前編はこちら



両チームのスタメンは以下の通りです。


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前半キックオフ!


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立ち上がりは予想された通り、FC東京がボールを持つ展開になります。FC東京は#18橋本選手#8高萩選手がCBの間に落ちて、SBを高く上げようとしてきますが、この日の山雅は前線からプレスに行きません。#10レアンドロ・ペレイラ選手がプレスに行かないのでスイッチが入らないという理由もありましたが、5バックにして守備を固める方向にシフトしてきました。


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これは前節の鳥栖戦でサイドで縦関係を作られて苦戦したという反省に基づいているものと考えられ、あらかじめサイドにWBを置いておくことでスペースを消そうという狙いが見えます。FC東京のSHをWBとCBの間にポジションを取らせるように誘導して、サイドをSB1枚のみにしたいという考えがあったのではないでしょうか。


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ただ、この狙いはあまり奏功したとはいえなかったと思います。FC東京はSHが中に入ったとき、タイミングよくFWがサイドに流れて、CBを釣り出します。ここでCBのスライドが一瞬遅れ、空いたハーフスペースをSHや#8高萩選手に使われるということが多くなっていました。山雅のボランチはバイタルエリアを消すことが最重要任務で、ハーフスペースをボランチが落ちて埋めるようにはそれほど設計されていないので、FC東京はその穴を上手くついてチャンスを量産していた印象です。


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また、敵陣深くまで攻めることで山雅の攻撃の開始位置は下げられてしまっています。山雅は縦に速い攻撃を志向しているため、ディフェンスラインでボールを回すということはあまりなく、ロングボールを#10レアンドロ・ペレイラ選手に当てて、セカンドボールを拾っての攻撃が主です。CBの#3森重選手#32渡辺選手は、身長では勝てないまでも上手く体を当てて、#10レアンドロ・ペレイラ選手を自由にさせていませんでした。さらに、4バックが横に圧縮し、#18橋本選手が下がってセカンドボールを拾っていて、山雅はなかなか攻撃に出ることができませんでした。


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そして、ボールを奪ってのFC東京の攻撃ですが、山雅の両シャドーが上がって空いたボランチの脇のスペースを狙っていたように思えます。FWの選手が下がったり、SHの選手が中に入ったりしながら、ボランチ脇のスペースを巧みに使い、ボランチとWBを引き付けて空いたサイドのスペースをSBが突くという攻撃を多く見せます。ここで、シャドーが素早く戻ればよかったのですが、攻撃に重心を置いていたのと前半の山雅は少し攻→守への切り替えが遅く、それが苦戦を招いていたように感じられました。


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FC東京と比べると山雅はディフェンスラインでボールを回す場面は少なかったのですが、FC東京は山雅よりも前線からのプレスに来ていた印象です。ポイントは山雅のサイドのCBにSHが寄せるということ。この時、サイドは山雅のWBとFC東京のSBで1対1になっているため、山雅は数的優位を作ろうとシャドーの選手が流れていきます。


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ただ、これはFC東京の思う壺。サイドに人数をかけることで、山雅の中の枚数は不足しています。また、選手の質もFC東京の方が高いので崩し切ることは難しく、山雅は肝心のシュートを打てません。FC東京のSHもこれを見越して中へのパスコースを切っていて、サイドに誘導していましたね。


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一方、これはさらに少なかったのですが、山雅がディフェンスラインでボールを回せるとき。#35宮阪選手が下がってボールを受けようとしますが、FC東京はここまでは比較的ボールを持たせてくれます。ここで山雅はWBをサイドにまで開かせ、FC東京のSBとCBの間を空けて、そこを#7前田選手の快速が突くというのが一つの攻撃パターンです。しかし、FC東京のSBは釣られずコンパクトにしていましたし、CBが斜め後ろにカバーのポジションを取ることで、#7前田選手の裏抜けを封じていました。ディフェンスラインも下げるときはすぐに下げ、裏のスペースを消してきています。


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反対に、山雅の3バックはいつもフラット。ラインを高く保ってコンパクトにしようとするのはいいですが、#11永井謙選手に裏に抜け出された時に、追いつける選手がいません。この問題を解決できなかったことが、山雅にとっては致命傷になってしまいました。


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FC東京が攻撃時、すなわち山雅が守備時。基本的にFC東京のSHには山雅のWBがついています。ここで、FC東京のSHが下がる時、山雅のWBがそのままついていきます。ここで、裏にスペースが空く。FWが流れた時はCBがついていきますが、ボールサイドのボランチやSBが飛び出してきたときはどうするか。答えはシャドーが下がって対応するです。


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山雅のボランチは中央を固める意思が強いため、後方からの飛び出しに対応するのはシャドーの任務。特に#13中美選手の守備での貢献が目立っていましたね。FC東京のストロングポイントである#15久保選手を擁する左サイドの攻撃を止めるために、#13中美選手が下げられ、その結果カウンター時には前線に#7前田選手#10レアンドロ・ペレイラ選手の2枚だけ。枚数が足りず、すぐさま囲まれてボールを奪われてしまっていました。


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また、山雅は前目のハーフスペースを消す任務もシャドーに与えています。これにより#7前田選手#13中美選手のポジションはどんどんと下げられ、#10レアンドロ・ペレイラ選手も孤立したくないがために下がってくるので、ボールを奪っても素早く前線に運ぶことができません。ビルドアップの過程で、FC東京の守備陣形が整ってしまい、攻撃を封じられてしまっています。


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ただ、これも山雅の想定内。FC東京はここまでの平均ポゼッション率が43.6%とあまり高くないチームで、得意としているのはショートカウンター。山雅は下がって5-4のブロックを作ることで、このショートカウンターを封じており、FC東京に不慣れなボールを保持する戦い方を押し付けてきました。まあFC東京のボールを回す上手さは想定以上だったでしょうけど。山雅用に練習してたんでしょうか。


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なかなか攻撃に出ることができない山雅でしたが、優位に立てるポイントが実は一つだけありました。それは左サイド。この日のFC東京の右SBは、普段左SBを務める#25小川選手。小川選手の利き足は左足で、右足はとっさには出しにくいという特性がありました。一方山雅の左WBの#42高橋選手も左利き。#42高橋選手は縦突破が得意で、左足でクロスを上げることができます。このとき、#25小川選手の対応は体の向きから遅れがちになり、左サイドからのクロスはこの日の山雅で一番可能性のある攻撃でした。


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まあ当然このことはFC東京も分かっていたので、左を切って右サイドにボールを集めるようにしていましたけど。#3田中選手は縦突破というよりは周囲とのコンビネーションで崩すタイプなので、距離感を適切に保ったり、マークの受け渡しをスムーズにできれば、守るのは左サイドと比べれば難しくありません。誘導された右サイドを崩すことができず、山雅の攻撃は残念ながら前半はあまり機能していませんでした。


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前半44分。山雅は中盤でのボールの奪い合いに敗れ、#15久保選手にボールを運ばれてしまいます。プレッシャーのかかっていない#15久保選手はスルーパスを通します。ここで、#5今井選手#3田中選手が少し前にいて、山雅のディフェンスラインは揃っていなかったので、#11永井謙選手にその裏を突かれてしまいます。スピードのある#11永井謙選手に#5今井選手は追いつくことができず、#11永井謙選手は落ち着いてシュートを決めます。山雅のしたい攻撃をFC東京が実現し、先制に成功しました。山雅としては、前半を0で折り返せるという間際での失点だったので、ダメージは大きいですね。








そして、そのまま前半は0-1でFC東京リードで終了。サイドから執拗にハーフスペースを狙ってくるFC東京の攻撃に対し、山雅もCBが適切なポジショニングを掴み始めたり、シャドーが戻るようになったりと対応してきていましたが、終了間際での失点を喫してしまいました。前半を0-0で折り返すゲームプランが崩れ、後半は攻撃に重心を置かなければいけません。シャドーの位置が低く、攻撃に繋げられなかったという前半の課題をどう修正してくるでしょうか。


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ハーフタイム中には東京ドロンパが山雅ゴール裏に来てくれた様子。トイレに行っていて見られませんでした...。










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両チーム選手交代のないまま後半キックオフ!


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後半になってゴールが必要な山雅は、前半よりもシャドーのポジショニングを意識的に高くしてきました。守備時にはSBを見ることに専念し、ボランチの飛び出しは同じボランチが対応することで、守備の負担を軽くしています。前半よりも下がらず、前にポジションを取ることで、#10レアンドロ・ペレイラ選手が競ったセカンドボールを拾えるようになりました。立ち上がりに#10レアンドロ・ペレイラ選手が競った時に、二人とも前に動き出していたのが印象的ですね。


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また、WBも前半よりは中に絞るようになり、密集を作ろうという意識が見えます。#42高橋選手を使う意識が強くなり、#42高橋選手も高めのポジションを取ります。ただ、#42高橋選手の上がった後のスペースのカバーは整備されておらず、#15久保選手を中心にいいように使われていましたね。後半14分にポスト直撃のシュートを打たれたのは危なかったです。


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後半15分。山雅が早めに動きます。#7前田選手に替えて#11永井龍選手を、#13中美選手に替えて#20杉本選手を投入。2シャドーを交代し、運動量を復活させゴールを目指します。


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この二人の投入で山雅は攻勢を強めます。前半は#10レアンドロ・ペレイラ選手が下がってボールを受けたり、サイドに流れたりしたシーンで中の人数が不足するという問題があったのですが、#11永井龍選手#20杉本選手が前線に入ることで、迫力が増しています。また、#20杉本選手はディフェンスラインと前線の間の中継点としても機能していて、高い技術力でボールを前に運べていました。次はスタメンでもいいんじゃないかと思います。


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ただ、攻勢を強めたことで山雅の中盤にはよりスペースができていましたし、シャドーに入るボールをFC東京のDFは狙っていたので、ボールをカットされてショートカウンターを受けるシーンも前半よりも多くなっていました。後半23分。FC東京は#11永井謙選手に替えて、#16ジャエル選手を投入し、2点目を奪いに行きます。

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後半31分。#16ジャエル選手#9ディエゴ・オリヴェイラ選手とのワンツーで左のペナルティエリア角を攻略してこようとします。これは山雅のディフェンスがカットしますが、こぼれ球が#15久保選手に渡ってしまいます。ゴールに向かってドリブルを開始した#15久保選手の足を#31橋内選手がひっかけてしまい、PKの判定。#15久保選手のボールを晒すプレーが絶妙でしたね。


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このPKを#9ディエゴ・オリヴェイラ選手が独特の助走から、#16村山選手の逆を突いて決め、FC東京が追加点を獲得しました。#9ディエゴ・オリヴェイラ選手はこれで公式戦6試合連続ゴールと絶好調です。

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PKの間に山雅は最後の選手交代を行っていました。#35宮阪選手に替えて#8セルジーニョ選手を投入。シャドーに#8セルジーニョ選手を入れ、ボランチに#20杉本選手を下げて、より攻撃的に1点でも奪おうとします。


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前線に枚数を増やしてゴールを目指したい山雅でしたが、FC東京もコンパクトに4-4のブロックを作っているので、スペースはなかなかできていません。#8セルジーニョ選手が下がってボールを受け突破口を作ろうとしますが上手くいかず。それでも、FC東京も足が止まり始め、サイドへのプレッシャーが弱まっていたので、山雅はサイドからクロスを上げられるようになり、後半39分の#11永井龍選手のシュートといった惜しいシーンもありました。

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この日の入場者数は36,412人と発表されました。山雅サポーターも1,500人ほど来ていたようです。


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FC東京はボールを奪っても縦に急がず、ボールを繋ぐことで、時間を使ってきていて、後半38分には#8高萩選手に替えて#17ナ・サンホ選手を投入するなど、前線からプレスをかけて、山雅のロングボールを制限してきてもいましたね。

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後半アディショナルタイム3分もFC東京はわざとヒートアップしたり、#9ディエゴ・オリヴェイラ選手に替えて#39大森選手を投入したりして、有意に時間を使いそのまま試合終了。平成最後のゲームをは2-0でホームのFC東京が制しました。


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この試合に置いて山雅はFC東京にボールを持たせるというゲームプランで、シャドーもブロックに参加しての5-4で守るという作戦はある程度機能していましたが、やはり前半を0で終えられなかったのが痛かった。下がりすぎ故の攻撃時の枚数不足も引き続き解消すべきテーマですね。#10レアンドロ・ペレイラ選手をもっと中で張らせることができるよう戦術も整備しなければなりません。


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健闘した選手を山雅サポーターは拍手で迎え入れます。


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FC東京のゴール裏ではこの日初スタメンの#32渡辺選手が勝利のシャー!を行っていましたね。ヒーローインタビューも#32渡辺選手でした。初スタメンということを感じさせない活躍ぶりだったと思います。


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ありがとうございました!



















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監督コメント
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選手コメント(Jリーグ公式)

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松本山雅 首位FC東京に敗れ11位後退(信濃毎日新聞)













これで山雅は3勝2分4敗の勝ち点11で順位も11位。2試合ぶりの勝利を掴みたい次節は5月4日(祝)14:00から。ホーム・サンプロアルウィンでセレッソ大阪との対戦です。ロティ―ナ監督が就任したセレッソはここまで2勝2分5敗の勝ち点8と結果は出ていませんが、各ポジションに強力な選手をそろえた手強い相手。私は行けませんが、GW真っただ中ですし、ぜひともサンプロアルウィンでの応援をよろしくお願いします。


頑張れ!松本山雅FC!!


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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