こんばんは。これです。今日は12月1日で「映画の日」でしたね。どの劇場でも映画が1000円で見られるというお得な一日でした。というわけで、私も観てきました。「くるみ割り人形と秘密の王国」です。


ディズニー映画ということでちょっと期待して観に行きましたが、結果はまずまず。悪くない映画だとは思いますが、睡魔に負けて途中で寝てしまい、残念な映画鑑賞になってしまいました。


もう内容もそれほど覚えていないですけど、今回も感想を始めたいと思います。拙い文章ですがよろしくお願いいたします。



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~あらすじ~

愛する母を亡くし、心を閉ざしたクララがクリスマス・イヴにもらったもの、それは鍵のかかった卵型の入れ物。「あなたに必要なものはすべてこの中にある」———母が遺した言葉の意味を知るために、クララは鍵を探し始める。その晩開かれた名付け親であるドロッセルマイヤーのクリスマス・パーティーで、彼からのプレゼントを受け取る糸をたどるゲームに参加したクララは、いつの間にか不思議な世界へ足を踏み入れていた。

鍵を追ってクララが迷い込んだのは、息を飲むほど美しく幻想的な世界。それは、色とりどりの花と緑で覆われた“花の国”、キャンディやマシュマロでできた“お菓子の国”、雪と氷がクリスタルのように輝く“雪の国”、そして謎の多い“第4の国”からなる誰も知らない<秘密の王国>。プリンセスと呼ばれ戸惑うクララだったが、やがて、この世界を創り上げたのが亡き母であることを知る。だが、マザー・ジンジャーが支配する“第4の国”が反乱を起こし、王国は消滅の危機に瀕していた。

母が愛した王国を救えるのは私しかいない———心優しい“くるみ割り人形”フィリップとともに、“第4の国”へと旅立つクララ。それは、この美しい世界に隠された<真実(メッセージ)>を探す、驚くべき冒険の始まりだった…。


(映画「くるみ割り人形と秘密の王国」公式サイトより引用)




※ここからの内容はネタバレを含みます。ご注意ください。










まず、この映画でよかったのが映像美。クリスマスパーティーはとても華やかで、宮殿は栄えていて壮大。雪の国のしんしんとした雰囲気や、第4の国のおどろおどろしい空気。どれを取っても見事で、映画の評価を大きく上げていたと思います。相当お金かかってるんだろうなあ。


次によかったのがバレエシーン。もちろんバレエ自体が美しいのももちろんですけど、重要なのはその使い方。退屈になりがちな世界観の説明を、バレエの持つ引きつける力を使って行うことで、観る人の理解を促し、王国の世界にグッと引き込むことができていたと思います。ただ、私はこのあたりで眠気がピークに達してしまい、うつろうつろしながら見ていたので、あまり頭に入ってきませんでした。それが私がこの映画の世界に入り切れず、この映画をあまり楽しめなかった原因になってしまいました。本当にごめんなさい。


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役者さんでいうと印象に残っているのは、主人公クララを演じたマッケンジー・フォイと、シュガー・プラムを演じたキーラ・ナイトレイの二人ですね。マッケンジー・フォイは前半のか弱さと後半の強固さの演じ分けが上手くて、まるで別人のように感じました。意外だったのが、クララが武闘派だったこと。ブリキの兵隊の剣を間一髪で避けて、ハイキックで蹴り倒す。守られてばかりでなく、自ら前線に出て行こうという意志の強さが印象的で、軍服を着たときのりりしさは息を飲むほど。吹替の小芝風花さんもちょっと硬さはありましたが、よかったと思います。


そして、そのマッケンジー・フォイを食ってしまうほどのインパクトを見せたのが、キーラ・ナイトレイ。前半のお節介な感じも好きなんですけど、後半の本性を現した後のキレっぷりがもう面白くて。というかこれはキーラ・ナイトレイよりも、吹替の坂本真綾さんによるところが大きい。人を馬鹿にしたような高い声で繰り出される身勝手なセリフの数々がとにかく振り切っていて、その暴走っぷりに後半は終始笑いながら観てました。今でも思い出し笑いしながら書いてますもん。この映画の個人的MVPですね。


あとは、子どももターゲットにしながらもトラウマに残るようなキャラクターが割といたのも面白かったです。ネズミがうじゃうじゃ集まって人間の形になるのなんて、生理的な気持ち悪さを感じましたし。マザー・ジンジャーのピエロが文字通り腹を割って、マトリョーシカのように次々に小さいピエロが登場していくシーンも、これ子供は怖いよなあと思いながら観てました。トラウマを作るっていうのは名作映画の一つの条件みたいなところもありますし、良くも悪くもこれらのキャラクターはインパクトはありましたね。


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さて、手元の電子辞書によると、バレエ「くるみ割り人形」のあらすじは、

少女クララがクリスマス・プレゼントに貰ったくるみ割り人形と一緒に寝ていると、人形(鉛の兵隊)軍とネズミの大群との戦争が起こり、クララの助けで人形軍が勝利を収める。くるみ割り人形は王子になり、王女になったクララをお菓子の国に案内し、2人は歓迎を受けるが、これはみなクララのクリスマス・イブの夢であった。


と説明されています。


映画との主な相違点は、

・くるみ割り人形を貰ったのはクララではなく、弟のフリッツである。
・クララはくるみ割り人形と一緒に寝ていない。
・最終的に勝ったのは、人形軍ではなくネズミ軍である。
・くるみ割り人形は王子になってないし、2人はお菓子の国の歓迎も受けずに別れる。
・おもちゃの卵が開いたままであるところから察するに、クララの夢ではない。



などが挙げられますね。全くの別物で、もう根本から作り変えています。ネズミ軍が敵かと思えば、実はお菓子の国の摂政シュガー・プラムが黒幕で人形軍との戦いになったり。クララとキャプテン・フィリップの2人は最後に別れていることからも、メインテーマは秘密の王国ではありません。「自分の再発見」と「家族」がテーマです。


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この「くるみ割り人形」はE.T.A.ホフマンの童話「くるみ割り人形とネズミの王様」を原作にしているといいます。そのあらすじは、

シュタールバウム家のマリーはたくさんのクリスマスプレゼントのなかからくるみ割り人形をみつける。その夜、戸棚に飾ってある他の人形のベッドを借りて、くるみ割りを休ませようとすると、あたりの様子が変化し、地面から7つの首をもつネズミの王様が軍勢をともなって現われる。それに対してくるみ割り人形が動き出し、ほかの人形たちを率いてネズミの軍を相手に戦争を始める。

こののち、マリーのもとに夜な夜なネズミの王様が現われ、くるみ割りの安全と引き換えにマリーのお菓子を要求するようになる。マリーが困ってくるみ割りに話しかけると、彼は一振りの剣を与えてほしいと答える。 


その夜、くるみ割りがマリーのもとに現われ、もらった剣でネズミの王様に打ち勝ったことを告げる。そして助けてもらったお礼として、彼はマリーを美しい人形の国へ招待する。そうした中、ドロッセルマイヤーおじさんが甥の青年を連れて尋ねてくる。この青年は、自分がマリーに救われたくるみ割り人形だと告げ、マリーを王妃として迎えに来たのだった。


(Wikipediaの記述を要約)


ここで大切なのがバレエと童話とで主人公の名前が違うこと。童話の主人公はマリーで、これは映画ではクララのお母さんとなっています。「秘密の王国」はマリーが作り出した世界で、映画は童話の後日談的な位置づけであることがうかがえますね。ただ、物語の開始時点でマリーは死んでしまっていて、「自分のばっかり考えているのはお父さんでしょ」と言い放つなど、クララと父親との関係も芳しくありません。


クララはその父親からクリスマス・イブに、マリーの形見であるオモチャの卵を貰います。母親から託されたメッセージは「必要なものはすべてこの中にある」というもの。しかし、鍵が見つからず卵を開けることはできません。この卵を開けることが映画のテーマなのかなと私は思っていましたが、その予想に反してあっさりと鍵は手に入り、卵の中身は明らかになります。


卵の中はただのオルゴール。ガッカリするクララでしたが、オルゴールの裏面は鏡になっていました。「必要なものはすべて自分の中にある」というマリーのメッセージの意味を知ったクララ。クララはマリーの死後、屋根裏部屋にばかりいて自らの殻に閉じこもっていました。そんなクララを責めることなく肯定するマリー。クララは立ち上がり、王国を救うことを決意します。


そして、王国を救ったのちにクララは王国に留まるのではなく、元の世界に帰ることを選択します。王国で自らを見つめ直すことで一つ成長し、父親を許せるようになったクララ。最後は両親の思い出の曲で父親とダンスを踊り、映画は幕を閉じます。実にいい話で、ディズニーらしいハッピーエンドです。


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と、まあ映画としては悪いものではなかったんですが、これが10年後20年後も観た人の心に残り続ける作品かといえば、個人的にはそうじゃないと思います。それは、1時間50分という短い時間で「くるみ割り人形」とオリジナル部分を収めようとするあまり、テンポを優先しすぎてじっくりやるということがあまりなかったから。クララはあまり悩むこともせず、物分かりが良すぎですし、特に障害もなく物語がトントン拍子で進んでいくんですよね。掘り下げ部分のマリーとの回想部分を私が寝ていて見逃してしまったということもありますが、キャラクターに深さがないので感情移入が全然できない


シュガー・プラムの裏切りも伏線がなく唐突でしたし、ドロッセルマイヤーはあまり物語に絡んできません。マザー・ジンジャーもキャプテン・フィリップも意図によって操られたただの人形のようで、このキャラクターはこういう性格で、こういう信条を持っているから、この行動をとったっていうところが全然見えてこないんですよ。本当に童話を見ているようで、自分事として考えられない。ストーリーもシンプルで、全てがあてがき通りに収まりよく進んでいって山がない。正直、見ていて退屈に感じる部分もいくつかありました。CGを多用した華やかな映像やバレエシーンは見栄えもよく、小さいお子さんや親子連れの方なら楽しめると思いますが、ちょっと捻くれた私みたいな人間が見たらどうかなっていうのはあります。たぶん、ちょっと捻くれた人間はディズニーのターゲットに入っていないんでしょうね。映画自体はいいものではありますが、私には残念ながらハマりませんでした。


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以上で感想は終了になります。映画「くるみ割り人形と秘密の王国」。私の評価としては微妙ですが、映像やバレエや音楽はこれからクリスマスを迎えようとする季節にぴったり。王道のストーリも相まって、友達と、親子で楽しめる作品になっていると思います。興味のある方は観てみてはいかがでしょうか。保証はできませんけどね。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい


くるみ割り人形と秘密の王国 オリジナル・サウンドトラック
ジェームス・ニュートン・ハワード
ウォルト・ディズニー・レコード
2018-11-21