こんにちは。これです。3月も過ぎて、今年も就職活動が始まりましたね。テレビでマイナビなんかがCMを打ち出しているを見るといよいよかと思います。でも、今年はコロナウィルスの影響で合説などが中止になっていて、就活も普段とは違う様子です。一日でも早く収まって、元の生活に戻れたらいいですね。


さて、今回観た映画は、そんな就活をテーマにした映画『新卒ポモドーロ』です。私は50社くらい落ちて、新卒で入った会社も半年で辞めたダメ人間なので、就活のことはあまり振り返りたくないのですが、この映画は採用側の視点から就活を描いたものらしく。どんなことを考えて落としやがったんだろうと、少しの意地悪さを持って観に行ってきました。


では、感想を始めます。拙い文章ですがよろしくお願いします。



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―目次―

・現在の就活を知ることができたのはよかった
・映画としては少し……






―あらすじ―

福岡で急成長しているベンチャー企業、アイセンス。だが、ある日、社長の北村創次の強引なやり方についていけなくなった社員たちが一同に退職。競合となるGIファクトリーを設立する。1年後、GIファクトリーの商品により案件をいくつも奪われ、未だ退職者たちの穴も埋まらぬアイセンスは危機的状況に陥る。
北村は社運を賭け、社内横断のプロジェクトチームを結成し、中途採用から一転、会社初となる新卒採用に乗り出す。そのプロジェクト・リーダーに大抜擢されたのは、大学時代に学んだ社会心理学を活かし、高い営業成績をあげている若手社員の川島美沙だった。
新卒採用の知見も豊富な予算もない中、優秀な学生をどう採用すればよいのか?
会社の立て直しを目指し、新米採用リーダー・川島と社長・北村の挑戦が始まる。

(映画『新卒ポモドーロ』公式サイトより引用)





映画情報は公式サイトをご覧ください








※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。










・現在の就活を知ることができたのはよかった


『新卒ポモドーロ』は「#観る就活」プロジェクトの一環として制作された映画です。去年の『40万分の1』(未見)に続いて、今年も制作されたこの映画。前作は大手広告代理店への就職を目指す学生たちの物語でしたが、今作はITベンチャー企業の採用側から見た就職活動を描いています。そこで描かれたのは新たな就職活動の形でした。


それは自己PR動画WEB面接に現れています。履歴書ではなく、実際に喋っているところを伝える自己PR動画は、私が就職活動をしていた4年前にはまだあまり見当たらなかったもので(もしかしたらベンチャー企業ではもうなされていて、目に入らなかっただけなのかもしれないけど)、時代の移り変わりを感じましたね。


また、スーツ姿ではなく、自宅でラフな格好で撮っている学生もいたりして、セルフプロデュース能力が求められて、大変そうだなと感じました。彼らも自分を売り込むことに必死で、いくら売り手市場とはいえ、学生は今も考えることが多いんだなと同情してしまうほどです。私が今、就活生じゃなくてよかったと思ってしまいました。


さらに、就職活動で学生の負担になるのが交通費です。私も東京の大学に通いながら、就職活動は地元でしていたので、けっこう交通費がかかっていましたが、この映画でもそのことは描かれていて。福岡在住の学生が広島や愛知、川崎などにまで面接を受けに行くって言うんですからね。LCCがあるとはいえ、交通費はバカにならないです。


その解決策として導入されたのが、WEB面接。アプリでつないで現地に行かずとも面接ができるという。便利ですよね。ここ最近で急に普及してきたのかな。これ、私が学生のときにもほしかったなと思います。対面でしか分からないこともありますが、学生の負担を減らすためにはいい案で、現在の就職活動の一端を見ることができました。


この映画が言うには、近年の就職活動って学生ファーストになってきているんですってね。なるべく学生の負担を減らそうという向きになっているらしいです。まあまだまだ売り手市場で、学生の立場も強くなっていますしね。ホームページもターゲットとなる学生に合わせて、広告ブランディング?をして、ガラッと変えていかなければいけないみたいな話もありましたし、この映画ではこうした企業側の苦労も描かれていました。


現場での会社説明会などといった旧態依然の採用活動をしていても、来てくれる就活生は少なく(私4人よりももっと少ない説明会体験したことある)、オンラインでの説明会など様々な工夫を凝らして、良い学生を採用しようとしても、会社が求めるような優秀な学生には、既に内定が出ていて内定辞退されることもある。この映画でも面接辞退もありましたし、にっちもさっちもいかない採用側の苦闘も感じ取ることができました。


さらに、どこの会社も優秀な学生を採用しようと躍起になっていますから、インターンや早期採用などは当たり前。それに、この映画ではそれ以上にえげつない、社内秘の情報を会社の人間がライバル会社に漏らして、ライバル会社が学生をかっさらうみたいなことも行われていましたし、過熱化する企業側の競争も見ることができました。公正さなどあったものではありません。実際がどうなのかは知りませんが、そういう裏側を感じ取ることができたのは、この映画を観て良かったところの一つですし、「#観る就活」プロジェクトの看板に嘘偽りのない作品になっていると思いました。



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・映画としては少し……


ただ、『新卒ポモドーロ』は、映画としては個人的にはあまりハマらなかったんですよね。それはもう最初から出ていて。この映画って福岡が舞台で、登場人物が博多弁で話すんですけど、その博多弁がどうも取って付けた感があるんですよ。


正直、この映画の博多弁ってあまり上手くないというか、わざとらしさがありまして。予算や時間があまりなかったのかもしれないですけど、もう少し自然にできなかったのかなとはどうしても感じてしまいました。俳優さんの演技も不自然な博多弁に引っ張られてしまって、フラットな評価はできないですし、ここはちょっともったいなかったのかなと思います。いっそのこと、標準語でやってくれた方が、個人的には良かったです(そう考えると方言ってけっこうリスク高いですよね。上手くできて当たり前で、少しでも違和感があると批判されるっていう)。


また、ストーリーの方もちょっと平坦な感じはしました。前半はまだしも、中盤からはただ就職活動の流れを追っているだけな感じは否めないんですよね。登場人物が全員良い人すぎるというか、トラブルらしいトラブルも情報漏洩ぐらいしか起こりませんでしたし、それもストーリーに波風立てるにはちょっとパワー不足かなと……。


入ってくる者に対して、去る者も描いているのは良かったのですが、もう少し深刻な事態になってほしいなとは思いながら観ていました。いや、映画の中では大変なんでしょうけど、それがイマイチ伝わってきづらいというか……。もう少しストーリーに山が欲しかったかなというのは正直なところです。


それに、終わり方も唐突で。それまで採用活動の苦労を描いているのは良かったんですけど、ラストシーンでいきなり新入社員が入社していて、ライバル会社から受注を取り返しているんですよ。確かに、ライバル会社に水を開けられているという描写はありましたけど、それを取り返すだけの描写ってこの映画の中ではなくて。あまりに急すぎて、あれ?寝ちゃった?と思ったほどです。こういったこじつけ気味の終わり方じゃなくて、普通に採用できました、さてこれからだみたいな終わり方の方が、この映画では自然だったんじゃないかなと思ってしまいます。



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そして、実を言うと一番ハマっていないのが「#観る就活」プロジェクト自体なんですよね。この映画って、旧態依然の採用活動をしていた人たちは上手くいかなくて、担当を外されて、一人は信頼されていないことがショックでライバル会社に移籍してしまいます。ネット等を活用した新しい就職活動の形みたいなものを描きたかったにしても、ここはちょっとぞんざいに扱い過ぎている気がします。


で、さらに言うと、この映画自体が旧態依然の採用活動から抜け出せていない気がするんですよね。ほら、最近では2022年から新卒一括採用が見直され、通年採用に切り替えるみたいな話が出ているじゃないですか。すでに外資系の企業とかでは、通年採用が広く普及していますし。ベンチャー企業とかって大企業よりもその辺身軽に動けそうなものなんですけど、アイセンスは新卒一括採用をしているわけですよね。つまり、新しいことをしているようで実はそうじゃないんですよ。この中途半端な立ち位置が、もしかしたら私がこの映画にハマらなかった一番の理由だったのかもしれません。


まあこうして映画として見せてもらう機会がないと、就職活動のことは意識しないので、「#観る就活」プロジェクトにも意義はあると思うんですけど、もし来年も映画が制作されるのであれば、この新卒一括採用廃止による変化というテーマに向き合ってほしいとは思います。じゃないと来年見るかどうかは正直……。でも、このテーマでやってくれたら、私は来年公開されて観にいける機会があれば、観に行きたいなとは思います。もし来年も制作されるのなら、もう企画も固まっていそうなものですが、どうなんでしょうか。



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以上で感想は終了となります。お読みいただきありがとうございました。


おしまい 






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