こんにちは。これです。


突然ですけど、みなさんって献血したことありますか?献血ルームでは無料で暖かい飲み物が飲めますし、糖分が必要なのでお菓子もつまめますし、私の地元の献血ルームでは献血している最中にテレビ間で見させてくれるんですよね。少しずつ袋に血がたまっていく様は少しゾッとしますが、終わった後の「なんかいい事した」っていう満足感がいいんですよね。最近は今服用している薬が引っかかるらしいので行けてないんですけど。


さて、今回観た映画はそんな血を抜いて売る男が主人公の『いつか家族に』です。中国の作家余華さんの原作で、韓国では2015年に公開されたこの映画。日本には3年越しの上陸で、長野ではさらに遅れてこの3月に公開。予告編のレトロな雰囲気が気に入ったんですよね。ただ、現在では上映館数も4館ほどになり、もう私ぐらいしか話題にしている人いないんじゃないでしょうか。実際劇場内には私一人しかいませんでしたし。寂しかったなぁ。


それはさておき、ここから本編の感想を始めたいと思います。また拙い文章ですが何卒よろしくお願いいたします。





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―目次―


・こんなん、惚れてまうやろ~1953年パート~
・いい意味で暗くて重い展開~1964年パート前半~
・血の繋がりがなくても~1964年パート後半~








―あらすじ―

1953年、朝鮮戦争の終戦直後。現場仕事で生計を立てるサムグァン(ハ・ジョンウ)は、ポップコーン売りの美しいオンナン(ハ・ジウォン)に一目ぼれし、彼女には羽振りのいい恋人がいると知りながらもプロポーズする。オンナンの父親を説得し、結ばれた2人。利発な長男をはじめ3人の子宝にも恵まれ、貧しいながらも幸せに暮らしていたが、11年間育てた息子が他人の子ではないかという噂が流れ......。

(映画『いつか家族に』公式サイトより引用)



映画情報は公式サイトを参照ください。









※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。








・こんなん、惚れてまうやろ~1953年パート~


時は1953年の韓国。この映画は畑の風景から始まります。畑でスイカを耕しているこの映画の主人公ホ・サムグァンとその父親。このホ・サムグァンを演じ、監督も務めたのがハ・ジョンウ。『お嬢さん』や『1987、ある闘いの真実』に出演した韓国の名優です。融通があまり効きそうにない雰囲気がよかったですね。あとなかなかのクソ野郎だったんですけど、それは後ほど。


キャストの名前やらがハングルで流れ、字幕は縦書きのオープニングですが、ここで驚きだったのが売血が一般的になっていることなんですよね。それも後ろめたい気持ちはさらさらなく、むしろ健康の証みたいにポジティブにとられていて。男なら一回ぐらいやっとけやぐらいのテンション。このときは朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた辺りですから、まだまだ旧的な価値観が残っています。現代からしてみると異常ですね。




町は朝鮮戦争からの復興の真っ最中。ホ・サムグァンも工事現場で働いています。空気に砂が待っていてオレンジがかっていたのがいい感じにレトロでした。そして、そこに通りかかったのがポップコーン売りのオンナン。白い服で髪の毛を後ろで束ねたオンナンが通ると、白黒の中でそこだけ色彩があるかのように華やぎます。我先にとオンナンにポップコーンを求める労働者たち。こいつら完全に中学生のノリでした。


この今作のヒロイン・オンナンを演じたのが『マンハント』『奇皇后』などの出演作を持つハ・ジウォン。もう超美人なんですよね。可愛いとか綺麗とかじゃなくて、ただただ美人。いるだけで画面がパッと明るくなりますし、クソで厳しい世界を軽くしてくれました。気の強い性格もツボでしたし、時折弱さを見せる演技も最高でしたね。この映画のMVPです


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他の多くの中学生(精神年齢)と同様にオンナンに一目ぼれしてしまったサムグァン。彼女とのデート費用を稼ぐために売血を行います。正直、「もう売血すんのかい」って思いました。迷って迷って苦渋の決断の末に売血するのかと思いきや、開始10分で売血。想像以上のお手軽さです。


売血の先輩たちについていき、医院へと向かうサムグァン。売血のためにどうするのかっていうと水をがぶがぶ飲むんですよ。汚ったねぇ川の水を8杯、それに仕上げの水道水。もちろんトイレには行きません。診察のときにモジモジする様子がおかしかったですね。そして、採血は300mlぐらいの瓶に3本。人間の血液量って体重の1/13ぐらいで、体重75kgの人だと約6L。そしてこの2分の1が失われると失血死するようなので、300ml×3=900mlは大分攻めた数字です。献血は400ml献血が一般的なので、その倍以上ですね。




売血をしてお金を手に入れたサムグァンはオンナンを誘いデートに出かけます。この辺りの展開、とにかくテンポがいい。初デートでいきなり結婚を申し込み、その日のうちに実家に上がり込んでオンナンの父親を丸め込む。そして、次のシーンではいきなり結婚式とポンポン進みます。ここでサムグァンはオンナンの父親を説得するために、嘘ついてるんですよね。オンナンが付き合っているハ・ソヨンのことを遊び人だとか。嘘も方便という言葉がありますが、ちょっとクソだなって感じました。




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・いい意味で暗くて重い展開~1964年パート前半~


時は流れて11年後。サムグァンとオンナンは3人の子どもをもうけ、貧しいながらも幸せそうに暮らしています(子ども3人とも坊主でちょっと見分けがつきづらかったのは秘密だ)。ただ、あらすじにもあるように長男のイルラクがソヨンに似ているという噂が流れ始めます。ここも時間が飛んでから最初の展開だったのでスピーディでしたね。


イルラクに血液型検査を受けさせるサムグァン。その判定結果は予告編にもある通り、イルラクはサムグァンの息子ではなくソヨンの息子というものでした。11年愛して育ててきた息子が他人の子どもだった。これを知ったサムグァンは急激にイルラクを突き放すんですよね。「お前は俺の息子じゃないからどうなろうが知ったこっちゃない」と言わんばかりの他人行儀。外でふて寝ばかりです。イルラクが知り合いの息子に怪我をさせた時も「は?俺関係ないですよね?」みたいな態度を取っていてクソだなって。急に突き付けられた現実を受け入れられなくて、苦しんでいたのは分かりますけどもうちょっとこう葛藤するとかしてほしかったかな。


そして、ここからの展開がなかなかアレなもんでして。怪我の医療費を払うために家の物は押収される。サムグァンは他の女に手を出すし、子どもたちには「ソヨンの娘が成長したら押し倒せ」とか言っちゃう。唯一の良心・オンナンもソヨンの家に行って、ソヨンの妻を「その二人の娘は本当にあなたの子かしら?」「この家なんだかイカ臭いわ」とか煽って張っ倒されますし、いい意味で暗くて重い展開です。まあ正直引きましたが、「いいぞもっとやれ」みたいな自分もいたのも事実。人の不幸は蜜の味ってか。すみません。




ただ、ここで辛かったのがイルラクがサムグァンからも、ソヨンからも受け入れてもらえなかったこと。生みの親にも育ての親にも拒絶されて、イルラクが自分を責めるようになっていったのがきつかったです。本当に悪いのはオンナンを押し倒したソヨンなのに。生まれた子どもに罪はないんですよね。全ては親の責任で。なのに大人の勝手な都合で辛い思いをさせてしまって。イルラクに優しく寄り添っていたオンナンだけが唯一の救いでした。中盤までは。




ある日、ソヨンが脳炎で倒れます(これを聞いたサムグァンは「因果応報だ」って言ってた。やっぱりクソ)。ソヨンの妻が道士に相談すると「息子が必要だ」と。「イルラクに高度な教育を受けさせる」と言われ、ソヨン家にイルラクを差し出すサムグァンとオンナン。ここからの祈祷のシーンがこの映画で私が一番オススメしたいポイントになりますね。


ソヨン家の一室は赤に包まれ、壁には馴染みのない神様(?)がたくさん描かれています。そして、あのお祓いのときに使われる棒に紙がヒラヒラとついたヤツを振り回す道士。楽器隊も連れていて本格的。これの何がヤバいかって祈祷でソヨンの脳炎が解決するわけがないっていうことですよ。ちゃんとした治療をせずに治るわけがないじゃないですか。にもかかわらず、イルラクに「お父さん戻ってきて、お父さん行かないで」と叫ばせる。もっと大きな声でと迫る。韓国の祈祷のテンション半端ないです。まあ道教は中国由来みたいですけどね。


なかなか上の文言が言えないイルラク。ここでサムグァンが心配になって様子を見に来るわけですが、それを見つけたイルラクは「お父さん連れていって」と涙ながらに叫びます。ここはイルラク役のナム・ダルムの名演ですね。イルラクのためを思ってソヨン家に送り出したサムグァンでしたが、やはり一緒に過ごした11年の年月にはそれなりの重みがありました。それこそ血の繋がりを超えるような。ここでのハ・ジョンウの演技も胸に来るものがありましたね。あやうく泣きそうになりました。


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・血の繋がりがなくても~1964年パート後半~


サムグァンに連れられて家に帰ってきたイルラク。二人の弟と遊びに行きますが、予告編にもあった通り倒れてしまいます。なんでも症状はソヨンと同じ脳炎だとか。「お父さん連れていって」が現実となってしまった。祈祷のパワー凄い。祈祷最強説


いよいよこの映画も佳境。イルラクの治療費を稼ぐために、サムグァンは血を売って売って売りまくります。3か月間を開けないと死ぬ可能性があるという売血を、毎週やる患者が「あの世行き」と呼ばれる売血を毎日。繰り返される採血描写。そしてフラフラになっていくサムグァンが可哀想で可哀想で、目を背けたくなりました。しかし、血の繋がらない息子のために自らの血を捧げるという一般的な親子以上の愛が私を画面に釘付けにします。




...えーと、言っていいですかね。うん、言おう。最終的にイルラクは助かり映画はハッピーエンドを迎えます。ただ、その解決方法が個人的にはちょっと唐突に感じられたんですよね。今まで一切そんな素振りを見せていなかったのに、××××××××ことで解決するなんて...。最後はほっこりとする場面でこの映画は幕を閉じますが、それでも「この人、××××××なんだよな」ってちょっとモヤモヤしてしまって。


ただ、いうなればこれも愛の形ですよね。サムグァンが身を削って血を売らなければ、××××××××こともなかったわけですし。「自分を犠牲にしても家族を守る」という尊い愛、血の繋がりがなくてもそれくらいの愛を持つことができるということを伝えるために、あのような解決方法にしたんじゃないんですかね。この時代には戦争孤児もたくさんいたでしょうし、彼ら彼女らに対する救いでもあるのかなってそんなことを考えたりもしました。「祈り」が込められた映画ですね。


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以上で感想は終了となります。『いつか家族に』、パンフレットも作られておらず、ソフト化の望みも薄いですが、決して悪い映画ではありませんでした。もうすぐ上映も終わりますが、興味があれば観てみてもいいんじゃないでしょうか。肉まんが食べたい


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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