2018年で結成20周年を迎えたストレイテナー。それを記念して今日10th Album「Future Soundtrack」がリリースされました。私は昨日、平安堂(分かるあなたは長野県民)にてフラゲでゲット。帰ってさっそく聴きました。



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以下、音楽的なことをあまり書かない感想になります。拙い文章ですが何卒よろしくお願いいたします。



今回の「Future Soundtrack」ってタイトル通り未来志向な曲が多いと思うんです。

「Future Dance」では未来に向かって踊る。
「After Season」では次の季節のことを想う。
「灯り」では今夜の君を想像する。
「もうすぐきみの名前を呼ぶ」では物語の始まりを歌う。
「The Future Is Now」ではそのまま未来を見に行く。
「Last Stargazer」では未来永劫の愛を誓う。
「月に読む手紙」では未来に向けて再び歩き出すために手紙を書く。
「Our Land」では今すぐには訪れない遥か未来の情景が描かれる。
どの曲にも共通しているのは矢印が未来に向かっているという点です。



繰り返しになりますがストレイテナーは今年結成20周年を迎えました。アニバーサリーイヤーというこの機会に過去を振り返ってみたんでしょう。ホリエさんとシンペイさんの2人体制でスタートし、日向さんが加わって3人になり、大山さんが加わって4人になり、その時々で絶えず作品をリリースしてきた。そんな歴史を顧みて、そして回想が終わったとき、4人の目の前に広がったのは未来。「Future Soundtrack」はストレイテナーがこれまでの20年を噛みしめて、でもそこで終わりにするのではなく、次の20年に向けて踏み出そうという決意のアルバムなんだと思います。



加えて今作「Future Soundtrack」って前向きで希望が見える曲が多いとも思うんです。

「Future Dance」では踊るのは「まだ知らないきみに出会う」ためで、
「タイムリープ」では何かが変わるかもしれないという希望が芽生えて、
「Boy Friend」ではロックンロールから受け取った希望が歌われ、
「灯り」では「僕」が今夜の「君」に期待で胸を膨らませ、
「もうすぐきみの名前を呼ぶ」では「ぼく」はポジティブな返答だけを想像し、
「The Future Is Now」では涙というネガティブなものよりも笑顔というポジティブなものが「僕」を突き動かすエネルギーになり、
「Superman Song」では今度はロックンロールが与える希望が歌われ、
「Last Stargazer」では「ぼく」はできるはずもない永遠の愛をできると信じて疑わず、
「Our Land」ではいつか一つになれるという願いにも似た希望が描かれています。



何度でも言いますが、ストレイテナーは今年で結成20周年です。今まで危機的状況や思うようにいかなかったこともたくさんあったことでしょう。でもそれを乗り越えたことで4人は揺るぎようのない自信を手に入れたんじゃないでしょうか。自分に自信があると自然と思考も明るくなってポジティブなことや楽しいことを考えたりしますよね。「今までできなかったことも今の自分ならできるんじゃないか」という希望も出てきます。今作「Future Soundtrack」はそんな希望に満ち溢れたアルバムだと感じました。聴いてて明るい気分になれる。



でもこれはそれまでのストレイテナー像とは少し変わってきていて。今まで世の中に対する怒りや嫉妬みたいなネガティブな感情を歌に込めてきた部分も過去のストレイテナーにはあるんじゃないかなって個人的には考えてるんですけど、「Future Soundtrack」にはそういったカラーはそれほど見られないようになってるんですよね。完全になくなったわけではないですが。ホリエさんもインタビューで「」と語ってますし、世の中に対して以前より憎まなくなったというか受け入れてるのかなって感じました。だから世の中に対してまだ怒り・嫉妬・憎しみみたいなものをバリバリ覚えてるような方にはもしかしたらこの変化は受け入れられないのかもしれない。「もう俺の好きなテナーじゃなくなっちまった」って。念のため言っておきますが、それは個人の好みですし、別に誰に責められるものでもないです。
一方で、よく言われることですけど「バンドは生き物」なので変わっていくのがむしろ当然なんですよね。人だって0歳の頃と20歳の頃じゃ全く違いますよね。それと同じです。ですので月並みな言い方になりますが、その変化を受け入れて楽しむこともできると個人的には思いますし、私はもう受け入れてますね。はい。なので「Future Soundtrack」はこれからも続いていくであろうストレイテナーの変化を楽しむという聴き方もできると思います。



まあここまでだいぶ書いてきましたけどまあ言いたいことは「名盤なので買って」ってことだけですね。とにかく買って聴いてほしいなって思います。





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以下、全曲感想みたいなもの。



1.Future Dance

緩やかにでも確実に始まりを告げる曲。サビで入るストリングスが浮遊感あります。夢の中みたい。それとベースはワウを踏んでるのかな。ベースの得体のしれない音がこの曲が持つ掴みどころのなさを増幅させてていいですね。私的な歌詞もこの曲の持つセンチメンタルな空気にマッチしてます。未来に向かって踊るのは過去を忘れないためという「明日」と「昨日」の対比が素敵。あと最初聴いたときにPerfumeが始まったのかと思っちゃったのはここだけの話です。



2.タイムリープ


先行シングル「The Future Is Now」のカップリング曲としてリリースされたこの曲。「タイムリープ 」ていうのは「時間跳躍」っていう意味なんですけど、この曲でタイムリープをしている対象って歌詞の中の「ぼく」ではなくて「きみ」ですよね。タイムリープしている本人にはその分の記憶があるんですけど、周りはそれを知らないでただ日々を生きているだけです。でも「ぼく」は「きみ」が何回も自分の前に現れていることを知っている。世界の理を外れた二人だけのドメスティックで一方向なラブソングです。とても切なくてロマンチック。ところどころ入る日向さんのスラップが個人的には好きですね。



3.After Season

ここにきてアップテンポな曲の登場です。立ち止まることを知らないロックンロール。なんか10年くらい前のテナー感がありますよね。シンペイさんの疾走感溢れるドラムがたまらなくかっこいいです。歌詞の方もずっと婉曲的な表現で進んでいるんですけど、ラストのサビで「ここに居てほしいんだ」や「何も要らない」などどストレートな表現になってるんですよね。このいろいろ考えていたけどもうどうでもよくなって吹っ切れた感が好きです。ライブで映えるだろうなあこの曲。あーテナーのライブ行きたい。



4.Boy Friend


この曲も配信限定で先行リリースされていた曲です。「Boy Friend」ってタイトルや歌の内容から女性視点でバンドマンの彼氏に抱いてる思いを歌った曲と表面的には受け取れます。けどこの曲の主題ってたぶんそんなところにはないですよね。私達から見たストレイテナーやロックンロールそのものなんですよねこの曲って。「きみのその声に救われてるのは 誰よりぼくなんだ」という歌詞に頷く人も多いでしょうし、私たちごととして受け取れるのがこの曲のいいところですよね。多分詩を書いたホリエさんも似たような経験をしてることでしょうし、ホリエさんの「ロックンロールに向けたラブレター」みたいな曲なのかなと私は感じました。



5.灯り

秦基博さんとコラボして作られたこの曲。どうですか。クリスマス感半端ないでしょう。どこをどう切り取ってもクリスマスが顔を出してきます。このアルバムでたぶん一番ポップな曲なんじゃないでしょうか。希望に満ち溢れてますよね。今夜の君に対して一切ネガティブなイメージを描いていない。12月24日の夜に街に流れてきそうという意味でとてもポップです(12月24日にポップじゃない曲が流れますかって話)。秦さんの実直な歌声とホリエさんの艶のある歌声のハーモニーも素晴らしいですし、秦さんのアコギとテナーのバンドセットのセッションも1+1が3にも4にもなってる。これ結構売れたんじゃないかなあ。実際どんくらい売れたんでしょう。



6.もうすぐ君の名前を呼ぶ

こういうタイトルが日本語の文章になってる曲ってテナーでは珍しくないですか。大体英語で日本語の時は単語ですもんね。大山さんのかき鳴らしてるギターがこの上なくエモいです。この曲についてホリエさんはインタビューで歌詞の書き方を少し変えたと言っています。「1曲の中で場面が切り替わっていく」歌詞になっているらしく、確かに見てみると時系列に従った歌詞になってます。朝日が昇って明るくなるにつれて「ぼく」の気持ちも明るくなり、告白するという決意も確かになっていくのが「がんばれ」というこちらの気持ちを駆り立てます。背伸びをしていないラブソングで、個人的にも共感度が高いので好きです。



7.The Future Is Now

先行シングルとして発売されたこの曲。先のインタビューでホリエさんは「今回はもともとあるエモーショナルな楽曲をダンスミュージックの要素も取り入れながら、その両方が融合するように作りたいと思って」とも語ってます。素人ながらその要素が一番入ってるのがこの曲なんじゃないかなって思ってまして。すごいダンサブル、踊れる曲ですよね。サビで転調するじゃないですかこの曲。なんていうんですか4つ打ち?ディスコビート?に変わって(よく分からないですけど)、大雑把に言うとノリがよくなるんです。ここで一気に視界が開ける感じがとてもいいですね。あしたっていまさッ!



8.Superman Song

8曲目にしてこのアルバム初めての英詞の曲。この曲も踊れる曲ですね。大山さんのカッティング奏法とか、ちょっとファンクっぽいところもあるのかな。そこまでテンポは速くないんですけど自然に体が動いてくる。歌自体はロックンロールがもたらす衝動を歌ってますね。個人的にはあらゆるテーマの中で最も好きなテーマです。だからこの曲も当然好き。「だって今夜ぼくらは若いんだ」。Live Foreverや!永遠に生きたるんや!それと「ぼくはきみのスーパーマンになりたい」って。私にとってホリエさんやテナーはもうとっくにスーパーマンなんですけどね。初めて聴いた時から。



9.Last Stargazer

きましたよ。このアルバムで一番の盛り上がりを見せる曲が。アップテンポで一気に駆け抜ける爽快感がたまらないです。綺麗なパンク。最高にかっこいいです。また、歌詞もこのアルバムで一番直球ですよね。最後の「ぼくはいつまでも ずっときみを愛するって誓う」なんてStargazerの持つ「夢想家」という意味そのままで、なんてロマンチックなんでしょう。この曲もライブ映えしそうですよね。逆にこの曲が盛り上がらなかったらどの曲が盛り上がるんだってレベルで。



10.月に読む手紙

この曲もシングルカットされてますよね(今回多いなシングルカット)。ホリエさんとアコギと大山さんのエレキのツインギターが主役の曲で、その掛け合いが面白いなって。まあ私がツインギター好きっていうのもありますけど。それと分類としては失恋ソングになるんですかね。失恋した後もまだ「愛してます」なんてとても未練ったらしいですけど、でも雰囲気で強引に納得させてしまい力が堀江さんの歌声にはありますね。嫌味っぽく聞こえないというか。あと「他愛のない事を 思いのままに綴って」ってツイッターっぽい…ツイッターぽくない?



11.Our Land

最後にとてつもなくスケールの大きな曲が来ました。ホリエさん曰く「国対国みたいな、めちゃめちゃ壮大な愛を歌っているんですけど(笑)」とのこと。このアルバムでもぶっちぎりで詩的で神秘的です。正直よく分からないんですけど、でも無理くり納得させられる凄みがこの曲にはありますね。音的には大山さんのエレキが最後の力を振り絞るかのようにかき鳴らされてるのが最高にエモい。あと日向さんのベースも大分主張してくるのもいいですね。そしてこの曲の消せない過去を抱えながらも、一歩一歩未来に向かって進んでいくという前向きさがアルバムの最後を飾るにふさわしいなって思います。











以上になります。

ミドルテンポの曲が多く、じっくり聞けるアルバムかと思いきや「After Season」や「Last Stargazar」では一気に盛り上がる。また「The Future Is Now」や「Superman Song」はテナーの中でも屈指の踊れる曲で、静と動のバランスに優れたアルバムだと感じました。オススメです。ぜひ聴いてみてください。

お読みいただきありがとうございました。



おしまい


Future Soundtrack(初回限定盤)(DVD付)
ストレイテナー
ユニバーサル ミュージック
2018-05-23