こんにちは。これです。


最近は引っ越しもあり、なかなか映画を観に行けていなかったのですが、ようやく一段落した今日、再び映画を観に行くことができました。今回観た映画は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』。あの『ゴジラ』シリーズがハリウッドで再び映画化されたこの作品。映画好きとしては見ておかなければならないと思い、観てみたんですが、確かに評判通り面白かったです。怪獣バトルは大迫力だし、人間ドラマもちゃんとあるし。ただ、その一方でハマらなかった部分も実はあります。


では、これから感想を始めたいと思うのですが、まず私は『ゴジラ』シリーズは初代『ゴジラ』と『シン・ゴジラ』しか観ておらず、『ゴジラ』シリーズには疎い人間です。なのでファンの方からすれば「何言ってんだこいつ」と思う部分も多々あるかと思いますが、何卒穏やかな気持ちで読んでいただければと思います。あと、わりと批判しているので、絶賛評が読みたい方は読まないでおくのがお互いのためかと。


それでは、前置きもこのぐらいにして感想を始めたいと思います。拙い文章ですが、よろしくお願いします。




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―目次―

・怪獣バトルが大迫力!
・人間ドラマもちゃんとある
・ゴジラの扱いにモヤる
・アメリカ!感が強すぎる





映画情報は公式サイトをご覧ください。












※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。









・怪獣バトルが大迫力!


まず、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の最大の長所には、大迫力の怪獣たちのバトルシーンが挙げられます。この映画には主に4体の怪獣が登場していました。ゴジラ、キングギドラ、モスラ、ラドン。他にも端役で怪獣たちが何体か暴れまわっており、まさに怪獣大戦争の様相を呈しています。


まずは主役のゴジラ。この映画でのゴジラは『シン・ゴジラ』のそれよりも大きく、肌の質感はゴツゴツしています。目もやや大きく、映画の中で芹沢博士がゴジラに触るシーンがあったのですが、優しい目をしていましたね。でも、戦うときは厳しい表情も見せ、特に最後の赤く燃えるバーニングゴジラ(今名付けた)は掛け値なしにアツかったです。そこからのキングギドラを圧倒する姿がとても格好よかった。


次に、今回の敵役となるキングギドラ。3本の首でゴジラに噛みついたり、光線を吐いたりして圧倒的な強さを見せますが、個人的に印象に残ったのはその再生能力の高さ。ゴジラに首を一つ噛みちぎられても、何事もなく再生してるんですよ。こいつどうやって倒すんだよ…ってなりました。他にも電気を吸収してパワーアップするのは面白かったですね。でんきタイプだったんだ(ポケモン脳)。


ラドンは他の三怪獣の個性が強すぎるため、少し割を食って影が薄くなっていましたが、飛行艇を追いかけるシーンはドキドキしましたね。でもここがピークだったのでもっと活躍を見たかった気もします。


でも、そんなことよりモスラですよ。この映画は。モスラが超愛おしいんです。最初に登場するのもモスラですし、気持ち悪いはずの幼虫形さえなぜか可愛かった。攻撃方法も糸を吐くだけで温和ですし。研究施設から逃げ出して、繭を作って一時退場するんですが、中盤になって成虫になるんですが、この羽化したときの光輝く羽の神秘的なこと。癒されます。鳴き声も可愛いですし、まさかモスラに萌えるとは思いませんでした。むしタイプが苦手なはずのひこうタイプのラドンにも金星を挙げていましたし、この映画の個人的怪獣MVPです。


で、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、この怪獣たちが所狭しと大バトルを繰り広げるんですよね。満腹になるような量はもちろん、質もすごく高くて。バラエティに富んでいるんですよ。噛みついたり、組み合ったりの接近戦に、光線での中距離戦。さらに、ゴジラ対キングギドラの地上戦はもちろんキングギドラ対ラドンなどの空中戦も網羅


加えて怪獣に人間たちが追いつめられる緊迫したシーンもバッチリ描いています。すんでのところで攻撃が届かなくて助かったりとか。パニックムービーの要素もこの映画は備えていて、手に汗握るシーンがてんこ盛りです。動の部分では『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は文句のつけようがない出来になっていると素人ながらに感じました。あのお決まりのゴジラのテーマも流れてましたしね。




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・人間ドラマもちゃんとある


その一方で『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は静の部分(そんなにないけど)もしっかりとしていました。映画の評判で「怪獣バトルに偏重しすぎて、人間のドラマが薄い」みたいなものがあったので、まったく期待せずに見ていたんですが、予想外の人間ドラマにびっくりしてしまいました。


その人間ドラマとは家族のドラマなんですよね。映画の主人公マークは息子をゴジラの襲撃で亡くしていて、妻のエマや娘のマディソンと離れて暮らしています。でも、エマとマディソンは謎の武装組織に拉致されてしまい、行方知れずに。マークがエマとマディソンを取り戻すというのがこの映画の大きな柱の一つになっていました。


また、エマも地球の存続のために、怪獣との共存を訴えて怪獣を起こすわけですが、それも息子の死を教訓にしてのことなんですよね。でも、これに反発した娘が怪獣をコントロールする機械を持ち出してしまうんですよ。ここで、エマには地球を取るか娘を取るかという大きな二者択一が突き付けられています。この手の映画には割とよくある展開ですが、王道だからこその力強さがありました。


それに、マディソン役のミリー・ボビー・ブラウンの演技が抜群にいいんですよ。怯えるようで自己の強さも持っていて、怪獣を止めることを決意したときの眼差しにやられました。まあ機会を盗むところはセキュリティ緩すぎだろとは思いましたけどね。吹替の芦田愛菜さんもバッチリハマってました。年代も合致してますし、さすがに表現力の幅が広い。この二人の活躍がこの映画の人間ドラマに大きな説得力を持たせていましたね。




あと、役者さんで言うとチャン・ツィイーがめっっっちゃ美人。西洋の顔立ちが並ぶ中で、一際目を引く存在感がありましたし、この映画の華の部分を一手に背負っています。ある程度年いった人しかいない船内で彼女の存在はまるでオアシスのように爽やか。途中まで怪獣そっちのけで「チャン・ツィイーめっちゃいいな」と思ってたぐらいです。甲板に出てゴジラと対面するシーンが個人的にお気に入りですね。




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・ゴジラの扱いにモヤる



ここまではわりと褒めてきたんですけど、この映画を観た私の感想っていうのは「これなら『シン・ゴジラ』の方が10倍は好きだな」というものなんですよね。つまり、個人的にはあまりハマりませんでした。いや、普通に面白いですし、観て損はないとは思うんですけど。


この映画ではエマが怪獣を復活させる理由は「人間の行き過ぎた環境破壊が地球を破滅に導く。怪獣は人間という病原菌に対する地球の免疫のような存在。地球が破滅しないために怪獣を復活させる」というものでした。つまり怪獣は地球の調整役。人間にはコントロールできない自然の存在と。まあここまではいいです。


で、その自然に対して抗うのがゴジラなんですよね。ゴジラも人間にはコントロールできない存在です。でも、ゴジラが自然の存在かといわれるとそうではない。だってゴジラってもともとは放射性廃棄物から生まれた怪獣じゃないですか。つまり人工の存在なんです。それでもゴジラは人間が扱える範囲を超えた怪獣。原発というテクノロジーに対する反省として生まれた以上、人間の味方をするべきでは決してないと思うんです。


でも、この映画では結果的にですけど、ゴジラは人間の味方になっちゃっているんですよね。あまりゴジラ映画を観ない私のイメージでは、『ゴジラ』シリーズというのは人間がゴジラを何とかしようとする、放射性廃棄物の安易な投棄を省みるみたいなイメージがあります。なので、ゴジラが人間の味方をしだしたときは割とショックを受けました。最後も自分から帰ってますし。


私は原発反対派というわけではない(どちらかといえばない方がいいと思うけど)んですが、この映画で描かれたゴジラの描き方というのは原発を大々的に肯定するものだと感じてしまいます。さすがは原発の数が世界第一位で、トランプもサウジアラビアの原発開発に協力したりするアメリカだなって。3.11を体験した日本人である私(あくまで私ね)の身からするとこの姿勢というのは少しモヤってしまいます。『シン・ゴジラ』はこの原発に対する負の側面ともしっかり向き合っていたので、個人的にはこちらの方が好きです。ザ・日本って感じがして。




あとは単純に人々の頑張りが『シン・ゴジラ』の方が描かれているということも大きいですね。みんなが力を合わせて強大な相手に立ち向かうのは燃える展開ですし、やはり『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は活躍する人間が限られていたかなと。ただ、これは怪獣バトルに重点を置く以上しょうがないことではありますが。


それと、ゴジラが人間に操られる格好になっていたのもショックです。ゴジラにはもっと超然とした「神」でいてほしいんですよね。個人的には。その方が神々しさありますし。でも、この映画ではゴジラは人間にいいように利用されていて。リモコンで動かされるロボットとあまり変わりないように映ってしまいました。ゴジラと人間の絆とか正直いらないです。もっと人間を超越していてほしい。芹沢教授が特攻するシーンでも、いかにも「アメリカが描く日本像」みたいに感じてモヤってしまいましたし、ゴジラにはもっと好き勝手暴れてほしかった。この点でも「神」として描かれていた傾向のある『シン・ゴジラ』の方が個人的には好きですね。




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・アメリカ!感が強すぎる


そして、私が『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で最もモヤるポイント。それはゴジラがアメリカのものになってしまったということです。もう言ってしまうとこの映画はアメリカ礼賛の映画だと思います。


なぜかというと途中からゴジラがアメリカそのものに見えてきてしょうがなかったからです。『シン・ゴジラ』ではゴジラはどこの国にも属していませんでした。しかし、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、モナークにコントロールされようとしています。モナークはアメリカの機関。つまりはアメリカがゴジラをコントロールしようとしている。そして、結果的にゴジラはモナークの味方をします。いわばこれはモナークはゴジラを疑似的に支配下に置いたということで、ここでゴジラ=アメリカという図式が成り立ったと私は感じました。まあかなり強引ですけど、この仮定がないとここからの話が進まないのでご容赦ください。


では、ゴジラをアメリカのメタファーとするとその敵役であるキングギドラのメタファーはなんでしょうか。私はロシア(旧ソ連)だと考えます。キングギドラは日本のヤマタノオロチの神話に端を発していますが、Wikipediaによると、ソ連の映画に出てきた火を噴く三頭龍(ロシア・東欧に伝承される蜜首龍・ズメイ)の影響を指摘する向きもあるといいます。なので、ここでは思い切ってキングギドラ=ソ連とします。そして、このアメリカ対ソ連の構図といえば、みなさんご存じの通り冷戦です。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は冷戦を暗喩した映画であると私は感じました。実際に劇中でもキングギドラは「偽りの王」と言われていますし、これはアメリカをはじめとした西側から見た東側に君臨するソ連を表しているのではないでしょうか。


と考えるとモスラやラドンにも隠された意味がありそうです。モスラはゴジラと蜜月の関係を保っている、つまりアメリカと同盟を結んでいる国。もっと言えば安保理で結ばれた日本だと私は考えます(モスラの後にやたらチャン・ツィイーが映されていたけどそこは気にしない)。モスラはキングギドラの手下であるラドン、つまり東側陣営のどこかの国と戦って傷つきながらも勝利をおさめます。しかし、最後はキングギドラに立ち向かって散ってしまう。それがゴジラのパワーアップの要因となるわけですが、この両者の関係が日本とアメリカを表しているというのは私の考えすぎでしょうか。


そして、怖いのがこの映画の最後では他の怪獣たちがゴジラにかしずくんですよ。そして奉公するゴジラという画でこの映画は終わるのですが、他の怪獣も同じように国を表していると考えると、アメリカに他国がかしずいているように思えます。つまり、アメリカこそが王なのだと。『キング・オブ・モンスターズ』は『キング・オブ・ネイションズ』なのだと。アメリカ万歳!アメリカンファースト!そりゃモヤりますよ。2時間たって見せられたのは強烈なアメリカ礼賛ですからね。メイド・イン・ジャパンのゴジラがアメリカだけのものになってしまったと感じたことが、私がこの映画にハマれない最大の要因でした。好きな方すみません。




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以上で感想は終了となります。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』、私にはあまりハマらない映画だったんですけど、でもエンタメ性が高くしっかり面白いので、観て損はないかと思います。気になる方は是非。


お読みいただきありがとうございました。




参考:

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイト
https://godzilla-movie.jp/

キングギドラ-Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/キングギドラ




おしまい





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