Subhuman

ものすごく薄くて、ありえないほど浅いブログ。 Twitter → @Ritalin_203

2019年02月



こんにちは。これです。もう2月も終わりですね。今年もはや6分の1が終わろうとしています。長野の方はすでにけっこう暖かくなってきました。もしかしたら平地では今シーズンはもう雪も降らないかもしれません。それはうれしいようで少し寂しくもありますね。


さて、今回のブログは映画の感想になります。今回観た映画は『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』。日本では去年の11月に公開された映画です。かなり遅れての感想ということで、もういいかなと思い、今までになくネタバレ満載となっています。なので、できれば映画を観てからお読みいただくことをオススメします。


では、始めます。今回も何卒よろしくお願いいたします。




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―あらすじ―

アメリカ・テキサスの郊外、小さな一軒家に住む若い夫婦のCとMは幸せな日々を送っていたが、ある日夫Cが交通事故で突然の死を迎える。妻Mは病院でCの死体を確認し、遺体にシーツを被せ病院を去るが、死んだはずのCは突如シーツを被った状態で起き上がり、そのまま妻が待つ自宅まで戻ってきた。Mは彼の存在には気が付かないが、それでも幽霊となったCは、悲しみに苦しむ妻を見守り続ける。しかしある日、Mは前に進むためある決断をし、残されたCは妻の残した最後の思いを求め、彷徨い始める――。




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。









テキサスの郊外の一軒家。家の前へと伸びる道は途中で途切れているこの家に、ある一組の夫婦が暮らしています。一見幸せそうに見える夫婦ですが妻Mは夫Cに「なんだか怖いの」と不安をこぼします。二人がベッドで寝ているとき、誰もいるはずのない部屋から物音が聞こえますが、Cが確認しに行ったところそこにはやはり誰もいませんでした。怖がるMをなだめるC。やたらと長いキスシーンを経て、鳥の声で朝がやってきます。


朝になると家の横では唐突に自動車事故が起きています。ここでCは死んでしまいました。Mと看護師が離れ、ワゴンの音も去るとCはシーツを被ったままゆっくりと起き上がります。赤い光に照らされながら、歩いていくC。ゴーストとなり外に出て家に帰ります。












このゴースト。白いシーツに目を表す二つの黒い穴と、かなりシンプルで存在感のあるデザインとなっています。死人に口なしとばかりに何もしゃべりませんが、それでも感情はなんとなく読み取れます。ここがこの映画で凄いなと思った箇所の一つなんですが、目の形のみで感情を語るんですよ。怒っているときは縦長になって、悲しんでるときは横長になる。それだけで感情をこちらに訴えかけてくる。「目は口程に物を言う」とはこのことかとなりました。


しかし、いくら存在感があってもそこはゴースト。妻をはじめとする周りの人間からは認識してもらえません。手を触れそうなほどすぐ近くにいるのに、映像が変わると突然にいないものとされる。ただ立っているだけのゴーストから悲哀がひしひしと感じられて悲しくなりました。特にMが帰ってきて最初のパイを食べるシーンはきましたね。Mは涙ぐみながらパイを食べて、ゴーストはそれを見守るしかない。どうにもできない無力感に溢れていました。


それから、ゴーストがMを見守っていく過程が描かれるんですが、この映画の特徴として、登場人物もあまり出てこなければセリフも少ないというものがあるんですよ。ゴーストは喋りませんし、Mもそんなに独り言を言わない。よって映画は静寂に包まれ、より一層悲しげなムードを醸し出します。なにもセリフがなくて5分とかザラにありましたしね。で、この一連のシーンでかかる音楽がまた切ない。歌詞がゴーストとMの心情に即していて胸が締め付けられるようでした。


さらに、この映画のもう一つの大きな特徴。それはカメラアングルです。『ア・ゴースト・ストーリー』では、固定アングル遠くからのアングルバックショットが多用されています。辛い状況にいるゴーストとMを突き放すようなカメラワークで、これは映画の中の出来事なんだよということを観客に突きつけ感情移入を許しません。バックショットで表情を映さないようにしていたのも、ゴーストに表情がないこととの共通項が感じられてぞくぞくする演出でした。




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ある日Mは引っ越しを決意します。はげた内装をペンキで塗り直し、壁の隙間に何かを記したメモを忍ばせ、家を後にします。ここでMを見守るゴーストは当然Mについていくかと思われましたが、なんと家に残りMが残したメモを引っ張り出すという行動に出ます。ゴーストはいわば地縛霊になるのです。シーツで丸まった手で壁をガリガリするゴースト。一瞬で時間は過ぎ家には新しい住人が引っ越してきます。ここからこの映画の持つホラー要素が強くなっていきます。


新しい住人はスペイン語(と思われる)を話す、ゴーストにとっては未知の存在。家族で済むわけなんですが、この家族がとにかく幸せそうなんですよね。クリスマスには一緒にツリーの飾りつけをするくらい。ゴーストはそれに嫉妬したのか、家族がいるとメモを引っ張り出せないからなのか、家族を追い出そうとするんです。寝室のドアを開けるんですけど、当然家族にはゴーストは見えていないわけですからただの怪奇現象なんですよね。しまいにはゴーストはキレて皿を手当たり次第投げるんですけど、家族からすれば皿がひとりでにこっちに向かってくるわけだから怖い怖い。ゴーストの作戦が奏功し(?)家族は家から逃げていきました。


しかし、間髪入れずに家では謎のパーティが開かれています。酒を片手に盛り上がる人々。当然ゴーストの姿は見えていません。興味深かったのがここで禿げた男がめちゃくちゃ語るんですよ。2分くらい一人でしゃべってたんじゃないかな。それは要約すると「歴史は繰り返す」「人々は死ぬときに証を残そうとする」「最後にはすべて終わる。地球は太陽に飲み込まれ、宇宙は一点に集約する」。観客からすればなんてシニカルな悲観論者なんだと思わずにはいられませんが、実はこの禿げた男のセリフがこの後のストーリーにおいて大きな意味を持ってくるんです。それはボディーブローのようにじわじわ効いてきます。










塗装は剥げ、天井の木材は落ち梁が丸見えになった家でゴーストはメモを引っ張り出すことを続けています。ボロボロの家の様子が長い時間が経ったことを感じさせますが、とうとうゴーストはメモを引っ張り出すことに成功します。しかし、その瞬間ショベルカーがドーン!家は取り壊され、跡地には企業ビルが建ち、ゴーストはもうMが帰ってこないことを悟ってビルの屋上から飛び降ります。このとき飛び降りる直前のゴーストには赤い光が照らされていました


ただ、ゴーストは幽霊なので当然これ以上死ぬことはありません。ゴーストが目覚めると周囲は一面の野原。男が杭を打ち、馬車が走っています。ゴーストは先住民の時代にタイムスリップしてしまいました。ここに家を建てると語る父親。そのなかでゴーストはメモを隠す女の子を見つけます。ただシーンが転換して朝になると家族は全員槍に刺されて死んでしまっていました。ここ唐突で悲しかった。




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そして次の瞬間。なんとゴーストは家の中にいます。ゴーストが見つめる傍でやってきたのはCとM。この後の生活について会話に花を咲かせています。ここで怖いのがCとゴーストが同時に存在していること。生前の姿と死後の姿が一緒にいるということは本来ありえないことなので、その禁忌を破って同じ画面に二人が入っているというのは単純に背筋が寒くなりました。でも、ここで一気に引き付けられて身を乗り出すようにして観てたんですけどね。


ここでMが「なんだか怖い」といった最初のシーンが生きてきます。Mの恐怖の正体はゴーストがいるということ。Mはそれを無意識下で感じ取っていたのでしょう。ベッドシーンでの物音もゴーストの仕業でしたしね。序盤のシーンがストーリーを追っていくにつれて異なる意味を持ってくるという構造に『ア・ゴースト・ストーリー』はなっており、構成が上手いなと感じます。


さらに種明かしはこれだけではありません。この映画で執拗なほどに繰り返された固定アングル、遠くからのアングル、バックショットといったカメラワーク。実はこれらはゴーストからの視点だったのです。突っ立ったまま動かないゴーストをカメラワークで表していたのです。みなさんお気づきだろうと思いますけど、ゴーストもカメラにアングルに収まってますよね。これは一周目のゴーストと二周目のゴーストの二体のゴーストがいたことを表しているんです。実際このゴースト2体が同じアングルに収まっているシーンもありましたしね。












映画は二周目のゴーストがメモを見つけて、それを読んだところで成仏して終わりという形を迎えていますが、本当のことを言うとここで終わりじゃないんですよね。なぜなら一周目のゴーストがまた二周目のゴーストが辿った道筋を同じように辿るわけですし、歴史は繰り返してゴーストは際限なく生み出される。つまり『ア・ゴースト・ストーリー』はざっくりいうとループものなわけです。なので、あの終わり方は「終わり」というよりは「区切り」と称した方が正しいかと思われます。


そして、この「歴史は繰り返す」というテーマやループものといった映画の特徴はいくつかの演出によって雄弁に語られていました。ここではそのうちの2つについて考えていきたいと思います。


まず最初はゴーストを照らす光について。この映画で印象的に使われていたのは赤い光です。赤い光はこの映画の中でゴーストが生まれて間もない場面とビルから飛び降りる直前の場面で用いられていました。私はこの赤い光が表すものは太陽だと考えています。禿げた男が言っていました。「地球はやがて太陽に飲み込まれて終わる」と。つまりこの映画の太陽は終わりを表していると考えられます。太陽が巨大化して発せられる赤い光がゴーストを照らしていたのです。


ゴーストはある程度の期間しか二体同時に存在することはできません。それは裏を返せば一体のままならゴーストは永遠に存在できるということを示しています。しかしそこに一周目のゴーストが生まれれば二周目のゴーストは消えてしまいます。つまりゴーストの誕生の際に照らされた赤い光は二周目のゴーストの終わりを表していたと考えることができます。


そして、ビルから飛び降りる直前にもゴーストは赤い光で照らされました。ここは分かりやすいですよね。ゴーストの到達点です。ゴーストがこれ以上先に進むことのできない地点。いわば一つのゴール終わりです。それが赤い光によって示されていたと私は考えます。




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次に考えたいのが家の前から伸びていた道この舗装された道は途中で途切れてしまっています。映画の中では、この道とその奥にある家のカットが何度も登場していました。繰り返し登場したということは、この道が映画の中で何か意味を持っているはず。そう考えた結果、あの道はループの回数を表しているのではないかという仮説に辿り着きました。


あの道がループの回数を表していると考えると、あの道が途中で途切れているということはこの映画で描かれた場面はまだ繰り返している途中だったんだと考えられます。ループの回数が増えていくほどあの道は伸びていくはずで、家の前の道路に辿り着いた時、それはすなわちループが終わることを意味しているのではないでしょうか。


でも、まだ辿り着いていない。でも全くないわけじゃない。ということはつまり、映画の前にも後にもループは繰り返されていたということ。『ア・ゴースト・ストーリー』はそのうちの単なる1ループを切り取っただけなのではないかとまで考えられますね。怖っ。










最後になりますが、ゴーストの他に別種のゴーストがいたことについて言及してこの感想を締めたいと思います。この映画で描かれたゴーストの正体。それはCが言っていたように歴史です。ゴーストも歴史も繰り返すという点で共通しています。そして別の家に別種のゴーストがいたということ。それはどの家にも歴史が存在しているということを言いたかったのではないかと私は考えます。


どの家にも歴史は存在している。つまりどの家にもゴーストがいるという可能性があるということです。ある日開くはずのないドアが勝手に一人で開いたら。それはもしかしたらゴーストの仕業かもしれませんよ。




お読みいただきありがとうございました。



おしまい










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こんにちは。これです。昨日アカデミー賞が発表されましたね。群雄割拠のなか作品賞に輝いたのは『グリーンブック』。日本では3月1日公開の映画です。私も多分見ると思います。楽しみだなぁ。


さて、今回のブログは映画の感想です。今回観た映画は『翔んで埼玉』。魔夜峰央先生原作の漫画を実写化した映画です。正直最初は見るつもりはなかったのですが、あまりに評判がいいので今回観にいきました。


そして、観たところ完全にハマりました。個人的には今年観た映画の中でもベスト1です。それもわりとぶっちぎりで。本当に面白い映画でした。


では、感想を始めたいと思います。なお、魔夜先生の原作は未読ですので、それを踏まえて読んでいただけると幸いです。では、よろしくお願いいたします。




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―目次―


・中世の雰囲気と現実的なワードのギャップ
・キャストについて
・しっかり笑えて意外と泣ける
・Jリーグサポーターにこそ見てほしい






―あらすじ―

 埼玉県の農道を、1台のワンボックスカーがある家族を乗せて、東京に向かって走っている。カーラジオからは、さいたまんぞうの「なぜか埼玉」に続き、DJが語る埼玉にまつわる都市伝説が流れ始める――。
 その昔、埼玉県民は東京都民からそれはそれはひどい迫害を受けていた。通行手形がないと東京に出入りすらできず、手形を持っていないものは見つかると強制送還されるため、埼玉県民は自分たちを解放してくれる救世主の出現を切に願っていた。
 東京にある、超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が、埼玉県人を底辺とするヒエラルキーの頂点に、生徒会長として君臨していた。
 しかし、アメリカ帰りの転校生・麻実麗(GACKT)の出現により、百美の運命は大きく狂い始める。麗は実は隠れ埼玉人で、手形制度撤廃を目指して活動する埼玉解放戦線の主要メンバーだったのだ。
 その正体がばれて追われる身となった麗に、百美は地位も未来も投げ捨ててついていく。2人の逃避行に立ちはだかるのは、埼玉の永遠のライバル・千葉解放戦線の一員であり、壇ノ浦家に使える執事の阿久津翔だった(伊勢谷友介)。
 東京を巡る埼玉vs千葉の大構想が群馬や神奈川、栃木、茨城も巻き込んでいく中、伝説の埼玉県人・埼玉デューク(京本政樹)に助けられながら百美と麗は東京に立ち向かう。果たして埼玉の、関東の、いや日本の未来はどうなるのか――!?

(映画『翔んで埼玉』公式サイトより引用)




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・中世の雰囲気と現実的なワードのギャップ


『翔んで埼玉』は過去の伝説パート現代パートという二つのパートによって成り立っています。伝説パートの進境が現代パートにも影響していくわけですが、恐らくこのあたりの構造についての詳しい説明は誰かがやってくれるでしょう。なのでこの感想では主に伝説パートについて書いていきたいと思います。多分この感想長くなると思いますし。




さて、伝説パートはまずは”都知事への近道”白鵬堂学院から始まります。この名門高校、白いロココ様式の建物の中に華美なシャンデリアがそこら中にかかっており、さらに廊下はレッドカーペット。雰囲気が完全に中世です。さらに生徒の制服も格式高いピンクを基調としており、主役の二人壇ノ浦百美と麻実麗の服装に至ってはまさしくベルサイユのばらのそれ。さらに、メイクもアイシャドーをたっぷり塗り、つけまつげを盛るなど、昔の少女漫画の雰囲気を再現しようとしています。その出で立ちは見なれない私たちにとってはもはやコント。『翔んで埼玉』はこういった美術面に力が入っており、そのこだわりは思いっきり突き抜けていました。


でもって、その浮世離れした印象から「春日部」だの「所沢」だの「草加せんべい」だの現実的なワードがバンバン出てくるわけですよ。もうギャップで笑うしかないです。大仰な格好しておいて言ってることは普段の私たちと大して変わらないというのがとにかく面白かった。「常磐線で我孫子まで出て、取手まで行って」とかおかしくてたまらなかったです


こういった地名の中でも個人的にツボにはまったのは東京の郊外の地名が出てきたところ。「田無」「八王子」「西葛西」「町田」「狛江」といったところががっつり出てきました。ここからは個人的な話になりますけど、私が大学時代に住んでいたアパートの最寄り駅が田無だったんですよ。まあもっぱら武蔵境ばっかり使ってましたけど。バイト先にも「最寄り駅:武蔵境」って出してたし。


で、その新居に移って一日目に自転車を買って田無駅に行ってみたんですね。で、着いた田無駅北口で初めて東京を感じたんですよ。新宿や渋谷からしてみれば規模は百分の一くらいですけど、長野に暮らしてた私からしてみるとそれは強烈な第一印象だったんですね。いまでもその時の様子思い出せますもん。なので田無は割と思い出のある場所なんですけど、映画の中じゃその田無が思いっきりディスられてるんですよ。「田無はDクラス。ギリギリ東京」みたいな感じで。もう「ふざけんじゃねぇよ!」ですよね。「田無をバカにするやつは俺が許さないぞ!」みたいな感じで。ちょっと東京に住んでいた私ですらこうなったんですから、散々地名が出された埼玉県民の方々の心中は察するに余りありますね。「ここ知ってる!」のオンパレードだったんじゃないでしょうか。うらやましいです。



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・キャストについて


『翔んで埼玉』で主人公の壇ノ浦百美を演じたのは『ヒミズ』などの作品で知られる二階堂ふみさん。今回初めて男装に挑戦したとのことですが、これが見事にハマっていました。スレンダーな体は男性服を着ても違和感がなかったですし、序盤の冷たい、ゴミを見るような目で埼玉県人を見るような視線がたまらなかった。無理してる感のある男口調も逆に新鮮でしたし、この映画で新境地を開いた感あります。


そして、相手役の麻実麗を演じたのはGACKTさん。まあぶっちゃけ高校生には全く見えないんですが、そんなことはどうでもいい。とにかくかっこいい。長髪で片目が隠されていて色気がある。演技もシリアスに演じていて、まあ大体おかしいんですけど、感動できるシーンもありました。しっかしよくキャスティング出来たなぁ。


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白鵬堂学院に転校してきた麗。生徒会長である百美は麗に学内を案内しますが、その途中で腹を壊して困っている埼玉県人に出くわします。「埼玉県人にはその辺の草でも食わせておけ」と埼玉県人にきつく当たる百美ですが、麗は埼玉県人の肩を持ちます。それが気に入らない百美は礼を公開処刑しようとしますが、麗はそれをものともしません。プライドを傷つけられ倒れてしまう百美。麗はそんな百美を医務室に運び、なんとそこでキスをします。男同士のキスはいけないものを見ているような気がしてハラハラしましたね。


そして、ここから百美と麗のBLが幕を開けます。まあこれがとにかく尊い。イケメン同士のBLというのはただでさえ尊いものですが、ここで恋に落ちた百美はもはやただの恋する乙女なわけですよ。デパートに行こうと麗を誘ったり、「着替えてくるから待ってて」とか言っちゃったり、メリーゴーランドではしゃいだり、アイスを買って二人で食べたいとせがんだり、好きな男子を目の前にしてキャピキャピしている普通の女の子なんですよね。この様子は男性俳優じゃとても出せないなと。だから二階堂ふみさんをキャスティングしたのかと一人納得してしまいました。


でもって、麗は相変わらずかっこいいし包容力があるんですよね。この二人ただの男女のカップルですよ、中身は。でも見た目的にはBLなわけで、これはいわば偽BL。普通のBLと偽BLという二重構造で尊さも二乗です。百美は百美で「埼玉県人でもいい。麗についていきたい」とか言っちゃいますし、こっちが顔赤くなりますよ。中世のパリッとした衣装も合わさって、この二人のBLはたいへんな目の保養でした。本当にありがとうございます。




でもって、この二人の他にも伊勢谷友介さん、京本政樹さん、中尾彬さん、麻生久美子さん、成田凌さん、間宮祥太朗さん、加藤諒さん、竹中直人さんら豪華な俳優陣が脇を固めるんですよ。全員シリアス調に演じていて、それがバカバカしい会話とのコントラストになっていて本当笑いました。豪華キャストの無駄遣いです(いい意味で)。この映画バカしかいなくて最高でした(もちろんいい意味で)。



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・しっかり笑えて意外と泣ける


いやー笑いました。『翔んで埼玉』は本当にネタがてんこ盛りなんですよね。もう序盤の「格付け」がおかしすぎる。麗が三か所の東京の空気をテイスティングしただけで当てる(今書いても意味わからないな)というものなんですが、これがもうGACKTさんそのまんま。私たちって正月に格付けに出て連勝を伸ばしてはガッツポーズをしているGACKTさんを知っているわけじゃないですか。それが映画館の大スクリーンで再現されたらそりゃ笑いますよね。唐突に出てきた「西葛西」にも笑いました。行ったことないのに。


その後も、埼玉県人は千葉県人に捕まったら穴という穴にピーナッツを入れられるとか、埼玉県人は自らの海を持つために茨城を横断するトンネルを掘っていたとか、伊勢谷友介さん演じる阿久津の父親とかギャグを畳みかけ、物語は終盤へ。埼玉解放軍と千葉解放軍の戦いに突入するわけですが、この戦いの様子が面白かった。それぞれの出身有名人を持ち出して戦うんですが、○○○○さんや○○○○○さんが「弱すぎる」って却下される。このテンポのいいディスりに爆笑です。あとこのシーンは別の意味で泣ける箇所もありましたね。R.I.P.




ただ、コメディチックな物語の中でもちゃんと泣けるポイントは完備されていて。私は終盤の方はずっと泣いてたんですけど、最初に泣いたシーンが埼玉解放軍が奮い立つシーンです。煮え切らない埼玉解放軍支部長たちを麗が「ダさいたま」「田舎くさいたま」って言って煽る。フラストレーションがたまっていきますが、それが加藤諒さんの「悔しいです!」で解放されるんです。


そうだよな。散々馬鹿にされて悔しいんだよな。分かるよその気持ち。長野だって「山しかない」って揶揄されるもん。それを自虐ネタに使っていても心は傷ついてるんだよな。隠れて泣いてるんだよな。これを今まで虐げられ続けてきた加藤諒さんが言ったという事実が余計刺さります。「ダさいたま」といわれても誇りはある。弱者が立ち上がるという物語の王道を行っていて最高でした。ここで涙腺が緩んだことで、終盤にかけて涙が溢れ出てきたんですよね。



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『翔んで埼玉』って表面上はディスっていても、実は「全肯定」の物語なんですよ。私がこの映画の好きなシーンで百美と麗が夜空を見上げるシーンがあるんですけど。ここで、百美が麗に「麗はどうしてそんなに埼玉のために頑張れるの?」って聞くんですね。で、麗はそれに「夜空はたくさんの星々が輝いてこそ美しい」(要旨)といった答えを返します。地域がそれぞれ輝くから日本は美しいと、そういうわけですね。


これって「みんなちがってみんないい」の精神じゃないですか。それぞれの違いを、多様性を認めるというのがこの映画のテーマなんですよね。このテーマに即して、実際埼玉と千葉は互いに認め合うわけですし、つまりは優しい世界なんですよ『翔んで埼玉』は。それぞれの地域に価値があるんだよ。価値のない地域なんてないって。ほら、現代って東京への過密が進んでいて、地域はますます過疎化が進み、2040年には多くの市町村に消滅の可能性がある時代じゃないですか。でも、そんな時代だからこそ地域の価値を全肯定したことにこの映画の大きな意義があると私は考えています。




それに、地域をディスるにはその地域のことをよく知らないとディスれないわけじゃないですか。調べるという愛情がないとディスれないわけですよ。だから地域ネタって愛情が必要なんです。その点、これでもかと地域ネタを投入してきた『翔んで埼玉』は愛情で溢れていました。これもこの映画が私を泣かせた要因の一つですね。最後のヤンキーまでもが地元に愛情を持ってるんですよ。


一般的に郷土愛って東京から離れれば離れていくほど強くなりますよね。埼玉県は映画のHPにもある通り郷土愛は全国ワースト1です。でも、その埼玉でも蓋を開けてみればこれだけの郷土愛を描けたわけですから、郷土愛をより持っていると考えられる他46都道府県の人にもきっと刺さるはずです。「うちはこうかな」とか「ライバルになるのはこの県(市町村)」かなと自分の住んでいる地域に置き換えて考えてみるときっと楽しめるはず。地域同士の対立ってわりと日本全国にありますし、そういった意味では日本人にとっては普遍的な物語かもしれないですね。



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・Jリーグサポーターにこそ見てほしい


ここまで書いてきたとおり、私はこの映画に完全にハマっています。で、考えたんです。私がこの映画にもこんなにもハマったのはなぜだろうかって。その結果、それは私がJリーグサポーターだからではないかという考えに至りました。


ただ、『翔んで埼玉』がJリーグを扱っていたかというと実はそうでもありません。Jリーグ要素は最後の浦和レッズのステッカーとタオマフ、あとは桐谷美玲終身名誉ジェフサポーターぐらいです。というかスポーツ要素すらほとんど見当たりませんでした。これはスポーツは1年単位で結果が変わるので扱いづらいという脚本上の都合もあると思うんですけどね。


でも、Jリーグ要素を出そうとすればいくらでも出せたのも事実で。劇中で浦和と大宮が言い争うシーンがあったんですけど、そこで浦和は「このJ2民が」とか煽ってほしかったし、大宮は大宮で「お前ら、よその選手を0円で強奪してんじゃねーか。自称ビッグクラブならもっと補強に金かけやがれ」って返してほしかった(これはさすがにマニアックすぎるか)。あとゆるキャラもふっかちゃんチーバくんふなっしーだけじゃなくて、コバトンは最低限出して2対2にしてほしかった。欲を言えばレディアアルディとミーヤ(必ずセットで)、レイくんジェフィなんかも出してほしかったですし、いっそのこと振り切ってゆるキャラ・マスコット大集合みたいな絵面も見てみたかった。けど、やっぱりカオスになるからいっか。


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コバトン






えーと、何の話でしたっけ。あっ、Jリーグの話でしたね。私が思うJリーグの最大の特徴って、このnoteにも書いてある通り、「クラブが地元の名を冠している」ところなんですよね。Jリーグクラブには必ず地域名が入っていて、それがJリーグの大きなアイデンティティになっているのです。私は普段スタジアムではゴール裏と呼ばれる席で応援をしているんですけど、自分の地元を大声で叫ぶのが好きだからスタジアムに通い続けているんですよ。


実は私のような人はJリーグサポーターには意外といて。それはJリーグ観戦者調査2017の、Jリーグ観戦者の86.4%がホームタウンのある都道府県に在住しているJリーグを観戦する動機やきっかけ(あてはまる5――あてはまらない1の五段階評価)で「地元のクラブだから」が4.23と高い数値を記録しているというデータに裏付けされています。つまり多くのJリーグサポーターは地元のクラブを応援しているのです。


そのなかには私のように、「地元の名をスタジアムで歌う」サポーターも多いでしょう。これらのサポーターは郷土愛が強いといえると思います。だって自分の地元を恥じていたら歌えないはずですから。『翔んで埼玉』で描かれていたのはまさにそういった郷土愛の姿です。地元を叫び称える埼玉県人と千葉県人。その姿はJリーグサポーターと何が違うのでしょう。


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さらに、「地元の名を冠する」クラブ同士が戦うJリーグは地域の代理戦争という意味合いも持っています。特に同県同士のチームが戦うダービーマッチはそれぞれの地域のプライドをかけて熱く燃え上がります。『翔んで埼玉』でも東京と埼玉と千葉の戦いが描かれていました。地域同士のライバル心が可視化されており、これはまさにJリーグそのものです。


このようにいくつか共通点が見受けられる『翔んで埼玉』とJリーグですが、その最大の共通点は価値の全肯定。Jリーグはスポーツなので当然順位はつけられます。1位もいれば最下位もいます。ただ、順位とクラブの価値がイコールかといえば断じてそんなことはありません。1位のクラブにも最下位のクラブにも等しく価値はあります。


これは『翔んで埼玉』が描いた「みんなちがってみんないい」という価値の多様性と全く同じです。自分だけでは争えず、争うにはライバルが必要です。そのライバルがいてくれる価値を認めるということ。これはJリーグが大切にしているリスペクト精神に通じます。互いが互いの価値を認め合うこと、互いが互いを肯定すること、それによって生まれる全肯定が『翔んで埼玉』とJリーグに通底しているものなのです。




なので、私はこの映画をJリーグサポーターにこそ見てほしいと思います。特に「地元のクラブだから」という理由で応援している人たちに。きっと何か感じるものがあります。だまされたと思って映画館に行ってみてください。想像を超える笑いと感動が待っていますよ。



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以上で感想の方は終了となります。映画『翔んで埼玉』。散りばめられたネタの数々は観終わった後、家族友人と語り合うのに最適。週末の興行収入1位と好スタートを切ったこの映画ですが、これから口コミでどんどん広がっていくんじゃないかと思います。第二の『カメラを止めるな!』になれるポテンシャルは十分に持っている映画かと。なので、ぜひ映画館に足を運んでみてください。全力でオススメします。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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昨シーズンJ2優勝を果たし4年ぶりのJ1昇格を果たした松本山雅FC。4年前には果たせなかったトップ15に向けて新たな戦いを始めます。その初戦の相手はジュビロ磐田。昨シーズンは16位でJ1参入プレーオフに回りながらかろうじて残留をしたクラブで、この両クラブは高い確率で今シーズン残留争いを繰り広げると思われるので、山雅にとってはいきなり残留争いの大一番を迎えました。









まずは山雅のスタメンから紹介したいと思います。

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山雅はこの試合に#15エドゥアルド選手#44服部選手#42高橋諒選手の3人の新加入選手を起用。また1トップには#10レアンドロ・ペレイラ選手の負傷に伴い、#11永井選手が開幕スタメンの座をつかみ取りました。フォーメーションは去年から継続しての3-4-2-1です。


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一方の磐田。こちらは補強が少なかったのもあり、新加入選手は#11ロドリゲス選手のみです。ただその代わりに#15アダイウトン選手#10中村選手が昨シーズンの怪我から復活して出場していますね。中盤を本職とする#14松本選手が右SBにいるのも特徴的です。フォーメーションは4-4-2。




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前半キックオフ!


立ち上がりから山雅はJ2で磨いてきたハイプレスを見せます。アタッキングサードにボールがあっても相手がボールの処理にもたついているとみれば、前線の#11永井選手#7前田選手#8セルジーニョ選手が連携して、ちゃんとコースを限定しながらプレスをかけに行きます。この日の山雅の前線は最も機動力のある組み合わせだったので、素早いプレスは磐田の脅威となっていました。


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前半8分のシーンでした。山雅はペナルティエリア手前、右45度の位置でFKを獲得します。磐田の壁がニアを消し#21カミンスキー選手はややファー寄りに構えます。ここでキッカーの#47岩上選手は低いボールを選択。磐田の壁がジャンプした下を通し、味方の壁がブラインドになっていた#21カミンスキー選手もギリギリのところで止めることができずにゴール。山雅が先制点を奪いました。







このゴールの要因は#47岩上選手が相手の意表を突いたことと、ゴール近くのいい位置でFKを得られたことなんですけど、大事なのはそのファールをもらう前なんですよね。山雅は右サイドからのスローインを獲得します。ここで#14パウリーニョ選手#15アダイウトン選手#19山田選手の間で完全にフリーでボールを受けることができているんですよ。


というのも、#15アダイウトン選手と逆サイドの#11ロドリゲス選手はあまり下がって守備するような選手じゃないんですよね。二人とも攻撃に特徴のある選手なので。よって磐田のWボランチの脇にはスペースができていることが多かった。このスローインのシーンでは両ボランチも下がりすぎていますし、#14パウリーニョ選手へのプレッシャーが遅れてしまっています。


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得点につながったスローインのシーン




ボールを受けた#14パウリーニョ選手はこれまたワイドでフリーになっている#47岩上選手にボールを戻し、#47岩上選手は中へクロス。受けた#11永井選手がファールをもらい、FK獲得という流れで山雅はチャンスを得ており、正直磐田は少しフワフワして試合に入っているのかなと疑いを持ってしまうようなシーンでした。






一点を奪われて早く追いつきたい磐田。攻撃時には4-2-3-1の3の両翼#15アダイウトン選手#11ロドリゲス選手を大きく開かせます。大きく開くことで山雅の守備陣形を横に広げてスペースを作るという狙いがまず一つ。そして突破力のある2人に1対1の場を用意するという二つの狙いがあったように考えられます。実際#11ロドリゲス選手の突破から磐田は早い時間帯に2つのCKを獲得していましたね。


さらに、ここで注目したいのがSHとSBの関係。この両者をサイドとハーフスペースにそれぞれ一人ずつ位置し、それがなるべく被らないように磐田は設計していました。SHがサイドに開いたらSBがハーフスペースに入る。SHがハーフスペースに入ったらSBがサイドをオーバラップするといった具合です。バランスよく選手を配し、山雅の守備を崩そうとしていましたが、これにはリスクが付きまとってきます。


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磐田の攻撃パターンA


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磐田の攻撃パターンB


磐田のSBがハーフスペースに入ると横のサイドのスペースが空きますし、サイドをオーバラップすると今度はその裏のスペースが開いてしまいます。磐田は攻撃の人数をかけるためにはここが空いても仕方ないと割り切って、ボランチの#30上原選手#19山田選手にそのスペースを埋めさせるようにしていましたが、山雅にとってはずばりそこが狙い目でした。


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白い丸が山雅が狙うべきスペース

山雅はボールを奪ったら、まずそのSBの裏のスペースに素早くボールを入れることを目指します。ただ、そこには磐田の選手が待ち構えていますが、そこは#7前田選手の見せ場。よーいドンでの勝負なら確実に勝てるという爆発的なスピードを武器に裏に出されたボールにも食らいついていきます。実際に、何度かボールを自分のものにしてチャンスを作り出していました。


それでもって山雅の攻撃っていうのは、この#7前田選手のスピードを最大限生かせるように設計されているんですよね。前半16分のシーンでも#8セルジーニョ選手が下がって、中盤で数的優位を作りボールを回す。前線は#7前田選手#11永井選手の2トップ気味にしておいて、#11永井選手をファーに#7前田選手をニアに配置する。そして、相手を動かして前を向いてボールを持てたら、すかさずSBの裏にロングボールを入れて#7前田選手を走らせるという攻撃が前半何度か見られましたね。戦術の目指すところっていうのは勝つために自らの強みを最大化することにあるので、そういった意味では非常に理にかなった攻撃だと思います。


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山雅は3-4-2-1のフォーメーションですが守備時には両WBとシャドーが下がって5-4-1のような陣形を取ります。選手間の距離を短くし、中でスペースを発生させないように守っています。特に中は磐田の2枚に対し、山雅はCBの3枚で守っています。この数的優位を生かして#22大久保選手#10中村選手の二人に高い位置でボールを触らせないようにしていました。磐田のロングボールもちゃんと体を張って跳ね返せていましたしね。


ここで前線でボールをもらえない#22大久保選手#10中村選手は、攻撃を優位に進めるために中盤まで下りてボールを受けるシーンが前半20分あたりから目立ってきました。ただ、こうなれば山雅の思うツボで、前線でボールを触らせると怖い二人でもブロックの外でボールを触らせていれば、ちゃんと5-4のブロックを作っている限り、ゴールから離れているので脅威は半減。さらに前線に人が少なくなるという効果も生み出していて、山雅の狙い通りの展開になっていました。


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#22大久保選手#10中村選手が下がることで手薄になった磐田の前線。ここに入ってきたのが#11ロドリゲス選手でした。#11ロドリゲス選手はサイドに張るのをやめて、中央に入ったり下がってボールを受けたり、ある時には逆サイドにまで進出したりして、自由奔放に動き始めました。


これには山雅のマンマーク守備をかく乱するという狙いがあったように思えますが、しかしそれと同時にSBとの配置の約束事を自ら破ってしまっています。#11ロドリゲス選手が動いてできたスペースに誰が入るのかも磐田はなんとなくでチームとしてきちんと整備されていないように見受けられましたし、ここで磐田の攻撃は少し混乱していたように感じられました。


ただそれでも磐田がボールを持つ展開は続きます。しかし、磐田にディフェンスラインや中盤でボールを持たれても、山雅は適切なスライドで陣形を崩すことはしません。そうして磐田が緩いパスを出した瞬間に一気にカット。素早く守→攻へと切り替え、#7前田選手らのスピードを生かして裏抜けを狙います。ここで、ボールを受けようとするときに#7前田選手#11永井選手は中→外への斜めの動き、いわばダイアゴナルランを見せていて、上手く相手の背後をつけるようにしていました。


025




山雅の攻撃は素早くサイドに展開することを目指していますが、同じサイド攻撃を志向する磐田とは異なる点が一つありました。それが多くの場合、ボールサイドのWBはサイドに張ったままにしているということです。#42高橋諒選手が中に入っていってシュートを打った前半14分のようなシーンもありましたが、基本的にサイドに張ったままにしておくことで、ハーフスペースというよりはサイドで数的優位を持って攻撃を進めたいのかなという狙いが見えます。磐田はサイドの質的優位で山雅の守備を崩すことは出来ますが、山雅にはそれが難しいので割り切ってサイドに人数を人数を集めて崩そうという考えだったのかもしれないですね。


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それに前半の山雅は攻→守への切り替えだけでなく、攻→守への切り替えでも磐田を上回る速さを見せます。前線でボールを奪われても前線の3人は下を向くことなく、すぐさまプレッシング。即時奪回を目指し、奪えないまでも相手の判断を遅らせて、その間に5バックを整える時間を稼いでいました。さらに#7前田選手#8セルジーニョ選手はプレスバックも精力的に行い、磐田の選手になかなか自由を与えません。昨シーズンから続くこのタスクは山雅の守備戦術の生命線ともいえる動きで、この二人の献身的な守備が山雅にリズムをもたらしていたといっても過言ではないと思います。


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その後も3分という前半にしては長めのアディショナルタイムもしのぎ、前半は1-0で山雅のリードで終了しました。山雅は昨シーズンからさらに精度を上げたサッカーで磐田相手にも十分対抗できることを示しましたが、後半にかけては#7前田選手を中心にスプリントを繰り返し行ったことによる疲労が心配されますね。それとチャンスを作り出していたのにもかかわらず決めきれなかったので最後の精度も上げていきたい。


一方の磐田は#22大久保選手#10中村選手が下がってボールを受けざるを得ないまずい状況に追い込まれてしまっていて、名波監督がこれをどう修正してくるかですね。山雅のペースが後半は落ちると考えられるので、ボールは引き続き握れると思いますが、ゴールを奪うためには#22大久保選手を前線に張らせておくなどの対策が必要になってきますね。























両チーム選手交代はないまま後半キックオフ!


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後半開始から山雅は前線のプレスを少し緩め、それに伴いディフェンスラインも少し下げてプレーします。シャドーの2人がボランチの斜め前に早い段階で降りていき、ボランチの脇のスペースをケアするようにしてきました。磐田はボランチの脇のスペースをSBやビルドアップに参加していない方のボランチ、前線の選手が下りて使おうとしていたので、それに対する修正を山雅は図ってきました。


磐田は前半と同じように#22大久保選手#10中村選手が中盤に降りていきボールを触ろうとします。しかし、これだと前線に人が少なく攻撃にも鋭さがないので、磐田は後半9分という早い段階で#10中村選手に替えて#20川又選手を投入します。純粋なストライカーである#20川又選手を投入し、追いつこうという姿勢をさらに強く打ち出してきました。#20川又選手はワントップに入り、#22大久保選手がトップ下に入ります。


磐田は#20川又選手がワントップに入っていますが、それに伴い#22大久保選手が前半のように下がり目の位置ではなく#20川又選手の近くでプレーするようになります。前半は山雅の2列目の前でプレーすることも多かったですが、後半は山雅のディフェンスラインと2列目の間で主にプレーするようになります。これによってボールを引き出せるようになり、磐田の攻撃の機会というのは徐々に増えていきました。


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ただ、山雅も攻められてばかりではありません。前線にロングボールを送り、セカンドボールを拾ってからの二次攻撃でチャンスを生み出します。#8セルジーニョ選手はハーフスペースにポジションを取るのが上手い選手で磐田の守備を惑わせます。#8セルジーニョ選手が相手のSBを引き付けているのでその外のWBは比較的フリーの状態でボールを持てるようになり、特に左サイドでその傾向は顕著でした。#42高橋諒選手は縦に積極的に仕掛ける姿勢を見せていてよかったですね。


また、#20川又選手は前線で山雅のDFと駆け引きをするようになります。山雅としては危険な中央で数的優位を確保しておきたいので、#20川又選手に二人がひきつけられています。山雅の3CBが中によりがちになり、WBとの間ハーフスペースが空くようになってきていました。WBがハーフスペースを占めればさらにサイドが空きますし、どちらにせよ山雅には隙が生まれ、磐田に押し込まれ始めていきます。後半25分には山雅のCBとWBの間を突くために#24荒木選手#11ロドリゲス選手に変わって投入されました。


029




その直後の後半26分。磐田が左サイドでボールを持ちます。左サイドに人数をかける磐田。このとき#24荒木選手はハーフスペースに位置することで#47岩上選手をハーフスペースに留まらせています。#47岩上選手がサイドをケアできず、クロスを挙げられた場面で左サイドにいるのは#8セルジーニョ選手のみ。対する磐田の選手は3人がおり山雅は極端な数的不利に陥ってしまいました。#47岩上選手のプレッシャーも追いつかず#19山田選手にフリーでクロスを上げられてしまいました。


021




そして中で待っていたのは#20川又選手。いったんその場でとどまることで後ろに下がる#15エドゥアルド選手から離れ、フリーになってから似合に走り込みヘディングで合わせてゴールを揺らします。途中出場の#20川又選手の一発で磐田が同点に追いつきました。後半の磐田はここまでシュート0で、山雅はよく抑えていましたが、一回のチャンスで決められるところにJ1の怖さがうかがい知れますね。


022







1点を取った磐田はさらに攻勢を強めます。山雅の選手が疲れてディフェンスラインと中盤の間が空いてきたところに#15アダイウトン選手#24荒木選手#22大久保選手の3人が陣取れるようになり、高い位置でボールを回せるようになっていました。これには山雅の2シャドーが疲れて守備に戻れなくなってきていたことが大きくて。山雅の中盤のボランチ2人に対して、ボランチとSBの3人で数的優位を作れるようになっていた。なので、2列目の選手が中盤まで下がる必要がなくなっていたのが磐田の攻撃に厚みが出てきた理由だと思います。


この状況を改善するために山雅は交代に動きます。後半34分、#11永井選手に替えて#9高崎選手がピッチに入りました。この日の#11永井選手は前線で競る役割はもちろん、#7前田選手が走れるようにスペースを空ける動きや守備でもパスコースを限定することで貢献していました。その代わりに入った#9高崎選手は同じくワントップに入り、前線でボールを収めて起点となることが求められますね。


030


後半36分。磐田は最後の交代で#30上原選手に替えて#8ムサエフ選手を投入。自らのボランチの脇のポジションを締めて山雅に隙を与えないようにしてきました。


後半に入ってCBとWBの間が開いて、そこを磐田に使われ苦しい展開になっていた山雅。特に右サイドを重点に攻められていたので、山雅はそこをケアするために#47岩上選手に替えて#3田中選手を投入。この日の#47岩上選手は先制ゴールを挙げた他、右サイドで長い距離を走っていて攻守に存在感を示していました。その#47岩上選手に代わって入った#3田中選手はそのまま右WBに入ります。


031




試合は終盤。山雅は後半45分には#8セルジーニョ選手に替えて#13中美選手を投入して、最後まで攻める姿勢を見せると同時に前線からのプレスを復活させて磐田の攻撃を防ごうとします。後半のアディショナルタイムは4分ありましたが、どちらも試合を決めるゴールを奪うことはできず。1-1の引き分けで試合終了となりました。


山雅は4年ぶりのJ1での初戦でしたが、5-4のブロックや前線からのプレスなどキャンプで取り組んできた成果を随所に出せていて、勝てはしなかったものの悪くはないスタートだったのではないでしょうか。最後のところの精度と一試合を通しての試合運びには課題は残りますが、そこは徐々に改善してもらえればと思います。


一方の磐田。開幕戦ということでやはりまだチームが出来上がっていない印象を受けました。攻めている時のリスク管理に難を残していましたね。攻撃面では自由に動く#11ロドリゲス選手をどう戦術に組み込むかを規定しておくとより怖い存在になるかと。あと1トップは下がって来る#22大久保選手よりも張っていることのできる#20川又選手の方がよさげに見えました。


032



















<ハイライト動画>




















監督コメント(Jリーグ公式)

選手コメント(Jリーグ公式)

J1順位表(Jリーグ公式)

明治安田生命J1 第1節 vs松本山雅FC|試合日程・結果(磐田公式)

2019 明治安田生命 J1リーグ 第1節(山雅公式)

フォトギャラリー(山雅公式)

磐田、耐えて追い付く J1リーグ第1節(静岡新聞)

山田躍動、川又弾演出 J1リーグ第1節・磐田
(静岡新聞)

J1山雅 第2章開幕 アウェーで磐田とドロー(信濃毎日新聞)












4年ぶりのJ1の初戦をドローで終えた山雅。次節は3月2日16:00からアウェイ昭和電工ドーム大分で大分トリニータとの対戦です。大分は開幕戦で鹿島を破っており、昨シーズン2敗していることもありJ1の強豪にも劣らない強敵です。厳しい戦いが予想されますが、粘り強く戦って今シーズン初勝利を掴んでほしいですね。


そして、ホームであるサンプロアルウィンでは3月6日にルヴァンカップ第1節の清水エスパルス戦(19:00キックオフ)を挟んで、リーグ戦は3月9日14:00から。昨シーズンの天皇杯王者浦和レッズとの対戦です。既にチケットは完売しており、私は争奪戦に敗れてしまったためいけませんが、初のホームで堂々たる戦いを見せてほしいですね。


頑張れ!松本山雅FC!!


お読みいただきありがとうございました。


おしまい


ツナグ
松坂桃李
2013-11-26



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こんにちは。これです。とうとう今日Jリーグ開幕ですね。今年もUスタを中心に多くのスタジアムに行きたいです。アウェイ観戦をなんとかして増やしたいなぁ。程々に頑張りたいと思います。

さて、今回のブログは2019Jリーグ順位予想の最終章。J3の16〜18位を予想したいと思います。1ヶ月以上の長きに渡った行ってきた順位予想もこれで終わり。最後まで何卒よろしくお願いします。










~2019Jリーグ順位予想⑲~











16位:いわてグルージャ盛岡


2018シーズン成績:13位 12勝4分16敗 勝ち点40 41得点56失点

監督:菊池利三


主なIN

石井圭太(←横浜FC
廣田隆治(←山口
深井脩平(→秋田

主なOUT

小谷光毅(→秋田
藤沼拓夢(→大宮
谷村憲一(→現役引退


予想フォーメーション


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シーズン当初に建てた勝ち点40という目標を達成した昨シーズンの盛岡。ただ順位は13位と伸び悩みました。その最大の要因となったのが昨シーズンリーグワーストの56失点を喫した守備。チームが攻撃的な戦術を取っていたのもありますが、安定感を欠いたCBに今オフは深井脩平選手や米原祐選手らを補強。ただメンバーが大きく入れ替わっているため、機能するには少し時間がかかるとみます。小谷光毅選手や藤沼拓夢選手、白石智之選手など去年の主力も退団していますし、厳しい戦いが待ち受けているのではないかと思います。


KEY PLAYER

谷口海斗

岐阜経済大学から加入した昨シーズン。中盤戦からレギュラーポジションを確保して23試合に出場した谷口選手。オフザボールの動きに優れており、タイミングのいい動き出しでゴールを量産。挙げた15ゴールのうち多くがワンタッチゴールと決定力の高さを見せつけました。そして、10番を背負い名実ともにエースとしての活躍が期待される今シーズン。マークは厳しくなると思いますが、谷口選手のゴールがなければ岩手の浮上はありません。昨シーズンの15ゴールを上回ることはできるでしょうか。


KEY NEWCOMER

石井圭太

横浜FCの下部組織で育った石井選手も今シーズンでプロ6年目を迎えます。横浜FCではなかなか出場機会を得ることができず悔しい思いをした石井選手。今オフ岩手への移籍となりましたが、実は石井選手は2016シーズン後半に期限付き移籍で岩手に在籍しています。その際は15試合に出場し、ボランチとしてガツガツとした守備でチームの安定に貢献。さらに3列目からの飛び出しで2ゴールも記録しています。今オフの岩手はチームの主軸を担った小谷選手や山田陸選手、河津良一選手が退団。石井選手は2度目の岩手で今度こそブレイクなるでしょうか。














17位:藤枝MYFC

2018シーズン成績:16位 10勝4分18敗 勝ち点34 32得点48失点

監督:石崎信弘


主なIN


谷澤達也(←相模原
星原健太(←松本
松岡亮輔(←山形

主なOUT

金聖基(→栃木シティFC
越智亮介(→琉球
小牧成亘(→八戸


予想フォーメーション

IMG_E9693


藤枝は昨シーズン大石篤人監督のハイラインハイプレスサッカーが対策され低迷。Jリーグ屈指の実績を持つ石崎監督がシーズン途中に就任するも16位でフィニッシュしてしまいました。石崎監督も続投し、今年こそはと雪辱を誓いますが、19人もの選手の入れ替えがあったのはやはり大きなマイナス。実質一からチームを作り上げる感じになるのではないでしょうか。昨シーズンリーグワースト2位の32得点という攻撃を改善して上位を狙いたいところですが、昨シーズンと同じような位置でシーズンを終えると予想します。


KEY PLAYER

杉本拓也

鳥取から移籍してきた昨シーズン、全試合にフルタイム出場を果たした杉本選手。シュートストップやコーチングで存在感を発揮し、藤枝のゴール前に立ちはだかりました。しかし、ハイラインの裏を突かれて失点することも昨シーズンは少なくなく、今シーズンはDFとのより密な連携が求められます。昨シーズンの課題だった守備面を立て直すためには杉本選手の更なる奮起が不可欠。自身初の2シーズン連続のフルタイム出場を目指します。


KEY NEWCOMER
星原健太

北九州で攻撃的右SBとして鳴らした星原選手でしたが、移籍先の松本では定位置を掴むことはできず。昨シーズン途中に群馬にレンタルされましたが、加入した瞬間面目躍如の大活躍。24試合に出場し4アシストを挙げました。星原選手の武器はなんといっても鋭いクロス。実際にFootball LabのクロスCBPではチーム1位の14.24を記録しており、昨シーズンの群馬の大きな武器になっていました。J3屈指のクオリティを備えている星原選手。藤枝の得点増と失点減に貢献することはできるでしょうか。















18位:Y.S.C.C.横浜

2018シーズン成績:15位 8勝10分14敗 勝ち点34 40得点48失点

監督:シュタルフ悠紀リヒャルト



主なIN


チョン・ハンチョル(←町田
安彦考真(←水戸
谷俊勲(←ブリオベッカ浦安

主なOUT

後藤京介(→甲府
辻正男(→群馬
三沢直人(→鳥取


予想フォーメーション

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(★は新加入選手)


YS横浜は昨シーズン限りで3年間監督を務めた樋口靖一監督が退任。攻撃的でなかなか面白いチームを作っていたので残念な気持ちがあります。その樋口監督の後を継いで就任したのがシュタルフ悠紀リヒャルト監督。育成年代の指導を担当しており、S級ライセンスを取得してすぐにYS横浜の監督を任されたらしいので、やはり経験の問題はあります。さらに今オフには後藤京介選手や辻正男選手、三沢直人選手など昨シーズンの中核を担った選手が次々と退団。選手層も他クラブと比べて厳しいものがありますし、今シーズンは最下位からの脱出が目標になるのではないでしょうか。


KEY PLAYER
宗近慧

YS横浜の守備の要として奮闘を続ける宗近選手。昨シーズンは自身初のフルタイム出場を果たし、大きな成長の跡を残しました。空中戦に強みを発揮するほか、ディフェンスリーダーとしてラインコントロールも行うなどプレーの幅を広げている宗近選手。今シーズンも新加入したチョン・ハンチョル選手らのポジション争いに臨みますが、ポジションを譲る気はさらさらありません。自身としてもさらに成長し、チームとしても守備の連係を高めることで、昨シーズンの48失点からの失点の減少に挑みます。


KEY NEWCOMER
安彦考真

昨シーズン40歳で水戸に加入し、オールドルーキーとして大きな注目を集めた安彦選手。SNSでも積極的な発信を行っており、その意識の高さが契約に結び付いたのは間違いないですが、昨シーズンは出場なしとピッチで結果を残すことはできず。1年で契約満了となってしまいました。今シーズンはYS横浜でプロ人生の第二幕をスタートさせますが、まずはJリーグ初出場を果たしたいところ。進昂平選手やジャブラニ・リンジェ・アリ選手との競争を制し、ピッチで躍動する姿は果たしてみられるのでしょうか。ピッチ外も含めて注目の選手です。










2019Jリーグ全順位予想:

J1

1位:川崎フロンターレ
2位:浦和レッズ
3位:鹿島アントラーズ
4位:清水エスパルス
5位:北海道コンサドーレ札幌
6位:ガンバ大阪
7位:ヴィッセル神戸
8位:名古屋グランパス
9位:サンフレッチェ広島
10位:セレッソ大阪
11位:FC東京
12位:横浜F・マリノス
13位:ベガルタ仙台
14位:松本山雅FC
15位:サガン鳥栖
16位:大分トリニータ
17位:湘南ベルマーレ
18位:ジュビロ磐田

2019Jリーグ順位予想①

2019Jリーグ順位予想②
2019Jリーグ順位予想③
2019Jリーグ順位予想④
2019Jリーグ順位予想⑤
2019Jリーグ順位予想⑥ 



J2


1位:FC町田ゼルビア
2位:柏レイソル
3位:アビスパ福岡
4位:レノファ山口FC
5位:横浜FC
6位:V・ファーレン長崎
7位:大宮アルディージャ
8位:東京ヴェルディ
9位:徳島ヴォルティス
10位:ヴァンフォーレ甲府
11位:水戸ホーリーホック
12位:ツエーゲン金沢
13位:アルビレックス新潟
14位:モンテディオ山形
15位:ファジアーノ岡山
16位:ジェフユナイテッド市原・千葉
17位:愛媛FC
18位:栃木SC
19位:鹿児島ユナイテッドFC
20位:FC岐阜
21位:FC琉球
22位:京都サンガF.C.

2019Jリーグ順位予想⑦
2019Jリーグ順位予想⑧
2019Jリーグ順位予想⑨
2019Jリーグ順位予想⑩
2019Jリーグ順位予想⑪
2019Jリーグ順位予想⑫
2019Jリーグ順位予想⑬



J3

1位:ロアッソ熊本
2位:ブラウブリッツ秋田
3位:福島ユナイテッドFC
4位:ヴァンラーレ八戸
5位:ガイナーレ鳥取
6位:AC長野パルセイロ
7位:カターレ富山
8位:ザスパクサツ群馬
9位:アスルクラロ沼津
10位:セレッソ大阪U-23
11位:カマタマーレ讃岐
12位:ギラヴァンツ北九州
13位:FC東京U-23
14位:SC相模原
15位:ガンバ大阪U-23
16位:いわてグルージャ盛岡
17位:藤枝MYFC
18位:Y.S.C.C.横浜

2019Jリーグ順位予想⑭
2019Jリーグ順位予想⑮
2019Jリーグ順位予想⑯
2019Jリーグ順位予想⑰
2019Jリーグ順位予想⑱
















以上で2019Jリーグ順位予想⑲は終了です。そしてこれにて全順位の予想が完了しました。なんとか開幕までに間に合った…!長い間お付き合いいただき本当にありがとうございました!!


さて、開幕戦のキックオフの時間も近づいてきました。サポーターにとっての熱い季節がいよいよやってきます。たった一度っきりの2019Jリーグ。今年も一緒に楽しんでいきましょう!!


おしまい


J1&J2&J3選手名鑑ハンディ版 2019 (NSK MOOK)
日本スポーツ企画出版社
2019-02-09



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こんにちは。これです。今日Jリーグ開幕ですね。私はサッカー観戦も趣味にしているので、Jリーグが始まると映画があまり見れなくなるのが心残りです。1月2月に比べたら3月以降はペースは落ちると思いますが、それでも映画感想は続けていきたいと思いますので、その際はよろしくお願いしますね。


さて、今回の映画は『アリータ:バトル・エンジェル』。木城ゆうと氏のSF漫画『銃夢』を『タイタニック』『アバター』などのジェームズ・キャメロンが映画化した作品です。今回感想を始めるにあたってこれだけは言っておきたいのですが、私は『銃夢』は未読ですので、そのつもりで読んでいただければ幸いです。


では、始めます。





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―目次―

・映像がすごい!
・アクションがすごい!
・人間ドラマが中心のストーリー
・あまりハマらなかったかな...




―あらすじ―

天空に浮かぶユートピア都市"ザレム"と、ザレムから排出された廃棄物が堆積して山をなす"アイアンシティ"。大戦後の世界は"支配する者"と"支配される者"の二つに分断されていた。
"アイアンシティ"に暮らすサイバー医師のイドは、クズ鉄の山から少女の頭部を発見し拾い上げる。彼女はなんと300年前のサイボーグだった。奇跡的に脳は生きていたものの、長い休眠状態により過去の記憶を失っていた。イドによって新しい機械の体を手に入れたその少女は、アリータと名付けられ、イドの元で大切に育てられる。
ある日、アリータは襲ってきた敵からイドを守るために戦った際、自分の中にコントロールできないほどの戦闘能力があることに気づいてしまう。実は彼女は、300年前大戦中に失われたテクノロジーによって作られた"最強兵器"だったのだ。果たしてアリータと分断された世界の過去に隠された秘密とは……。
人々の温かさに触れ、感情が芽生えた心を持ったサイボーグの少女アリータは、自分の命の意味を見つけるため、そして大切な人たちを守るため、二つに分断された世界の秩序に立ち向かう。
(映画『アリータ:バトル・エンジェル』公式サイトより引用)











※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。















・映像がすごい!


『アリータ』の舞台は26世紀の未来(最初におおっとなる演出がある)。300年前に勃発した「ザ・フォール」という戦争が、世界を空中都市ザレムとゴミクズの街アイアンシティの二つに分断しました。映画はまずザレムの下部が映るのですが、幾何学模様で剥き出しになった金属がただならぬ雰囲気を与えて来るんですよ。一つ一つのCGが丁寧で細部までこだわって緊張感を生み出していました。


アリータはイドに拾われ、亡くなった彼の娘がつけるはずだった機械のボディを取り付けられます。起きたアリータは外に出てアイアンシティを目にするわけですが、このアイアンシティがこれまたリアル。建物の一棟からパイプの一管に至るまで作りこまれていて、遥か未来のはずなのにどこか昭和な懐かしさを感じられます。なのでセンチュリアンが現れた時のミスマッチさったらなかったですね。この四足歩行のロボットが出てきたときに私は未来を感じました。


他にもハンター登録所やモーターボールスタジアムなども無骨な感じがあってとてもよかったんですけど、『アリータ』でジェームズ・キャメロンらスタッフのこだわりが最も強く見えたのが水中のシーン。透き通っているけど決して透明ではなく質感を持った水色が浮遊感を感じさせます。アリータの口から出る泡もリアルでしたし、その後の船内の暗い室内もまたいい。紫の光がアンニュイな感じを醸し出していて、記憶を取り戻そうとしているアリータの不気味な一面を際立てていました。


で、今回私は『アリータ』を3Dで観たんですけど、3Dで観るとこれらの映像がより説得力を伴って視覚に訴えかけてくるんですよ。2Dとはなんといっても奥行きが全然違う。近く物はより近くに、遠くのものはより遠くに映ることで、実際にアイアンシティの中にいるような気分になりましたしね。すべての映像が3Dで観られることを前提として作られているので、300円の追加料金を払ってでも3Dで観るのがこの映画を一番楽しむ方法だと思います。



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・アクションがすごい!


そうですね。アクションは間違いなく『アリータ』の一番の見どころでした。アリータは300年前の「ザ・フォール」で作られた戦闘兵器という設定です。人型の戦闘兵器といったら体の各所に中が搭載されていて、それをバババババと撃ちまくるイメージがあるじゃないですか。でもアリータは違います。アリータが用いるのはパンツァークンストと呼ばれる格闘術。身軽な身のこなしで蹴って殴っての大暴れです。


まず、この映画最初のアクションはアリータが自分に秘められた戦闘能力に気づくシーンです。アリータは3人に囲まれるわけですが、まずは蹴りでヒャッハーな雑魚を粉砕。敵の女の刃物を使った攻撃を間一髪のところでかわし続け、パンチ一発で相手の顔をドアにめり込ませて体を切断。ごついグリシュカ相手にも蝶のように軽やかに舞い、アイヤーとかかと落としで相手の腕をブチぎります。カメラも次々に切り替わって臨場感があり、観客を一気に『アリータ』の世界に引きずり込みます。私はこうやって肉弾戦で戦う女キャラクターは好みなので、こういったアクションシーンを見せられて素直に今後の展開が楽しみになりました。




イドの反対を押し切ってハンターになったアリータ。ハンターの集まるバーに行き、ザレムに守られているグリシュカを協力して捕まえようと呼びかけます。しかし、周囲の反応は芳しくなく剣を持ったザパンに煽られる始末。まあここで煽り返すアリータは面白かったからいいんですけど。


その後はザパンと軽くバトって、剣を顔の横に突き刺すというおなじみの演出をした後、「お前ら全員かかってこいや」とハンターを一人残らず挑発。ビールの瓶を蹴って相手の顔にぶつけるジャッキー・チェンのような技を披露し、バー内は乱闘へ突入しました。バッタバッタと相手をなぎ倒していくアリータに合わせてご機嫌なロックンロールがかかる様子は、まさに私がこの映画に求めていたものです


ここで、イドが現れて場内は鎮まるんですけど、アリータとイドが少し話しただけで爆発が起こるのはスピーディでとてもよかった。「お前らこういうの欲しいんだろ」というメッセージをひしひしと感じました。ここでグリシュカが現れて第二ラウンドに突入するわけですが、床を壊して穴を開けて「俺の世界に来い」とか言っちゃうグリシュカも、まんまと飛び込んでいくアリータも、どちらもIQ低くて最高でしたね。


そして、先端が鋭い爪になっている鎖を手に入れたグリシュカとアリータの第二ラウンドが始まります。グリシュカの攻撃をアリータが避けまくるわけですが、ここで採用されたのがスローモーション。爪を体をのけぞって避けるアリータの姿は、マトリックスそのものでした。あの有名な弾除けのシーンがそのまま再現されていて思わず笑ってしまうほどです。あと、この一連のシーンではメカワンちゃんの活躍もよかったなぁ。敵を取ってくれた感じがして。



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映画は進んで、アリータはザレムに行くためにモータボールのトライアウトに参加します。しかし、他の参加者は全員アリータを殺すために送り込まれた刺客。イドの忠告も聞かずにモータボールはスタートするわけですが、ここのローラースケートを使ったスピーディなアクションよ。走りながら敵の攻撃をかわし、打撃を加える。そこに暇の入り込む余地はありません。とにかくテンポ良く敵が倒されていき、爽快感があります。


ここで、さらにアリータの友人のヒューゴがザパンに襲われるといった展開が同時発生しており、アリータはビジョンを突き破って外に出ます。パイプの上で続く追いかけっこ。不安定な足場でも難なく滑っていくアリータに惚れますし、追手を蹴落とす様子もバラエティに富んでいて面白い。屋根を飛び回って最短距離で集合場所に向かう忍者のようなアリータも見れましたし、最高でしたね。




そして、これらのアクションが3Dで繰り出されるわけですよ。もう大興奮ですよね。アリータのパンチやキックが客席まで飛んできますし、モータボールのシーンなんか目にもとまらぬ勢いでアクションが畳みかけられて、息つく暇がありませんでした。上映が終わって明るくなって、気づいたら手の平が汗ばんでいたのは、とてもハラハラしながら観れた証拠です。これだけでもプラス300円払う価値はあるので、観れる方は是非とも3Dで鑑賞することをお勧めします。「映画観たなぁ」って感じますよ。



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・人間ドラマが中心のストーリー



イドに拾われてボディを与えられたアリータ。初めて目にするオレンジを皮ごとかじり、マズそうな顔をします。街に出ると犬をかわいがり、チョコレートを美味しそうに食べる。周囲との人間関係もちゃんと構築していて、サイボーグではなく一人の人間らしさがありました


アリータの目はビジュアルから分かる通りかなり大きくて、また黒目が占める面積も多くまるで爬虫類のようです。正直初めは気持ち悪いと思ってたんですけど、観てみたら意外とすぐに慣れたんですよね。それは細かな挙動でアリータの人間らしさを演出していたから。一挙手一投足が本当の人間のようで親しみを持って観ることができました。




アリータはイドと街に出た途中に、少年ヒューゴと遭遇します。アリータとヒューゴはすぐに仲良くなり、一緒にストリートモーターボールに興じたり、一輪のバイクに2ケツしたりしていました。青春かよ。


ヒューゴは自らのお気に入りの場所だという大聖堂にアリータを連れて行き、夢を語ります。それはザレムに行くこと。アリータもそれに賛同し、実際に映画後半の彼女の目的はヒューゴをザレムに行かせることになっているんですよね。そのためには自らの心臓を差し出して売ることも厭わない意志の強さを見せています。


私、この映画を観るときにはもっとバトルをはじめとしたアクションシーンが多いと思っていたんですよ。でも、実際観てみたらそれは全く異なっていて。アリータとヒューゴの描写にかなりの時間が割かれていたんですよ。ヒューゴとの交流で起こるアリータの心情の変化を丁寧に描いていて、ラブストーリー的な要素も『アリータ』は多分に含んでいました




でも、私がこの映画に期待していたのって『アクアマン』のようなド派手なアクションだったんですよね。もっとアリータが無双するのかなって。でも映画は予想以上にしっとりしていて思っていたのとだいぶ違っていたので肩透かしを食らったような気分になりました。


たぶん『アリータ』は戦闘兵器にある冷たいイメージと、人間の暖かな交流によって生み出されるギャップというものを狙って描いていたと思います。でも、それにしてはアリータの葛藤が少し弱い気もします。もっと自分が兵器と知った後の精神的な葛藤を見たかったのに、それが全くない。あまりに真っすぐなのは清々しさを感じさせますが、もっと悩んで傷ついて成長していく方が個人的には好みなのでそういった描写が見られなかったのは少し残念でした。アリータは最初から成熟している大人なんですよね...。うーん惜しい。



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・あまりハマらなかったかな...


さらに事前のイメージと違っていたところは他にもあります。それは終わり方。最近は称えて終わるのがブームなのか分かりませんが、続編作る気満々の終わり方をしてるんですよね。それはこの映画が持っていた「生死」というモチーフ(ザレムが生者の場所で、アイアンシティは死者の場所。アイアンシティからザレムに行けないというのは生命の不可逆性を表しているという解釈)にも合っていて納得できるものではあるんですけど、一個の映画の終わり方としてはちょっとどうなんだろうというのは正直あります。




ただ、このようなことはこれから書くことの前では些末な問題に過ぎなくて。この映画ってとにかく分かりやすすぎるんですよね。演出も展開も。捻ったことは何もしていないですし、よく言えば王道、悪く言えば特徴のないストーリーです。ここで『アリータ』は王道だ!面白いよ!って言いたいんですけど、まあストーリー面ではこれといって取り上げることのない映画と言わざるを得ないかなと。


それは、この映画があまりにも直接的すぎたからなんですよね。隠したり仄めかしたりはしない。「私は何なの?」と聞かれれば、「お前は戦闘兵器だ」と答える。それもひどくストレートな言葉で。観客が求めるものをあっさり提示しすぎるんですよ。これはどういうことだろうかと考えたくなる展開が少ない。アクションや映像美で何とか興味を引き付けてはいますけど、それがなかったら本当に平凡な映画になっていたと思います。


それが最も現れていたのがセリフ。まあ捻りもなにもあったもんじゃない。一言でいうとオシャレじゃないんです。アリータは本当に直接的なセリフが多くて、「あなたは〇〇を知っていますか?」と聞かれて「はい、知っています」と言っているようなものです。しかも、これが全編を通して続く。こういったセリフは普通の会話の中で使われるセリフであって全く映画的ではないです。私が映画に求めてるのってこんなんじゃない。


私が映画に求めてるセリフっていうのは「あなたは〇〇を知っていますか?」と聞かれたら、「君は××という男の話を知っているかね。彼は~」とよく分からない回りくどい答えを返すとか、そういったものなんですよ。関係のない話をして質問には明確に答えない。でも、言葉の裏に込められた意味が質問の答えになっている。そういうオシャレなセリフ回しを見たときに、私は「映画観てるなぁ」と感じるんです。でも、『アリータ』にはそれがなかったので、私はこの映画に映画っぽさは残念ながらそれほど感じることはできませんでした。



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不満は続きます。私は今回『アリータ』を吹替で観ました。アリータ役の上白石萌音さんをはじめ多くの人はいい演技をしていたと思うんですけど、ただ一つ古舘伊知郎さんの実況だけが不満でした。古舘さんが強すぎるんですよこの映画。四字熟語を頻繁に用いてまくしたてる実況を聞いてみてください。もう日本そのものですよ。26世紀が舞台のSFを観ていたはずなのに、21世紀の日本に戻されるんですよ。ぶっちゃけ興醒めです。


というか、そもそも実況要る?って話ですよ。字幕版にも実況が入ってるならまだいいですけど、これが吹替版だけならはっきり言って改悪だと思います。そこまで実況されなくても何が起こってるかくらい分かるっつーの。というか別に分からなくても「あー凄いこと起こってんな」ぐらいで十分です。それを逐一説明されると冷めてしまいます。「バトル・エンジェル」とか言わないでほしかったですね。そこでタイトル出されちゃうかってがっかりしました。分かりやすさを優先しすぎっす。




『アリータ』の舞台は26世紀なんですけど、そのSF感に直接的なセリフや演出が全く合ってないんですよ。まるで現代の話のように感じてしまって。近未来SFの名作といわれる『2001年 宇宙の旅』や『ブレードランナー』ってよく分からない演出やセリフで未来感を出していますよね。個人的には『アリータ』にもそれくらいやってほしかったです。26世紀感をもっと味わいたかった。SFとしてみるのはあまりいい見方とは言えませんね。人間ドラマです。『アリータ』は。
 


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以上で感想は終了となります。『アリータ:バトル・エンジェル』。私にとっては現時点での今年のベスト10にも入らないくらいハマらなかったんですけど、映像やアクションには一見の価値があります。興味のある方は映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。しつこいようですが、その際には3Dで観ることをオススメします。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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