こんにちは。これです。最近は一気に暑くなって、真夏日になる地域も増えてきましたね。今がこれだと夏はどれだけ熱くなるんでしょうか。心配です。


さて、熱いのは映画も同じ。とくにこの夏にかけてはアニメーション映画が激アツで、『天気の子』や『トイ・ストーリー4』をはじめ、『海獣の子供』、『きみと、波にのれたら』、『ミュウツーの逆襲-evolution-』、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 など注目作が目白押しです。その中で今回私が観たのはその先陣を切る映画『プロメア』です。


正直観るかどうかは迷っていて、今回観たのも金曜日に見ようと思っていた映画がちょうどいい時間にやらないからとか、舞台挨拶の中継もあるしせっかくだからぐらいの理由でした。しかし、これが大当たり。今年観た映画の中ではベスト5には確実に食い込んでくるような大大大好きな映画でした。マジ、みんなも観た方がいいよっていう気持ちです。


では、感想をどうぞ。前半ネタバレなし、後半ネタバレありです。




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―目次―

・はじめに
・キャストが最高!
・冒頭から素晴らしい!
・簡単にストーリーについて
・唯一の不満点について





―あらすじ―

世界大炎上

世界の半分が焼失したその未曾有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉だった。あれから30年、〈バーニッシュ〉の一部攻撃的な面々は〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。〈マッドバーニッシュ〉が引き起こす火災を鎮火すべく、自治共和国プロメポリスの司政官クレイ・フォーサイトは、対バーニッシュ用の高機能救命消防隊〈バーニングレスキュー〉を結成した。高層ビルの大火災の中、燃える火消し魂を持つ新人隊員ガロ・ティモスは、〈マッドバーニッシュ〉のリーダーで、指名手配中の炎上テロリスト、リオ・フォーティアと出会い、激しくぶつかり合う。リオを捕らえることに成功し、クレイからその功績を認められ、――ガロにとってクレイは幼き頃、命を救ってくれた恩人で憧れのヒーロー――誇らしげに喜ぶガロであった。

しかし、リオは〈マッドバーニッシュ〉の幹部であるゲーラ、メイスと共に捕らえられていた〈バーニッシュ〉を引き連れて脱走する。後を追ったガロが彼らのアジトにたどり着くも、そこで目にしたものは、懸命に生きる〈バーニッシュ〉たちの姿であった。そして、リオから〈バーニッシュ〉をめぐる衝撃の真実を告げられることに。


何が正しいのか――。


そんな折、ガロたちは地球規模で進められている"ある計画"の存在を知ることになる――

(映画『プロメア』公式サイトより引用)





映画情報は公式サイトをご覧ください。

















・はじめに


今回、『プロメア』の監督を務めたのは、『天元突破グレンラガン』、『キルラキル』などで知られる今石洋之さんです。また、上記二本の脚本は中島かずきさん。どちらもアニメファンには人気のある作品ですが、私は両方とも見たことがないんですよね。中島かずきさん脚本の作品も『ロボとーちゃん』しか見ていないと思います。さらに、『キルラキル』を製作したTRIGGERのアニメも見たことがないですし、ていうか普段TVアニメ全然見ない人間なんです。私は。


だから、観る前には不安もあったんですよね。「『グレンラガン』も『キルラキル』も見てないけど、大丈夫なんだろうか」って。でも、「『グレンラガン』も『キルラキル』も見ていない人間が、『プロメア』を観ちゃいけないなんて誰が決めた!?」「普段TVアニメを見ない人間にも訴求できるのがアニメ映画の良さじゃろがい!!」と開き直って観に行きました。劇場内では「ここにはいわゆるアニメファンしかいないんだろうな」と心寂しかったです。3割ぐらいしか入ってなかったけど。
 

前夜祭ということで舞台挨拶の中継を経て、いざ映画が始まると、感じていた私の愚かな不安はいずこかに吹き飛んでしまいました。熱い!とにかく熱い!終始テンションの高いアクションでぶん殴ってくる!キャラクターもガロを筆頭にみんな熱いですし、後半にかけての熱量は半端じゃない!普段アニメ見ないですけど、本当に観てよかったと思いました。この選択は大正解ですよ。今石監督がどうとかで怯まなくてよかったー。


では、ここから感想の本編を始めていきたいと思います。ただ、上にも書いてある通り、今石監督の作家性がーとか、中島かずきさんの脚本の妙がーとか、TRIGGERらしさがーとかいう感想は全くできないので、そういったものを期待している方には、まず最初に謝っておきます。ごめんなさい。あくまでも普段アニメを見ない人間の感想だと思って、読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。




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・キャストが最高!


最初に、舞台挨拶での佐倉綾音さんの言葉を借りますが、昨今の映画界では、プロの声優ではない俳優の声優や吹替が賛否両論を巻き起こしています。最近でも某アメコミ映画や某シリーズ映画が吹替で、(悪い意味で)話題になりましたよね。俳優声優は浮いてしまう作品があるのも事実ですが、ただ『プロメア』ではメインの声優に俳優を起用したことが、完全にハマっていて大きな効果を上げていると感じました。


まず、主人公のガロディモスを演じたのは松山ケンイチさんです。私は舞台も全然見ませんし、松山さんには(主に『DEATH NOTE』で)クールなイメージが個人的にはあります。でも、熱い熱いガロを見事に演じ切っていましたし、あんなに熱い声が出せることにビックリしました。ワイルドな声質が抜群にいいですし、見得を切るのもかなりキマってました。テスト段階から声を枯らすぐらいの熱量がバッチリ表れていて、この映画を熱く保ってくれていましたね。


次に、ガロと対立するリオ・フォーティアを演じたのが早乙女太一さんです。リオは可愛げのある造形で、舞台挨拶での早乙女さんの爽やかな印象もあり、結構高い声を想像していたんですよね。それがどうでしょう。低くて凛凛しい声ではありませんか。マッドバーニッシュのリーダーであることも頷けるカリスマ性を放っていました。事前のイメージとのギャップで、やだ...カッコいい...ってなりました。中盤のブチギレるところも良かったですし、この映画の個人的MVPです。


そして、映画の舞台プロメポリスの司政官であるクレイ・フォーサイトを演じたのは堺雅人さんです。前半は笑ってしまうほどそのまんまの堺雅人さんなんですが、後半になってからの変貌ぶりよ。まあ全員「コイツ怪しいな」って感じると思いますし、実際にそうなんですけど、本性を現してからのブチギレっぷりが素晴らしい。それまでの穏やかな演技とはまるで別人でしたね。松山さんや早乙女さんと呼応するようにぶちまける後半はぜひ観てほしいです。


繰り返しになりますが、今回のメインを務めた3人はいずれも素晴らしい演技でした。佐倉さんが言っていたように、「これを非と言う人はいないんじゃないか」レベルの熱演。3人のファンの方にはぜひ観て確かめてもらいたい作品です。


また、忘れてはならないのが佐倉さんをはじめとするプロの声優さんたちも全員が全員最高だったということ。全員が超好演していたんですけど、その中でも私がビビっときたのがルチア・フェックスを演じた新谷真弓さんです。バーニングレスキューのメカニックという役柄なんですが、少し濁声で鼻に詰まるあの感じ。ハル子だ!『フリクリ』のハルハラ・ハル子だ!と感じて嬉しくなりました。『フリクリ/オルタナ』でもこれくらいやってほしかった。セリフも結構多かったですし、最高です。




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・冒頭から素晴らしい!



『プロメア』は30年前、バーニッシュが出現したところから幕を開けます。ここの概念的なアニメーションもよかったのですが、タイトルが出てからの火事を消火するシーン、バーニングレスキューの顔見せシーンがとにかく素晴らしいんですよね。


まず、ゴリゴリにガジェットを搭載した車やヘリを見るだけでワクワクしますし、消火スーツの変形シーンはスピーディーで楽しい。隊員たちのレスキューの手際の良さには惚れ惚れします。ここキャラクターの名前がアルファベットとカタカナの赤文字でバーンと出て分かりやすかった。この文字が映像で残っていたシーンはメタ的で笑ってしまいました。


隊員たちの活躍を見せておいて、満を持して主人公ガロが登場します。そこに姿を現すマッドバーニッシュ。シャープな黒いガジェットに身を包み、バイクを猛烈な勢いで走らせる。ああ恍惚。ガロは見得を切って纏のような武器を使って、幹部の二人を拘束します。そして、リーダーのリオとの戦闘へ。その最中、マスクが一部破れ顔を表したのは美少年。定番ですけどときめくシーンです。追い詰められてからの隊員同士の連携という理想的な展開で、リオも拘束。ここはマッドバーニッシュの顔見せだけでいったん逃げられるんだろうなと思っていたので、いきなりの確保には驚きました。超スピーディ。




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この一連のシーンだけで、『プロメア』のアニメーションの魅力は詰まっていると感じます。まず、カメラワークが頻繁に切り替わるんですよね。視点が上下左右に動かされ、臨場感たっぷりです。今石監督は舞台挨拶で「普通のアニメーションの3倍、4倍、5倍手間がかかった」と語っていましたが、それも納得できる演出です。これ大変だったんだろうなぁ。カットが頻繁に切り替わると、背景とかもいちいち書き直さないといけないし。他にもゴツゴツしたガシェットやロボなんかも頻繁に出てきて、死にそうになりながらやっとたんやろうなぁ、と感じました。


また、今回『プロメア』を観て感じたのが、背景が平面的だということです。ビルとかかなりのっぺりとしていましたし、モブも立体感はあまり感じられませんでした。個人的にはこれはあえてやっていると感じましたね。歌舞伎などでも舞台の背景は絵じゃないですか。背景をあえて平面的にし、メインキャラクターを立体的に描くことで、これは活劇だということを印象付けていたように感じます。わざと非現実的にしているというか。これも手間かかったんだろうなぁ。だって最初に普通に立体的に描いておいて、削るわけでしょう。影とか。よく分かんないですけど。


でも、この平面的な絵とギャップになっているシーンがありまして。それが、ガロがバーニッシュのアジトに忍び込むシーンです。ここの洞窟の岩肌の描き込みは半端じゃなかったんですけど、何より火を取り囲むバーニッシュの姿が今までで一番立体的。リアリティを醸成し、リオの「バーニッシュだって人間なんだ」というセリフを補強していて、とてもグッとくるシーンでした。




さらに、色遣いにも特徴が見られます。『プロメア』で使われている色は原色が多く、とてもポップ。ただ、その特徴は完全な原色ではなく、白を混ぜているということにあると思います。バーニッシュの炎とかね。これのの利点については、まず単純に目に優しく疲れないということが挙げられるかと。いや、疲れるんですよ。熱い展開を豊富なアクションで畳みかけてきて。でも、その疲労を少しでも軽減しようと淡い配色に気を使っていた感じを、私は『プロメア』から受けました。爽やかさもあって色彩設計の方?はナイスですね。


それに、『プロメア』は音楽も素晴らしいんですよ。耳に覚えのある洋楽が中心で、洒脱で軽快。テンポよく映画に入る手助けをしていました。あとはSuperflyさんの主題歌2曲も良かった。まず、「覚醒」という曲が中盤で挿入されるんですが、これが物凄く効いてる。今石監督はこの「覚醒」について「曲が想像以上に『プロメア』の内容に即していたから流すシーンを変えた」と言っていましたが、これ以上は考えられないベストな場面で流れたので、思わず鳥肌が立ってしまいました。


一方、Superflyさんのもう一曲「氷に閉じこめて」。こちらはエンドロールで流れるのですが、意外にも穏やかな曲調でした。最初は少し違和感があったのですが、考えてみるとこの曲は「消火」の役割を果たしていると感じるんですよね。熱く燃えた炎を冷まして消火する。まあ冷めてないですけど、ガロの存在理由でもあり、『プロメア』のテーマの一つを汲んでいて、とても映画に合った選曲だと感じました。なので、『プロメア』を見る際にはその音楽にも注目していただけるとより面白くなると思います。ぜひ。




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。










・簡単にストーリーについて


『プロメア』において、バーニッシュは30年前の大炎上を引き起こした存在として、厳しく取り締まられています。捕らえられ収容所に入れられていました。バーニッシュを匿うことですら罪になるという徹底ぶりです。


これは誰もが感じることだと思うんですけど、これって人種問題をそのまま表していますよね。アメリカの黒人差別のごとく。大戦中の捕虜のごとく。彼らのようにバーニッシュは酷く迫害されていました。カフェでのシーンが印象的です。バーニッシュが作ったピザを美味しい美味しい言って食べていたモブが、バーニッシュが作っていたと分かった瞬間捨てるんですよ。こんなの差別以外の何物でもないじゃないですか。そういった人種差別の問題を下敷きにしているのかなというのは観ていて強く感じました。


でも、バーニッシュも黒人や捕虜と同様に、懸命に生きているんですよね。ご飯だって食べるし、仲間が死んだときには悲しむし。前述しましたけど「バーニッシュだって人間なんだ」というリオの呟きがとても悲しいものに聞こえて、切なくなりました。


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ガロはそこでリオから、クレイがバーニッシュを使って人体実験をしていることを知らされます。クレイのもとを訪ねるガロ。クレイは地下にガロを案内します。そこでガロが見たのはこのままだと半年後には地中のマグマが噴き出して地球は死の星になるということ。それを見越してクレイは選ばれた1万人を宇宙船で地球によく似た4光年先の星に移住させる準備をしています。SFだとたまにある設定ですね。具体例は挙げられないですけど、定番ともいえる設定にときめきます。


ただ、その星に行くにはワープをしなければならず、そのエネルギー源はバーニッシュが発する炎でした。先程のカフェのバーニッシュが実験に使われ、灰になるところを見たガロはクレイに問いかけます。なんとか止めさせられないのかと。難しい問題ですね。人類の大義のためなら一部の犠牲は許されるのか。簡単に解決できる問題ではなく、この重厚なドラマも『プロメア』の魅力の一つです。『プロメア』はアクションだけじゃないんです。


まあ当然クレイの考えは変わらず、ガロは殴り倒されます。クレイはガロを収容するように伝え、科学者のエリス・アルデビットに研究を続けるよう命じます。このエリスはバーニングレスキューのアイナ・アルデビットの姉でして。この姉妹のドラマも『プロメア』で注目してほしいポイントの一つです。




そこからはもう怒涛の展開巨大ロボvs巨大ロボの戦いがあったり、宇宙規模にまで発展したりします。男の子ってこういうの好きなんでしょの詰め合わせ。冒頭に使用した武器や展開を終盤で再び使う展開は、嫌いな人いるの?というレベルでツボを押さえてきます。個人的にはクレイの技名がいちいちツボにはまってダメでしたね。真顔で開墾ビームとか言っちゃうんですよ。他にも邪王炎殺黒龍波みたいな技もありました。中二かよ。


それに、クレイの「地球を救うには犠牲が必要なんだ」という主張に対して、ガロたちが辿り着いた答えが超好きで。詳しくはネタバレになるので言えないんですけど、熱さが最高潮になるんですよ。とてもガロたちらしい答えで、観ているこちらも燃え上がりました。この熱はぜひとも映画館で体験してみてください。




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・唯一の不満点について


基本的には『プロメア』は本当に最高でして、不満は全くない!と言いたいところなんですが、正直一つだけ不満があります。それは映画終盤、デウス・プロメス博士が登場するシーンです。ここは物語の根幹となる設定の説明シーンで、映画には絶対に必要なシーンなんですが、ぶっちゃけ少し退屈に感じてしまいました。


なぜなら、そこまでの熱い展開が一旦区切られ、熱が冷まされたような気分になったからです。説明もそこまで易しいものではないですしね。説明の最中にガロが鼻ちょうちんを出して寝ている描写があったんですが、私も同じ気分になりました。ここもう少しテンション高く、熱を落とさず伝えてほしかったなというのが、『プロメア』に対する私のただ一つの不満です。


ただ、それ以外は特に不満もなく、最高に熱くなれる映画でした。アニメや実写を問わない熱い展開が目白押しで、アニメならではの表現や描写もふんだんに盛り込まれていて、しかもそれがまた面白いので、『プロメア』は普段アニメを見ない人にも受け入れられる映画だと私は思います。今石監督の作品やTRIGGER製作のアニメを見てなくても問題ないから、絶対に観て!!というのは声を大にして伝えたいところです。


お願いだから観て!!!!!!!!!!!!!!!!




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以上で感想は終了となります。いろいろ書きましたけど『プロメア』は、声優さんの熱演が素晴らしく、熱いアクションがてんこ盛りで、超面白い映画だということです。もし、未見ならば一度見てみることを強くオススメします。何としてもヒットしてほしいですね。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい


「プロメア」オリジナルサウンドトラック
プロメア
アニプレックス
2019-05-24



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