こんにちは。これです。今回のブログも映画の感想になります。


今回観た映画は『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(『ヒックとドラゴン3』)。『ボス・ベイビー』などのDREAMWORKSが製作した『ヒックとドラゴン』シリーズの第3作目です。ツイッターで激押しする方がいたので、そんなに言うならと、観てきました。観るにあたって1,2もバッチリ予習。楽しみにしていた作品です。


そして観終わったところ、確かに面白かったです。でも、同時に観たかったのはこれじゃない……というもやもやした気持ちもありました。


では、なぜそう思ったのか。感想を始めたいと思います。拙い文章ですがよろしくお願いします。




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―目次―


・最初から最後まで楽しめる
・前半は好き
・ヒックの成長があまり感じられないのが問題だと思う






―あらすじ―


"ヒック"と"トゥース"たちが暮らすバーク島、定員オーバー!
新たな聖地を求めて旅立つ、壮大な〈引っ越し〉アドベンチャー!


かつてドラゴンは人間の敵だった。弱虫のバイキングの少年“ヒック”と、傷ついたドラゴン“トゥース”の活躍で彼らは共存する道を選び、バーク島で平和に暮らしていた。だが、ドラゴンが増え続けたバーク島は定員オーバー!
亡き父の跡を継ぎ、若きリーダーに成長したヒックは、島を旅立ち、みんなと新天地を探し求める決断をする。
目指すはヒックがかつて父から聞いた地図に載らない“幻の聖地”。この場所さえ探し出せれば、きっと平和に暮らせるはずだ。
しかし、大移動の旅の途中、最凶のドラゴンハンター、グリメルに命を狙われ、“トゥース”の前には白い謎のドラゴン“ライト・フューリー”が姿を現す…。
そして彼らが辿り着いたのは、人間は住めないドラゴンたちだけの<隠された王国>だった―!
人間とドラゴンとの共存は、本当に幸せなのか? “ヒック”と“トゥース”は別れる運命なのか?今、彼らの友情が試される―。

(映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』公式サイトより引用)




映画情報は公式サイトをご覧ください。











・最初から最後まで楽しめる


劇場に入って、定刻通りに上映がスタート。いくつかの企業CM(最初に流れる結婚式場のCMが最近新バージョンになった)を経て、予告編です。私は、この予告編を見るのが嫌いではなくて。「映画館にああこういう客だと思われているんだ」と知ることができるので、むしろ好きなのですが、この映画では予告編なしで、いきなり映画泥棒となりました。一回上映が10分くらい遅れて、予告編なしという事態には遭遇したことがありますが、定刻通りに始まった映画で予告編なしというのは初めてです。


その代わりに流れたのは、『ヒックとドラゴン』の1,2のおさらい映像です。それも日本オリジナルの。思えば、『ヒックとドラゴン2』は日本では劇場公開されなかったので、そこに対する配慮もあったのでしょう。2はYoutube等で配信されていますが、全員が観たわけではないので、これはありがたい。私は、前日と当日に1、2を観たので記憶が新鮮なままでしたが、この映画から初めてヒクドラに入る人も置いてけぼりにしない親切設計でしたね。(なら、『ヒクドラ2』を劇場公開しとけやという話ですが)


それに、この映画って本編が終わった後のエンドロールにもお楽しみがあるんですよね。3作全部観た人へのスタッフからのプレゼントみたいでした。さらに、黒バックに白字のいわゆる普通のエンドロールでも、楽しく見られるように考えられていて。映画を作る過程が、古代画みたいに合間合間で流れるんですよ。次は何が来るんだろうと心待ちにしている自分がいて。最初から最後まで楽しめるようにこの映画はなっていました。私が観たときはエンドロールで帰ってしまう人が何人かいたんですけど、これから観る方には、ぜひ最後まで楽しんでいただきたいです。




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・前半は好き



舞台はヒクドラ2の1年後。ヒクドラは1,2ともに、「ここはバーク島」というヒックのナレーションで始まっていました。なので、この映画もその始まり方を踏襲するのかなと思っていましたが、それは全く違くて。暗闇の中、ヒックたちがどこかの船を奇襲するシーンから始まるんですよね。とはいえ、悪いことをしていたのはこの船団の方で、ドラゴンを捕縛していて、ヒックたちはそれを助けようとしていました。この始まり方は少し意外でしたが、いきなりバトルを持ってくるのは観客の興味を引き付けるという点では良かったと思います。


そして、ヒックたちは解放したドラゴンをバーク島に匿います。ヒックが言うにはそこは人間とドラゴンのユートピア。島は発展し、カラフルな建物が立ち並び、ドラゴンが自由に空を飛んでいます。しかし、バーク島で匿えるドラゴンの数はもう限界に達していました。


ヒックの回想でドラゴンが生まれる島があるというのが示され、今回のゴールが提示された後、今回の敵グリメルがヒックを襲います。グリメルはナイト・フューリー殺し。これまでの敵の中でも最も賢い敵。「人間とドラゴンは共存できない」という考えを持ち、ドラゴンを殺そうとします。かつてのバイキングのようですね。


この映画のテーマは「人間とドラゴンは本当に共存できるのか?」というものだったように思えますが、このグリメルの問いにヒックたちが満足いく解を出すことができたかというと、正直答えはノーかなと。別に結果の話ではなくて、その過程の話ですね。これについてはまた後で述べたいと思います。




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一方、この映画ではトゥースの方にも変化が訪れます。ある晩、トゥースが出会ったのは全身が白い謎のドラゴン。ナイト・フューリーのメスであるそのドラゴンの名はライト・フューリー。白くてつるっとした質感のあるその姿は、可愛さと神秘性を兼ね備えていました。


また、この映画ではトゥースもかつてないほど可愛いんですよね。この映画はドラゴンパートが今までで一番多かったんですけど、そこのトゥースがどれも可愛い。特にライト・フューリーに求愛のダンスを贈るシーンといったら。二本足で立ってステップを刻もうとするんですけど、そのぎこちなさが可愛いんですよね。これまで以上にトゥースが人間くさく見えて、ここはこの映画の大きな強みだと思います。


ヒックの方に話を戻します。グリメルは一度は退却していったものの、またバーク島にやってくるといいます。そこでヒックが取った対策は、バーク島から逃げて、ドラゴンが生まれる島を目指すというもの。大勢のドラゴンとともにバーク島の住民は西を目指し、途中にあった島で拠点を張ります。しかし、その行程はグリメルに後を追われていました。


しかし、そんなことは露知らず、トゥースはライト・フューリーに夢中。二人で雲の上を飛び交い、ついにはドラゴンが生まれる島に辿り着きます。帰ってこないトゥースを心配したヒックとアスティは、トゥースを探しに出かけ、その島を見つけます。


そして、中に入るとそこには、きらびやかに光る岩肌が。ドラゴンの卵がオレンジに光り、付加したばかりのベビードラゴンが光のシャワーのように降り注ぎます。ヒクドラの売りの一つが迫力の3Dアニメーションにあることは言うまでもありませんが、この映画でもそれは健在。このドラゴンの生まれる島のシーンは、とても幻想的。さらには、ドラゴンや人だけでなく、雲や海水がよりクリアに描かれ、ヒクドラ2からの進歩を感じます。『アナと雪の女王2』を観ていない身分で言うのもなんですが、今年屈指と言える出来だったのではないでしょうか。こちらもオススメです。


と、ここまでは良かったんですけど、問題はここからなんですよね……。この後半があまり楽しめなくて……。もちろんヒクドラを観続けた人には感動する展開なんですけど、個人的にはドラゴン頼みが過ぎると感じてしまいました。




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。また、批判意見ですので、『ヒックとドラゴン』がお好きな方はご注意ください。










・ヒックの成長があまり感じられないのが問題だと思う


この映画は「人間とドラゴンの共存」というテーマの他に、もう一つテーマがあると思います。それは「ヒックの成長」です。むしろ、こちらの方が三作を通じて描かれた、最も大きなテーマと言っていいかもしれません。臆病なもやし野郎だったヒックはトゥースと出会い、交流の中で成長し、ドラゴンと人間は共存できることを訴え、バーク島の住民の考え方を変えました。これが1。そして、母・ヴァルカとの再会や、更なる強敵との戦い、さらには父の死を乗り越えて、バーク島の長として認められるまでに成長した。これが2。どちらも共通しているのは、ヒックの成長はドラゴンありきだったということです。


ただ、この映画ではトゥースは一人で飛べるようになっていて、ヒックを必要とする機会も少なくなっています。そこで、ヒックは自分には何ができるのか悩む。「あの子はドラゴンがいないと何もできないと思い込んでる」とヴァルカが語るように、ヒックにとってトゥースを始めとするドラゴンは自らを成長させてくれたかけがえのない存在。しかし、いつまでもおとぎ話に頼るわけにはいかず、別れのときはやってきます。この映画では「ヒックの自立」が描かれていました。でも、ここに私は不満を感じています。


この映画を観て、いや、観る前から私の頭に思い浮かんでいた映画があります。それがこちら。


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トイ・ストーリー3』です。


私がツイッターでフォローしている人の中に、ヒクドラが大好きな方がいまして。めちゃくちゃヒクドラ関連のツイートをリツイートしてくるんですよ。それでこの映画の評判も観る前から結構入っていたんですけど、そのなかに「ヒックとトゥース、それぞれの決断」みたいな言葉があったんですね。あ、これ『トイ・ストーリー3』じゃんって。かけがえのない存在との別れを描くんだなというのはこの時点で薄々感じていました。ちょうどシリーズの3作目ということも同じですし。


ですが、この別れの描写は『トイ・ストーリー3』に軍配が上がってしまうかと、個人的には思います。理由はその別れ方にあります。





この映画では、ライト・フューリーを人質(ドラゴン質?)に取られて、トゥースを始めとしたドラゴンが奪われてしまいます。今までドラゴンに頼りきりだったヒックは、ここで初めて、ドラゴンなしで事態に立ち向かうことを余儀なくされます。今まで自分を支えてくれたかけがえのない存在の喪失。それはヒックにとって体の一部を奪われたに等しい痛み。当然、悩み沈んでしまいます。


ここでアスティが説得に入るのですが、ちょっとここあっさりしすぎていたかなと。だって、ヒックにとっては今までの人生、自分の存在価値すら揺るがすような、大きな課題なんですよ、これは。そこを2分にも満たない説得で解決されるのは、簡単すぎると思います。課題が大きいだけに、もっと悩んでほしかった。もっとへこんで、そこから仲間の助けによる再起が観たかったというのは偽らざる思いです。だってそっちの方が私は好きですし。


言ってしまうと、この映画って人間ドラマが薄いんですよ。ドラゴンと人間のドラマはしっかり描けています。ただ、それは前2作でやったことですし、3ではもっと別のものを見せてほしかった。それこそ、『トイ・ストーリー3』でアンディが悩んでいたのと同じように。人間ドラマが薄かったせいで、その後の別れにもあまり説得力がありませんでしたし、ヒックとアスティの結婚式に至ってはちょっと置いていかれた感じになりました。




それに、この映画って繰り返すようですけど、ドラゴンとの別れを描いています。いわばファンタジーな存在との別れ。ここで映画を観終わって私が思い出したのはドラえもん、その中でも「さようならドラえもん」です。


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はい、ここは皆さんご存知の有名シーンですよね。なので説明はしませんが、問題はこののび太並みの決心がヒックにあったどうか。こちらも残念ながらノーと言わざるを得ません。


なぜかというと、最後のヒックの作戦もドラゴンが助けてくれることありきだからです。対人のバトルは確かに、ドラゴンの力に依らないものでしょう。まあこちらもめっちゃドラゴンに頼っていましたけど、いいとします。しかし、決着がトゥースの新能力でついたことがまずい。トゥースの雷を呼び寄せる力に頼らず、ここはヒック自らの力で決着をつけてほしかった。こんなの「さようならドラえもん」で、のび太が秘密道具に頼るようなものですよ。感動も何もないですよ。つまり、最後の最後までヒックはドラゴン頼みから卒業できていないんです。


それにも関わらず、ヒックたちはドラゴンと別れます。理由は「自分たちといるとドラゴンに危害が及ぶから」。まあ分からなくもないですが、これって消極的な理由ですよね。「自分たちは不安だけど、ドラゴンとは別れる」という未練ある別れですよ。


一方の、『トイ・ストーリー3』。アンディは「自分にはもうおもちゃが無くても大丈夫」と、他の子におもちゃを譲ります。『ドラえもん』でも「自分はもうドラえもんがいなくても大丈夫」であることを、ジャイアンとのケンカでのび太は示します。この「自分はもう大丈夫」が、この映画にあったかといわれると、残念ながら私にはそうは思えませんでした。後ろ向きな別れ方じゃなくて、『ドラえもん』や『トイ・ストーリー3』のように前向きな別れ方をしてほしかった。別れのシーンはヒクドラを観続けた人にとっては感涙ものですが、私はヒックの成長をあまり感じることができなかったので、泣くことはありませんでした。




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あと、これは完全に個人の好みですが、終わり方この映画ではヒックとアスティ、そしてその子供が、トゥースとライト・フューリー、そして同じくその子供と再会し、空を飛ぶシーンで終わります。「ドラゴンは存在している。でも、僕たちはそれを秘密にしておこう」というのは、夢のある終わり方で全く悪くはありません。でも、個人的にはこの不完全な別れよりも、もう二度と会えないという完全な別れの方が好みなんですよね。


いや、分かるんですよ。完全な別れを描いたら、それこそ『トイ・ストーリー3』になってしまうというのは。どうにかして、『トイ・ストーリー3』と被らないように腐心したのも見てとれます。でも、個人的には完全な別れの方がなぁ。そちらの方が成長も描けるような気がして好きなんですけど、うーん……。


まあ、映画の評価なんて主観で結構ですよね。客観的な評価は評論家の方に任せておけばいいですし、思っていた終わり方と違うからといって低評価を下すのは完全なお門違いです。私の考えていた、ヒックの子が、さらにその子にドラゴンの話をおとぎ話として聞かせる。雲の上ではドラゴンの飛び交う姿が、みたいな終わり方ってありがちすぎますし。でも、私はこっちが観たかったんだよ……。本当に自分勝手ですみません。




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以上で感想は終了となります。


映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』、好きか嫌いかで言えば好きなんですけど、微妙に好みから外れた映画でした。要するに私にはあまり合わなかったということですね。でも、観る価値は存分にあったので、後悔はしていません。気になっている方がいたら、映画館で見ることをお勧めします。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい 





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