こんばんは。これです。もうすぐGWに突入しますね。GWは大作映画が目白押し。そのなかでも最たるものはやはり『アベンジャーズ:エンドゲーム』でしょうか。私はアベンジャーズについていけていないので、多分見ないとは思うんですが、どれほどの話題になるかは楽しみです。


そんな今回のブログも映画の感想になります。今回観たのは同じアメコミでもDCの『シャザム!』。公開前からいろいろと話題になっていた映画です。今回、『キングダム』や『響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』と迷った末に観たのですが、観たところ、映画面白かったです。ただ、私のようなものにはキツい映画ですね。人を選びそうです。


では、それも含めてここから感想を始めたいと思います。後半暗くなってしまいましたが、今回もお付き合いいただけると幸いです。では、よろしくお願いいたします。




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―目次―

・良かったところについて
・「家族」や「仲間」といった優れたテーマ
・ただ、受け入れられない




―あらすじ―

身寄りのない思春期ど真ん中の子供、ビリー。ある日突然、彼は魔術師からスーパーパワーをゲット!
シャザム!」それは最強でサイコーな魔法の言葉!これを唱えれば筋肉ムッキムキ!稲妻バッキバキ!のスーパーヒーローに変身できるのだ!ヒーローオタクのフレディといっしょに、悪ノリ全開!止まらない!そんなスーパーパワー絶賛ムダづかい中のビリーの前に、科学者Dr.シヴァナが現れる。
手に入れたスーパーパワーのために、フレディがさらわれてしまう…
ビリーはついにヒーローとして目覚める!

(映画『シャザム!』公式サイトより引用)




映画情報は公式サイトをご覧ください。








※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。







・良かったところについて


まず、この映画の最大の特徴としてはノリが軽いことが挙げられると思います。吹替の監修に福田雄一氏を起用したことにも表れているように、とにかく登場人物の喋る言葉が現実と変わりません。映画的な飾りは全くなく、死ぬほど日常的な会話がなされます。それでも、短いセリフをポンポン重ねたり、少し捻ってみたりと、セリフ回しが面白く、思わず微笑んでしまうほどでした。ヒーロー名の命名にあーだこーだいうシーンが特に面白かったですね。あ、俗に言われる福田節というのは、最後のサンタを除いてそんなにはなかったと思いますよ。菅田将暉さんの吹替も言われるほど悪くはなかったですしね。まあ本職の声優さんに混ざると流石に浮いてしまっていましたけど。
 

また、この映画のコンセプトとしては「もし14歳の少年がヒーローの力を手に入れたら?」ということなんですが、14歳と言ってもまだまだ心は子ども。見せびらかしたくて仕方ないでしょう。それはビリーも同じことで、グループホームの住人であるフレディと共に、たくさんの動画をアップしています。飛んでみたり、瞬間移動を試してみたりと、古今東西のヒーローに見られる能力を検証した動画がテンポよく積み重ねられ、しかもここで流れるのが、先頃のフィーチャーも記憶に新しいQUEENの「Don't Stop Me Now」。とにかく軽快で、童心に帰って楽しむことができます。


他にも、早退するのにシャザムの姿を使ったり、オッパブに行って5分で金がなくなったりとコメディシーンが満載。特に劇場内(5人)がウケていたのが、スーパーでのシーン。シャザムとなったビリーが銃弾の球をポンポンと跳ね返す描写に、後ろの3人組は声を漏らして笑っていました。コメディシーンに行くまではやや長いですが、それでも笑える人にはたくさん笑える映画でしたね。とにかく、海苔を軽くして笑いを入れて間口を広くして、人に勧めやすくしてもらおうという狙いは成功していたように思えます。




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また、ヒーロー映画の大きな見どころであるアクションも『シャザム!』にはたっぷり盛り込まれています。こちらも、ビリーが少しずつ覚醒していくという物語の性質上、エンジンがかかるまではやや長いのですが、それでも終盤にある展開を迎えてからは、ほとんど全編がアクションのようなもの。スピードにパワーに飛行に稲妻にと、バリエーション豊かなアクションで観客を楽しませてくれました。


さらに、意外に思われるかもしれませんが『シャザム!』にはホラー要素もあります。そのホラーの9割を担っていたのが、今作のヴィラン・Dr.シヴァナが繰り出す七つの大罪をモチーフとしたモンスター。黒めの灰色に隆々とした毛のない肌が、たいへん気持ち悪く、目の小ささや口の大きさに恐怖を感じます。父親の会社の会議室で、初めてモンスターを解き放つシーンはまさに阿鼻叫喚。頭を丸かじりしたり、ちぎっては投げたりとグロテスクな行為が重ねられ、ぼやかされたガラス戸越しに見せることでより恐怖を演出してきます。終盤はこのモンスターたちが大体の時間出ずっぱりなのでとても楽しかったです。びくっとはしたものの、この映画で個人的には一番笑顔になったシーンですね。




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・「家族」や「仲間」という優れたテーマ


『シャザム!』のテーマとして挙げられるのが、「家族」や「仲間」といった人との繋がりです。予告編のコミカルな印象とはうって変わって、本編ではドラマパートに多くの尺がつぎ込まれていました。


『シャザム!』の主人公、ビリーは両親から離れて育った孤児でした。カーニバルで母親からはぐれたまま離れ離れになってしまい、それ以降は里親の下を転々とする生活を続けています。ビリーは実の母親を探し回っていますが、見つからずじまいです。


里親の下から何回目かの脱走をした後、ビリーはグループホームに預けられます。このグループホームはぐうの音も出ないほどの聖人夫婦が運営していて、フレディ、ダーラ、メアリー、ユージーン、ペドロと、ビリーと同じ孤児たちが暮らしていました。


ビリーは怪しい魔術師からシャザムの力を貰い、ヒーローオタクのフレディとともに、前述の通りバカやったりしています。自業自得で人を殺しそうになったビリーはフレディと喧嘩をして、Dr.シヴァナに目をつけられ攻撃を受けます。ここでビリーはただただ逃げ回ることしかできませんでした。このことがきっかけとなり、グループホームのメンバーも巻き添えを食らい、Dr.シヴァナに人質に取られ、決戦に突入していくわけですが、注目したいのはこの前のシーンでビリーが実の母親に会うことができているということです。




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実の母親と再会を果たしたビリー。母親はビリーが訊ねてきたことに複雑な表情を見せます。母親はカーニバルのあの日、自分ではビリーを幸せにすることができないと、自らビリーの元を離れていました。母親に言わば捨てられたという事実を知り、ショックを受けるビリー。奥では別の男の乱暴な声。ビリーはせっかく会えた母親の元を離れていきます。血で繋がっている家族関係がビリーの意志で断たれたというシーンでした。


そして決戦。ここで予想外だったのが、孤児5人もシャザムの力を貰うということです。ヒーローは孤独なものという定説を覆したこのシーンは、ビリーと5人が本当の仲間になり、絆が芽生えたということを表しているかと思います。同じ目線に立てたとでも言いましょうか。ビリーが5人を真の意味で受容したシーンですね。5人の協力もあり、事態は収束。ここで素晴らしかったのは、ビリーがDr.シヴァナを、フレディがいじめっ子を助けているということ。罪を憎んで人を憎まずという健全な精神が宿っていて、この決着のつけ方は好みです。


物語はいよいよラストシーン。それまで食事の際に手を重ねるという儀式に参加しなかったビリーですが、ラストシーンでは自ら最初に手を差し出しています。そして、言った言葉が「ここには長くいそう」。血の繋がりよりも精神的な繋がりを選んだビリー。精神的な繋がりこそが大事という強いメッセージを感じます。これまで居場所がなかったビリーが最後になってようやく自分の居場所を見つける。これは多くの人の共感を呼ぶことができ、まさしく万人受けする展開といえるでしょう。描きようによってはいくらでもシリアスにできるこの展開を、『シャザム!』は重くなりすぎることなく描き切った。不真面目なようで、実は優等生のような正しい映画でした。評価が高いのも頷けますね。




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・ただ、受け入れられない



『シャザム!』は映画としては素直に面白かったんですけど、同時にこの映画は激しく人を選ぶとも思ったんですよ。それは俗な言葉ですが、陽キャと陰キャの違いです。陰キャで、しかも誰ともつるむことなく、映画館にもいつも一人で行く。そんな私にとって『シャザム!』はとてもツラい映画でした。


この映画で描かれた「精神的な繋がりが大事」というメッセージ。家族や仲間が大事というテーマ。これは、古くからみられる普遍的なテーマです。少年漫画に始まり、青春小説やバディものの映画など、このテーマが柱に据えられた作品は枚挙に暇がありません。最近だと同じアメコミの『スパイダーバース』がそうだったでしょうか。今度の『アベンジャーズ』もきっとそうなんだろうなぁ。


そして、これらのメッセージ・テーマが正しいことには疑いの余地はありません。人は一人では生きていくことができない。人と人の間にいるから人間。暴力的なまでの圧倒的な正しさです。でも、それだとぼっちはどうなるんですか精神的な繋がりを結べる相手がいないぼっちは正しくない、間違った人間ですか


私は、紛うことなきぼっちです。周囲に人はいますが、他人を怖がって、心の底では誰も信用していません。でも、分かっているんですよ。友達がいる方が正しいって。みんなでワイワイ、それがあるべき人間の姿なんだって。でも、正しいからこそ受け入れられないんですよね。自分を否定することになってしまうので。自分を見失ってしまい、形もなく崩れていく。残るのは塵のみ。それがたまらなく嫌なんですよ。


一方、ヴィランであるDr.シヴァナもまたぼっちでした。父親から「簡単に人を頼るな」と教えられ、心の底から信じられる人はいません。まさに、私と同じで映画中ずっと近しいものを感じていました。そして、それは終盤の展開で決定的なものになります。




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Dr.シヴァナは七つの大罪のうち、6つのモンスターを召喚していましたが、残りの一体は召喚しないままでした。それは妬みです。ビリーとDr.シヴァナは対照的な存在で、ビリーには家族はいないけど精神的な繋がりはある。Dr.シヴァナには家族はいるけど精神的な繋がりはない。精神的な繋がりを結べる相手がいること、それが全員シャザムとなったことで可視化されたことに、Dr.シヴァナは深い嫉妬を抱いていました。これは同じくぼっちである私の感情と呼応しています。私も、ビリーに映画が進むにつれて嫉妬を抱くようになっていました。


しかし、ビリーはこの妬みを弱弱しい存在だと断じます。小学生みたいな煽り文句で、Dr.シヴァナの妬みを引き出す。そして現れた醜い妬みのモンスターは、私の嫉妬をも可視化したものでした。ビリーはシャザムに変身する際の雷で、妬みを退治します。それはとても雑なやられ方で、私はたいへんなショックを受けました。


なぜかというと、妬みや嫉妬が人間にとって必要な感情だからです。というか七つの大罪全てが人間にとって必要なものです。暴食色欲怠惰は分かりやすいですよね。どちらも人間の根源的な営みです。高慢は英語でpride。これを再翻訳すると自尊感情。自尊感情のない、自分を大切にできない人間は悲惨です。人間の欲が歴史を動かしてきたという意味でも強欲は必要ですし、憤怒も怒ることは時として有意なコミュニケーションになりえます。


そして、嫉妬。これは羨望、憧れと強い関係があります。どちらも他者との関係から成り立っていますし、あなたが嫉妬している人を思い浮かべてほしいのですが、そこには「ああなりたい」という憧れが多分に含まれているはずです。「ああなりたい」という正のエネルギーが、歴史的な技術革新(と罪深い戦争)をもたらしたのは自明の理。嫉妬が人間を前に推し進めてきたのです。


しかし、『シャザム!』では、この嫉妬が正しさによって捻り潰されてしまいました。ビリーとDr.シヴァナが戦うシーンで、バットマンとスーパーマンのおもちゃで遊ぶ男の子が登場しました。この男の子はビリーに対して憧れを抱いていたはずです。でも、その憧れをも正しさの稲妻は消滅させてしまっています。純粋な憧れを踏みにじる。ヒーローとしてあるまじき行為ではないでしょうか。それもひどく雑になされたことにより、「面白いけど、受け入れられない」というこの映画に対する私の評価は決定的なものになってしまいました。


そりゃ正しさにはいろいろありますし、孤独を正しさとする人も中にはいるでしょう。でも、精神的な繋がり、一文字で言えば。その形成に囚われている私からすれば、『シャザム!』は陽キャのウェイのような押しつけがましさで、正しさを突き付けてくるように映ります。


でも、たぶん『シャザム!』は精神的な繋がりを持った人向けの映画なんですよ。声を上げて笑って、熱くなれる人がこの映画の正しいターゲットで、私はそこに選ばれませんでした。なので、同じようにぼっちで観に行こうとしている人には、もしかしたらダメージを受けるかもしれないということは言っておきたいです。




これは余談なんですが、シアター内で私の後ろにまさに『シャザム!』のメインターゲットみたいな人たちがいたんですよ。3人連れでヘラヘラ笑って、エンドロールが終わってないのに喋り出して。で、映画が終わった後に自分の椅子の下を見ると、買った覚えのないポップコーンが二粒あったんですね。これはもしやと思い、一列後ろを見てみると床にポップコーンが散乱していて。一度見ちゃったからには見逃すわけにもいかず、一粒一粒拾ってたんですけど、その時には「正しさって何なんだろう」って思いましたね。友達がいても、床にポップコーンを散らしたまま平気な顔で帰れる人間が、本当に正しい人間なのかなって。そんなことを考えた夜でした。




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以上で感想は終了となります。最後は塞ぎ込んだ話になってしまいましたが、『シャザム!』が笑える楽しい映画ということには間違いはないので、ぜひともご家族ご友人をお誘いあわせの上、映画館に足を運んでもらえればと思います。一人でもいいですけど、くれぐれも注意してくださいね。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい


シャザム! :魔法の守護者(THE NEW 52! ) (DC)
ジェフ・ジョーンズ
小学館集英社プロダクション
2015-02-07



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