こんにちは。はじめましての方ははじめまして。そうでない方はお久しぶりです。これです。
今年の下半期もまた大変でしたね。夏になって少しはコロナが収まったかと思えば、寒くなり始めてまたぶり返しはじめて。全国で数千人規模で新規感染者が増え続け、東京だけでも一日千人に近づく勢いです。公開延期が相次いだ春先よりも数字だけ見れば、深刻な事態なのに、一部洋画大作以外は公開延期もほとんどなく、関係者の皆様が尽力してくれたおかげで、私はこの半年も映画館ライフを満喫することができました。この場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
さて、私はというと特にコロナに罹ることもなく、体調も崩すこともなく、人生に絶望して自殺することもなく、何事もなく一年を終えることができようとしています。特筆すべき出来事は27年連続で起こらなかったのですが、今年ばかりは一年を終えられたことにホッとしていますね。
でも、ブログの更新頻度はガクンと落ち、この記事も最後の更新から二ヶ月ぶりという体たらく。文学フリマをはじめとして、一次創作をがんばりたいと思って、最初は意図的に更新頻度を落としていましたが、今では「映画の感想ってどうやって書くんだったっけ?」というモードになってしまいます。怠惰とは恐ろしいものですね。誰も期待していないとは思いますが、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
と、暗くなるような近況報告はこの辺にして、そろそろ本題に移りましょう。今回のブログはこの時期恒例の映画ベスト10。そのなかでも今回は2020年下半期の個人的映画ベスト10を発表したいと思います。
選出基準は以下の二点です。
・2020年7月1日~2020年12月30日までに映画館で鑑賞した映画であること
・私個人の好きを最優先にすること
今年はステイホームもあり、配信という鑑賞スタイルがますます浸透し、私も何本か見ましたが、やはり見るたびに、映画館の大スクリーンが恋しくなってしまうんですよね。逆説的に、映画館で映画を観ることの喜びを今までにないほど感じた一年だったので、今年も映画館で鑑賞したという条件を設けさせていただきます。
それと、個人の好みを優先した方が、大作映画がズラーッと並ぶランキングよりも多様性が出て楽しいと思うので、今年も色眼鏡満載でお送りさせていただきます。どんな偏ったランキングになろうとも、それはそれでいいじゃないですか。ねぇ?
では、ランキングを発表する前にまずはノミネート、すなわち2020年下半期に鑑賞した映画のタイトルを挙げさせていただきます。
※2020年上半期に鑑賞した映画、およびマイベスト10については、これ的!2020年上半期映画ベスト10!をご覧ください。
2020年下半期に鑑賞した映画一覧
・娘は戦場で生まれた
・MOTHER/マザー
・私がモテてどうすんだ
・透明人間
・マルモイ ことばあつめ
・悲しみより、もっと悲しい物語
・ステップ
・ドロステのはてで僕ら
・劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ~映画になってちょーだいします~
・コンフィデンスマンJP プリンセス編
・君が世界のはじまり
・#ハンド全力
・アルプススタンドのはしの方
・映画ドラえもん のび太の新恐竜
・ぐらんぶる
・劇場版 ごん GON, THE LITTLE FOX
・はちどり
・糸
・思い、思われ、ふり、ふられ(実写)
・弱虫ペダル
・2分の1の魔法
・のぼる小寺さん
・許された子どもたち
・青くて痛くて脆い
・事故物件 恐い間取り
・なぜ君は総理大臣になれないのか
・宇宙でいちばんあかるい屋根
・リスタートはただいまのあとで
・僕たちの嘘と真実~Documentary of 欅坂46~
・映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者
・窮鼠はチーズの夢を見る
・カセットテープ・ダイアリーズ
・ミッドウェイ
・劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
・思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ)
・れいこいるか
・TENET/テネット
・映像研には手を出すな!
・ミッドナイトスワン
・浅田家!
・実りゆく
・8日で死んだ怪獣の12日の物語‐劇場版‐
・パブリック 図書館の奇跡
・星の子
・望み
・ソワレ
・きみの瞳が問いかけている
・スパイの妻
・みをつくし料理帖
・劇場版鬼滅の刃 無限列車編
・朝が来る
・罪の声
・とんかつDJアゲ太郎
・おらおらでひとりいぐも
・羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来
・さくら
・ホテルローヤル
・魔女見習いをさがして
・STAND BY ME ドラえもん2
・ジオラマボーイ・パノラマガール
・泣く子はいねぇが
・本気のしるし《劇場版》
・水上のフライト
・佐々木、イン、マイ、マイン
・君は彼方
・友達やめた
・ガンバレとかうるせぇ
・歩けない僕らは
・魔女がいっぱい
・天外者
・滑走路
・約束のネバーランド
・アンダードッグ 前編
・アンダードッグ 後編
・私をくいとめて
・82年生まれ、キム・ジヨン
・空に住む
・劇場版ポケットモンスター ココ
・ジョゼと虎と魚たち
・映画 えんとつ町のプペル
・小さなバイキング ビッケ
2020年下半期は計81本の映画を鑑賞しました。去年の下半期が70本だったので、コロナ禍にも関わらず10本以上増えていますね。暇だったのもありますけど、感想を書かなくなったらこれくらいいってしまいますよ。一日に複数本観ることも増えましたしね。
それでは、いよいよ2020年下半期映画ベスト10を発表したいと思います!果たしてどの映画がランクインしたのでしょうか!?
第10位:ジョゼと虎と魚たち

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1984年に発表され、2003年には実写映画化された同名小説が、2020年の最後になってアニメ映画化されました。あっさりとした味わいだった実写版に加え、アニメ版は恋愛色を色濃くし、最後も明確なハッピーエンドで結ばれます。
予告の印象から、一人で観るのは少しキツイかなとも思いましたが、主眼が夢を目指すことの痛みと喜びに移っていたので問題なかったです。家の中という狭い世界に囚われていたジョゼが、恒夫と出会うことで外の世界を知り、最後には心が折れかかった恒夫を励ます。そして、ジョゼ元らと戦うことを決意するという流れは実写映画にはなく、見事な再構成です。劇中作に自分たちの状況を乗せて、希望を語るというのはオタクなら全員好きなはず。
清原果耶さん演じるジョゼも実写版とはまた違った可愛さがあります。まだまだ上映中ですので、年末年始にご覧ください。
第9位:僕たちの嘘と真実~Documentary of 欅坂46~

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【ネタバレあり】映画『僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46』感想【彼女たちは何に勝とうとしたのだろうか】
欅坂46(現櫻坂46)を全く知らない状態で観に行き、度肝を抜かれたドキュメンタリーが第9位にランクインです。まず特筆すべきは随所にちりばめられた欅坂46のパフォーマンスでしょう。グループアイドルにとんと疎かった私は、その計算されつくしたダンス、歌、それに伴う表現性にスクリーン越しに魅了されました。
ただ、この映画で描かれるのは、バックステージの苦悩。メンバーのインタビューで構成されていますが、メインとなったのは絶対的センターである平手由梨奈さんと他メンバーの対立です。というか平手さんのインタビューがないので、肝心なところは分からないのですが、大黒柱である平手さんが不在になるケースが増え、メンバーの動揺が見ていて辛い。
さらに、観ていてキツかったのが平手さんvs他メンバーの対立をプロデュースする大人たちが提供し、ファンが文句も言わず受容しているという構図です。望まない方向にショーアップされていく。「大人たちに支配されるな」と歌う本人たちが大人の言いなりになっているという皮肉。特にラスト付近の『黒い羊』は観ていて顔をしかめてしまうほどおぞましいものでしたが、それを求めたのは他ならぬファンなのです。共犯関係。
このように色んな人たちをグサグサ刺した『僕たちの嘘と真実~Documentary of 欅坂46』、Blu-ray&DVDは2月3日発売です。いや、正気か。
第8位:パブリック 図書館の奇跡

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【ネタバレあり】映画『パブリック 図書館の奇跡』感想【社会問題をエンタメに乗せて届けた傑作】
大寒波が街を襲い、行き場を失くしたホームレスが図書館を占拠?さて、司書のグッドソンはどうする?というこの映画。ホームレス問題という社会問題を扱っていますが、大事なのはそのエンタメ性の高さ。数人のネームドキャラは全員キャラが立っており、占拠をやめさせたい刑事との取引もあります。事態を悪化しかさせない検察官のおかしさも好きですが、何より良いのがそのオチです。一度見たら忘れられない、それでいて誰も傷つけないあの解決方法は見事というほかありません。
ですが、この映画の根底に流れているのは確かな怒りです。書物に記されることのないホームレスたちが自分たちを記録に残そうと声をあげる。その声に応えて映画にしたエミリオ・エステベス監督はとても良い仕事をしたと思います。私、観た後に日本のホームレスの方にできることはないかとビッグイシュー基金に寄付しましたからね。鑑賞した人の行動を変えるのが良い映画だとすると、この映画は間違いなく良い映画です。
第7位:魔女見習いをさがして

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『おジャ魔女どれみ』は断片的に見ていた私。とはいえ、成人してしばらくたちその存在を完全に忘れていたところで現れたのがこの映画です。大人になったどれみたちを描く、のではなくかつて『おジャ魔女どれみ』を観ていた年齢も住む場所も違う三人が、『どれみ』の聖地を旅するというお話です。ポップなアニメーション的な表現が随所に盛り込まれていて、キャラクターも表情豊かで観ていて楽しいのがまずポイント高いですね。
また、別々の人生を歩んでいた三人が共通の思い出のアニメでつながるというのも二十年が経ったから出来るお話。『どれみ』が導いた縁で三人の抱える問題にも希望の兆しが見え、『どれみ』に限らず何かに夢中だったあの頃を肯定してくれます。最後のメッセージもすごく素敵。観終わってから数日は予告編と「おジャ魔女カーニバル!」をヘビロテする生活が続きました。
今ならまだギリギリ映画館で観られると思うので、『どれみ』を知っている人も知らない人も興味があるならぜひ観てみることをお勧めします。もしかしたらハンカチを持っていった方がいいかもしれません。
第6位:アンダードッグ

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前後編で四時間半以上の長編ボクシング映画が第6位にランクインです。描かれるのは三人のボクサーとそれを取り巻く周囲の人生模様。落ちぶれて負けっぱなしの燃えカスボクサー。将来を有望視させるも黒い過去を持つ天才ボクサー。番組の企画でボクシングに挑戦する燻る二世芸人。映画で描かれるのも、デリヘル、別居、虐待、復讐、殺人未遂、乱痴気騒ぎと観ていて勘弁してくれよというような展開が続きます。
だからこそ、リングに上がるまでが暗ければ暗いほど、リングに上がった男たちの輝きが増すのです。前編のショー含みの対決ですら火傷するような熱さを含んでいて、後半のラストバトルはまさに魂と魂の応酬。『百円の恋』のチームが製作したとあって嘘のないボクシングシーンは見物です。激しい熱に思わず拳を握りました。少し長いのがネックですが、前後編通して観ていただきたい映画です。
そして、『アンダードッグ』は2021年1月1日からドラマ版が配信開始。全8話で映画よりも長くなっていますが、それに見合うだけの見ごたえはあると思いますので、映画館に行けない方はぜひ配信でもお楽しみください。
それと、石崎ひゅーいさんの主題歌『Flowers』が最高オブ最高でしたので、そちらも注目していただきたいです。前編が終わった後の歌い出しで電流が走りました。個人的最優秀主題歌賞です。
第5位:滑走路

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たまたま行った東京で、偶然観た映画です。32歳の若さで命を絶った歌人・萩原慎一郎さんの唯一の歌集を映画化したもので、お話もそちらに寄り添ったものになっています。一見関係がないように見える三つのストーリー。それぞれが独立してままならない日々を描いていきますが、ある点で三本が交差する。その時の虚を突かれたような衝撃を私は今でも忘れられません。
それは言ってしまうと、自殺した少年が繋いだものなのですが、これは間違いなく萩原さん自身も差しているでしょう。いじめや非正規雇用に追い詰められて自ら命を絶った萩原さん。この映画でなされたのはそんな孤独な魂の救済なんです。たとえ忘れられたとしても、一緒に過ごした時間は消えない。誰にだって必死に生きた日々がある。そういった目線が自死した全ての方に向けられているように感じて、目頭が熱くなりました。
観終わった後は即歌集を買いましたし、あまりランキングにいれる人はいないかもしれませんが、この魂の叫びはなんとしてでも残しておかなければならないと思って、ランクインさせました。
第4位:アルプススタンドのはしの方

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【ネタバレあり】映画『アルプススタンドのはしの方』感想【その他大勢にだってできることはある】
今年の邦画界のダークホース。舞台は甲子園(という設定)。全校応援で連れてこられてテンションの上がらない四人の学生が主人公となっています。グラウンドを映さずに全編観客席のみという構成ながら、清々しい青春映画となっていました。
インフルエンザ(だったと思う)というしょうがない理由で演劇の大会に出られなかった安田と田宮。その二人が、試合に出れず野球部を辞めてしまった藤野や帰宅部の宮下と喋りながら野球を観戦しています。相手は強豪校で勝てる見込みは薄い。なのに、「しょうがない」と言わず立ち向かう野球部の姿を見て、がんばれと声をあげる。腐っていることなら誰にでもできるけれど、応援することも誰にだってできる。たとえ、顧みられることはないその他大勢であっても。その必死な声に私は心を動かされました。
また、グラウンドを描かない代わりに、学校の中心人物であるブラスバンド部の久住の苦悩を描くことで、野球部の苦闘を想起させる仕組みも上手いです。物語の中心人物だって悩んでいるし、闘っている。応援というのはその物語に参加し、共闘する行為なんだと感じました。コロナ禍で声を出しての応援が制限される今の時代だからこそ、響く映画だと思います。
Blu-rayは1月20日発売。また、現在DVDレンタルやAmazon Prime Video等での配信もなされています。76分とそこまで長くないので、年末年始のお供にいかがでしょうか。
以上、第10位から第4位の発表でした。いかがでしたでしょうか。邦画が多いですね。
ここでベスト3を発表する前に、惜しくもランクインすることがなかった第20位~第11位を一気に発表します。
第20位:なぜ君は総理大臣になれないのか
第19位:のぼる小寺さん
第18位:コンフィデンスJP プリンセス編
第17位:罪の声
第16位:朝が来る
第15位:ミッドナイトスワン
第14位:思い、思われ、ふり、ふられ(実写)
第13位:娘は戦場で生まれた
第12位:映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者
第11位:本気のしるし《劇場版》
それでは、いよいよベスト3の発表です。果たして2020年下半期映画ベストに輝いたのは、どの映画なのでしょうか!?
第3位:マルモイ ことばあつめ

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【微ネタバレあり】映画『マルモイ ことばあつめ』感想【今年の韓国映画でもトップクラスの傑作】
アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』や『はちどり』など、韓国映画が大きな話題を集めた今年。その中で私はこの『マルモイ ことばあつめ』を推したいです。
舞台は1940年代、当時の韓国は日本統治下に置かれ、朝鮮語を話すことは統制されていました。朝鮮語を話すことができない子供もいたり、無理やり日本名に変えられるなど、見ていて気分が悪くなるほどの日本化政策。言葉を奪い、魂からして日本人に染め上げようとするその動きは、教科書では一文に収まってしまいますが、フィクションとはいえ実態を知ると、大きな反感を抱いてしまいます。
この映画は辞書を作って朝鮮語を残そうとした人々の反抗の記録です。お調子者のパンスと真面目なジョンファンというバディ要素を含ませながら、言葉に宿る人々の誇りを描いています。言葉を知っていくパンスが陽気に街を歩くシーンは、彼の世界が広がったことを示す名シーンの一つでしょう。だけれど、言葉を奪うというのは見える世界がまた一つ奪われてしまうということ。一つの物差しでしか世界を測ることができなくなるということ。
それに抵抗しようとした人が何十人もいる。この事実だけで計り知れない熱さがあります。映画の終盤には銃も登場しますが、言葉は命に匹敵するくらい大切なものということでしょう。世界から消えてしまった、または消えようとしている言葉たちに目を向けることができる傑作でした。
第2位:佐々木、イン、マイマイン

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一年の終わりが見えてきた時期に公開され、一気に今年の邦画を代表する作品となった傑作です。もともと注目度はあまり高くなかったように記憶していますが、予告編を見たときから、いい感じにダサくて、格好悪くて、みっともなくて、私の好みだと感じていましたが、想像以上に心にねじ込んできました。
佐々木コールがなされれば、どこでも服を脱ぐお調子者だった佐々木をめぐるお話なのですが、なんてことはない学校の日々が描かれていて、好感度が高いです。もうファーストカットからして大好きですし、全てのシーンが愛おしくてたまりませんでした。
ただ、この映画の主人公は東京で売れない俳優をしている石井です。別れた彼女と未だ同棲していて、アルバイトで生計を立てている燻った男ですが、彼が俳優を志したのって、佐々木に勧められたからなんですよね。自分は片親の家庭で、その父親も全然帰ってこないし、やりたいことができない。その影を垣間見た瞬間に、私たちは立体的に佐々木という人物を知るのです。私たちと何ら変わらない人間であると。
「さよならだけが人生だ」とは、もう誰が言い始めたのか分からないくらい有名な言葉です。石井が演じる戯曲のタイトルも「ロング・グッドバイ」。この映画は青春にさよならを告げる物語なんです。言えなかった「さよなら」を胸に抱いて生きていく。「さよなら」を言える人間がいることの僥倖。別れを告げても、青春めいたものは確かに心に残っていて、ふとした瞬間に自分を励ましてくれる。悲しいばかりではない「さよなら」に私は終盤、涙が止まりませんでした。三回観て、三回とも泣きました。
人生に別れは不可避なのだから、多くの人が自分のこととして受け取れる映画だと思います。
第1位:れいこいるか

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下半期の1位も同じく「さよなら」を描いた作品です。松本で一回しか上映されなかった作品ですが、他のどの映画にも負けない強い印象を残しました。
主人公はある一組の夫婦。仲睦まじく、というわけではないながらも一緒に暮らしていた二人は、阪神淡路大震災で一人娘のれいこを亡くしてしまいます。この映画は夫婦の二十三年間という長い期間を描いた映画となっています。
この概要だけ聞けばお涙頂戴ものに思われるかもしれませんが、本編は全くそんなことはなく、人々がお酒を飲んで、笑って、平凡に暮らしている様子がかなりの長い時間映されます。まるで震災なんてなかったかのように。被災者というと、いつまでも悲しみに沈んでいるといった姿がイメージされるかもしれませんが、この映画はそれを軽やかに裏切ってきます。最初はストーリーの希薄さに戸惑いもしましたが、どんな大きな災害があろうとも人々の暮らしまでは奪えないという力強さを感じてからは一気に好きになりました。
ただ、娘を亡くした夫婦に代表されるように悲しみは、底の方で横たわっています。ただ、それでも生活はあるし、生きていかなければならない。この映画は度々時間が飛びますが、その間にけっこう大事なことが起こっていて、それを見せずに感じさせるといった映画的省略にセンスを感じました。
別れた夫婦が再会する終盤も、悲しみを表に出さずに明るく振る舞っている姿には、感動しましたし、本当に何でもないようなセリフで号泣してしまいました。最後も復興のシンボルを映すことで、希望を提示していて最高です。
ずっと心に残るであろう映画となった『れいこいるか』が、下半期のマイ・ベスト・ムービーです。
2020年下半期映画ベスト10一覧
第10位:ジョゼと虎と魚たち
第9位:僕たちの嘘と真実~Documentary of 欅坂46~
第8位:パブリック 図書館の奇跡
第7位:魔女見習いをさがして
第6位:アンダードッグ
第5位:滑走路
第4位:アルプススタンドのはしの方
第3位:マルモイ ことばあつめ
第2位:佐々木、イン、マイマイン
第1位:れいこいるか
以上、2020年下半期映画ベスト10でした。いかがでしたでしょうか。
詳しい総括は明日の年間ベスト10に譲るとして、割合で見れば邦画8本、洋画2本と今年も邦画が優勢となりました。なんか映画好きたるもの洋画を評価してナンボみたいな風潮がありますが、それに逆らうように邦画ばかり選んだ私のランキングはなかなか独特なものではないでしょうか。特に中小規模の公開作品に傑作が目立ちましたね。偶然観てランクインした映画もあるので、2021年も大作ばかりではなく、ミニシアター系の作品も少しはチェックしてきたいと思います。
今年のブログ更新もこれにておしまい。みなさん、よいお年を!と言いたいところですが、まだ年間ベストが残っています。これを書いている現時点では、まだ全く手を付けていませんが、なんとか明日投稿できるように頑張りますので、今しばらくお待ちください。
それでは、また明日!お読みいただきありがとうございました!
おしまい
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