前編はこちら




両チームのスタメンは以下の通り。


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前半キックオフ!


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パルセイロと相模原は同じ3-4-2-1のフォーメーションでこの試合を戦っています。ミラーゲームと呼ばれるゲームでしたが、両者の守備のやり方はやや異なっていたように感じられました。


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まず、相模原はミラーゲームのマークが明確になるという特性を生かした完全マンツーマンです。ワントップの#27竹下選手には中央の#3富澤選手が、右サイドにいることの多い#19三上選手には#25小田島選手が、左サイドを中心に動く#14東選手には#15丹羽選手がそれぞれついています。


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これはほとんど崩れることがなく、シャドーの選手が下がってボールを貰おうとすると、マークの選手がどこまでもついていきます。ただ、マンマークということでスペースを埋める意識はやや弱く、パルセイロとしてはCBが釣り出されたスペースを狙えれば、決定機を作れるという展開でした。


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一方のパルセイロ。こちらも基本的にはマンツーマンでしたが、異なっていたのはシャドーが下がっていった場合の対処の仕方です。相模原は中盤で数的優位を作ってボールを運ぼうと、よく#39伊藤選手が下がってビルドアップに関与していましたが、ここでマークの#4内野選手は自らのポジションを空けてまで対応に行きません。シャドーやボランチの選手にマークを受け渡し、ディフェンスラインにスペースを作らないように対応しています。パルセイロは中盤である程度ボールを回されることを許容する代わりに、ディフェンスラインに人数をかけて、最後のところで跳ね返すという戦い方を取ってきました。


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しかし、これによって相模原がボールを回せていたかというと、そうでもありません。パルセイロは相模原のボランチがボールを持った時に、シャドーの選手がプレスバックして、ボランチと挟んでボールを奪いに行きます。これが想像以上に効果的で、相模原の攻撃を上手く遮断することができていた印象です。


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また、この日のパルセイロは前節の藤枝戦よりも、前線からのプレスを増やしています。相模原のビルドアップはボランチが落ちてこず、CB3枚で行うことが多く、パルセイロは前線の3枚と3対3ではめることができていました。パルセイロの前線がプレずに行くと相模原のCBは比較的簡単にボールを前線に蹴ります。


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というか、この日の相模原はロングボールが攻撃の主体でした。相模原のCBはパルセイロの前線がたとえそんなにプレスに来ていなくても、とはいってもボランチへのパスコースは消していますが、すぐボールを蹴ってしまうんですよね。#27竹下選手#1田中選手に寄せていった時も、余ったCBにパスを出せるのに、#1田中選手は大きく蹴り出してしまうといったシーンが散見されました。


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きっと相模原はこの日はパスをつなぐよりもシンプルにロングボールというプランで臨んできていたのでしょう。相模原の前線には#9ジョン・ガブリエル選手がいるのでアバウトなボールでも収めてくれると踏んでのことでしょうが、#9ジョン・ガブリエル選手にロングボールが合わないシーンもまあまああって効果的とは言い難かったかなと。


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反対に、パルセイロは主に#29山田選手が下がって、4バック化してのビルドアップを多く行っています。相模原は前線3枚でプレスに来るので、単純に1枚余らせることができ有意にボールを動かしていました。また、#17明神選手が中継点となってボールを引き出すことで、相模原のボランチを一枚引き連れ、手薄になった中盤にシャドーの選手が下りて、ボールを受けるという一つの形ができていました。


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それでも、相模原は横幅を狭くして、中央に密度を高めて守っているので、パルセイロとしてはWBにボールが入ることが多くなっていました。ここで、以前だったら#27竹下選手がサイドに流れてボールを引き出そうとするシーンが多かったのですが、この日のパルセイロはサイドのCBをオーバラップさせる回数を増やすことで、サイドを崩そうとしていた印象です。


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また、シャドーの選手がサイドと中央の間のハーフスペースでボールを受けた時に、マークについているCBと、中央で#27竹下選手を見ている#3富澤選手との間が開き、パルセイロにとっては絶好のスペースが生まれます。相模原のボランチが落ちて、ここを埋めるということもあまりないので、パルセイロはWBを中に走らせたり、もう一方のシャドーや#27竹下選手をサイドに流すことで、ボールを受けることができていましたね。


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また、この日のパルセイロのディフェンスラインは高いとは言えませんでしたが、相模原のディフェンスラインはパルセイロのそれよりも低かったように感じます。ここで、中盤とディフェンスラインの距離が前半から開いてしまい、パルセイロの選手は間に入って受けやすくなっていました。これを防ぐために、相模原の中盤は下がりますが、そうなると今度はパルセイロの中盤へのプレスのかかりが緩くなり、結果としてこの日のパルセイロは、いつもよりも縦パスを多く出すことができていました。


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さらに相模原は、パルセイロもそうですが、守備時に5-4のブロックを作るので、シャドーがボランチの位置まで下がります。そして、#9ジョン・ガブリエル選手も前線で張っているという感じはそこまでなく、機会があればパルセイロのボランチに後ろから寄せていて、ボールを奪うシーンも何度かありました。しかし、このとき前には相模原の選手が誰もいません。パルセイロよりも極端な撤退守備を相模原は敷いていたので、攻撃の迫力は減じてしまっていました。


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相模原の三浦監督のコメントにもありましたが、この日の相模原は攻撃の際には意図的にポジションをずらしてきました。#39伊藤選手が下がって2トップ気味になったり、#9ジョン・ガブリエル選手がサイドに流れたりして、ミスマッチを作ろうとします。しかし、パルセイロのディフェンスは、一人が釣り出されてもスライドがこの日は十分に機能しており、またシャドーが深い位置まで守備をしてくれるおかげで、大きな問題にもならず、防ぐことができていました。


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前半の中盤頃から相模原は、前線からのプレスを強化して、パルセイロのビルドアップを阻害してきたり、WBが少し下がり目のポジションを取ったりしてきています。また、パルセイロの受け手と出し手の呼吸が合わなかったりして、なかなかシュートまで持っていける機会が少なくなってきています。


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ただ、それでもパルセイロは相模原のチャンスの芽をつぶすことができていました。この日のパルセイロは攻→守への切り替えが速く、シャドーがすぐに戻り、ボランチが出足鋭く守備をします。即時奪回のコンセプトが、チームに少しずつ根付いてきたのを感じるゲームでした。


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また、この日は#17明神選手がボランチで今シーズン初のスタメンでした。攻守に動き回る#29山田選手のカバーを主に行っています。#29山田選手が下がってビルドアップに関与する時は、前線との中継役になっていてシャドーを前線に留めたままにしていました。#29山田選手が上がった時には後ろでカバーして、相模原のシャドーの横の危険なスペースを消していました。この二人のボランチの関係性は良好で、この日のパルセイロが安定していた一要因になっていました。


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前半終わりにかけて、相模原がCKを多く獲得していますが、パルセイロはそのたびに凌ぎます。セットプレー時には#9ジョン・ガブリエル選手#3大島選手ともう一人の二人がつき、自由を与えていませんでした。普通のプレー時にはやはり高さで上回られていましたが、#3大島選手も体を当てることで、#9ジョン・ガブリエル選手のプレーを制限していました。先にヘディングする場面もあり、後半もこの調子で抑えることが期待されます。


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終盤に痛んだ#9ジョン・ガブリエル選手の治療をしているうちに前半が終了。0-0で折り返します。パルセイロにとっては、今シーズン一度も前半に点を取れていないのは気がかりですが、前線からの守備や奪われてからの切り替えが機能していたので、後半も続けていくことが求められますね。攻撃では動きながらボールを貰う場面をもっと増やせれば、相模原の5バック気味の守備を崩しやすくなるのではと思います。













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この日のボランティア参加者は37人。GWということで多めですね。いつもありがとうございます。




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両チーム選手交代のないまま後半キックオフ!


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後半になるとパルセイロは、前半よりも#27竹下選手がサイドに流れるようになります。相模原のCBの脇という3バック定番の弱点を突こうという意識が前半よりも強く見えます。当然#3富澤選手がついていくのでハーフスペースが空き、そこをシャドーの選手が突くという攻撃パターンができてきていました。先制点に繋がるFKの獲得もその流れからでしたね。


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また、この日のパルセイロは右サイドからの攻撃を多く行っています。これには#24阿部選手が上がることが多いので、その裏を突こうという狙いがあったように思えます。また、#24阿部選手のクロスを封じる目的もあったでしょうか。パルセイロはボランチやCBも参加して、サイドでボールを繋ぎ、相模原のWBとCBが並んだ瞬間を狙って裏へ動き出し、ボールを引き出そうとしていました。時間が経つにつれて、相模原の足は止まってきていたので、この攻撃が有効に働くようになっています。


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後半10分。#14東選手がペナルティエリア前右でファウルを受け、パルセイロがFKを獲得します。キッカーは#25有永選手。ボールはゴール右に飛び、これは#1田中選手に弾かれますが、マークの#26上米良選手に先んじて動いていた#14東選手が詰めて、パルセイロが先制します。#14東選手は開幕戦以来の今シーズン2点目を挙げました。


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その直後に相模原は一枚目の選手交代を行います。#38千明選手に替えて、かつてパルセイロ戦で1試合4得点を挙げたこともある#27大石選手を投入。#27大石選手はシャドーの位置に入り、#26上米良選手がボランチにポジションを移しました。


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その後しばらくして相模原はさらにフォーメーションを変更。#9ジョン・ガブリエル選手#27大石選手の2トップ気味にして、#39伊藤選手をトップ下のような位置に置き、5-3-2のような陣形にしてきました。これも意図的にズレを生み出そうとしてのものですね。これにパルセイロはボールのあるサイドとは逆にいるCBを余らせることで対応していましたが、#39伊藤選手を捕まえ切れていなかった印象があり、ここから少しずつ相模原が盛り返していきます。


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後半31分。パルセイロが右サイドでスローインを獲得します。これをサイドで受けた#27竹下選手が上手く反転。相手DFと入れ替わります。#27竹下選手はドリブルでペナルティエリアへと侵入。3人を引き付け、中にクロスを送ります。これに反応したのは、またしても#14東選手。ボールウォッチャーになっていた#15丹羽選手#23川上選手の間にポジションを取れていた、#14東選手は足を伸ばしてクロスに合わせて、無人のゴールに流し込みます。やや相模原に押され気味だったパルセイロが2点目を奪いました。




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なお、相模原はこの直後に選手交代を行っています。#24阿部選手に替えて、#29水野選手を投入。狙われていた右サイドのテコ入れを図りましたが、少し遅かったですね。


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パルセイロが2点を取った後、少し引いてきたこともあり、相模原が攻めるという展開になっています。しかし、パルセイロも5-4のブロックを作っており、スペースを消してきています。さらに、この日顕著だったのが球際の強さ。パルセイロはこの日はボールに対して激しく守備に行っており、体をぶつけることでボールを奪うシーンも多く、セカンドボールの奪い合いでも優位に立てていました。この球際で負けなかったのが、この日の一番の勝因だったと思います。


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この日の入場者数は3,799人。前回のホームゲームよりも1,000人以上入っていますが、2年ぐらい前には5,000人くらいいたことをおもうとまだまだ満足できる数字ではありませんね。もっとほしい。


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後半37分にはパルセイロが最初の選手交代。この日2ゴールの#14東選手に替えて、#6岩沼選手を投入。さらに後半43分には#27竹下選手に替えて、#8堂安選手を投入します。これにより前線は#19三上選手のワントップに、#6岩沼選手#8堂安選手の2シャドーという構成になります。前線でボールを追い回すことで、相模原の攻撃を防ごうという考えでしょうか。この交代の効果というのは確実に出ていて、その直後にはGKへのバックパスが弱くなったところを、#8堂安選手が猛然と走って奪うと言ったシーンもありました。


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後半アディショナルタイムは3分。パルセイロは#25有永選手に替えて、#20吉村選手を投入したりと時間を使います。相模原にシュートを許しながらも、なんとかゴールは守り切り、そして試合終了。2-0でパルセイロが待望のホーム初勝利を手にしました。


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この試合においては、#9ジョン・ガブリエル選手#3大島選手中心に押さえられたこと。相模原のずれを作ろうとする攻撃にマークを受け渡したり、スライドしたりして対応できていたこと。攻撃面では、#27竹下選手のサイドに流れる動きを上手く使えていたことが勝利に繋がりましたね。ただ、まだ1勝しただけなので、次のホーム戦でもこの調子で勝利をつかみ取ってほしいです。

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ゴール裏には今シーズン初めての花唄が響いています。勝利時に謳われるこのチャントを久々に効いて、感慨深い気分になりました。次も歌えたらいいですね。


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ヒーローインタビューはもちろん、この日2ゴールの#14東選手です。本人は押し込むだけと謙遜していましたが、どちらもポジショニングと動き出しの上手さが光ったゴールでした。


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この日感動したのが、ベンチ入りした選手全員がバックスタンドへのハイタッチに行ってくれたことです。これも#14東選手の発案ということで、少しずつ一体感が醸成されてきているのを感じました。


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もう一つ嬉しかったのが、相模原サポーターからAC長野コールがあったこと。相模原サポーターは良く相手チームの名前をコールしてくれますよね。なでしこリーグっぽいです。両チームの健闘を称える美しい姿だと思います。


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そして、選手はゴール裏に挨拶へ。



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勝利時のシャナナも今シーズンはこの日が初めてですね。嬉しかったです。もっとやれるようにこれからも頑張ってください。あと20回ぐらいしたいです。


また、#14東選手がゴール裏にあいさつと今後の決意表明をしてくれました。




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相模原サポーターにコールを返してこの日は終了。勝てて気持ちよかったです。スタジアムを出て、差す西日も暖かく感じられました。ここから勝利を積み重ねていきたいですね。


お疲れ様でした!


















<ハイライト動画>







選手コメント(Jリーグ公式)

J3順位表(Jリーグ公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第8節 vs SC相模原|試合結果(長野公式)

【5/4長野パルセイロ戦】試合結果・三浦監督・選手コメント(相模原公式)

J3のAC長野 ホーム初白星(信濃毎日新聞)













この結果を受けて、パルセイロは2勝3分3敗の勝ち点9で12位に順位を上げました。このままどんどんと行きたいところですが、来週はリーグ戦はお休み。代わりに長野県サッカー選手権大会の決勝が行われます。5月12日(日)13:00~、長野Uスタジアムで松本大学サッカー部との対戦です。勝った方が天皇杯に出場できることを考えると、負けられない戦いになりますね。テレビ中継はないそうなので、スタジアムでしか見られません。是非ともUスタへ足を運んでください。


その翌週はリーグ戦が再開。パルセイロは5月19日(日)13:00~、アウェイ・とうほうみんなのスタジアムで、福島ユナイテッドFCとの対戦です。福島はここまで3勝5敗の勝ち点9で、パルセイロより一つ下の13位につけています。上位に顔を出すためには何としても連勝が必要になるこの一戦。現地で、DAZNでの応援をよろしくお願いします。勝ってまずは一桁順位を確保しましょう。


頑張れ!AC長野パルセイロ!!


お読みいただきありがとうございました。


おしまい



YOUNG MAN (Y.M.C.A.)
Sony Music Direct(Japan)Inc.
2017-11-15



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