歌になっているんですよね。そして、自分の歌になったハルレオの歌を他の人に紹介して、さらに歌い継がれていく。簡単なことではないですが、クラシックの古典なんかはもう何百年と演奏されているわけですし、不可能ではない。


ハルは「私たちは今日、私たちの歌を手放します」とラストライブのMCで言っていましたけど、『さよならくちびる』で描かれたのは、作り手の手を離れても音楽は歌い継がれる、生き続けるという希望や理想。作り手の祈りや願いにも感じられます。私も好きなバンドが解散した経験があるので、この理想に共鳴しましたね。なので、『さよならくちびる』は私にとっては大好きな映画になりました。もう一回観たいです。



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以上で感想は終了となります。『さよならくちびる』、全然観られていないのが信じられないくらいいい映画だったので、みなさんぜひ映画館に足を運んでください。音楽が好きならきっと好きになると思いますよ。本当にお願いします。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい


さよならくちびる
ハルレオ
ユニバーサル ミュージック
2019-05-22



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こんにちは。これです。今回のブログは2日連続での映画感想になります。


今回観た映画は『町田くんの世界』。当初は観る予定はなかったのですが、急遽予定を変更して観に行きました。感想としては最後のぶっとびっぷりに少し置いてけぼりを喰らったものの、面白い映画だなと。原作は未読ですが楽しめました。


では、感想を始めたいと思います。今回も拙い文章ですがよろしくお願いいたします。




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―目次―

・キャストについて
・簡単にストーリー等について
・キーワード①「わからない」
・キーワード②「自己肯定感」




―あらすじ―

町田くんが、みんなの世界を変えていく――

これまでのどんな主人公とも違っている、町田くん。運動も勉強も出来ないけれど、たったひとつの才能は、すべての人を分け隔てなく愛することだった! そんな“人が大好きな”町田くんが、“人が大嫌いな”の猪原さんに出会ったことで、初めて“わからない感情”に向き合うことに。そして、まわりのすべての人を巻き込んで、驚天動地の物語が動き出す!


(映画『町田くんの世界』公式サイトより引用)




映画情報は公式サイトをご覧ください













・キャストについて


『町田くんの世界』の大きな特徴。それは細田佳央太さんと関水渚さんという新人俳優二人を主演に起用していることです。この二人は演技経験もあまりないらしく思い切った采配だと感じましたが、『町田くんの世界』では、この采配が大きく吉と出ていました。


主人公の町田一を演じた細田さんは、この映画の出来を決定づける存在でしたが、そのプレッシャーにも負けず、真面目で不器用な町田くんを好演していたと思います。前半は敢えて抑揚のない喋り方をすることで町田くんの人間味を抑えて、後半になると感情を露わにして町田くんの人間味をぐっと増していました。あの走り方もややわざとらしかったのですが、町田くんのいじらしさを増幅していて愛おしかったです。


また、メインヒロインの猪原奈々を演じた関水渚さんは、初めての主演とは思えない存在感を放っていました。長い黒髪にクールな目元が印象的で、佇まいから猪原の持つ悲しさを存分に感じます。ただ、演技は明るかったり、わりと叫んだりしていてギャップが魅力的でした。町田君の家の前でのシーンが特に好きです。あそこの挙動不審っぷりツボです。


そして、この二人に共通することですが、とても初々しいんですよね。二人の初々しさのおかげで、この映画がとてもみずみずしいものになっていました。その初々しさが映えるような舞台や人物を設定した監督やプロデューサーの采配の勝利でもありますね。抜群のキャスティングでした。


さらに、彼ら二人の周囲の高校生を演じた役者さんもよくて。岩田剛典さんはイケメンならではのすかした感じがよく出ていましたし、高畑充希さんはいい意味でとてもうっとうしい。太賀さんも応援したくなるようなキャラクターだったんですけど、ここで特筆したいのはやっぱり栄りらを演じた前田敦子さんです。


なにがいいってそのぶっきらぼうな口調とSっ気のある退廃的な目線ですよ。これらが合わさって生まれる姉御感が半端ない。口を開くたびに脳がやられそうになる中毒性がありました。多分高校生の俳優さんを起用していたら、ここまでの姉御感は出せなかったはずで、前田さんの演技もよかったんですけど、こちらもキャスティングの勝利ですね。まあぶっちゃけ高校生には見えませんけど、そこも含めてナイスです。


加えて、彼らを支える大人を演じた方々も素晴らしくて。物語のキーとなる雑誌記者・吉高洋平を演じた池松壮亮さんは記者の冷めた部分と、町田くんたちを目にしたときの熱い部分を見事に演じ分けていたんですが、まあ他のキャストも豪華なわけですよ。戸田恵梨香さんに、北村有起哉さんに、松嶋菜々子さん、極めつけに佐藤浩市さんまで。脇役にここまでするかとびっくりするくらいの豪華さです。なんなのこれ。主演二人に新人俳優を起用することで出演料が抑えられたから?短い出番だとそんなに出演料がかからないから?いずれにしても笑ってしまうほど凄いキャスティングでしたね。もちろん演技そのものも流石のものでしたよ。




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・簡単にストーリー等について


この映画の物語は町田くんと猪原が出会うことから始まります。まあ厳密には初対面ではないのですが、青春映画の王道であるガールミーツボーイで幕を開けます。


町田くんは誰にでも優しくする天使のような男の子で、当然猪原にも優しくします。猪原は優しくされて町田くんに好意を寄せていくんですが、それが自分にだけ寄せられたものではないことに気づきショックを受ける。でも、彼女の町田くんのことを好きな気持ちはどんどん高ぶっていき、訳わかんない状態になっていきます。こういった恋愛要素が『町田くんの世界』では一つの軸になっていました。


ただ、『町田くんの世界』は単なる恋愛映画では終わらせなくて、これは後で詳しく述べるのですが、「自己肯定感」というものがキーになっていました。町田くんの優しさに触れた周囲が、触発されて自分を認めていく。青春時代に必要なアイデンティティーの獲得がなされていて、キャラクターの成長物語という側面も『町田くんの世界』はしっかりと持っています。いや、むしろこちらの方が主題でした。さらに、そこに「悪意に満ちている」という現代日本の病理までもが絡む。『町田くんの世界』は決して軽くない映画だと感じます。


しかし、不思議とこの映画の持つ雰囲気はそこまで重くありません。それはコメディタッチで描かれるシーンも多かったからですね。町田くんと猪原が河川敷で追いかけっこしたり、最後の展開などがそれにあたります。加えて、栄の冷めた口調もどこかコメディ的で面白かったですし、エンターテインメントとしての強度を『町田くんの世界』はバッチリ備えています


それに河野丈洋(元GOING UNDER GROUNDの人や)が手がけた音楽も基本的には明るくてポップ。かき鳴らされるギターから入るイントロも多く、映画を楽しく盛り上げていました。平井堅さんの主題歌「いてもたっても」も軽快で、映画の後味を爽やかなものにしていましたし、決して軽くないテーマを扱っていますが、軽い気持ちでも十分に観れる映画だと感じます。




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。









・キーワード①「わからない」



『町田くんの世界』で、多く聞かれたワード。それがこの「わからない」です。特に終盤、あらゆるキャラクターが事あるごとに「わからない」「わからない」と発していました。


「わからない」についての私の考えは、昨日の『海獣の子供』の感想の通りで、ここで繰り返すことはしませんが、『海獣の子供』と『町田くんの世界』では「わからない」の対象が異なっているんですよね。『海獣の子供』は自然という大きな対象について「わからない」のに対し、『町田くんの世界』では、自分の心の中という小さな対象について「わからない」と言っています。


町田くんは物語が進むにつれて、自分の感情が分からなくなっていくんですよね。猪原に対するこの気持ちは何なんだと。今までみんなに優しくしてきた自分は本当によかったのだろうかと。必死に苦しむ町田くんの姿には共感を覚えますし、素晴らしいのが「わからないものはわからないままでいい」と割り切って受け入れているところなんですよね。


だって青春時代に感じる問いって、大人になっても結局分からないじゃないですか。「自分は何者なんだろう」とか「どうしてあの人を好きになるのだろう」とか。きっとその理由は一生をかけて追い求めていくもので、もしかしたら死ぬまで答えは分からないのかもしれない。いや、答えなんてないのかもしれない。私たちにできるのは疑問を疑問のまま、「わからない」のまま受け入れることで、それが大人になるということなのではないかとさえ思います。


その意味で、町田くんは「わからない」ことを「わからない」まま受け入れたので、物語を通じて一つ大人になったのかなと感じます。青春時代の悩みと成長が的確に描かれていてポイント高いです。




あと、おそらく誰もが気になっている最後の展開について。本当にセオリーを無視した展開でびっくりしましたが、ぶっちゃけあれは私も分かりません町田くんが自分を受け入れて、自信が芽生えたことを表しているのかなとも考えましたが、ここで大切なのは意味よりも現象でしょう。町田くんが××していること自体が大事で、「わからない」というこの映画のテーマを如実に表しているのではないでしょうか。「わからない」ことに意味があると思います。




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・キーワード②「自己肯定感」


さて、「わからない」と並んで、私が『町田くんの世界』で感じたもう一つのキーワード。それが自己肯定感です。この映画に出てくるキャラクター、特に高校生は自己肯定感の低いキャラクターが多く見受けられた印象です。(なお、ここからの自己肯定感の定義は、日本セルフエスティーム普及協会の「そのままの自分を認め受け入れ、自分を尊重し、自己価値を感じて自らの全存在を肯定するに従うものとします)


例えば、猪原は人間が嫌いな自分を責めている印象でしたし、氷室は学校ではチヤホヤされているものの、モデルの撮影では蚊帳の外にされています。さくらも自分を認めてほしくて可愛い子ぶってましたし、西野も「一緒にいて楽しい」と言われたことがありません。唯一自分に自信があるのは栄ぐらいでしたし、劇中では何度も「ダメ」や「最低」という言葉が飛び交っています


そして、これは日本の現実をも表していると私は思います。財団法人日本青少年研究所(おっかない名前だ)の「高校生の心と体の健康に関する調査(2018年度版)」では、日本と米中韓の高校生を比較しており、日本の高校生は自己肯定感が低いという結果が出されています。「私は価値のある人間だと思う」や「私はいまの自分に満足している」といった項目が3ヵ国よりも圧倒的に低いのが象徴的ですね。なので、『町田くんの世界』では自己肯定感が低いキャラクターを多く登場させることで、10代の共感を狙っていたのではないかと感じました。私も自分のことをクソだと思っているので、彼らが苦しんでいる様子には胸が痛くなりましたね。


でも、町田くんはそんな彼らのことを肯定して認めるんですよ。自己肯定感の醸成には他者から褒められる、肯定される、認められるということが重要です。町田くんの底なしの優しさを受けたことで、猪原は人と話すことが増えますし、氷室は一生懸命やることを決意します。さくらや西野にもいい影響を与えていますし、『町田くんの世界』は、町田くんの優しさが周囲を変える「優しい世界」なんです。それが現代の「悪意に満ちている」といわれる日本に強烈なパンチを放っていて爽快でした。




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『町田くんの世界』で重要なキャラクターの一人、吉高洋平。彼が言うには「世界は悪意に満ちている」と。善意よりも悪意を人々は求めていると。吉高の雑誌の編集長・日野(佐藤浩市さんが演じていて無駄に豪華)はその理由を「自分よりダメな人間を見て安心したいから」と語っていましたが、私はこれも自己肯定感の低さが元になっていると思うんですよね。自分に自信がないから、自分よりもダメな人間を見て間接的に自己を肯定したいんですよ。おそらく。


でも、その行為はNPO法人カタリバによると


他者に対して「自分は人より優れている」などとして、自分より立場が弱い下の存在を作って自分以外の人を軽く視ることで自分を相対的に肯定することは、本来の自己肯定感が高い状態とはかけ離れています


と一刀両断されています。でも、ついつい人を下げたくなっちゃいますよね。それを行ってしまうのは自己肯定感が低いから。では、なぜ自己肯定感が低くなってしまうかというと、個人的には他者と比べてしまうからだと考えています。


これは、あくまで私の話なんですが、私は人と比べてどうかが全てだと思っているんですよ。自分ではある程度できているつもりでも、自分以上にできる人がいると選ばれるのはそちらの人になりますよね。選ばれなかった自分に価値はなく、極論を言えば、全ての人に勝てるだけのものがないと自分の価値を認めることができません。そんなことは不可能なのに。このブログだってそうですよ。私としては全力で書いているつもりですけど、私のよりも高質のブログなんて山ほどありますからね。そりゃ読まれないですよ。


それに、『町田くんの世界』で印象的だったのがスマートフォンに興じる人々です。冒頭のバスのシーンで町田くん以外の人は全員スマホを見てましたよね。近年は携帯やSNSの普及で、情報量は爆発的に増え、人と人とが繋がりやすくなっています。でも、これは裏を返せば人と比べられる機会が増えたということ。


インスタグラム等SNSの普及で、キラキラしたシーンを見せられ、劣等感を感じている人も多いかと思われます。「何者かになりたい」という思いがネット上には渦巻いていて、それは自分を認められておらず、自己肯定感がない状態だと思われます。炎上して注目を浴びたいのも今の自分に満足していないからですよ。たぶん。


でも、これと対照的に町田くんは携帯を持っていないんですよね。情報の洪水から自衛しています。それでも、人と比べられる機会の少ない町田くんが自己肯定感を持っていたかというと、そうではないのが『町田くんの世界』の面白いところです。




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映画序盤の町田くんは誰にでも平等に優しく接していましたが、そこには自己がありません。感情のないロボットのような不気味さがあります。自己がなければ自己肯定も自己否定もありません。


ただ、思考停止していた町田くんが猪原との交流を通じて、徐々に自己を見つめていくというのが、この映画の幹となっているストーリーでした。猪原に好意を抱いていくうちに、誰かれ構わず優しくしていた町田くんは本当にそれでよかったのかと悩みます。今までの自分のことを「最低」と振り返ってもいました。町田くんの中で徐々に自己が育っていき、自己否定が生まれていきます。町田くんは散々揺れ動いていたので、一切ブレないというのはあまり適切ではありませんね。ブレブレでした。私はよかったんですけど、町田くんの優しさを物語の柱として観ていた人には、ちょっと疑問を感じる展開かもしれないです。


で、町田くんがどのように自己を肯定していくかというと「わからない」に正面から向き合うことなんですよ。世の中分からないことだらけです。自然はもちろん、全部分かっているはずの自分の中で渦巻いている気持ちすら分からない。でも、町田くんの父親は「わからないから素晴らしいんだ」と肯定しています。この父親の言葉を受けて町田くんはもがき苦しみながらも、「わからない」ことも含めて自分を認め、肯定したからこそ、自己が生まれ、ロボットから人間になっていきました


自己が生まれた町田くんが発した最後のセリフは、今まで幾度も発せられてきた言葉であるにもかかわらず、それまでとは全く違った意味を持って聞こえます。『町田くんの世界』は、町田くんに認められて周囲が成長していく物語かと思いきや、その実町田くん自身が成長する物語でもあったのです。もがき苦しみながらも、自己が生まれ、自己を認めて成長していく町田くんを人間らしく感じられることが、『町田くんの世界』が優れているポイントの一つだと私は感じました。




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以上で感想は終了となります。『町田くんの世界』、私好みの優しい世界の映画でした。現実にも町田くんがいてほしいくらいです。多くの人に受け入れられるタイプの映画だと思うので、よろしければご覧になってはいかかでしょうか。


お読みいただきありがとうございました。




参考:

映画『町田くんの世界』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/machidakun-movie/#index

自己肯定感とは(一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会)
https://www.self-esteem.or.jp/selfesteem/

自己肯定感―低い理由と対策(NPO法人カタリバ)
https://www.katariba.or.jp/news/2018/06/15/11006/

高校生の心と体の健康に関する調査(財団法人日本青少年研究所)
https://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/126/File/05_report_kokoro.pdf




おしまい




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こんにちは。これです。今日は長野も朝からずっと雨が降っていました。週間予報にも傘マークが並びもう梅雨の時期ですね。映画館に行く気も削がれてしまいます。


それでも私は雨にも負けず、今日も映画を観に行ってました。今回観た映画は『海獣の子供』。五十嵐大介さん原作の漫画を『鉄コン筋クリート』などのSTUDIO4℃が映画化した一作です。映画館には金曜の夜だというのに想像以上に人が入っていて、注目度の高さを窺わせます。


それでは、感想を始めたいと思いますが、まずは注意事項をいくつか。


・私は『海獣の子供』をはじめとした五十嵐大介作品を読んだことがない
・『鉄コン筋クリート』などのSTUDIO4℃の作品も見たことがない
・この感想は映画の謎を考察するものではない



特に最後は重要ですね。私も中盤までは「青と赤がどうこう」とかいろいろ考えていましたが、終盤のパワーに吹き飛んでしまったので。この感想はサブタイ通り「わからない」から面白いというスタンスでやっていきますので、それでもよければお付き合いください。よろしくお願いします。




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―目次―

・作画がとにかく凄い!
・キャストと音楽も素晴らしい!
・「わからない」から面白い!





―あらすじ―


光を放ちながら、地球の隅々から集う海の生物たち。

巨大なザトウクジラは“ソング”を奏でながら海底へと消えていく。

<本番>に向けて、海のすべてが移動を始めた―――。

 

自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海”とその兄“空”と出会う。

琉花の父は言った――「彼等は、ジュゴンに育てられたんだ。」 

 

明るく純真無垢な“海”と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空”。琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。三人の出会いをきかっけに、地球上では様々な現象が起こり始める。夜空から光り輝く彗星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング”とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。

“海と空”が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。

“海と空”はどこから来たのか、<本番>とは何か。

これは、琉花が触れた 生命の物語。


(映画『海獣の子供』公式サイトより引用)





映画情報は公式サイトをご覧ください








※ここからの内容は映画の内容を少し含みます。大きなネタバレはしていませんが、一応ご注意ください。














・作画がとにかく凄い!


『海獣の子供』の作画は、他の追随を許さない出来でした。普段アニメをあまり見ない私でも何か凄いこと起こってんなーと感じましたから、アニメに詳しい方にはもう卒倒もんではないでしょうか。


とにかく自然の描写が超超素晴らしいんですよ。海の底知れなさと、中に入っての透明感。空の広大な景色。吸い込まれるかのように鮮やかな星空。魚をはじめとした生き物はまるで生きているみたいでした。さらに、『海獣の子供』はその超絶作画を言語化できないイメージに載せて殴ってきます。琉花の経験するイメージは、私たちも途中まで本当に体験しているかのようでした。幾重にも色が重ねられた色彩が鮮やかなんですよね。


加えて、びっくりしたのがファンタジーにならずに現実をしっかりと描いていたこと。船の錆や家の塗装の禿げた壁なども包み隠さずに描いているのはとても良かったです。おかげで実写でもおかしくないようなリアル感がありましたね。特に中盤での魚やメガロドンが打ち上げられたシーン。あれ絶対臭いでしょう。魚の一匹一匹が質感まで丁寧に描かれていて、こちらにまで悪臭が伝わってくるようでした。思わず顔を背けたくなるようなリアル感があります。逆にパンとエビは超美味しそうでしたね。いい飯テロでした。


で、そのリアル感がファンタジーな演出を引き立てているんですよね。特に最後の祭りのシーンなんて圧巻ですよ。宇宙規模にまでなって惜しげもなくイメージが投下される。思考はどこかに飛んでいき、目の前の事象にただ圧倒されるのみです。これを言語化できる人は多分あまりいないんじゃないかな。訳の分からない凄まじさに思わず笑いがこみあげてくるぐらいでした。


この超絶作画が1,800円で見ることができるのは、お得といわざるを得ない。もはやタダ同然です。凄いもん観たとなること請け合い。ぜひとも映画館の大スクリーンで体験してみてください。




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・キャストと音楽も素晴らしい!


『海獣の子供』は主要キャラクターをいわゆる俳優の方が演じています。本業の声優さん以外が声を当てると叩かれがちですが、『海獣の子供』では、主要キャストの誰もが素晴らしい仕事をしていました。


まずは主人公の安海琉花を演じた芦田愛菜さん。『まんぷく』や『あいつ、今何してる?』で、ナレーション経験が豊富なおかげか、琉花の大人に近づいているけどまだ子供という、じれったい感じがうまく表現されていました。同年代のキャラクターに声を当てる利点が最大限に出ていたと思います。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』よりかは落ち着いた演技で、安心感さえ感じます。後半の感情が現れるシーンも抜群に良かったですし、もっと声を当てているところを聞きたいですね。もちろん、実写で演じているところも見たいですが。


続いて、ジュゴンに育てられた少年、。海を演じたのは『リメンバー・ミー』の石橋陽彩さんです。無邪気な海の性格に説得力を持たせる優れた演技で、映画の雰囲気をいい意味で軽くしていました。途中、鳴き声しか喋らなくなる展開があるのですが、鳴き声だけで感情が存分に伝わってきましたね。


でも、それ以上に凄かったのが空を演じた浦上晟周さんですよ。なんですか、あのクールでミステリアスな声。謎めきすぎて魅力が迸っているじゃないですか。キャラクターもイケメンで神話的な揺らめきがありましたし、人気出そうです。琉花を連れて潜るシーンなんて、こっちがドキドキしますよ。最高でした。


で、『海獣の子供』は大人のキャストもよくて。海洋科学者・アングラードを演じた森崎ウィンさんの語り掛けるような口調も、琉花の父親・安海正明を演じた稲垣吾郎さんの、いい意味で稲垣吾郎感のない脇役に徹する演技もよかったですし。説明不要の蒼井優さんも琉花の母親・安海加奈子役で出演しています(乾いた雰囲気が最高でした)。そして、映画を土台から支える田中泯さんと富司純子さんの貫禄。誰をとっても出色した演技で、すんなりと映画の世界に入っていくことができました。




さらに、言うまでもないことですが、あの久石譲さんが手がけた音楽も素晴らしいわけですよ。ピアノ中心で時にしっとりと、時に激しく。ザトウクジラの”ソング”も、高音のはずなのに心地よい周波数で感動します。


そして、私が『海獣の子供』の音楽で凄いなと思ったのが、主張しすぎていないところなんですよ。世界の久石譲さんが手がけた音楽なんて、耳を傾けたくなるに決まっているじゃないですか。でも、前に出る感じはあまりなく、あくまで脇役に徹していて、映画に集中させる役割を果たしていたのがいいなと。ただ、もちろん埋没するなんてことはなく、力強さも備えているので、映画と音楽がお互いを高めあい、高次へと向かっていくという理想的な関係性になっていました。


それと忘れてはならないのが米津玄師さんの主題歌「海の幽霊」ですね。劇中で出てきたワードをタイトルにしたこの曲は、オーケストラアレンジで壮大な印象があり、スケールの大きかったこの映画を締めくくるにはこれ以上ないモノでした。歌詞も映画の内容を踏まえていてグッときます。終わり方最高かよ。


というわけで、こういった最高の音楽に耳を傾けながら観るのも『海獣の子供』を最大限に楽しむ一つの方法です。ぜひどうぞ。




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・「わからない
から面白い!



さて、きっと『海獣の子供』を観終わった多くの人がこう思うでしょう。「わからない」と。評判を見ても「意味が分からない」というコメントが多く、実際私も全く分かっていません。でも、それでいいんですよ。この映画は「わからないことが分かる」映画なんですから。劇中に「宇宙の9割は観測できない暗黒物質」というセリフがありましたが、『海獣の子供』はまさにそんな暗黒物質のごとき映画です。


いや、何をやっているのかは薄っすらと分かるんですよ。生命の誕生だったり、コミュニケーションにおける言語だったり、命の繋がりだったり。『海獣の子供』はこういった難解なテーマを女の子の一
夏の海洋冒険に落とし込もうとはしています



琉花のひと夏の成長をはじめに示唆しておいて、海と空という二人の少年とのボーイミーツガールもありつつ、関係性を深めていく。ジュブナイルの王道です。私たちがかつて経験した少年時代をベースにすることで身近に感じようとはさせていますが、落とし込みきれずにガンガン溢れてしまっています。というか落とし込みきる気さえ感じられません。もっと分かりやすくしようと思ったら、あそこまでオーバーには描かないでしょう。この敢えて分からないようにしている演出が、私がこの映画を絶賛する最大のポイントです。


『海獣の子供』には公式サイトで多くのコメントが寄せられています。その中でも、私が一番この映画を言い表していると思うコメントが枝優花さんの以下のコメントです。


1秒も観逃していないはずなのに、愕然とするほどわからなかった。
それでも目、耳、におい、肌、体温、心臓、身体の全てがわかりたい、わかっていると熱くなった。
矛盾している?
それが映画だ。



知らない方に説明すると、枝優花さんは『少女邂逅』や『放課後ソーダ日和』などを監督し、『21世紀の女の子』にも参加された気鋭の若手映画監督さんです。『少女邂逅』はとても面白いので是非とも見てほしいんですが(レンタルショップにも並んでいると思います)、映画監督さんが映画を観て「わからない」って言っているんですよ。私達よりも何倍何十倍もの映画を観ているであろう映画監督さんが「わからない」ということは、私たち素人に分かるはずがないんです。というか私たち素人に全てが分かる映画なんてそれまでですよ。厳しい言い方になりますけど。


おそらく、この映画の評判はあまり芳しいものではないでしょう。「意味不」と叩く人も大勢いると思われます。私だって分かったつもりになんてなってないですし、普通の人が分からないモノを分かる俺すげーがやりたいわけではありません。ただ、ここで言いたいのは「意味が分からないからって叩く風潮はどうなの」ということです。




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近年の風潮として、とにかく「わかりやすさ」が創作物には求められていると私は感じています。実際に小学生が行うような学力テストでも、国語における読解力というのは何十年にも渡って下がり続けています。私も含め、その子供たちが大人になったことが、「わかりやすさ」を必要とする社会になった要因ではないでしょうか。


本来、「わからない」は恐怖です。未知のものに対する恐怖。理解して自分を安心させたいという心の働きは人間として当然のものだと私も思います。とかく全てに理由を求めたがる人がいるのも理解できますし、私もどちらかというとそういう人種です。


でも、「わからない」は可能性でもあるんですよ。「わからない」ことがあって、それを解明したいという思いがあったからこそ、人類はここまで発展してきたわけじゃないですか。宇宙の謎や愛の理由の全てが分かってしまったら、人類は進歩を止めてしまうことでしょう。


これは映画をはじめとした創作物にも適用できると考えられます。全てが分かってしまう創作物には、考察する楽しみがないですし、心に残る謎がないとその創作物は砂埃のように吹き飛んでしまうでしょう。「わからない」は決して悪ではなく、むしろ受け入れるべきものなんです。そういった意味で私は「わかりやすい」モノ=良いモノ、「わからない」モノ=良くないモノといった評価の仕方には大いに疑問を感じます


ここで誤解のないように言っておきますけど、私だって基本は「わかりたい」んですよ。だって、分かった方がやっぱり楽しいですし。それに「わかりやすくしようとしているのに、わかりにくくなっている」モノは批判しますよ。役目が果たせていないって。私の中でも「わかりやすさ」は優先順位がかなり高くなっています


でも、『海獣の子供』は私みたいな「わかりやすさ」が評価の上の部分を占めている人間に、全力で喧嘩を売っているんですよ。「わかるもんならわかってみろ」とでも言いますか。もう分かるように作っていないというか、あえて分からないように作っている可能性だってあります。「わかりやすさ」が評価されがちな現代に、これ以上ない一石を投じているそのスタンスが超好きです


それに、自然というのも「わからない」ですよね。人智の及ばぬ未知の領域。宇宙もまたそうです。そのことを「わからなく」することによって、『海獣の子供』は体現しているのかなとも感じました。波や星空や魚等の作画からも感じましたが、そのスタイルからも自然への畏敬の念は最大限に感じられます。ここも超好き。




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『海獣の子供』で面白いなと思ったのが、言い方悪いですけど、たぶんこの映画って稲垣吾郎さんや米津玄師さんに釣られてやってくる人も多いんですよ。その客層を意図的に取り込もうとしている感もありますし。で、その人たちにこれ見せるか!って。思っていた女の子と男の子二人の交流や女の子の成長物語と違う!ってなると思うんですよね。で、「思ってたのと違う」「わからない」と低評価すると。


これって私は見てないんですけど、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が公開された時の状況と酷似していると思うんですよ。あの映画も「思ってたのと違う」という酷評の嵐になったんですけど、今回の『海獣の子供』も、それに近い状況になりそうだなと。


でも、「思ってたのと違う」「わからない」人たちと『海獣の子供』は、バチバチにやりあうんですね。全く媚びる様子が見られない。それで「わからない」からと貶す人が続出するんだろうなと思うと、映画の途中からどうしようもなく笑えてきて。


それは『海獣の子供』が「わからないことが分かる」映画だと私が理解したのもあるんですけど、映画と観る人の対立構造が可笑しくて可笑しくて。映画が終わった瞬間に手を叩いて大笑いしてしまいました。映画の中はもちろんですけど、外も面白いっていうのはズルいですよ


『海獣の子供』は超絶作画やキャストの演技、主張しすぎない音楽の魅力もある一方で、現代に全力で喧嘩を売っている最高の映画です。映画の外の状況も含めて、個人的には今年のベスト候補ですね。みなさんもよければご覧になって「わからない」を楽しんでください。オススメです。




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以上で感想は終了となります。映画『海獣の子供』。ぶっちゃけ訳わかんない映画ですが、その訳わかんなさがいいので、興味があれば観てみてはいかがでしょうか。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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