こんにちは。これです。今回のブログも映画の感想になります。


今回観た映画は『前田建設ファンタジー営業部』。マジンガーZの格納庫を作るという無茶なプロジェクトに情熱を注いだサラリーマンの物語です。一見すると空想上の話に思えるかもしれませんが、なんと実話だそうで。前田建設ファンタジー営業部も実在しているそうなんですね。空想に本気で取り組むユーモラス。映画自体の評判も上々で期待も高まります。


で、観たところ期待をはるかに上回る面白さでした。面白過ぎて途中で涙出てきたくらいです。今年観た映画の中でも一二を争う楽しさがありました。


では、感想を始めたいと思います。全くまとまっておらず、また拙い文章ですがよろしくお願いします。




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―目次―

・俳優さんたちの好演が映画に熱を与える
・人を動かし、ワクワクさせるのは好きという情熱




―あらすじ―


2003年.前田建設工業のオフィスの片隅にある広報グループ。
社会人になったら粛々と生きていく、と働くことに情熱を見いだせないでいたドイ(高杉真宙)が憂鬱そうにパソコンに向かっている。満面の笑みをたたえたグループリーダーのアサガワ(小木博明)の「マジンガーZの格納庫を作れるか」という問いに、適当に答えるドイ。そんな二人のやりとりに、同グループのベッショ(上地雄輔)、エモト(岸井ゆきの)、チカダ(本多力)も入ってきて口々に持論を展開する。部下たちが話に乗ってきたタイミングを見計らい、アサガワの声が轟いた。

「うちの技術で、マジンガーの格納庫作っちゃおう!」


しかし、昨今では、新規事明らかに縮小、民間営業は厳しいコスト合戦を強いられている。そんな中でも、どこかにブルーオーシャンがあるんじゃないか・・・。あったんだよ!それが、マンガやアニメの世界、つまり空想世界からの受注だったんだよ!空想世界では、毎週のように、さまざまな建造物が、作っては壊され、作っては壊され!そんな奇跡のようなニューフロンティアに、わが社がいち早く、乗り込もうじゃないか!」

かくして、アサガワに巻き込まれる形で広報グループは、マジンガーZの地下格納庫を作る依頼をファンタジーの世界から受けたという体裁で、検討に向け始動する。アサガワが上層部やマジンガーZの権利元に次々と根回しをし、部員たちも創意工夫を凝らしていくが、前途多難な問題が次々と襲い掛かる。

最初は、冷ややかだったドイも、渋々ながらも巻き込まれた部員たちと共に、掘削オタクで土質担当のヤマダ(町田)、クセの強いベテラン機械グループ担当部長のフワ(六角)、さらに社内だけでなく社外からも協力を得て、前代未聞のミッションに立ち向かっていく。


(映画『前田建設ファンタジー営業部』公式サイトより引用)





映画情報は公式サイトをご覧ください。











・俳優さんたちの好演が映画に熱を与える


まず、この映画はプロローグ一切なしで会社のシーンから始まります。広報グループで粛々と仕事に取り組む主人公のドイ。そこに部長のアサガワがマジンガーZが表紙の雑誌ドーンと置きます。主題の提示まで一分と掛かっていない。素晴らしいスピード感です。


そして、その後のさりげない会話でキャラクターの性格を見せるのがまた上手いんですよね。土井はあくまでクールでツッコミ役。会話を引っ張るアサガワの快活さ。ドイの先輩であるベッショの調子のいい性格。アニメに詳しくないし、関心もあまりないドイの同僚のエモト。普段は目立たないけれど、アニメのこととなると目の色が変わるチカダ。わずかなシークエンスで口調やワードチョイスを駆使してキャラクターを観客に理解させる手法は見事だと感じました。ベッショが溜めて色のいい返事をしたのが好きですね。


それになんといってもあのオープニングですよ。アッパーな曲を背景に特殊効果を用いて臨戦態勢。全員キメキメで思わず笑ってしまうほどでした。実写映画であそこまでちゃんとしたオープニングがあるのはなかなか珍しいのではないでしょうか。特に風に吹かれる土使い・岸井ゆきのさんが好きでした。あそこ髪に隠れた目が決まりすぎてぞくっとします。本編で宇宙に行きそうになっていたのと同じ人物とは思えないほどでした。


それにエンドロールも凝っていたのが最高でしたよね。氣志團の熱い曲に合わせて、手帳やら付箋やら事務方の道具に合わせてキャスト&スタッフの名前が書かれるという。これも後でも書きますけど、意味のないことなんですよね。エンドロールって普通に黒地に白文字で十分ですもん。でも、意味のないことに全力を傾けるこの映画を踏襲していて、遊び心があって、最初から最後まで楽しむことができました。本当に始まって秒で楽しい&面白くて、それが途切れることなく最後まで続くんですよね。どこをとっても楽しく面白く、まるで金太郎飴みたいだなって感じました。めちゃくちゃ優秀なエンターテイメント映画だと思います。









また、この映画の見どころとして挙げられるのが俳優さんたちの好演。この映画では基本的に喜怒哀楽をはっきり出したオーバーめな演技を皆さんされていて、その熱量が虚構に真剣に取り組むこの映画になくてはならないエンジンとなっていたように感じました。もちろんオーバーに演じればいいというわけではありませんが、ファンタジー営業部の面々が情熱を傾けて積算に取り組んでいる様子が、この映画においてはばっちりとハマっていたんですよ。


まずは、ドイを演じた高杉真宙さん。働く喜びを感じられないというキャラクターですが、高杉さんのあっさりとした出で立ちがピッタリでした。周囲が夢中になっていく中で置いてけぼり感を食らっているところの演技が好きでしたね。そこからの真剣に積算に取り組むようになるシーンのギャップよ。とある問題が発生した時に熱い気持ちを吐露するシーンは、本当に目の色が変わったようでした。終盤の状況が呑み込めていない雰囲気も良かったですね。観ている人の気持ちを演技で代弁していて。


続いて、ベッショを演じた上地雄輔さん。すぐ乗せられるチョロさが最高でした。調子のいい性格で、アサガワとチカダの次にプロジェクトを引っ張っていくのですが、その役柄をやや大げさに、それでもキザになり過ぎず演じていたのが印象的です。上地さんのパブリックイメージに近いキャラクターだったので、その分力も発揮しやすかったのでしょうか。口調も極めて自然体でこういう人いそうだなという親近感がありました。


次に、エモトを演じた岸井ゆきのさん。『愛がなんだ』での演技が記憶に新しいところですが、この映画では反対に、プロジェクトという対象からは距離を置く役柄です。その何言ってんだみたいな目線が刺さりました。難しい単語を処理できずまどろみ、宇宙に行っている演技はなおのこと刺さりました。あそこから真顔に戻る瞬間最高。でもって、土質担当のヤマダとの二人のシーンは、その微妙な距離感が良かったですよね。恋の始まりみたいな感じ。あそこの岸井さんのさりげない笑い方好きです。


さらに、チカダを演じた本多力さんの、オタクっぷりが板についていること。マジンガーZのオープニングを見ているときのはしゃぎっぷりは身に覚えがある人もいるんじゃないでしょうか。その後の周囲に引かれるところまでセットで。でも、プロジェクトについて語るときの本多さんの幸せそうな表情と言ったら。まさに水を得た魚ですよ。あと協力会社に一人放り込まれるところの心細そうな演技がツボでした。生まれたての小鹿みたいだった。


他にも、掘削オタクのヤマダを演じた町田啓太さんの純粋で心優しそうな感じや、ベテラン社員のフワを演じた六角精児さんの、落ち着いていながらちょっと可笑しい演技など魅力的な俳優さんたちを上げればそれこそキリがありませんが、やはりこの映画の一番のポイントは課長でプロジェクトリーダーのアサガワに、本職俳優じゃないおぎやはぎの小木博明さんを起用したことだと思います。この大胆なキャスティングがめちゃくちゃ功を奏していたんですよね。


そもそもこのアサガワはそのハイテンションで物語を引っ張るという非常に重要なキャラクターでした。これをですね、小木さんは声を張り上げて見事なまでに演じているんですよ。そのテンションや調子のいい態度、距離をすぐ詰めてくる感じなど、若干うざったいぐらいです。ややドライな目が眼鏡で強調されてよりうざい(褒めてます)。笑った顔に少しの悪意がにじみ出ているのもまたいいです。状況を楽しんでいる感じがして(褒めてます)。こういう人いるよねという。でも具体的な名前は思いつかないという絶妙なリアル感。小木さん以外にはあまりできない、この映画のMVPといっても過言ではないと思います。よく考えついたなぁという感じです。





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・人を動かし、ワクワクさせるのは好きという情熱



マジンガーZの格納庫を作る―。弓教授から空想世界通信装置で受注を受けた体で、見積もりを出す―。しかし、実際には作らない―。その無茶なプロジェクトに、アサガワとチカダは俄然乗り気ですが、ドイ、ベッショ、エモトの3人はあまりやる気がありませんでした。こんな無償で意味のないことをして何になるの?といった感じです。それは映画を観ている私たちも同じ。マジンガーZの格納庫を作る意味も意義も見出せません。ドイたちの冷ややかな態度は観ている私たちがそこにいるかのようです。


でも、この3人を動かしていくのが好きという気持ちであり、情熱なんですよね。ベッショは連載をしているサイトに誹謗中傷を書き込もうとしますが、マジンガーZ好きな警備員が話しかけてくることで、取り止めます。穴を掘る掘削に興味がなかったエモトも、掘削が好きで自分の仕事に誇りを持っているヤマダの熱にあてられていきます。ドイもベテラン社員のフワの出す問題に答えようと、ダムの勉強をして、実際に前田建設工業が作ったダムを見に行く。そして、フワの「建設業はまだまだ人をワクワクさせられる」という言葉に心動かされていきます。


その過程で、ドイやエモトらが掘削を見に行くシーンがあるのですが、ドリルでガリガリ掘っていく掘削は実に地味な作業です。しかし、普段は見られない大掛かりな重機が稼働し、私たちの知らない世界を観ることができます。また、スケールの大きなダムの裏側も見せてくれますし、知的好奇心が刺激される大人の社会科見学といった側面もこの映画は持っていました。やっぱり単純にスケールが大きいのはいい。マジンガーZも格納庫も、大きい物には無条件で興奮してしまいます。大は小を兼ねるのです。どうせやるならでかい仕事を、地で行く有り様で実にいいです。


で、この好きという情熱がエンジンとなって三人を変えていくというのが良いですよね。やっぱり好きは最高のエネルギーですよ。嫌いよりも好きで動いたほうが良いですよ。だってドイたちに好きなものを語る彼らの目は輝いていましたもん。眩しいくらいです。好きという情熱はまだまだ人を動かせる、ワクワクさせることができるんです。好きという情熱にあてられた土井たちの目もまた輝いていた。私には好きなものが一個もないのでとても羨ましく感じましたね。




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そして、観ている私たちもいつの間にかキャラクターたちの好きという情熱に感化させられて、プロジェクトの中に取り込まれていく。前田建設ファンタジー営業部の一員になることができるというのがこの映画の面白いところでして。マジンガーZの格納庫が作られるのを観たいという気持ちに自然となってしまうんですよね。目を輝かせて夢を語る彼らを観ていると。映画の中にいる感覚が味わえるのとっても良きでした。だからこそ、マジンガーZが〇〇した時のうろたえっぷりね。あそこはおいおいマジかよってファンタジー営業部と同じテンションになりましたし、その後の途方に暮れるのも同じでしたよ。貴重な映画体験でした。


それとこの映画を観て感じたのが、仕事に誇りを持てるっていいなということです。なんというか本当に好きで仕事をやっている感じ。仕事にワクワクしている感じが私には全くないので、そこも羨ましかったですね。私のやっている仕事に誇りなんて一ミリもないですし、毎日が本当につまらない。ワクワクすることなんて皆無なんです。でも、この映画のキャラクターは自分の仕事に誇りを持って、働くことを楽しんでいる。その姿は私には眩しすぎました。やっぱり仕事って人生の大きな部分を占めますし、ひいては彼らって人生楽しそうだなって思います。もちろん上手くいかないこと、辛いこと多々あると思いますが、それを含めて楽しそうだなって。


また、この映画ではその誇りや楽しさが、マジンガーZの格納庫を作るという意味のないことに向けられているのが最高でした。言ってみれば、これは映画だって同じだと思うんですよ。いや本や音楽や漫画やゲーム、全ての創作物にも当てはまると思います。これらの創作物ってただ生きていくだけなら必要ないんですよね。映画を観て楽しい気持ちになったからって何?ゲームをしてステータスを上げたところで何になるの?現実は何も変わってないよね?という。意味ないじゃんという。


でも、その意味のないことが大事なんですよ。世の中では。確かに現実は動かないとしても、楽しいと感じたこと、面白いと感じたこと自体がとても大切なことなんですよ。夢を見る、夢に騙される心の余裕がなかったら人生はつまらないですよ。夢なんてなくて毎日を屍のように過ごしている私みたいに。マジンガーZの格納庫を作ること自体に、映画自体に意味なんてなくても、人をワクワクさせることができたなら、明日への活力になったらそれでいいじゃないですか。つまらない現実の中でワクワクする瞬間が欲しいんですよ、私は。




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この映画ってすごく質の高いエンターテイメント映画、娯楽作になっていると思うんですけど、その楽しいということの価値をヒシヒシと感じましたね。観ている最中、ずっとニヤニヤしていましたもん。うわー楽しい、面白ぇーって。難関のプロジェクトにチームで挑んでいく様は王道で面白いのは言わずもがな。好きを語るキャラクターたちがとても生き生きとしていて、観ていて体の奥の方から面白さが湧いて出る感覚を味わえました。しばらく忘れていたプリミティブなワクワク感を味わうことができて満足です。エンタメとしての価値や矜持みたいなものを感じました。


そして、そのワクワク感は原始的なものであるがゆえに、老若男女問わず響くと思うんですよね。この映画で印象的だったのが、ベッショの子供がマジンガーZを観ているところなんですよ。言葉を覚えるよりも先に来る原始的なワクワク感を子供ながらに感じている。それは、世代を超えて受け継がれていくものだろうと。終盤のカタルシスを感じるシーンでベッショの子供がなぜかいたのもそれを象徴していると思います。意味のあることよりも、意味のないことが原始的に胸に響く。意味のないことの持つ力が存分に表れていて、ここ大好きなシーンでした。理想であり、救いでもありますよね。意味にとらわれてしまう私たちにとっての。


これまた楽しいエンドロールが流れて、この映画を観終わったとき、私はもう一年が終わってしまったと感じたんですよね。だって、『前田建設ファンタジー営業部』を観終わった瞬間ほど、楽しく、ワクワクする瞬間なんて、今年中には訪れないと直感しましたから。それくらいの満足感。単純な面白さでは今年一番で、エンタメの底力を見せられた思いがします。映画でワクワクしたい人にはこれ以上ないほどお勧めです。マジンガーZを知らなくても十分に楽しめますのでぜひ。




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以上で感想は終了となります。『前田建設ファンタジー営業部』、個人的には現時点で今年のベストを争うくらい好きな映画となりました。専門用語は飛び交いますが、何も考えずワクワクすることができるので、ぜひ映画館に足をお運びください。強く勧めます。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい 





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