Subhuman

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2019年04月



前編はこちら




では、最初にスタメンの確認です。


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それでは参りましょう。


前半キックオフ!

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立ち上がりから鳥栖はディフェンスラインを高く設定してきています。しかし、ハイラインはスピードのある#7前田選手にとっては歓迎すべきもの。スピードを生かして裏を狙う動きを果敢に見せます。しかし、裏に走ったからとはいえ、ボールが出てこなければ意味がありません。そこで山雅は#10レアンドロ・ペレイラ選手がCBを引き付けたり、#13中美選手が中盤でのボール回しに参加し、ボールを出てきやすくするなど工夫を施していました。


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前半10分。左サイドのスローインから#14パウリーニョ選手が前線へと浮き球でボールを送ります。これに反応したのが#7前田選手。初速の速さで#5ニノ・ガロヴィッチ選手と入れ替わり、ワンタッチでシュート。これが#1大久保選手の上を越えてゴールインし、山雅が早い時間帯での先制に成功します。#7前田選手は今シーズン初ゴールとともに、J1での初ゴールも決めました。


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同点に追いつきたい鳥栖は、前線に人数をかける攻撃的なフォーメーションを採用しています。#9フェルナンド・トーレス選手が中央に位置し、#44金崎選手#7イサック・クエンカ選手との3トップ的な構成になりますが、ここでポイントは3選手とも中央に入り距離感を近くしていること。これによってクロスのこぼれ球をものにしてゴールに結びつけようという意欲が見えます。


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さらに重要だったのが山雅の3バックを中に引きつけていたこと。これにより、山雅の3バックとWBの間に有意なスペースを生み出そうとしています。そして、生まれたスペースをIHの#41松岡選手#14高橋義選手が2列目からの飛び出しで使おうとしてきます。カウンター攻撃でも鳥栖はIHに3バックの脇を突くタスクを与えていて、かなり攻撃的でした。


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しかし、そこは当然山雅のWBも中に絞り、スペースを消してきます。となると今度はサイドが空く。鳥栖のSBはこの日、サイドに張り出し高い位置を取っていたため、プレッシャーの少ない状態でクロスを上げていきます。山雅としては中もサイドも守りたいところでしたが、両方を守るのはさすがに不可能。ゴールは中央にあるので、やはり中央に人数をかけて重点的に守り、そのぶんサイドはやや捨てていた印象です。


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とはいっても完全フリーの状態でクロスを上げさせるわけにもいかないので、鳥栖のSBには基本的に山雅のシャドーがつきます。この日の山雅のシャドーは高い位置を取るSBの対応に追われ、いつもよりもポジションを押し下げられていました。#10レアンドロ・ペレイラ選手も前線で孤立しないために落ちてくるので、攻撃の開始点はいつもより下げられ、それが山雅の攻撃を難しくしていたように感じました。


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山雅の持ち味といえば前線からのプレス。この日も前からいっていましたが、これまでと比べると頻度は控えめでした。しかし、数少ない前プレを鳥栖は脅威に感じたのか、最初は4バックで回していたものの、だんだんと#36高橋秀選手を下げて、SBを上げるようになります。


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しかし、このとき前線とディフェンスラインが分断されがちになり、#14高橋義選手が中継役になろうとしますが、#14パウリーニョ選手に見られていて、パスを出せません。結果としてロングボールが増えていて、この日は#9フェルナンド・トーレス選手がいたので、それでもよかったのですが、ポゼッションを標榜するならば、解決すべき問題のように感じます。CBにもっと配球力の高い選手を入れるとか。


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試合は鳥栖が優位に進めますが、山雅もカウンターで応戦します。鳥栖は2人のIHが高い位置を取るので、アンカーの#36高橋秀選手の脇がどうしても空きがちになります。ここを#10レアンドロ・ペレイラ選手が落ちて使おうとして、ファウルを受けてFKを獲得するなど、一定の形を作れていましたね。


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加えて、遅攻の際にも前半の山雅は前線までボールを運べていました。鳥栖の前線の3人は戻ってまで守備することはないので、第一ラインを突破できれば、中盤で3対4を作ることができます。中盤の一人がボールホルダーにプレスをかけると、スペースができるので、前半の山雅はそこをうまくつけていた印象です。人数が揃っている最終ラインを突破することはできませんでしたが。


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また、この日絶妙だったのが#14パウリーニョ選手#35宮阪選手の2ボランチの関係性。#35宮阪選手が積極的にボールに絡んで、前線へパスを配給する。一方で、#14パウリーニョ選手はカバーに徹し、危険なスペースを埋め続け、リスク管理を行うという役割分担がきっちりとなされており、中央では安定感がありました。


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前半の半ば頃から鳥栖は#7イサック・クエンカ選手が中盤に落ちて、ボールを受けるようになります。これは山雅の5-4のブロックの外でボールを貰いたいといった思いや、#36高橋秀選手#14高橋義選手二人になりがちな中盤に人数を増やして、前線にボールを出したいという狙いがあるでしょうか。


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しかし、ドリブルが持ち味の#7イサック・クエンカ選手が下がることで鳥栖の攻撃の威力が減じていて、さらに#44金崎選手も下がって受けるという場面が見られたため、山雅にとっては助かる展開でした。山雅はマンマークでしたが、CBからボランチ・シャドーへのマークの受け渡しができていて、スペースを開けさせていませんでしたね。


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一方で山雅の攻撃では、最終ラインを突破するために、斜めの動きが多く用いられています。アタッキングサードで前を向いてボールを持てたら、シャドーのどちらかが斜めの動きをするように設計されていました。CBの間を横断することで、CBから離れ、もう一方のCBの背後を取ることでフリーでボールを受けようとします。ブロックにはあってしまったものの、追加点を奪うための有効な形で、後半も続けていくことが求められますね。


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アディショナルタイムはなく、前半は1-0で山雅のリードで終了。先制こそしたものの、どちらかというと鳥栖ペースで試合は進んでいきましたが、山雅は中央をガッチリと固めていて、鳥栖の攻撃をシャットアウトしていました。後半に向けては、早い時間帯に追加点を取って試合を決めたいところです。


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ハーフタイムにはアウェイツアーのPRがあったり、


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県内ではよく見る旗がスタジアムを一周したりしました。











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両チーム選手交代のないまま後半キックオフ!


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後半になって1点のリードを持つ山雅は、引いて守ります。ディフェンスラインをやや下げて、守備の早い段階から5バックを形成していました。これに対し、鳥栖はサイドから崩していこうとします。


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鳥栖はSBが大きく外に開きますが、後半はIHも外に開きサイドに二人当てる傾向を強くしてきました。山雅のサイドは基本的にWB1枚なので、WBが鳥栖のSBに行ってしまうとIHを誰が見るのかが課題になります。ここで、サイドのCBが釣り出され、山雅のハーフスペースが空く瞬間が訪れます。


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CBがスライドしたり、ボランチが落ちたりして山雅も対応しますが、その一瞬の隙に、#44金崎選手#7イサック・クエンカ選手がハーフスペースに侵入し、危険な位置でボールを受けられてしまうシーンが後半は増えていました。これに対応するには前半のようにシャドーをSBにつければいいのですが、そうすると今度は攻撃が弱くなってしまうため、難しい課題です。この日の山雅は時間が経つにつれてシャドーも守備に参加するようになり、前に行けなくなっていましたね。


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しかし、山雅にもカウンターで攻撃の瞬間が訪れます。この日は左サイドからの攻撃が多かったのですが、いつもと違うパターンの攻撃が見られました。それは#42高橋諒選手がインナーラップをするということ。シャドーの選手や#10レアンドロ・ペレイラ選手がサイドに出た時、#42高橋諒選手はサイドから中に向かって走り出します。勢いを持ってハーフスペースに侵入し、シュートに繋げるというシーンが後半立ち上がりと終盤の二度見られましたね。意表を突いたいい攻撃だったと思います。


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後半13分。1対2の未曾有のピンチを#42高橋諒選手が戻って防いだ直後、鳥栖が選手交代を行います。17歳の#41松岡選手に替えて#4原川選手を投入。前半から狙っていた右サイドの攻撃を強めます。


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引き続き鳥栖がボールを保持する展開が続きますが、山雅も5-4のブロックを作って対抗します。それぞれ、30mほどに収まるようにコンパクトに設定し、中のスペースを消していきます。サイドに追いやるという狙いは上手くいっていて、鳥栖はブロックの中に縦パスを通すことができず、外で回すことが多くなっていました。山雅もシャドーを下げて守備的に来ていますしね。


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そして、山雅がボールを奪った時、鳥栖の中盤とディフェンスラインとの間は空いてしまっています。後半の鳥栖は攻める気持ちが強く、陣形をコンパクトにできていなかったため、前線と中盤、中盤とディフェンスラインの距離が開いてしまっていて、山雅の選手は間で余裕をもってボールを受けるシーンが増えていました。しかし、ペナルティエリア前までボールを運ぶことはできるものの、もう一押しが足りません。2シャドーがもっと#10レアンドロ・ペレイラ選手を使えればよかったのですが。


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後半24分。山雅が最初の選手交代を行います。#10レアンドロ・ペレイラ選手に替えて、#11永井選手が投入されました。#11永井選手はそのままワントップの位置に入ります。


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山雅は手を打ったものの、攻めるのは鳥栖。#4原川選手はIHに入っていますが、アンカーの#36高橋秀選手とよくポジションを入れ替えています。山雅は#4原川選手を捕まえ切れていなかった印象があります。#4原川選手は下がることも多く、前線とディフェンスラインの中継役になっていました。#4原川選手が入ることで鳥栖はより円滑にパスを回し、#7イサック・クエンカ選手も前線に張っていることができていましたね。


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後半30分、#35宮阪選手が足をつってしまいます。この日は気温も高く、#35宮阪選手も運動量多く動いていたので、しょうがない部分もありますね。ここで#6藤田選手が投入されますが、ここでアクシデント。第四審がボードを掲げる前に入ってしまったということで#6藤田選手にイエローカードが提示されてしまいました。#6藤田選手は選手交代をやり直すことになりましたが、#6藤田選手はもちろん、その前の鳥栖の交代が終わって時点で試合を始めてしまった審判団にも責はあるかと思います。Jリーグジャッジリプレイで取り上げてほしいなぁ。


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また、その直前には鳥栖が2枚目の選手交代を行っていました。#5ニノ・ガロヴィッチ選手に替えて、#25安庸佑選手を投入。#25安庸佑選手はIHに入り、#4原川選手がアンカーに、#36高橋秀選手がCBにそれぞれポジションを一つずつ下げています。


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#25安庸佑選手の縦に仕掛けるドリブルが加わった鳥栖は、さらに山雅を攻めますが、山雅も集中して跳ね返します。逆にSBが上がった裏のスペースを#11永井選手に突かせるというカウンターも時折見せ、追加点こそ奪えないものの時計の針を着々と進めていきます。


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後半38分には鳥栖は#44金崎選手に替えて、#11豊田選手を投入し放り込み体制へとシフトチェンジ。山雅もそれと同時に#7前田選手に替えて、#20杉本選手を投入し、クロッサーへのプレスを復活させようとします。


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この日の入場者数は16,367人。同じくチケットの完売した川崎戦や神戸戦と比べるとやや少ないですね。田植えの影響でしょうか。


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後半アディショナルタイムには、鳥栖は#3高橋祐選手も前線に上げ、パワープレーを敢行しますが、効果的な肺クロスはあまり上がらず。山雅の選手もちゃんとクロッサーに寄せ、中で集中を保って跳ね返します。そして最後のCKを凌いで試合終了。山雅が1-0で勝利し、2試合ぶりの勝利を手にしました。これで3試合負けなしです。


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勝利のアルプス一万尺もおよそ2週間ぶりです。#16村山選手#7前田選手が前に出てきていましたね。


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反町監督のインタビュー。やや苦み走った顔がこの試合の苦しさを物語っています。「内容は良くなくても勝ち点3を取れたことは大きい」「3試合負けなしだが好調だとは思っていない」とのことでした。


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この日のヒーローインタビューはもちろん#7前田選手。ゴールについては「決まってよかった」とシンプルに一言。これからの抱負を聞かれ、「(久保)建英には負けない」とのことでした。頼もしいですね。


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#7前田選手にはMVP賞として、信州プレミアム牛肉と信州金芽米が贈られました。


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恒例のカメラにサインもあっという間に終わりました。


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また、敢闘賞には#13中美選手が選ばれました。この日も攻守によく走ってくれましたが、やはり攻撃の選手で次の試合はゴールに期待したいです。


この試合においては鳥栖が取ってきたSBをタッチライン際まで開かせたり、サイドでIHとの縦関係を作るという攻撃は、正直かなり山雅対策として有効でした。しかし、内容が悪いながらもそれを跳ね返せて1点を守り切って勝てたのは自信に繋がりますね。反対に、ポゼッション率70%を超えて攻め続けたものの、1点が遠かった鳥栖の得点力不足はかなり深刻ですね。形は出来ているので、1点取れれば上向くと思うんですけど。


また、山雅の側でもディフェンスラインを下げてしまったり、シャドーが低い位置を取り過ぎてしまったりと反省点も多く見られたのも事実。内容も自ずからもっと良くすることができたはずです。きっちり修正して、来節に臨んでほしいですね。














<ハイライト動画>








監督コメント
(Jリーグ公式)

選手コメント(Jリーグ公式)

J1順位表(Jリーグ公式)

2019 明治安田生命 J1リーグ第8節 VS サガン鳥栖|試合結果(松本公式)

(ホームゲームイベント)2019 明治安田生命 J1リーグ第8節 松本山雅FC VS サガン鳥栖|フォトギャラリー(松本公式)

2019明治安田生命 J1リーグ 第8節 松本山雅FC 1-0 サガン鳥栖|フォトギャラリー
(松本公式)

2019明治安田生命J1リーグ第8節 松本山雅FC vs サガン鳥栖|試合情報(鳥栖公式)

耐えた松本山雅、無失点勝利 10位に浮上(信濃毎日新聞)

サガン、松本に0-1 J1リーグ第8節(佐賀新聞社)

鳥栖・MF高橋義希、J1出場250試合達成 地元・長野で、両チーム祝福(佐賀新聞社)

【J1採点&寸評】松本1-0鳥栖|驚異のスプリント力で決勝弾の前田大然を最高評価! トーレスは獅子奮迅の働きも…(サッカーダイジェストWeb)

【松本】ウノゼロ勝利も展開は「一か八か」。ここ3戦で勝点7の順風だからこそ突き詰めるべき課題(サッカーダイジェストWeb)


【松本×鳥栖】10位浮上の反町監督「いいGWにしたい」、3連敗のカレーラス監督「『悪い』としか言いようがない」(サカノワ)


前田大然、J1での初ゴールはやっぱり「スピード違反」だった(Qoly)









この勝利で山雅は3勝2分3敗の勝ち点11で10位にまで浮上。一桁順位も近づいてきました。次戦は4月24日19:00から。アウェイ・IAIスタジアム日本平で、ルヴァンカップグループステージ第4節vs清水エスルス戦です。ルヴァンカップでは現在最下位ということで、グループステージ突破のためには勝利が必須になりますね。出場機会の少ないメンバーの奮起に期待しましょう。


そして、明治安田生命J1リーグの次節は、こちらもアウェイ・味の素スタジアムで、FC東京との対戦です。現在FC東京は6勝2分の勝ち点20で首位を走っています。未だ無敗という難敵ですが、力を尽くして勝利を掴んでほしいです。私も応援に行きます。今シーズン初のリーグ戦の連勝が見たいですね。


頑張れ!松本山雅FC!!


お読みいただきありがとうございました。


おしまい





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前節、アウェイで湘南ベルマーレに1-1で引き分けた松本山雅FC。期待の#10レアンドロ・ペレイラ選手に初ゴールが生まれ、順位も2勝3分3敗の勝ち点8で12位。まだシーズンは始まったばかりですが、そこまで悪い数字ではないですね。


そして、今節は2週間ぶりのホーム戦。サンプロアルウィンにサガン鳥栖を迎えます。鳥栖は第7節終了時点で1勝1分5敗の勝ち点5で18位に沈んでいます。ここまでわずか1得点と得点力不足に苦しんでいますが、山雅にとっては残留争いのライバルになりそうな相手なので、J1残留のためにも勝利が必要になります。今シーズン3勝目を目指して山雅はどのように戦ったのでしょうか。


では、観戦記を始めます。よろしくお願いいたします。




後編はこちら





【松本 vs 鳥栖】 ウォーミングアップコラム:高橋諒は前を向く。“古巣戦”の反省を糧に
(J's GOAL)






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10時半ごろにアルウィンに到着。この日の松本は雲一つないほどの青空で、気温も試合中は半袖で構わないくらいの暖かさでした。


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また、春ということであちこちに桜が咲いていましたね。バーベキューをしている人もいて、ファンパークにはかすかに香ばしい香りが漂っています。次の試合が5月4日ですし、その頃には花も散ってしまっているでしょうから、今節限定の景色になりそうです。




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アルウィンについた瞬間に目についたのはおびただしいほどの行列。先行入場の抽選会の列が、ファンパークの外まで伸びていました。大した人気ぶりです。


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この日はレディースデー。ハンドマッサージやセルフヘアアレンジなどのブースが出ていました。客足はまあまあ。







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さて、ここで早いですが、本日のスタジアムグルメのコーナーです。本日の一品目は南インドカレー&タンドリー料理 ターメリックさんの

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カレーセットです。この日は3種類ほどバリエーションがありましたが、オレンジチキンカレーをチョイス。コリアンダーの効いたやや辛めのカレーをほんのり甘いナンでいただきます。カレーにはオレンジが煮込んであって骨付きのチキンも美味しかったですね。ナンも昼食にぴったりのボリュームです。


カレーを食べ終えた後はサウスゾーンに移動。2品目のスタグルをいただきます。


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次に決めたのはバンビクレープさん。

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6種類のクレープから選んだのは、

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2番のストロベリーバナナチョコクレープです。まあ欲張りなので。クリームも甘さを控えておらず、甘味の応酬に打たれます。期待を裏切らない美味しさでした。春うららの陽気にスタジアムで食べるクレープは本当に美味しいです。近くの女子が桜もないのに「お花見みたい」と言っていました。




時刻は11時30分。先行入場の時間です。ガンズくんも登場し、サポーターを迎えます。


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この日のガンズくんは薄い緑色のフレアスカートを着用した、年に一度のガンズちゃんバージョンです。フェミニンな衣装がお似合いですね。











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一般入場待機列に並んで入場待ち。そして時刻は12時に回り、一般入場が始まりました。


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入場するとガンズくんはいませんでしたが、長野のプリペイドカード・ピコカのキャラクター、ピコピーです。本日のアルピコデーにちなんでの登場でした。初めて見ましたがシンプルにヒヨコですね。【出生地】:ピコカランドの怪しさがとても良いです。Jリーグ鳥の会に入らないか。









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入場して見たアルウィンの芝はこの日も青いです。

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「正直田舎者」の弾幕、4年ぶりに見ました。再び見られて嬉しいです。J1に帰ってきた感じがしますね。


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マッチデースポンサーであるアルピコ様から、この日販売されていた山雅応援バナナ。売り上げの一部が山雅ユースに送られると言われては、買わない手はありません。細かったけど6房も入っていて合間合間に食べるのにちょうどよかったです。


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この日のマッチデ―プログラムの表紙は、かつて鳥栖にも在籍経験のある#13中美選手。試合出場がなかったのでやはり悔しい気持ちはあるそうです。この日もスタメンですし、山雅での初ゴールに期待がかかります。


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ホームゴール裏コンコースにはこのような弾幕が出ていました。最近の山雅のサポーターは拍手を多く取り入れたチャントを採用していますし、浸透させようという試みですね。


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バックスタンドコンコース裏には選手・監督の弾幕が出ています。





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ファンパークでは子供たちがサッカーをしていて、


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ガンズくんも登場しました。


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女の子の格好をしていますけど、ドーナツは大好き。


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この日もたくさんカメラを向けられて、高い人気を誇っています。


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ステージ上の鐵戸アンバサダーに呼ばれて登壇するガンズくん。

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インストラクターの方と共に格闘技エクササイズを行います。


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鐵戸アンバサダーと今井スクールコーチと共にエクササイズに励みます。親指は外にしないと危ないらしいです。


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左ジャブに


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右ストレート。


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左フックに


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膝蹴りもあります。女の子の格好でエクササイズをするのはギャップがありますね。


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そして、これを音楽に合わせて繰り返していきます。


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青空。


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ステージの前にはガンズくんの写真を撮ろうと、カメラを構えて座る人たちが数人。私もそのうちの一人でした。ガンズくんがステージから降りると、エクササイズもしないで移動してしまい、すみません。


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ここで、疲れたのかガンズくんはエクササイズの途中でステージから降ります。


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降りても可愛かったですけど。


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桜を眺めるガンズくん。風流ですね。これもこの日を逃すと今シーズンは見られない光景でした。


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桜の木の下の出会いに物語を感じます。


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この日は来られなかったウィントスのぬいぐるみと共に。マスコットが別のマスコットのグッズを持つのっていいですよね。


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リボンをつけて頬を赤く染めた偽ガンズくんとの2ショット。これがパラレルワールド・ラブストーリーってやつですか。













それからもガンズくんとの2ショット写真を求める列は絶えません。しかし、そろそろ選手アップも始まるということでアルウィンに戻ります。アルピコさんの代表取締役の方の挨拶が終わったところでした。ゴール裏は手拍子チャントの練習をしています。


一つ気になったんですが、この日のボールパーソンが須坂創成高校サッカー部だったんですね。須坂ってパルセイロのホームタウンなんですけど。まあ山雅の方が先に声をかけたので何とも言えませんが。




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GKが登場してピッチ内アップ開始です。今日は#1守田選手が負傷のため、#16村山選手がゴールマウスを守ります。今シーズンリーグ戦初出場ですね。





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フィールドプレイヤーも出てきました。


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鳥栖サポーターも意気軒昂と声援を送ります。遠いところをようこそいらしてくれました。






では、ここで本日のスタメンです。




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山雅はキーパーが#1守田選手から#16村山選手に変わったのみで、それ以外はスタメンの変更はありません。3試合続けてのメンバーで2試合ぶりの勝ち点3を狙います。フォーメーションは3-4-2-1。




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一方の鳥栖。前節の川崎戦は敗戦を喫しましたが、それでもスタメンは1人のみの変更。ストライカーの#9フェルナンド・トーレス選手が復帰し、#44金崎選手と2トップを組みます。フォーメーションは#7イサック・クエンカ選手をトップ下に置いた4-1-3-2です。


選手もアップを切り上げ、選手紹介が始まります。あ、その前にひかりTVのCMに反町監督が出てたんですけど、サッカーボードを用いて説明していて、こんなことするんだってなりました。


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選手紹介も終わり選手の入場です。

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入場時チャント「中央線」を歌い、選手を迎え入れる松本サポーター。

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タオルマフラーを振り回して盛り上げます。

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メインスタンドも。浸透率が素晴らしいですね。


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鳥栖サポーターも負けじと声を張り上げます。2勝目への渇望。


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選手の入場が終わり、キックインセレモニーが行われます。どんなお偉いさんかと思ったら、


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アルピコさんが主催しているアウェイツアーのキャンペーンの当選者の方々でした。ガチ一般人です。でも、ファン・サポーターの方にこういう貴重な場を提供できるのはいいですね。写真はないですけど。


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握手をして健闘を誓い合います。


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円陣を組んで...


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駆け出してからの...


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前半キックオフ!







後編に続く





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こんにちは。これです。


前エントリーのしんちゃん映画を観てから1時間半足らず、私はこのひ3本目の映画を観に行ってました。今回観たのは『21世紀の女の子』。気鋭の女性監督15人による短編集です。公開された時から観たいとは思っていたのですが、今回松本で上映されるとのことで、意気揚々と観に行った次第です。


それでは早速感想を始めたいと思います。拙い文章ですがよろしくお願いいたします。




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ー目次ー

・全15作品の簡単なレビュー
・総評








※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。






・全15作品の簡単なレビュー


01.『ミューズ 

監督:安川有果
主演:石橋静河


カメラ映画その1。モデルの女の子と小説家の妻の話。小説家は小説の中で若い女の子を自殺させていて、妻曰く「リアルじゃない」。事故で死んだ妻。ラストシーンでモデルは「好きだった」と告げる。未だ偏見の強い同性愛をウェットに扱った作品。





02.『Mirror

監督:竹内里紗
主演:瀧内公美


カメラ映画その2。全編が写真スタジオで撮影されている。ナイフが登場して、主人公とカメラマン2人の写真を切り裂くなど不穏な空気。血も出る。想像の余地がある終わり方が良い。「女性」が消費されることを問題視した作品。同性愛映画その2。





03.『out of fashion』

監督:東佳苗
主演:モトーラ世理奈


カメラ映画その3。しかも3連続でモデルである。山戸監督のアフタートークを聞くに多分意図的なもの。ファッション学校が舞台で、夢と現実の葛藤を描いていた。モトーラさんの腫れぼったい目と頬のそばかすが印象的。見るたびにあいみょんに似てるなと思う。





04.『回転てん子とドリーム母ちゃん

監督:山中瑶子
主演:北浦愛


長野市出身の山中監督の作品。いきなり中国語で始まり、機関銃をぶっ放すオープニングはなかなかのもの。円卓に座った子供を中心に7人の女性が話すのだが、内容が「セックスの後にティッシュをくれるか」などどうしようもなく下世話。中華料理屋の閉塞感と公園の開放感の対比が効いていた。






05.『恋愛乾燥剤

監督:枝優花
主演:山田杏奈

恋愛をしたものの、何かが違うと感じる主人公。薬局で恋が冷める恋愛乾燥剤なるものを購入する。学校のおまじないみたいだ。『ミスミソウ』の山田さんのアップが多くて、個人的には満足。度々出てきたピンク色の水は何を表していたのだろうか。好意?






06.『projection

監督:金子由里奈
主演:伊藤沙莉


一般公募枠の金子監督の作品にして、カメラ映画その4。「映画を一緒に撮ってください」と新宿の街中で掲げる主人公はやや危なげ。そこに立候補してきたカメラマンとのいかがわしい関係が肝の作品だった。山戸監督のアドバイスで、最後の写真の並べ方を変えたらしい。







07.『I wanna be your cat

監督:首藤凛
主演:木下あかり


温泉旅館で脚本家の女性と映画監督(?)の男性が喧嘩する。それだけの話。脚本家が監督に依存しているのが面白かった。ただ個人的には少し単調に感じてしまったため、そこまで好きではない作品。監督のサイコな眼が見どころ。






08.『珊瑚樹

監督:夏都愛未
主演:堀春菜

主人公の友達の一人が性同一性障害。胸にサラシを巻いていた。別れを描いていて、散り始めの桜が刹那さを増す。淡々とした雰囲気が好きな作品。キスすると見せかけてからの、一度離れてからの、キスが印象に残った。同性愛映画その3。




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09.『愛はどこにも消えない

監督:松本花奈
主演:橋本愛


久しぶりのカメラ映画その5。失踪した男を捜索する話。わずか8分の間に起承転結をまとめていて好印象。最初のシーンが、違った意味を持って終盤に繰り返される構成には、ため息が漏れた。いい角度からの写真も多く、天下無敵の橋本愛さんを存分に楽しめる作品。







10.『君のシーツ

監督:井樫彩
主演:三浦透子


ほとんどセリフのない異色作。時間も6分ぐらいしかなかったと思う。内容は男と女、女と女のセックスが交互になされるというもの。女性に髭が生えたのには、まさしくジェンダーの揺らぎを感じた。シーツにくるまる三浦透子さんが眩い一本。シーツで隠されたキスシーンが好き。







11.『セフレとセックスレス

監督:ふくだももこ
主演:黒川芽以


タイトルが全てを表している作品。ずっとラブホが舞台で怪しい照明が灯っていた。セックスを提供できなくなった女性には価値がないのかと考えさせられる。「(タバコが)美味しくないけどやめられない」「私達みたいだね」というセリフが耳に残った。







12.『reborn

監督:坂本ユカリ
主演:松井玲奈


「私は半分しかない」「私の半分は海にある」「天井という海」。どうやったらこんなセリフを思いつくのだろうか。赤い照明が一転して青に変わるところが見どころ。雨の中、主人公は泣いていたのだけど、多分この映画で唯一の涙だったと思う。





13.『粘膜

監督:加藤綾佳
主演:日南響子


粘膜の医学的な説明から入って、タバコを吸ったり、カタツムリになりたいと言ったり、ミドルショットで街を歩いたり。タバコを吸う姿はかっこいいなと思ったが、それもまた逆の意味でジェンダーに縛られているのだろう。悪くはないのだけれど、次の山戸監督の印象が強すぎるため、やや影の薄い気の毒な作品。







14.『離ればなれの花々へ

監督:山戸結希
主演:唐田えりか


ラスボス。赤・青・黄のドレスを着た3人がひたすら踊って喋り続けるのだが、一つ一つの言葉の攻撃性が高い。「男の子も女の子も女の子だった」「もっと孤独に」など印象的なセリフ多数。彼女たちは神なのか。タイトル回収もなされていた。さりげなくカメラ映画その6でもある、今作屈指のアート映画。







15.『エンドロールアニメーション

監督:玉川桜
音楽:大森靖子 feat.平賀さちえ


柔和で温かみのあるアニメーション。女の子2人の交流を描いていた。音楽も「少女のままで死ぬ」というパンチラインが冴え、途中語りっぽくなるのがたまらない。横目で見るスタッフロールは膨大で、8分の短編でもこれだけの人が関わっているのかと驚かされた。映画を観た女の子のシーンで終わっており、後味が美味だった。




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・総評


まず、観始めて思ったのが、ジェンダーやセクシャリティ関係なく、8分って思っていたより長いなということです。もっとあっという間に終わるかと思っていたけど、集中力を保つのも終盤になるにつれて難しくなっていったんですよね。


ただ、考えてみると、1秒を30コマだとして1分で1800コマ。8分で14400コマになるんですよね。その1コマ1コマに気を配らなければならないのは、8分とはいえ気の遠くなる作業。尊敬です。1/30秒の芸術、それが映画なんだなと感じました。


ちなみに山戸監督によると、8分というのは120÷15でしかないとのこと。また、山中監督は「長編の方が簡単だな」とその印象を語っており、坂本監督は「8分は長いようで短い」と述懐していました。





次に、当たり前のことを言いますけど、一人一人アプローチが違うことが印象に残りました。男と女の定型の恋愛を撮った方もいれば、同性愛を撮った方もいて、多様性がありました。


『21世紀の女の子』にはカメラが多く出てきたんですが、その描き方もそれぞれ異なっているんですね。このことに関してもアフタートークで山戸監督は言及されていて、曰く「100年後にも見られていることを最優先にした」と。


例えばカメラが出てくる作品が一つだけだったら、100年後の人に「この時代の女の子はこうやってカメラを使ってたんだ」という唯一のイメージが残ってしまう。でも、カメラが出てくる作品が複数あって、異なるアプローチをしていた場合、100年後の人のイメージに多面性が生まれる。よって被りを避けるよりも作家性を優先したみたいなことも山戸監督は言ってた記憶があります。


それにカメラが被った要因は他にもあるらしく、それは「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること」というこの映画のコンセプトに起因しているようです。ここでのポイントは「自分自身の」という部分。自分自身と考えた時に自然とカメラが着想の出発点になったそうです。何かを作っている人が多かったのもそれに同じ。あ、これら全部聞いた話ですよ。



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それに5人の監督、まあ70%ぐらい山戸監督が喋ってんですが。山戸監督はめっちゃ頭の回転が速くて言葉がスラスラ出てくるもんでビックリしました。


それはさておき、監督達の話を聞いて思ったのが、「21世紀」や「女の子」ってただの属性でしかないということです。属性が体の外にひっついているだけで、中身はみんなバラバラ。男だろうが女だろうが、性的多数者だろうが性的少数者だろうが、白人だろうが黒人だろうが黄色人種だろうが、いい奴はいいし、悪い奴は悪い。大事なのは人間性という至極当然のこと。


でも、悲しいかな人間は他人を属性の集合体として判断してしまうわけですよ。あなたは美人で顔もいいからアナウンサーね、とか。そこに人間性という評価項目はなく、ただ外側の属性が見られているだけ。性別という属性で規定され、「男らしく」「女らしく」というジェンダーロールを押し付けられる


そして、厄介なのはこの属性は滅多に変えることができないということ。男女だったら性転換というケースもありますが、人種はどうしようもないですよね。黒人がどんなに白人のように振舞っても、根っからの白人にはなれないんですよ。つまり生まれ持った属性には強い呪縛があるということです。


これは男女にも適用されると個人的には思っていて。なぜなら、女性がいくら腕っぷしが強くて豪快な性格だったとしても、そこには「女伊達らに」という言葉がついて回るから。ジェンダーバイアスがかかってしまうから。女性らしくありたくないという強迫観念に縛られているから




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でも、もはや現代ってジェンダーロールやジェンダーバイアスなんてナンセンス、無意味なんですよ。山戸監督曰く「日本のメジャー映画は97%が男性監督で女性監督は3%しかいない」らしいんですけど、これってどういう理由があるんですかね。


いや確かに男性と女性では脳の構造も違うみたいですし、スポーツなど性差がはっきり現れるものもあります。でも、映画ってそういうのあまり関係ないじゃないですか。大事なのは能力であって性別じゃないだろうって。まあこの考え方もジェンダーに縛られてますけど。





今まで私はジェンダーだったりセクシャリティだったりをあまり考えて来なかったんですが、それは私がだからなんですよね。未だ旧家長制度の色濃い日本で、支配的に威張ってるだからなんですよね。


いや、男でもジェンダーやセクシャリティについて考えてる人はいますよ。でも、女性のそれに比べたら多分少ないと思うんですよ。なぜ考えないようにしているかというと上に立って優越感を得たいから。ポジションパワーを奪われたくないからではないかと。


今回のアフタートークでQ&Aがあったんですけど、時間の都合上、男性2人しか当たらなくて(山戸監督は女の子からの質問がほしかったと残念がっていた)。で、その質問二つがいかにも男性目線のものだったんですよ。「少女漫画映画を男性が監督することについて」と「女性が男性主人公を撮ることについて」だったかな。ジェンダーに囚われきってます。


これに対して山戸監督は、特に後者は「男性が女性主人公を撮るという質問は成立しないですよね」とわりとバッサリ行ってたんですが、ここにも男の特権意識が見え隠れしていると感じました。



でも、この二人はまだいい方で。さらによくないのは何も言わなかった私の方で。質問できなかったから、今こうして拙い言葉でも書いてるわけですし。それによってジェンダーやセクシャリティについて考えるきっかけができて、それだけでも『21世紀の女の子』を観た意義はあって。今度図書館にでも行ってジェンダーやセクシャリティの本でも借りてみようかなと思います。この度はこのような機会をくださった監督・出演者・スタッフの方々、そして松本CINEMAセレクトの方々、本当にありがとうございました。




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以上で感想は終了となります。『21世紀の女の子』。これからも西日本を中心に上映されるようですし、ジェンダーやセクシャリティについて考える機会になる優れた短編集なので、ぜひ観てみることをお勧めします。監督の作家性が伝わってきて面白いですよ。


 


お読みいただきありがとうございました。


おしまい



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こんにちは。これです。

前エントリーの『愛がなんだ』の感想を書き終えた直後、私はまた映画を観てました。今回観た映画は『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』。毎年恒例のしんちゃん映画。去年の『カンフーボーイズ』がよかったので、今年も高い期待値を持って観てきました。


それでは感想を始めたいと思います。今回もまとまってないですが、何卒寛大な心で、よろしくお願いいたします。




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ー目次ー

・はじめに
・音楽の使い方が面白い!
・ギャグが面白い!
・みさえがヒーローで、ひろしがヒロイン
・テーマ、メッセージについて
・感動の再生産がちょっと…
・終わりに





ーあらすじー

オーストラリアの秘境“グレートババァブリーフ島”で、今さら初めての新婚旅行を満喫中の野原一家。
その夜突然ひろしが消えた。
探しに出かけたしんのすけたちが見たものは、仮面族の村で行われるド派手な結婚式に参列する、花婿姿のひろし!
宝欲しくば、花婿贈れ、天の指輪輝くとき…
その島には、50年に一度、金環日食の日に、お姫様に花婿を差し出すことで、ご褒美としてお宝が得られるという伝説があった。
その花婿に選ばれてしまったのがひろしだったのだ。
まさかの“ひろし”=お宝のカギ!!
仮面族vs世界中のトレジャーハンターvs野原一家の、超熾烈な三つ巴のひろし争奪戦がぼっ発!!!
果たして、しんのすけたちは、ひろしを奪還し、無事に春日部に帰ることができるのか!?
大冒険の先に、野原一家が見つけたものとは…!?

(『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーンズ 〜失われたひろし〜公式サイトより引用)










・はじめに


感想を始めていくに当たって、まずは予告編をご覧ください。





こちらは最初に出た予告編ですが、ぶっちゃけ本編にないシーンがかなり含まれています。8割くらい違うんじゃないかな。海ではしゃぐシーンはありませんでしたし(セリフ自体はあった)、争奪戦のシーンもディテールが違っています。





こちらの第二弾の予告編はかなり本編に近いですが、それでも本編にはないシーンがあったり、仕上げがなされる途中のシーンもあります。試行錯誤の跡が見えますね。映画を観終わった後に予告編と見比べてみるのも面白いかと思います。


また、この映画の最初はわりと意表を突かれる始め方でした。今でのしんちゃん映画だったら伝説の説明から始まりそうなものですが、違うんですよね。よくよく考えたらそうなんですけど、予告編の雰囲気からは想像できないものなので、観ていない方は楽しみにしていてください。


あと、今回は野原一家がメインのお話なので、カスカベ防衛隊は、オープニング後の顔見せぐらいで、ほとんど出てきません。完全に蚊帳の外です。去年の『カンフーボイーズ』が防衛隊メインの話だったので、バランスを取ったんでしょう。少ないと思いますが、カスカベ防衛隊の活躍を楽しみにしている人はご注意ください。


以上、注意事項でした。では、ここから本編に入っていきたいと思います。今年のしんちゃん映画はいくつかの点で新しい試みをしていました。その最たるものとして上げられるのが、音楽です。



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・音楽の使い方が面白い!


これが今年のしんちゃん映画の最大の特徴ですね。音楽の使い方が今までとは全く異なっていたんです。テレビシリーズを見ていないので、オープニングが変わったことにまず驚き、ダンスシーンではラテンの陽気な音楽に合わせてひろしが踊っていますが(あいみょん絶対ここで出ると思ってた)、一番のポイントは既存曲が2曲も使われていたことなんです。


まず、最初に使われていたのが福山雅治さんの「HELLO」。「恋が走り出したら〜」っていうアレです。しかもひろし役の森川さんが歌うという特別バージョン。ここはひろしがみさえに謝りにいくシーンなのですが、どちらかというと叙情的なシーンです。


にもかかわらず、明るくポップな曲調で、ひろしの弾む心の内を表現していました。花とか買いに行って、周りの人に配ってますしね。あ、あいみょんはこの件で出てきました。


そして、この映画で一番いいなと思ったのがみさえ役のならはしさんが歌う「Everything」。囁くような歌声で歌自体もよかったのですが、痺れたのはこれがしんのすけ達が敵陣に乗り込むシーンでかかったことです。


本当だったらバトルシーンですし、ド派手な音楽を使って盛り上げたいところをあえて抑制する。そのギャップがとても面白いなと感じした。既存曲を2曲使うというのは今までのしんちゃん映画にはないチャレンジですが、上手く作用していたと思います。


また、あいみょんが歌う「ハルノヒ」もストリングスが感動的でしたし、歌詞もいい。タイトルも春日部から来ていて作品への理解を感じるので、近年のしんちゃん映画では屈指の良曲ではないでしょうか。正直映画自体はあまりはまれなかったのですが、音楽に関しては手放しで称賛できる出来でした。




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・ギャグが面白い!


さて、私が個人的に好きなしんちゃん映画に『ヤキニクロード』があります。細かいテーマなんてどうでもいい。とにかくギャグに全振りしたのが好きな理由です。また、感動作と言われる『戦国』や『オトナ帝国』の次に出てきたのも、原点回帰って感じでポイント高いです。


そんな私が最近しんちゃん映画に対して思うのが、もっとギャグを増やしてほしいなということなんですけど、『新婚旅行ハリケーン』は量の面でも手数の面でもギャグが去年の『カンフーボーイズ』よりも多かった印象です。


ひろしやしんのすけがイケメンになるシーンも多く、しんちゃんの言い間違えも多用。罠のシーンではフリにしっかりと乗るお約束もあり、ドアを開けるシーンはすれ違いコントのよう。


他にもギャグではありませんが、最初の争奪戦のシーンやトロッコのシーンは勢いがありますし、小さな子どもでも退屈しないで見られる工夫が様々なされていました。やっぱりしんちゃん映画って家族連れが多いじゃないですか。で、子どもの関心を引くには分かりやすさが必要になります。今年の『新婚旅行ハリケーン』はその辺りをしっかりと心得ていた印象です。単純に面白くて楽しかったなぁ。



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見るからに怪しかったけど特に何もなかった人。











※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。





・みさえがヒーローで、ひろしがヒロイン


さて、ここからは映画の内容について語っていきたいと思います。まず、触れておきたいのが今作の構造。今作は女性であるみさえがヒーローの役割を担い、男性であるひろしがヒロインの役割を担っています。今まで多く用いられてきた、「男性=ヒーロー、女性=ヒロイン」という図式とは逆で、おそらくこれはしんちゃん映画の中でも初めてではないでしょうか。『ユメミーワールド』に近いところはありますが。


まあ思うにあれですよ。昨今のポリコレ?ジェンダーロール?に配慮した形ですよ。東大の教授の答辞じゃないですけど、昨今はジェンダーロールが社会問題になっているじゃないですか。男は男らしくあれ、女は女らしくあれっていうヤツです。「らしさ」を説明できる人がどれだけいるのだろう。


で、映画って時代をどう設定しても、今生きてる時代背景が必ず入ってくるものなんです。例えば戦時中なら、戦意高揚のムードが入ってきますし、今は、少なくとも日本では、戦争を是とする時代ではないので、同じことを書いたら間違いなく炎上します。映画は時代を映す鏡なわけです。


ものすごく意地の悪い言い方をするならば、『新婚旅行ハリケーン』で描かれたジェンダーロールの逆転は、「今流行っているから」という枠を出ないもののように思えます。だってなんだかんだ言って子どもの世話をしているのは主にみさえじゃないですか。ジェンダーから解放されたヒーローの活躍を描くにしてもちょっと中途半端だと思います。


もちろん、今作のみさえがかっこいいのは言うまでもありません。トレジャーハンターの純子が「絶対無理」と言ったのを強い気持ちで跳ね返していく様子は見ていて痛快でしたし、思い出したかのような熊本弁も味があった。木に隠れてぶちまけるシーンはこちらも泣きそうになりましたし、部分部分はよかったんですけど、コンセプトのところで少し相容れないかなというのが正直な感想です。




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・テーマ、メッセージについて


この映画の目的は「ひろしを奪還して、平穏な日常を取り戻す」ということです。いわばテーマは「何でもないようなことが幸せだったと思う」というTHE虎舞竜みたいな感じ。もちろん極めて大事なテーマですけど、ぶっちゃけ去年の『カンフーボーイズ』に比べると強度が低いかなと思います。


だって『カンフーボーイズ』の展開は衝撃的だったじゃないですか。正義の暴走という現代社会の歪みを映し出したような展開に、正義の反対はまた別の正義という強いメッセージ。考えさせられる部分があり、一年経った今でもインパクトを残しています。


それに対して、今作の「日常が大事」というテーマは普遍性はあるものの、時代性という面では劣ります。さらに、「宝物は一生をかけて夢中になれるもの」というひろしからのメッセージもやや唐突。私はまだ見つけてないな…とこれまた考えさせられますが、正直インパクトは薄い


ギャグはいいけど、メッセージ性を期待すると、今年はあまりよくないかなと思います。良くも悪くも娯楽方面を強化したのが、今年の『新婚旅行ハリケーン』でした。これは好み分かれると思います。




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・感動の再生産がちょっと…


サクサク行きましょう。『新婚旅行ハリケーン』で私が一番はまらなかったのが、この部分です。もう言っちゃいますけど、今年は『オトナ帝国』を意識してますよね。


だって序盤の回想シーンって、いい感じの音楽が流れて、季節が変わって、家族も変わっていくというシーンで、まさに『オトナ帝国』的です。写真もね、ちょっとあざといですよ。泣かせようとする意図が強い。いや、実際ホロリとは来ましたよ。ただ、心のどこかで認められない自分がいたんですよね。


それは『オトナ帝国』のときの感動を再生産しているからだと感じます。私はひろしのあの回想シーンは何度も見てますし、今思い出しても泣きそうなんですけど、免疫がついちゃったんですよね。なので、またかと思ってイマイチ泣けませんでした。はい、難癖ですね。すみません。もうそろそろ終わりにしましょうか。



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・終わりに


上映後に来年GWにもしんちゃん映画やるよと告知があります。なので席を立たないでほしいのですが、ここで、星座をバックにぶりぶりざえもんが映るんですよ。声優さんが変わってから初めての映画ですし、内容も想像の力をテーマにしていそうで、個人的には好きなテーマです。来年もしんちゃん映画が楽しみです。それまでなんとか生きていたいです。




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以上で感想は終了となります。わりと悪く言いましたけど、それでも今年のしんちゃん映画も一定の水準は備えていますので。笑えますし、ホロリもする家族で楽しめる作品になっていると思います。興味のある方はぜひ観てみてください。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい



こんにちは。これです。

今日は有休を取って松本にまで映画を観に行ってました。今回観た映画は『愛がなんだ』。角田光代さん原作の恋愛小説の映画化です。結論からいうとすごく好みの映画でした。かっこ悪くて最高です。


では、感想を始めたいと思います。拙い文章ですが何卒よろしくお願いいたします。




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ー目次ー

・かっこ悪い側の人間たちの物語
・愛ってなんだ
・ラストシーンについて 
・終わりに




ーあらすじー

猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。

(映画『愛がなんだ』公式サイトより引用)








※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。











 

・かっこ悪い側の人間たちの物語


『愛がなんだ』を一言で要約するなら「かっこ悪い人間たちの恋愛(?)物語」です。基本的にこの映画ってダメな人間ばかり出てくるんですよね。映画の中で守が「世の中を半分に分けたら俺はかっこ悪い側」ということを言っていたんですけど、まさにかっこ悪い側の人間たちの物語でした。

主人公のテルコは、守のことが好きすぎるあまり仕事も手についていませんし、付き合ってもいないのに守と結婚するという「ゾッとするほどバカ」な考えをぶら下げています。

今回、テルコを演じたのは『まんぷく』にも出演した岸井ゆきのさん。はっきりとした目に夢見がちな表情がはまっています。はにかむ笑顔が可愛かった。後半になってキレるのもリアリティあってよかったなぁ。

は守で一応仕事はしているものの、ややちゃらんぽらんな生き方をしています。将来の目標を適当に語り、用があったら電話一本でテルコを呼び出すというダメンズっぷり。にも関わらずテルコを彼女として見ていません。

で、この守を演じた成田凌さんがまたいいんですよね。だらしない出で立ちにちょっと生えた髭がたまりません。テルコに対して冷たくするときの表情にセクシーさを感じました。『チワワちゃん』でもダメ男を演じてましたけど、説得力がありました。


二人の出会いは結婚式のパーティ会場。二人は陽気なパーティに馴染めずに浮いてしまっています。もうこの時点で好感しかないわけですよ。私みたいな隠の者にはキラキラしたリア充の恋愛を見せつけられてもキツいですし、二人の距離が微妙に空いているのもいい演出です。

でも、その微妙な距離を二人は一気に詰めていきます。初対面でいきなり「マモちゃん」「テルちゃん」ですよ。ここの岸井さんの笑顔にやられて、はい、好き。この映画、好きってなりました。

というか岸井さん演じるテルコには好感ばかりで。ご飯はぼっちですし、浮かれて二人用の土鍋とか買っちゃいますし、何より酒を飲んでる時間が長い。特に前半は大体のシーンでビール缶があったんじゃないかな。まぁ酒がこの映画にとって重要な意味を持っていたと思うんですけど、それについては後述するということで。

テルコと守は一緒に過ごす時間が長くなります。予告にもあったお風呂のシーンはバカップルって感じで微笑ましくなりましたし、居酒屋から出てタクシーを待つシーンや歯磨きのシーンは身長差に素直に萌えます。

それをより面白くしていたのが、この映画の撮り方。今泉監督の前作『パンとバスと二度目のハツコイ』を観て思ったのが、「人間を撮ることを志向している監督さんなんだな」ってことなんですけど、『愛がなんだ』でもその方向性は継続されているように感じます。

まず、いきなりテルコのドアップから始まりますし、二人の人物が横並びで映るシーンが多い。これは『パンと〜』でも見られた傾向ですけど、二人の間の距離を映すことで、関係性を表すのが抜群に上手いんです。人間対人間が鮮烈。

ただ、『パンと〜』は人物のアップが多用されていたのに対し、『愛がなんだ』では遠くからのロングショットが多めでした。線香花火のシーンだったり。一旦引いたところから撮ることにより、画面に上手くメリハリをつけて、より人間を映し出すことに成功していた印象を受けます。そのバランスが『愛がなんだ』では絶妙でした。





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・愛ってなんだ


この映画のメインストーリーはテルコと守の恋愛(?)ですが、サイドストーリーとしてあったのはテルコの友達の葉子と、葉子に振り回される仲原の関係です。

葉子は仲原を呼びつけて、仲原はそれを受け入れる。仲原は葉子のことが好きだけど、葉子は仲原のことが好きじゃない。二人の関係は一方的です。仲原は「寂しいときに一番に思い出してくれたら」と願いを語っています。

ここで、葉子を演じた深川麻衣さんは『パンと〜』おは違いキツめな役柄でしたが、あっけらかんと演じていて好印象でした。後半の髪型の方が私は好みです。

そして、仲原を演じた若葉竜也さんはいい意味で頼りなくて、それでも感じのいい好青年。あどけなさや童貞感があって、振り回される役柄にマッチしていました。


この二人は両者とも今のままの関係でいいと考えています。でも、これって依存なんですよ。いつかの『生きてるだけで、愛』の感想にも書きましたけど、愛って依存なんです。相手への「好き」という気持ちに頼りきって盲目になるのが愛なんじゃないかなと個人的には考えていて。で、葉子も仲原も依存しているんですよね。

葉子は世話をしてくれる仲原の「好き」という気持ちに依存していますし、仲原は葉子の世話をしている自分に依存しています。葉子の世話をするのが自分の存在意義とでも言わんばかりの振り回されっぷりでした。

でも、映画が進んでいくうちに、仲原は「葉子のことを好きなのをやめる」と言い出します。これはつまり葉子への依存をやめて独り立ちするっていうことじゃないですか。この映画の終盤に、仲原青や坂本葉子の名前が映し出しされていましたけど、これはただ単にテルコから離れていくだけでなく、依存からも解き放たれていくことも意味してるんだと思います。この演出好きです。



そして察しの通り、葉子と仲原の関係はそのままテルコと守の関係にも適用されます。テルコはめちゃくちゃ尽くしていました。仲原に「私はマモちゃんになりたい」と言うほどのガチの依存っぷりです。守はそれを受け入れもしますが、オカンみたいなテルコの行動に反発もするんですよね。反抗期の息子みたいに。

平行線が続いていた二人の関係ですが、江口のりこさん演じるケバめのすみれの登場で状況は大きく変わります。守は合コンで出会ったすみれのことを好きになってしまうんですね。飲みの後、ラップみたいな口調ですみれを貶すテルコが面白かったなぁ。

物語は進み、スクリーンには黒い画面に白文字で「田中守」と映されます。守がテルコの看病をし返すというシーンなんですが、ここで注目したいのが二人が飲んでいる飲み物。二人は麦茶を飲んでいます。

先程、テルコはめちゃくちゃ酒を飲んでいると書きました。この酒は依存のメタファーのように私には思えます。テルコが酒を飲んでいたのは、守に、そして守の世話をする自分に依存していたとき。それは映画の大部分でした。守が飲んでいたのもテルコの自分への好意のように映ります。

でも、このシーンでは二人は麦茶を飲んでいます。つまり、お互いに依存していないということ。それぞれがそれぞれの道を歩き始めた証のように考えられます。ラストの手前、守のイケメンの友達を紹介してもらうシーンでも、用意はされているものの、テルコは酒を口にしていないですしね。「山田テルコ」と画面に表示されたのも、テルコの依存からの独立を如実に表しています。そして、映画はラストシーンへ向かいます。これがまた印象的なラストシーンでした。




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・ラストシーンについて


ネタバレになりますが、『愛がなんだ』は象のアップからテルコが世話をしているシーンで終わります。最初に見たときには頭に疑問点が浮かぶシーンでしたが、考えてみるとなるほどなと腑に落ちます。


まず、守の未来に象はいないんですよ。守は宮大工→プロ野球選手→象の飼育員と将来像をこまめに変えています。きっと象の飼育員にもなっていないことでしょう。ここで、テルコが象の飼育員になったということは、守の未来にテルコはいないということ。「どうしてだろう、私は未だに田中守ではない」とテルコは言っていましたけど、田中守ではない=依存からの独立という意味で、このラストシーンは物語に合ったものでした。

でも、その一方でこのラストシーンはテルコが守から離れられていないということも表していると思います。人間は人との関わりの間で成り立っている社会的な動物ですし、誰にも依存せずに生きていくことは不可能です。愛もそれと同じで決してなくなることはないのでしょう。

もう言ってしまえば、象=守なわけですよ。動物園の象って飼育員の世話がなければ生きられないですよね。ラストシーンは世話をすることに依存する自分から独立できない、守から独立できないテルコを表していたとも思います。矛盾しているようで人間の本質を突いている終わり方ですね。



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・終わりに


映画の中で守が「世の中を半分に分けたら俺はかっこ悪い側」と言ってましたけど、多分世の中って等分できないんですよ。かっこ悪い側の私から見たら4:6ぐらいでかっこ悪い人の方が多い気がします。自意識の問題で。


で、『愛がなんだ』ってかなり現実に近い映画なんですよ。突飛な展開もないですし、テルコめっちゃ酒飲んでるし、特にセリフは口語的にもかかわらず刺さるものがありました。これはウケる下地は整ってるな、と感じます。


この映画のメインターゲットである、世の中の半分よりも多い(と思いたい)人には、よりリアルに感じると思う。リア充のキラキラした映画に辟易している方には、自信を持ってオススメしたい映画です。




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以上で感想は終了となります。『愛がなんだ』、Homecomigsの主題歌も最高でしたし、個人的にはかなり好きな映画です。ぜひ映画館でご覧ください。


お読みいただきありがとうございました。
 

おしまい


愛がなんだ (角川文庫)
角田 光代
KADOKAWA
2006-02-24



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