Subhuman

ものすごく薄くて、ありえないほど浅いブログ。 Twitter → @Ritalin_203

2018年11月



前節アウェイでガイナーレ鳥取に0-1で敗れたAC長野パルセイロ。5試合ぶりの敗戦で9勝11分10敗の勝ち点38で11位に後退したパルセイロの今節の相手は、ここまで10勝6分15敗の勝ち点36で13位につけるFC東京U-23。パルセイロは前半戦の対戦、ホーム開幕戦では1-0で勝っていますが(あのものすごく寒かった日)、FC東京U-23は来週の最終節に試合がないため、この日がシーズン最終戦で、最後は勝利で終えようとモチベーション高く向かってきました。先週中には阪倉監督や美濃部GM、小笠原強化ダイレクターの退任も発表され、揺れるパルセイロはどういった試合を展開していったのでしょうか。






まずは両チームのスタメンです。





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パルセイロは前節からスタメン1人を入れ替え。右SBで#20都並選手が16試合ぶりの出場を果たしました。今季出場機会が少なく#20都並選手にとってはこの試合が来シーズンに向けた最終オーディションといえるでしょう。フォーメーションは変わらず4-4-2。


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対するFC東京U-23は前節から#19平岡選手#22山田選手#28内田選手#40平川選手#44品田選手スタメン6人を入れ替え。オーバーエイジは#20前田選手#22山田選手、そしてなぜかベンチに控えている#17富樫選手の3人になります。





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前半キックオフ!


この日もパルセイロは前線から積極的にプレッシャーをかけに行きます。奪われたらすぐに奪い返しに行くという切り替えの速さを見せ、FC東京U-23のビルドアップを阻害します。また、一人がパスコースを切ってボールを出させる方向を限定し、他の選手が限定されたパスコースに立ってボールをカットするといった連携もきちんとなされていて、ボールをインターセプトする場面が目立っていました。また、前線の選手が献身的にプレスバックを行い時間をかけさせることで、後方で4-4のブロックを作ることにも寄与していて、守備に安定感を生むことにもつながっています。


パルセイロはこの日、プレスをかけ始める位置を敵陣ミドルゾーンに設定。前からプレスに行くに伴って、ディフェンスラインも連動して高い位置を保っています。FWと中盤、中盤とディフェンスラインの間もそれぞれ20m以内に保たれ、横幅もペナルティエリアの幅以内に収め、スペースを作らせません。FC東京U-23はこれを突破するために裏を狙う、ロングボールに競り勝つなどして、ディフェンスラインを下げさせ間延びさせることを狙うべきでした。しかし、この日のFC東京U-23の前線には裏を狙う意識はあまり見られず、ロングボールも#3大島選手#5寺岡選手が競り勝つ、複数人で囲んで次のプレーをさせずに奪うなど前線でタメを作ることを許さず、FC東京は攻撃の形がなかなか作れません。


また、FC東京U-23の選手たちは練習期間が短いためか、連携があまり整っておらず、特に攻撃ではポジションチェンジを織り交ぜた攻撃というのをあまりしてきませんでした。それを知ってか、パルセイロはこの日はマンマークディフェンスを主に使ってきます。FC東京U-23と同じ4-4-2のシステムを採用することで、それぞれの相手をはっきりとさせて迷いをなくし、素早いプレスを生んでいました。プレス自体の強度も上がっていて、相手を自由にさせていませんでした。


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パルセイロは攻撃のときにはまずロングボールを狙います。この日のFC東京U-23の両SBは本職でない#31ジャキット選手と、二種登録で一種のスピード感になれていない#43鈴木智選手という比較的ナイーブな二人でした。帰陣の際にディフェンスラインがなかなか揃わなかったり、ポジショニングを中に絞り過ぎていてサイドを開けすぎるといった難点をパルセイロはSBの裏を狙うことで突いてきました。#14東選手#27竹下選手が斜めの動きでサイドに流れて、ボールを受けようとすることで、FC東京U-23のディフェンスラインは押し下げられていきます。


この日のFC東京U-23は前線がパルセイロほどではないにしろ前から守備をしてきます。パルセイロは3ライン間の距離をそれぞれ20m以内に保ってコンパクトな陣形を実現していましたが、FC東京U-23はディフェンスラインが下がり過ぎていたことで、3ラインの間がそれぞれ20m以上開いてしまって、試合開始から間延びをしてしまうという事態に陥っていました。これを積極的に利用しようとしていたのが#14東選手。少し下がって中盤とディフェンスラインの間でボールを貰うことで、簡単に前を向くことができ、前方に効果的なパスをいくつも供給していました。


また、この日のパルセイロは自陣からのロングボール一辺倒になるのではなく、きちんとビルドアップから前線にボールを繋いでいくという攻撃も織り交ぜてFC東京U-23守備を崩しにかかります。ビルドアップの際に#6岩沼選手#7佐藤選手が落ちて3バックを形成。FC東京U-23の前線からのプレスを躱しやすくするだけでなく、3-3-2-2のような形にすることで、ギャップを作りボールを受けやすい状況を作り出します。ディフェンスラインに入っていないボランチの選手が、FC東京U-23の前線と中盤の間でボールを受けると、相手の選手はプレスをかけてきます。するとその選手が元いた場所にスペースができるのでそこをまた使うといった連動性のある攻撃をパルセイロは繰り返し行えるようになります。


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前線では、左SHの#8河合選手が中に絞って、その外を#2松原選手が上がる。ここまでは普段と同じですが、この日の前半は#43鈴木智選手が慎重になり守備偏重になっていたので、右SHの#23堂安選手を絞らせて、右SBの#20都並選手も上がります。両SBが高い位置を取ることで、パルセイロは攻撃時に、前線に厚みを生むことに成功していました。FC東京U-23は上がったパルセイロのSBに注意を引きつけられ、中の警戒がおろそかになって、前線の選手がプレッシャーの少ない状態でボールを持つことができるようになっています。また、パルセイロのSBが上がることでFC東京U-23のSHも下がりざるを得ず、攻撃の開始位置を下げる、FC東京U-23の2トップにボールが入ってもサポートが少なく、攻撃に移ることができないといった効果もパルセイロは得ていました。


サイド攻撃ではパルセイロは、中央とサイドの間のハーフスペースと呼ばれるスペースを有効に使って攻撃します。高い位置を取ったSBにボールが出たとき、#23堂安選手#8河合選手はサイドでSBのサポートに入る場合にも、中で待つ場合にもあらかじめハーフスペースを開けています。FC東京U-23のディフェンスはSBが中に絞り過ぎてハーフスペースを締めれてなかったため、そこに、SHやFWの選手が勢いよく入っていくことで比較的容易にボールを受けることができ、シュートやCKの獲得につなげることができています。また、中に絞り中央はおろか逆サイドまで出ていくこともある#23堂安選手#8河合選手の動きをFC東京U-23の守備陣は捕まえ切れていませんでした。


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パルセイロがSBを狙うという明確な意図をもって攻撃をしていたのに対し、FC東京U-23の攻撃にはイマイチ明確な意図が見られません。FWのボールを引き出す動きも少なく、中央だと跳ね返されるからサイドを使って攻撃しようというぼんやりとしたイメージはあるのですが、どうやってサイドを崩すのか、SBを上げたり、ワンツーを使ったり、3人目の動きを使ったりという方法を選手同士が共通して持っておらず、判断が遅くなりその間に寄せられて上手くプレーできなくなってしまうというまずい状況に陥っていました。パルセイロがSBを絞らせてハーフスペースをしっかり塞ぎ、サイドにボールが入ったとしても守れるようにしていたということもありますが、FC東京U-23は前半は攻めあぐねる時間が続き、シュートはセットプレーからの1本に終わってしまいました。唯一サイドに留まらず中に入って勝負を仕掛ける#19平岡選手だけがFC東京U-23のなかで孤軍奮闘していましたね。


攻守の切り替えでもパルセイロは優位に立っています。先ほど触れた攻→守への切り替えだけでなく、ボールを奪って守→攻への切り替えも素早く、カウンターでもFC東京U-23に脅威を与えていました。ボールを奪ったら自らで少し持ち上がり、すぐにFWにつけようとします。FWがボールをキープしている間にもSHやもう一方のFWが長い距離を全力疾走し、ボールを持っている選手からパスを引き出そうとし、少ないパス数で手早くゴールに向かうシーンが前半は何度も見られました。ただ、ここで飛ばしたことで体力は早いペースで消費されて行ったんですけど。


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前半36分。パルセイロは左サイドでのCKを獲得します。#6岩沼選手が蹴る少し前に、一番ニアサイドにいた#20都並選手が相手の後ろを回って中央でフリーになります。#43鈴木智選手のマークを外した#20都並選手にボールが入り、#20都並選手はヘディングシュートを打ちますが、これは#50波多野選手がセーブ。しかし、こぼれ球を#2松原選手が押し込んでパルセイロが先制に成功します。#2松原選手は今シーズン3点目です。パルセイロは前半8分にも同じようなファーサイドを突くCKを行っていて、そのときは#23堂安選手のシュートは外れましたが、今度は決めることができました。





そのままスコアは動かず前半は終了。パルセイロが前からのディフェンスと素早い攻守の切り替えで優位に立つことができた前半でした。ただ、スプリントの量が多かったので、後半どうやって最後まで体力を持たせるかですね。


後半開始からFC東京U-23は選手交代を行います。#20前田選手に代えて#17富樫選手を投入。前線の動き出しを増やして、主導権を奪い返しに来ます。


後半キックオフ!


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後半立ち上がりもパルセイロがペースを握ります。前半に引き続き、SBの裏にボールを蹴り。ハーフスペースを用いたサイド攻撃で、CKやFKを獲得。しかし、これを決め切れないでいるとペースは徐々にFC東京U-23に傾いていきます。


FC東京U-23は交代で入った#17富樫選手が精力的に裏を狙う動きやサイドに流れる動きを繰り返し、パルセイロのディフェンスラインを少しずつですが下げさせています。パルセイロはコンパクトな陣形を保つことを優先して、中盤や前線もポジションを前半よりも低く取らされ、FC東京U-23のディフェンスラインは前半よりもボールを持てるようになりました。


そしてFC東京U-23は横幅を前半よりも広げ、サイドを使う攻撃を見せます。#31ジャキット選手#43鈴木智選手の両SBがワイドに開いて高めのポジションを取れるようになり、パルセイロの4-4のブロックを横に延ばしにかかります。その狙い通りにパルセイロのディフェンスは広げられ、スペースを作られていました。


さらに守備でもFC東京U-23は変化を見せます。前線からプレスをかけるのは変わらずでしたが、ディフェンスラインを前半よりも上げコンパクトな形にしてきます。さらにボールを奪われた後も、前半はリトリートして守備陣形を整える傾向が見られたのですが、後半になると奪われたらすぐ奪い返しに行くプレッシングへと変化。攻→守への切り替えを速くし、高い位置で奪い攻撃につなげるシーンも何度か見られます。またSHのプレスバックも強化され、パルセイロは前半よりもSBやボランチがボールを持てなくなってきていました。


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後半23分。パルセイロが最初の選手交代を行います。#23堂安選手に代えて#25有永選手を投入。この日の#23堂安選手は攻撃ではポジションにとらわれない動きで相手守備陣を惑わせ、守備でもプレスバックを精力的に行い、チームを助けていました。ただスプリントの繰り返しで少し足が止まってきていたので、阪倉監督は早めに#25有永選手との交代という手を打ってきました。#25有永選手はそのまま#23堂安選手のいた右サイドに入ります。


その直後の後半24分にはFC東京U-23も選手交代。#24原選手に代えてすでに今シーズン限りでの契約満了が発表されている#51リッピ・ヴェローゾ選手を投入。そしてこの交代に伴ってFC東京U-23は布陣を変更。#19平岡選手が2トップに入り、中盤はダイアモンドのような形で底に#40品田選手、SHに#44平川選手#28内田選手、トップ下に#51リッピ・ヴェローゾ選手という並びに変えてきました。


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布陣変更の効果はさっそく現れます。#44品田選手がパルセイロのFWの間でボールを受けられるようになり、SHを少し下げた位置に置くことで中盤が厚くなって、ボールを保持できる時間が長くなっています。さらにトップ下に入った#51リッピ・ヴェローゾ選手は自由に動いて、疲れてきたパルセイロディフェンスは対応に追われて、他の選手を開けてしまうという場面も見受けられます。中盤のそれぞれのポジションで生まれたギャップをFC東京U-23は巧みに利用してきました。


パルセイロは後半29分に#6岩沼選手の惜しいシュートはあったものの、基本的には1点を守りきるために後ろで下がってブロックを形成するという試合運びに徐々に移行してきます。前線からのプレッシャーが減り、それがFC東京U-23のボール保持につながっていました。また、選手の足も前半のスピーディーな展開の影響からか少しずつ足が止まってきてしまって、ディフェンスラインと中盤の間が間延びしてしまったり、中を固める意識が強くてハーフスペースを開けてしまうといった事態が起こっていて、そこをFC東京U-23に使われ何度かシュートまで持っていかれてしまいます。


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後半34分にはパルセイロが二人目の選手交代を行います。#14東選手に代えて#28松村選手を投入。#14東選手はこの日も下がって間でボールを受けることによりチャンスを作り、守備でも前線から献身的にボールを追いかけてコースを限定してくれていました。#28松村選手はそのまま2トップの一角に入ります。


後半38分にはパルセイロが最後の選手交代。#27竹下選手に代えて#10宇野沢選手を投入します。#27竹下選手はこの日はボールキープの機会はあまりなかったものの、裏への飛び出しを繰り返すことでFC東京U-23のディフェンスラインを押し下げて、パルセイロが攻撃しやすくしていました。#10宇野沢選手はそのまま2トップの一角に入ります。前線でボールを収めて上がる時間を作りたいというのと、前からのプレスを強化してボールを出させないようにしたいという考えですかね。


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追いつきたいFC東京U-23は、前線にロングボールを入れてもパルセイロの守備陣に跳ね返されるので、後ろから丁寧にパスをつないでいきます。CB→ボランチ→SHと飛ばさずにつなぎ、高いポジションを取っているSBにボールを渡してサイドからの突破を図ろうとしますが、パルセイロのディフェンス陣もFC東京U-23が時間をかけてくれたおかげで、4-4のブロックをしっかりと作り、サイドにもしかるべき人数を当てて守ります。後半43分に#51リッピ・ヴェローゾ選手にシュートを打たれますが、それ以外はサイドでボールを奪って、ロングボールを蹴って相手陣内に入り込み、時計の針を進めます。


そして、後半アディショナルタイム4分もパルセイロは守り切り、1-0で試合終了。パルセイロが2試合ぶりの勝利を挙げるとともに11試合ぶりの無失点試合を達成しました。後半は盛り返される時間帯もありましたが、普段から同じチームで練習しているパルセイロと試合2,3日前になってようやくメンバーが決まるFC東京U-23との練度の差が勝敗を分けた。FC東京の守備組織がディフェンスラインも整っておらず、中盤との距離も空くなどといった欠点をパルセイロが上手く突いて勝利をものにした試合でした。縦に早い攻撃は見ていて面白いものでしたし、阪倉監督は別に辞める必要ないんじゃないでしょうか。決定はもう覆せませんが。


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<ハイライト動画>






監督コメント(Jリーグ公式)

選手コメント(Jリーグ公式)

J3順位表(Jリーグ公式)

【11/23 F東23戦】監督・選手コメントをアップしました(長野公式)

2018明治安田生命J3リーグ第33節 vsFC東京U-23|フォトギャラリー|ファンゾーン(長野公式)

試合結果|U-23(FC東京公式)

AC長野守り切り勝利(信濃毎日新聞)














この結果を受けてパルセイロは10勝11分10敗の勝ち点41で9位に浮上。最終戦の結果次第では7位にまで上がる可能性があります。そしてその最終戦の相手は、ここまで11勝4分16敗の勝ち点37で13位につけるグルージャ盛岡。前回対戦のアウェイでの試合では、阪倉監督初戦ということもあり0-3で敗れており、そのリベンジを果たしたいところです。


キックオフは12月2日の13:00から。最終戦ということでイベントも盛りだくさんで、さらにはグルージャ盛岡のマスコットキャラクターきづーるも来場してライオーとPK対決をするというお楽しみも。ここを逃してしまうと来年3月まで試合はないので、皆さんぜひとも長野Uスタジアムにお越しください。


がんばれ!AC長野パルセイロ!!




The・完






こんにちは。これです。

J1開催中ですけど移籍記事やります。よろしくお願いします。





松本山雅FC

・三島康平選手が今シーズン限りで契約満了

契約満了選手のお知らせ(松本公式)

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山雅から2日続けての退団者が出てしまいました。三島選手が今シーズン限りで契約満了。正直予想していた部分はありますがやはりつらいものがあります。


神戸、水戸に在籍した三島選手は、2016年水戸で24試合9得点の活躍が山雅の目に留まり、シーズン途中にも拘らず完全移籍で加入。移籍が決まった時の水戸方面からの恨み節は今でも思い起こされます。2016年は高崎選手と交代出場する機会が多く、14試合で3得点を記録。翌年2017年は山雅の戦術にも慣れて活躍が期待されましたが、高崎選手の影に隠れてしまい途中出場がメインで、天皇杯では2点を記録しましたが、リーグ戦では15試合出場無得点。雪辱を期して迎えた今シーズンでしたが、開幕から怪我に悩まされ、全体練習にすら参加できない日々が続き、厳しい時間を過ごします。ジネイ選手の途中加入もあり出場機会は2試合9分に留まってしまいました。


ただ、長い怪我を乗り越え今シーズン初の出場を果たしたホーム熊本戦では大声援で迎えられるなどサポーターに愛される選手だったのも確か。残念ながら今シーズンでのお別れとなってしまいましたが、山雅での悔しさをバネに、持ち味の空中戦の強さを生かして、もう一花咲かせてくれればと思います。いつか対戦相手としてアルウィンで再開出来たらいいですね。次のチームでの活躍を期待してます。2年半ありがとうございました。お達者で。






2019松本山雅FC

監督:反町康治(留任)

IN
DF 山本龍平(←四日市中央工業高校
DF 大野佑哉(←阪南大学
FW 榎本樹(←前橋育英高校

OUT
GK 鈴木智幸(→契約満了
FW 三島康平(→契約満了 ←New!!



おしまい








※このブログの内容はセットリストのネタバレを含みます。ご注意ください。








11月23日、NAGANO CLUB JUNK BOX。ここでthe pillowsは「REBROADCAST」ツアーの初日を迎える。記念すべき最初の会場に地元のライブハウスを選んでもらえて、なんだか体がこそばゆい。さっそく、入り口左にあった物販で、今年のアメリカツアー「MONO ME YOU SUN TOUR」のDVDと、「Safety Buster」Tシャツを購入して着替える。階段を上がると、そこにはすでに大勢の人が入場の瞬間をドキドキしながら待っていた。自分のメールが読まれるかもしれないラジオリスナーのように。


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Safety Buster Tシャツ


17時30分になり入場開始の時間を迎えた。ドリンクチャージの500円をミネラルウォーターに代えて、夢の空間へと誘われていく。すでに5枚ぐらいの層ができていて、特に考えもなく中央付近で立ち止まった。前に背の高い人がいて少し失敗したなと思った。周囲の人たちの待ちきれないという話し声が、私の心を急かした。そんな私たちの緊張を和らげるかのように、会場内には緩やかにビートルズが流れていた。







確か「Don't let me down」だったと思う。いきなり曲がぶつぎられ、代わるように2週間前にも聴いたSALON MUSICの「kelly's duck」が流れた。ステージ上ではメンバーが登場しているらしかったが、私が低身長なのと、前の人たちの腕がブラインドになって絶妙にステージが見えない。歓声がひときわ大きくなったことで、さわおさんがステージに入ってきたことを知った。


一瞬の静寂の後、一斉に音が鳴る。ニューアルバムの表題曲「REBROADCAST」だ。映画のエンディングのようなイントロが演奏された瞬間、会場の雰囲気が変わった。前へと吸い寄せられるように動き、隣人との距離も一気に縮まった。ツアーが楽しみで仕方がないといったバスターズの感情がいきなり爆発して、思いっきり曲に乗り始めたので、私はもみくちゃにされた。サビがいきなり大合唱されて、下から突き上げてくるような熱気が、会場を素早く覆った。あまり広くない会場だけにその速度も速くて、ライブはロケットスタートを切った。


続く「I think I can」で盛り上がりをキープしたのちに演奏されたのは「Freebee Honey」。映画「フリクリ オルタナ/プログレ」でも印象的な使われ方をしていたこの曲。ハイテンションな曲調につられて、バスターズも高揚していく。シンイチロウさんの威勢のいいドラムがさらに会場を盛り立て、それに呼応するように3人の演奏も勢いを増す。来年には30周年を迎えるバンドとは思えない若々しさがほとばしっている。


俺らがなぜここに来たか分かるか?
途轍もない良いアルバムができたからだ!!


そうして演奏されたのは「Binary Star」。the pillowsには珍しい変拍子の曲で、さすがのバスターズもノるのに苦労する様子が見受けられた。これもライブを重ねるごとに改善していくのだろうか。


さわおさんがスピーカーに足をかけて、ギターを丁寧に弾いた。その怪しげなイントロにフロアは歓声をあげる。映画「フリクリ プログレ」の主題歌「Spiky Seeds」だ。「REBROADCAST」には入っていないこの曲がこれだけの浸透度を誇っているということは、みんな映画を見たか、それともサントラを買ったのだろうか。有江さんのベースで不穏感を煽っておいて、サビで振り切れたかのように突っ走る。意味のない言葉の羅列が耳を通り抜けていく度に快味を感じる。間奏のシンガロングも歌っていて清々しかった。


シンイチロウさんのカウントから始まった次の曲は「Skim Heaven」。アルバム「Smile」の収録曲で、こういっちゃなんだけど影はあまり濃くない。演奏される曲を予想しようとしても、候補からスリ落ちてしまうような曲なのだ。久し振りに披露された曲はフロアに驚きをもって迎えられた。脱力感のある調子に、これまた意味の少ない歌詞。フロアはいい感じにクールダウンした。


落ち着いたフロアに真鍋さんのクールなフレーズが響き渡る。「王様になれ」は前アルバム「NOOK IN THE BRAIN」から唯一今回も演奏された曲だ。フラフラしたオルタナにさわおさんの鋭い歌声が刺さる。そのギャップがたまらない。







「王様になれ」を終えたさわおさんは、上機嫌に「サングラスがない今、(暑いからといって)カーディガンまで脱いだら、俺と判別できなくなるのでは」「ステージにサングラスとカーディガンを置いて、楽屋で歌っても成立するんじゃないかな」などとジョークを飛ばしている。フロアは和やかな空気に包まれた。


街に出れば多くの人間で溢れてるけど、今日ここにいるのは全員俺の味方のニンゲンドモだろ!!


真鍋さんのギターが軽やかなフレーズを奏でる。「REBROADCAST」のリード曲「ニンゲンドモ」が始まった。noodlesのYOKOさんや、Base Ball Bearの関根さんが担当していたハミングは誰がやるのかが気になっていたが、消去法で有江さんが歌っていた。ごつい体に見合わない高くてかよわいハミングに何だか笑ってしまう。ただ、さわおさんのボーカルや真鍋さんのコーラスと合わさって抜群のハーモニーを醸し出していたし、CDとは違う良さがあるすごくライブ映えする曲なんだと感じた。サビでは周りの人はほとんど腕を上げていたし、30周年を迎えるthe pillowsが打ち出したネオオルタナはお客さん受けも上々だ。


ぼくのともだち」「箱庭のアクト」と「REBROADCAST」からの曲を立て続けに演奏し、そろそろまたMCタイムだろうかと思った矢先、真鍋さんが聴いたことのない謎のフレーズを弾き始めた。フロアがキョトンとするなか、さわおさんから告げられた曲名は「プライベート・キングダム」。「Wake Up」ツアーから実に10年ぶりぐらい(たぶん)に引っ張り出してきた曲のコールに、一部のバスターズから嬌声が漏れた。


「プライベート・キングダム」は私も好きな曲で、周囲とあまり話すことのない私はいつも自分の殻に閉じこもっている。星新一のショートショートで「マイ国家」という話があるが、ちょうどそんな感じだ。世界が滅亡した後に一人残された人間のことを歌っているのに、とても共感してしまう。一人残されて彷徨い歩いたり、空を見上げるといった情景が頭の中に浮かんできて、泣きそうになってしまった。私はライブのときに歌を口ずさみながら演奏を聴くことが多いのだが、その歌う声にも力が入る。もしかしたら周りの人は迷惑に感じたかもしれない。でも、湧き出る感情を抑えることは出来なかった。さわおさんの最後のシャウトが、真に迫ったものに感じられた。






「プライベート・キングダム」を終え、水を飲んだり、チューニングしたりして休憩するとともに体勢を立て直すメンバーたち。さわおさん、真鍋さん、有江さんの3人の準備が一通り済んでも、シンイチロウさんはマイペースに準備を続けていた。前の人でよく見えなかったが、さわおさんに「え?自宅?」と突っ込まれているところを見るに相当ゆっくりとしていたのだろう。シンイチロウさんの準備も終わり、再び曲を始めるにあたってそれは起こった。さわおさんのタイトルコール中に、シンイチロウさんがドラムをたたき始め、演奏がスタートしてしまったのだ。少し続けたのちに、いややっぱりダメだと仕切り直すメンバーたち。あまり見ることのできない光景を見ることができて、少し得した気分になった。






気を取り直して演奏された曲は「眩しい闇のメロディー」。映画「純平、考え直せ」の主題歌にもなった曲だ。さわおさんと真鍋さんが情感を込めてギターを鳴らし、それに有江さんのベースとシンイチロウさんのドラムも応え、エモーショナルな空気にフロアは染め上げられていく。するとどうだろう。映画自体はそれほどいいものではなかったのに、苦い記憶が綺麗にコーティングされて、なんだか途方もない名作のように感じてしまった。映画のシーンが次々に思い出されて、また泣きそうになった。映画に主題歌が占める割合というのはかくも大きいのだ。


そして、この次の曲がこの日のライブで一番の驚きだったかもしれない。披露されたのはなんと「MARCH OF THE GOD」。「MY FOOT」収録のインスト曲だ。ここ最近インストをやっていないthe pillowsが実に10年以上の時を経てインストを演奏する。これは予想しようと思っても予想できるものではない。「眩しい闇のメロディー」の重い空気を反転させるかのような、爽やかな曲調。私の心に一筋の清涼な風が吹き抜けた。「Yes, more light!!」の合唱はフロアとステージが一体となった瞬間だった、気がする。これからツアーを見る人にもこの爽快さを味わってほしいなと思う。


Bye Bye Me」でホッと一息つかせてから、鳴ったのはピコピコという「Thank you, my twillight」にも使われたあの電子音。8小節ほどなった後にシンイチロウさんの合図で「Starry Fantango」の演奏がスタートした。「Starry」には星の多い、星のように輝くという意味があるが、まさに脳内にそんな、満天の星空のような情景が浮かぶ輝かしい演奏だった。最後余韻を残して終わる感じもとても心地いい。








15曲目が終わってメンバーのMCタイムに入る。さわおさんはタオルで頭をわしゃわしゃしていて「30曲分の汗をかいてる」と笑った。


有江さんMC→新幹線で切符をなくしそうになった話。
シンイチロウさんMC→新幹線の客が軽井沢でほとんど降りたと長野を軽くディスってさわおさんに咎められる。
真鍋さんMC→家で練習してるのとみんなの前で演奏するのは全然違う。体と心が違う。


さわおさんが前に出てギターをかき鳴らす。だが何も聞こえてこない。どうやらエフェクターの電源を切ったままにしていたようで、照れくさそうに戻っていた。そして、仕切り直されて始まったのは「WALKIN' ON THE SPIRAL」。階段を上がるようなリフが鳴らされ、フロアも横揺れを起こしていて楽しそうだ。


シンイチロウさんがどこかで聞いたことのあるリズムを叩く。頭上で手拍子が鳴る。「I know you」が始まる、と思いきや始まったのは「BOON BOON ROCK」。疾走感のある曲にフロアもこの日屈指の盛り上がりを見せる。中央では狂喜で押し合いへし合いが起こっていて、想像を超えてライブ映えする曲なんだと感じた。さわおさんもこの後で「BOON BOON ROCKは会場が一体となった」と語っていたぐらいには山場だった。


その勢いそのままに投下されたのは「No Surrender」。the pillows、さわおさんなりの「辛いことがあっても生きる」というメッセージが炸裂して、私の感情も爆発した。「Don't cry prisoner」の大合唱も、いろんなものをすり抜けてダイレクトに胸に伝わる。「どんなに悲しくても 生き延びてまた会おう」とさわおさんが語気を強めたところで、高校時代辛かったときにこの曲に支えられた思い出がよみがえってきて、私はとうとう泣いてしまった。


そういえば、さわおさんはインタビューで今回のツアーについて、「(REBROADCASTの)楽曲の持ってる感情がシリアスなものが多いので、そこに並べる以前の曲もそうなるかもしれないですね」と語っていた。これを踏まえると、この日演奏された既存曲も「プライベート・キングダム」、「WALKIN' ON THE SPIRAL」、「No Surrender」とシリアスなものが多かったように感じる。「MARCH OF THE GOD」だって「もっと光を!」と切実に訴えるシリアスな一面がある。困難や苦悩は現実にある。でも、負けずに何とか生きていくという前向きなメッセージが存分に感じられて、ライブが終わった後は救われた気持ちになった。そういう一筋縄ではいかず、ひねくれてはいるけれども、前に向かうエネルギーをくれるのが私がthe pillowsを好きな理由なのだ。


「No Surrender」を歌いきって、さわおさんがギターを置いてマイクを手に取った。どよめくフロア。本編最後の曲として鳴らされたのは「Before going to bed」。「今回はこのアルバムから全曲やります」という公約は守られた。前の「NOOK IN THE BRAIN」ツアーでは「She looks like new-born baby」と「pulse」が演奏されなくて(この2局は今後演奏される機会はあるのだろうか)、個人的には少し寂しい思いをしていたので、「REBROADCAST」から全曲演奏されたのはとても嬉しかった。


さわおさんがスピーカーに足をかけ、解き放たれたかのように歌う。「Life is only once」を人差し指を立てながら歌うさわおさんが印象的だった。最後のシャウトには、これまで関わってくれた人たちへの感謝、万感の思いが感じ取れて迫力あってかっこよかった。興奮状態を保ったまま本編は終了した。






ただ、フロアの熱気は冷める様子を見せない。度重なる拍手に迎えられて、メンバーが再び姿を現した。次にやる曲はなんとなく予想がついていた。


真鍋さんがゲームスタートといったギターを鳴らす。「Star Overhead」。映画「フリクリ プログレ」の主題歌でもあるこの曲をさわおさんが懐かしむように歌う。しみじみとした空気がフロアに流れて、経験したこともないのに、懐かしさにやられてしまう。


そして「POISON ROCK'N'ROLL」でアンコールは締めくくられる。有江さんのベースが、私がthe pillowsの曲の中でも一二を争うくらい好きなリフを弾き、疲れた体を勝手に揺り動かしてくれる。歌が終わった後に延長されたセッションは、照明が頻繁に切り替わったのもあって、とても眩しかった。


真鍋さん、シンイチロウさん、有江さんが下がった後に一人残されたさわおさんは、まずフロアに感謝を告げて、続けた。

「来年30周年じゃないか」
「今は会場の取り合いで大変だけど、916にこだわって(渋谷の)クワトロでやるんじゃなく、ピロウズが好きな人が1人でも多く来れる会場を押さえる」
「そのときはチヤホヤしにこい、コノヤロー」

1人でも多い会場というのはひょっとしたらドームやアリーナだったりするんだろうか。期待が高まる。さわおさんのバスターズに対する熱い思いが感じられてホロリときた。






フロアに「REBROADCAST」が響く。帰る気配はない。メンバーはそこにいないのに大合唱が巻き起こって、私もそのうちの一人だった。まだ何かあるかもしれないという期待が私を底に留まらせていた。


しばらくして、4人がビール缶を手に再々登場した。シンイチロウさんだけが先に開けてしまっていてさわおさんにツッコまれている。4人はライブが成功に終わった祝杯を挙げた。曲に入る前にMCがあって、真鍋さんがそばを食べた話から、さわおさんの愚痴に入っていった。さわおさんはお店で天もりそばを頼んで、冷めたてんぷらを単品で出されたらしい。さわおさんは冷めたご飯が大嫌いだそうで、そのことにイラついて、お会計のときにごちそうさまを言わなかったらしい。ということはいつもはごちそうさまを言うということか。いい人だ。


真鍋さんが鳥取の中華料理店で店番をさせられた話で、会場がほんわかしたムードに包まれて、シンイチロウさんがツアーの初日を長野にした理由を「七味唐辛子がもらえるから」と言って笑いを誘っていた。ヘッドホンをかけたドクロマークが描かれた缶がもらえるらしく、それを全国のご飯にかけるんだと息巻いていた。それはおそらく八幡屋磯五郎さんの七味で長野の名産の一つだから、なんだか誇らしくなった。


終始和やかなMCを終えて、最後に披露されたのは「EMERALD CITY」。全く予想だにしない選曲に私の心は躍った。「EMERALD CITY」をやるのも「HORN AGAIN」ツアー以来8年ぶりくらいのことではないか。荒々しいメロディーにフロアが揺らされて、大盛況のうちにライブは幕を閉じた。












この日は前の人に隠れて、4人の姿は顔ぐらいしか見えなかったけれども、それでもやっぱりthe pillowsはかっこよかった。さわおさんの冴えたボーカルに、真鍋さんの独創的なギター。有江さんの存在感のあるベースに、それらすべてを引き立てるシンイチロウさんの抜群のドラム。30周年を迎えるバンドとは思えないほど、若々しくエネルギーに満ちていて、活力を貰うことができた。


また、JUNK BOXの手ごろな大きさもこの日はプラスに作用した。ステージから発せられた音は隅までまんべんなく届き、フロアの熱気は閉じ込められて渦を巻いていた。初日ということで熱気の温度も密度も高かったし、the pillowsが好きという気持ちで溢れた空間は居てとても居心地がよかったし、ライブハウスならではの質感を持った最高のライブだった。


最後に思えば、この日the pillowsは黄金期の曲を演奏しなかった。私が思うthe pillowsの黄金期というのは「Please, Mr.Lostman」から「HAPPY BIVOUAC」のあたりなのだが、いつもはライブの定番とされる曲たちがこの日はなかった。それは単純に、最近「RETURN TO THIRD MOVEMENT」ツアーで、さんざやったから今回は別の曲をやりたいと思ったのかもしれないけど、それだけが理由ではない気がする。さわおさんはアンコール終わりのMCで、


「いつも俺たちはアルバムが最高だと思って世に出してるんだけど、もし君たちが持っているthe pillows像、山中さわお像があるとしたら、それにばっちりハマるような、黄金期に近い感じでできた」


という趣旨のことを語っていた。ライブでいつも演奏している黄金期の曲がなくても「REBROADCAST」と素晴らしい既存曲があれば十分に盛り上げられるという判断だったのだろう。長いキャリアを経てきた自信と、これからさらに先に向かうエネルギーがビシビシと伝わってきて、やっぱりthe pillowsは最高だと、そんなことを思った一夜だった。











~セットリスト~

01.REBROADCAST
02.I think I can
03.Freebee Honey
04.Binary Star
05.Spiky Seeds
06.Skim heaven
07.王様になれ
08.ニンゲンドモ
09.ぼくのともだち
10.箱庭のアクト
11.プライベート・キングダム
12.眩しい闇のメロディー
13.MARCH OF THE GOD
14.Bye Bye Me
15.Starry Fantango
16.WALKIN' ON THE SPIRAL
17.BOON BOON ROCK
18.No Surrender
19.Before going to bed

20.Star Overhead
21.POISON ROCK'N'ROLL

22.EMERALD CITY






おしまい


REBROADCAST 初回限定盤
the pillows
DELICIOUS LABEL
2018-09-19





勤労感謝の日にこんにちは。これです。


動きがあったのは昨日なんですけども、昨日は昨日で映画の感想を書いていたので、今日改めて移籍記事を書きたいと思います。よろしくお願いします。





AC長野パルセイロ

・井尻明ヘッドオブコーチング兼U-18監督が今季限りで退任


井尻 明ヘッドオブコーチング兼U-18監督 退任のお知らせ(長野公式)

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パルセイロからまた悲しいお知らせが発表されました。どんどんと人がいなくなっていきますね。寂しい。


井尻さんはJFAアカデミー福島男子U-13監督や中国の広州富力U-15監督を経た後に、パルセイロに加入。当初はアカデミーダイレクターとして、アカデミー全体を統括する立ち位置でしたが、今年4月に元パルセイロ代表の丸山朗氏がアカデミーダイレクターに就任すると、ヘッドオブコーチングというよく分からない役職兼U-18監督に配置換え。監督を務めた2018年のパルセイロU-18の主な成績は...


高円宮杯JFA U-18サッカーリーグ2018 長野県2部Bリーグ 11勝1分2敗 勝点34 1位
第22回 北信越クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 2回戦敗退
第26回Jリーグユース選手権大会 1回戦敗退


という結果でした。


また、ヘッドオブコーチングとしてU-15やシュヴェスター、サッカースクールなどアカデミーの各チームを丸山アカデミーダイレクターとともに発展させようと働いてくれたことと思います。しかし、引っ張ってきてくれた美濃部GMが今シーズン限りで退任するのと同時に退任。「志半ばでクラブを離れなければならないことは、自分の力不足だったことと痛感しております」というコメントから悔しさと無念さがにじみ出ていますね。ここまで育成畑を歩んできた人だから、次の職場もクラブのユースになるんでしょうか。新しいステージでの活躍を祈念しております。2年間ありがとうございました。そして、こんな別れ方になってしまってごめんなさい。



2019AC長野パルセイロ

IN
GK リュウ・ヌグラバ(←上田千曲高校
DF 吉村弦(←同志社大学
FW 大城佑斗(←中京大学











松本山雅FC

・鈴木智幸選手が今シーズン限りで契約満了

契約満了選手のお知らせ(松本公式)

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山雅の今オフ最初の退団者が出てしまいました。GKの鈴木智幸選手が今シーズン限りで契約満了。優勝したときにGK陣4人が笑顔でカメラに写っていて、ムードの良さと結束を感じられて感慨深かったので、そのうちの一人がこうしていなくなってしまうことは寂しく感じます。


鈴木選手は2015年に栃木から加入。村山選手やシュミット・ダニエル選手の後塵を推し、最初の2年間は出番はありませんでしたが、2017年になるとレギュラー争いを制す期間もあり、14試合に出場。安定したセービングでチームに貢献してくれました。しかし、今シーズンは守田選手の加入やゴ・ドンミン選手の成長もあり、ベンチにすらなかなか入れない期間が続き試合出場はゼロ。あえなく今シーズンでの退団となってしまいました。


本人は契約満了に際し、「チームの力になれなかったことは心残りですが」と語っていますが、そんなことはないと思います。GK陣4人が切磋琢磨することで、GKのレベルが上がり34失点というJ2最少失点に抑えられた。そこには間違いなく鈴木選手も貢献しています。守田選手や村山選手が出られなくても、鈴木選手が控えているということには大きな安心感がありました。32歳という年齢はGKでは中堅。まだまだやれるでしょう。確実にどこかのチームが拾ってくれるはずです。次のチームでの活躍を期待しています。4年間ありがとうございました。



2019松本山雅FC


監督:反町康治(留任)

IN
DF 山本龍平(←四日市中央工業高校
DF 大野佑哉(←阪南大学
FW 榎本樹(←前橋育英高校

OUT
GK 鈴木智幸(→契約満了 ←New!!



おしまい


REBROADCAST 初回限定盤
the pillows
DELICIOUS LABEL
2018-09-19




こんばんは。最近毎日ブログを書いていて少し疲れ気味のこれです。


ただ、そんななかでも映画を観に行くことはやめられません。今回観た映画はダコタ・ファニング主演、ベン・リューイン監督の『500ページの夢の束』になります。誰でも安心して観れるいい映画でした。流石は文部科学省選定といったところです。


では、いつものように感想を始めたいと思います。拙い文章ですがよろしくお願いいたします。



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~あらすじ~

『スター・トレック』が大好きで、その知識では誰にも負けないウェンディの趣味は、自分なりの『スター・トレック』の脚本を書くこと。自閉症を抱える彼女は、ワケあって唯一の肉親である姉・オードリーと離れて暮らし、ソーシャルワーカーのスコッティの協力を得てアルバイトも始めた。ある日、『スター・トレック』脚本コンテストが開催されることを知った彼女は、渾身の作を書き上げるが、もう郵送では締切に間に合わないと気付き、愛犬ピートと一緒にハリウッドまで数百キロの旅に出ることを決意する。500ページの脚本と、胸に秘めた“ある願い”を携えて―




※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。












・映画のストーリーについて


この映画を観たきっかけの一つがダコタ・ファニングが主演しているということですね。私、「アイ・アム・サム」のダコタ・ファニングがすごく好きでして。無邪気に見えて子供ながらに色々感じていて、苦悩している様子がたまらなく愛おしかったんですよね。シンプルに可愛くもありましたし。それで今回「500ページの夢の束」に出演していると知って観に行った次第です。


でもって、観た感想としてはやっぱり可愛かったです。子役時代とは違って犬を連れて散歩するダコタ・ファニング。赤いセーターを着てだだっ広い道路を歩くダコタ・ファニング。外のベンチで寝るダコタ・ファニング。93分という短めの時間の中に様々なダコタ・ファニングを見ることができます。不安げな表情の奥にのぞかせる強い意志にすごく惹かれました。


ダコタ・ファニング演じるウェンディは自閉症で、子供の頃から癇癪を起こしていました。母親が亡くなった後は姉に育てられましたが、姉が結婚して子供ルビーを出産すると、面倒を見きれなくなり、施設に預けられます。そんなウェンディのお気に入りは映画「スター・トレック」シリーズ。マニアックな難問にも即答するほどのファンで、「スター・トレック」の脚本を書くことを趣味としています。


私は「スター・トレック」は最初の映画しか見ていませんが、そんな私でも分かるほどに「スター・トレック」要素が「500ページの夢の束」には満載。宇宙の絵から映画は始まりますし、「論理的」や「長寿と繁栄を」など作中のセリフが多く引用され、スポックやカークと言った登場人物の名前もしょっちゅう出てきます。ウェンディが背負っているリュックやピートの服にも「スター・トレック」のマークが描かれていますし、極めつけは警官とクリンゴン語で話すシーン。ファンにはたまらないシーンでしょう。私もこの映画の中で一番好きなシーンです。




ある日、ウェンディは「スター・トレック」の脚本コンテストがあることを知り、そのために脚本を書き上げます。しかし、郵送の締め切り日に姉が施設を訪問してきた際に、癇癪を起こしてしまい、落ち着くために寝て過ごしているうちに締め切りを逃してしまいます。ここでウェンディが起こした行動はパラマウント・ピクチャーズに直接原稿を持ち込むこと。愛犬ピートと一緒にロサンゼルス行きのバスに乗り込み、一人と一匹の旅が始まります。


このピートがまた可愛かった。小さな足を一生懸命動かして、ウェンディが振り向いたら止まる。バックに入れられたときに、落ち着かずにきょろきょろしている様子もいじらしかったですし、病院で座っているときの足の動きは悩殺的な可愛さです。エンドロールの入り口で一匹映されたのにはとどめを刺されました。犬より猫派の私が惚れたんだから、犬派の人はなおさらなはず。犬派は観て損のない映画です。




一人と一匹は旅を続けます。バスを降ろされ、iPodとお金を盗まれ、ぼられようとしたところを助けられ、助けてくれたおばさんと一緒に乗った車が事故に遭って病院に運び込まれたり、なかなか一筋縄ではいきません。


一方、ウェンディがいなくなり、ソーシャルワーカーのスコットと姉のオードリーは大騒ぎです。スコットを演じていたのは、「リトル・ミス・サンシャイン」などの出演作で知られるト二・コレット。理知的でウェンディのことを我が子のように心配していましたが、個人的に途中から「アイ,トーニャ」で鬼母を演じたときのアリソン・ジャネイに見えてしまって、気が気でありませんでした。また、姉のオードリーを演じたアリス・イヴは「スター・トレック イントゥ・ダークネス」にも出演しており、こちらもスター・トレックファンにとっては嬉しい演出です。


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事故に遭い入院することになったウェンディ。看護師の隙を見て脱走を試みますが、途中でせっかく書き上げた427ページ(500ページと言っておきながら実際は427ページだった。キリをよくするために盛ってる)の脚本を落としてしまいます。線路の横を歩きながら途方に暮れるウェンディでしたが、ここでスポックの

その結果、私の理論は、現状においては必死になって行動するのが一番好ましいと結論を出したんです。

というセリフを思い出し、前進することを決意。コピー用紙の裏面に脚本の紛失してしまった部分を書き連ねます。なんとしてもパラマウントに脚本を届けようという決意が見えます。ちなみにこの脚本はスコットの息子であるサム(!)に拾われました。




ウェンディは再びロサンゼルスを目指そうとバスに乗ろうとしますが、お金が足りません。トランクルーム(これ酔っただろうなぁ)に乗り込み、無銭乗車でロサンゼルスに辿り着きます。しかし、そこで警官に見つかり、クリンゴン語を話せる警官に保護されます。そこで、スコットやオードリーとも対面。ただ、この二人はここまで来たウェンディの熱意に負けて、パラマウントまでウェンディを送り届けます。サムに渡された脚本の残りを持ってパラマウントに乗り込むウェンディ。郵送のみ有効だから受け取れないという社員を押し切り、脚本コンテストに応募を完了。惜しくも入賞することはありませんでしたが、初めての一人旅を終えたウェンディは、オードリーからルビーに会う許可を貰い、ルビーを抱きかかえて、ハッピーエンドを迎えます。




この映画は全てが予定調和で進んでいき、想定外の展開なんてものは一つもありません。でも奇抜さを求めるタイプの映画ではないので別にいいのです。ウェンディの頑張る姿と周囲の人たちの協力に心温まり、仕事や日常のストレスが洗い流され、いい意味で何も残りません。観終わったあとには清々しい気分になることでしょう。あまり人を選ばずに、どんな人でも楽しく見ることができる映画だと思います。



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・自閉症についての解説


さて、私が一番最初にこの映画に関心を持ったところというのは、主人公ウェンディが自閉症だというところなんですよね。なぜかというと、私も自閉症の当事者だからです。高校3年のときに診断され、去年障害者手帳を取得し、今は障害者雇用で働いています。今でも人とのコミュニ―ションは苦手ですし、一定の生活パターンを好んで過ごしています。なので、自閉症当事者を主人公に据えたこの映画はぜひとも観てみたいと思っていました。




自閉症、今では自閉症スペクトラム(以下ASD)と言われることが多いこの障害。最近ではドラマ「グッド・ドクター」で山崎賢人さんがASDの小児科医を演じたことで記憶に新しい方もいることと思われます。ASDとは発達障害の一種で、主に「社会的コミュニケーションの障害」と「限定的な行動・興味・反復行動」の2つの領域からなっています。ちなみに「スペクトラム」というのは「連続体」という意味。軽度から重度まで境目なく連なっているというイメージです。


このASD、DSM-Vという最新の診断基準では、

・相互の対人的・情緒関係の欠如
・対人的相互反応で非言語的コミュニケーションを用いることの欠如
・人間関係を発展させ、維持し、理解することの欠如
(Wikipediaより引用。より詳しい診断基準はこちら

という項目で診断されます。これらがすべて当てはまることがASDの第一条件ですね。


ウェンディはまず、冒頭でスコットとなかなか目を合わせられていないことから「非言語的コミュニケーションを用いることの欠如」を満たしています。さらにバスの運転手や受付の人とのやや一方的な会話の様子から「通常の会話のやり取り」に難があることが見受けられ、「相互の対人的関係の欠如」も満たしていると考えられます。そして、映画でバイト先の同僚とそっけなく接し、施設の同居人にも大して興味を持っていないことから「人間関係を理解することの欠如」にも当てはまっているように考えられますね。


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次に「限定的な行動・興味・反復行動」です。こちらは4つの基準のうち、2つを満たしていればASDと診断されます。その4つの基準のうち、ますウェンディに当てはまっていると考えられるのが、「強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味」です。ウェンディにとっての限定的な興味の対象は言うまでもなく「スター・トレック」です。今はどうか知りませんが、かつてASDを診断するためのテストでは「周囲から◯◯博士と呼ばれている(例:カレンダー博士)」という項目があり、ウェンディは間違いなく「スター・トレック」博士と言えるでしょう。その執着はオリジナルの脚本を執筆するという形で現れています。


映画冒頭ではウェンディの生活が描かれます。毎日のスケジュールがきちんと定められており、曜日ごとに着る服も決まっている。いわばパターン化しているわけですが、これにはASDの診断基準のうちの、「同一性への固執、習慣へのかたくななこだわり」が反映されています。ASDの人は「移行することの困難さ」にストレスを感じる人が多いので、ならば儀式のように一日の生活パターンをはっきりと規定しておいた方が、生きづらさを感じずに生活できることが多いのです。常に同じ、常同的とも言えますね。




さらに、ASDの人が持ち合わせることが多いのが感覚過敏。視覚、嗅覚、触覚などさまざまですが、ウェンディは常にイヤホンを持ち歩いていること、iPodを盗まれた後に周囲の音に耳を塞いでいたことから聴覚過敏を持っていることが見受けられます。聴覚過敏ではなんてことのない周囲の音が大きく聞こえ、目の前にいる人の話し声が聞き取れない。騒音に耐えきれないということがあるそうです。このこともウェンディがASDだということの裏付けになりますね。




そして、ウェンディが姉と離れて暮らす原因になった癇癪について。発達障害の子どもに見られる傾向が癇癪に絡んでいる場合があるらしく、その原因は主に、気持ちのコントロールが難しいことにあるようです。


発達障害のある子どもたちは、ストレスや興奮を減らす自己調整を行うことが難しい傾向にあり、不快な状況をそのまま経験することになり、ストレスが蓄積されていき、最後には自分の気持ちをコントロールすることができずに不満や怒りが爆発して癇癪を起こすことがあるそうです。ちなみにこの「不満や怒りが爆発する」といった状態は「メルトダウン」という言葉でも表され、女性のASD当事者がメルトダウンを起こすと、落ち着いて考えられなくなり、急に泣き出したり、茫然自失の状態になったりするようです。姉との対面のときに泣き出してしまったウェンディの行動そのものですね。


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ここで考えたいのが、この映画でフィーチャーされた「スター・トレック」の登場人物がスポックであったということ。スポックは地球人とバルカン人のハーフで、バルカン人というのはもともと非常に感情的で好戦的な種族だったそうです。癇癪を起こすのも感情的になってのことなので、ウェンディとスポックには類似点が見られます。スポックは周りの子どものように怒りを爆発させメルトダウンすることがなかったため、「感情の抑制」に悩むようになっていました。この「感情の抑制に悩む」というのもあまりにASD的で、ウェンディも同じことで悩んでいたことから、やはりこの二人には強い関連性が見られますね。
(参考:https://festy.jp/web/posts/1003515


しかし、ヴァルカン人はその性質のあまり何度も滅亡の危機を経験したようで、その経験から「感情的な反応を強力な自制心で押さえ込むことを、強い思想的信条としている」ようです。スポックも例に漏れず、当初は感情を指摘されることを嫌悪していたようですが、カークらとの交流により、自分の人間性を肯定的に扱えるようになったようです。押さえ込んでいたスポッツと押さえきれなかったウェンディという違いはありますが、これはまるで序盤は癇癪を起こす自分を嫌悪していたウェンディが、旅を通じて自らを少し肯定的に見られるようになったことそのものではありませんか。
(参考:スポック-Wikipedia


そして、ウェンディが描いた「スター・トレック」の脚本のタイトルは「The Many and The Few」。日本語にすると「多数と少数」。この場合の少数とは言うまでもなくASDをはじめとした発達障害の人たちです。ある有名な調査では小学校生徒のうちの6%に発達障害の傾向がみられるとあります。1クラス30人だとすると2人いるという計算になります。そして、多数は発達障害でないいわゆる定型発達と呼ばれる人たち。この映画は、ASDであるウェンディを主人公に据え、ヴァルカン人であるスポックと関連付けて描いています。エピローグでスポックは自らの居場所を見つけました。そして、ウェンディも施設から出て自分の居場所である実家に帰ることができた。常同パターンから外れたボーダーのセーターがそれを如実に表していて、「500ページの夢の束」は少数が多数の中で居場所を見つける物語だったと言えるでしょう。ASDや発達障害の人に限らずすべての少数の人に希望を与えるお話のように私には感じられます。


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最後にここまで書いて来てなんですけど、私がこのブログで描きたいことは、自閉症を描く『500ページの夢の束』、観る前に知ってほしい「3つ」のことという記事にほとんど書かれていますので、どうぞこちらも参考にしながら、この映画と自閉症への理解を深めていただけたら幸いです。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい


【映画パンフレット】500ページの夢の束
松竹 キノフィルムズ


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