Subhuman

ものすごく薄くて、ありえないほど浅いブログ。 Twitter → @Ritalin_203

2019年05月



こんにちは。これです。今回のブログも映画の感想です。


今回観た映画は『小さな恋のうた』。MONGOL800の同名曲にインスピレーションを得た映画です。上映規模もあまり大きくなく、正直観る予定はなかったのですが、評判があまりにもいいので、それに押される形で観に行ってきました。


で、観たところ高評価も納得の名作でした。映画館に私一人しかいなかったんですけど、それが申し訳ないくらい。なんでみんなこの映画観てないの...?もっと盛り上げてよ...!


では、ここから褒めちぎる感想を始めたいと思います。拙い文章ですが、お付き合いいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。




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―目次―

・若手俳優陣の熱演が光る!
・キラキラ感がちゃんとある!
・米軍基地問題を絡めたビターな展開が痛烈!
・日本アカデミー賞を狙えるくらい脚本が素晴らしい!






―あらすじ―

沖縄の小さな町。日本とアメリカ、フェンスで隔てられた二つの「国」が存在する場所。そこでは、ある高校生バンドが熱い人気を集めていた。自作の歌を歌いこなし、観るものを熱狂させるその実力で、東京のレーベルからスカウトを受け、なんとプロデビューが決まる。しかし、喜びの絶頂で盛り上がる彼らに一台の車が突っ込み、バンドは行く先を見失ってしまう。そこに現れた、一曲のデモテープと、米軍基地に住む一人の少女。それらによって、止まった時計の針は前に進み始める。フェンスの向こう側に友の“想い”を届けるため、彼らは再び楽器を手に取り立ち上がる―。

(映画『小さな恋のうた』公式サイトより引用)




映画情報は公式サイトをご覧ください。












・若手俳優陣の熱演が光る!


『小さな恋のうた』は旬の若手俳優陣が共演しています。その誰もが好演していて、物語をより熱く盛り上げていました


主人公の真栄城亮多を演じたのは『ちはやふる―結び―』などの出演作を持つ佐野勇斗さん。明るくムードメーカーな一面も良かったですが、事故に遭ってからの葛藤ぶりが素晴らしかったですね。とくに演出が解けるシーンの狼狽っぷりは一見の価値ありです。喪失を乗り越えてからは佇まいにエネルギーが満ちていてカッコよく、また歌声も直情的で歌の持つメッセージ性をダイレクトに伝えていました。


続いて、ドラムの池原航太郎を演じたのが、こちらも『ちはやふる』シリーズなどでおなじみの森永悠希さん。現実で一番の年長者ということで、優しくバンドを包み込むかのような雰囲気が素敵でした。演技も柔らかく、高めの声も魅力的です。それだけに、亮多に自分の思いをぶつけるシーンは胸に響きましたね。あと、本当に楽しそうにドラムを叩くんですよ。展開が重くなりすぎるのを防いでいた最大の功労者だと思います。




他には、譜久村慎司役の眞栄田郷敦さんは、初めての映画出演とは思えないくらい堂に入っていましたし、新里大輝役の鈴木仁さん(『四月の君、スピカ。』など)は、出番はあまり多くないながらも、クールななかに熱い一面を織り交ぜていて格好よかった。フェンスの向こうの女の子・リサ役のトミコ・クレアさんも爽やかな空気を放っていてグッときましたが、特によかったのが譜久村舞を演じた山田杏奈さんです。


まず、ギターを弾く女の子というだけで100点満点中500点ぐらいはあるんですが、いい子でいるように抑圧されたこの演技がめちゃくちゃ上手いんですよ。家ではほとんど笑っていないですし。でも、その抑圧を跳ねのけるシーンは、唇の震えが印象的で胸に迫ります。あと、『21世紀の女の子』でも思ったんですが、山田さんって力強いがいいんですよね。その目力を存分に発揮するシーンは『小さな恋のうた』の中でも大きなインパクトを与えるので、観ていただきたい。でもって、『ミスミソウ』よりも笑うシーンがちょっとだけ多く、その笑顔がチャーミングでした。あとはホットパンツ姿ですかね。ありがとうございました。




さらに、『小さな恋のうた』では脇を固める大人たち、佐藤貢三さんや清水美沙さんらも、出色の演技をしています。その中でも印象に残ったのが根間敏弘役の世良公則さん。ライブハウス兼スタジオのオーナーという役なんですが、フランクな雰囲気で茶目っ気もある。それでいて、頼もしくてダンディーという大人の魅力を凝縮したようなキャラクターでございました。バンドの3人と同様に映画自体も見守ってくれていたように思えます。端的に言えば最高。


といったように、『小さな恋のうた』は全員が全員抜群の演技をしています。若手俳優中心だからといって、舐めて観ないのは損ですよ。はっきり言います。観てください。




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。








・キラキラ感がちゃんとある!



私が青春映画に求めているものは、大まかに言えば苦労や挫折と、そこからの再起や再生です。リア充のキラキラした青春にはそれほど興味がないんですね。『小さな恋のうた』はまさに再起の物語で、これだけでこの映画を評価しないわけにはいきません。


でも、その話はいったん置いといて。私が青春映画に求めているものには、キラキラ感もあるんですよ。これは矛盾するかもしれません。ただ、現実の青春って苦しいじゃないですか。少なくとも私は楽しい学生生活を送った記憶がないですし。いつも屋上に向かう階段でご飯食べてましたからね。今もそうだけど。なので、映画でまで苦労や挫折ばかりを見させられると参ってしまうんですよ。去年『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を絶賛したのも、中盤の二人がキラキラしていたからですし。そして、『小さな恋のうた』でもこのキラキラ感はしっかりと確保されていました。


まず、『小さな恋のうた』はいきなり演奏シーンから始まります。「DON'T WORRY BE HAPPY」を爽快感たっぷりに演奏して、部室には学生が集まるほどの大人気。ライブさながらの盛り上がりを見せます。バンド「BAD POSITION」に東京のレーベルまで目をつけて、プロにならないかと誘う始末。キラキラと輝く海に向かって「待ってろよー!東京ー!」と叫ぶシーンはまさに青春そのものでした。


ただ、この映画の特徴として事故がかなり早い段階で訪れることがあります。曲が終わって5分もしないうちに早速轢き逃げ。映画は暗い展開へと落ちていきますが、それでも映画でしかできないある演出を使ってキラキラ感を出しているんですよ。歌ができる瞬間やバンドの初ライブの様子などを映し出してくれる事で、青春映画の陽の部分を見せることに成功していました。それに、この演出は後々にガツンと効いてきますからね。その意味でもよかったと思います。




それに、映画でバンドを描くからには、観ている人に「楽器やりたい」「バンドやりたい」と感じさせることが不可欠になると思うんです。去年の『ボヘミアン・ラプソディ』もそうでしたよね。これができなければバンド映画としての存在意義はないとさえ言えます。でも、この点において『小さな恋のうた』はほとんど完璧といっていい出来であると感じました。


なぜかというと、まず一つにアンプから音が出る感動を描いているから。一つに、「BAD POSITION」のメンバーが喪失を乗り越えて、演奏しているのがダイレクトに胸に伝わってくるから。そして、あるワンシーンを除いてライブが大いに盛り上がっているからです。誰もが通る原体験を描いているのはポイントが高いですし、再起に至るまでの過程も存分に描かれている。何より演奏でお客さんが盛り上がらなければ、誰もバンドをしたいと思いません。これらの要素が噛み合って、『小さな恋のうた』は未経験者でも楽器を手に取りたいと思わせることに成功しています。


それに、私は大学時代にちょっとだけバンドサークルに入っていたことがあるんですが、バンドサークルで「小さな恋のうた」が演奏される頻度ってえげつなく高いんですよ。年に一回は必ず誰かがやっていますし、初心者向けの曲として多くの教則本に楽譜が載っているほど、バンドサークルにはなじみ深い曲なんです。初めてコピーした曲が「小さな恋のうた」だったという人もかなりいるのではないでしょうか。なので、原体験と結びついていると言うことができ、かつてバンドサークルに入っていた人や趣味でバンドをやっていた人にはたまらないですね。マジで観てください。




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・米軍基地問題を絡めたビターな展開が痛烈!


ここまでは『小さな恋のうた』のキラキラ感について書いてきましたが、ここからはこの映画のビターな部分について書いていきたいと思います。というかむしろビターな展開の方が多いです。『小さな恋のうた』には。でも、その塩梅がこの映画では絶妙で、キラキラ感とビターな展開は互いに互いを引き立てていて、青春映画の理想形といってもいいぐらいでした。


まず、冒頭で事故があり、ここで慎司は死んでしまいます(ネタバレ)。この死を表す演出が見事なんですよね。慎司を失ったことにより、BAD POSITIONは解散。亮多は歌わなくなります。それでも、舞に慎司のデモテープを聞かされ、航太郎との互いの感情をぶつけ合う喧嘩の末、「慎司の曲を歌えるのは自分しかいない」と再起していきます。そして航太郎と舞と三人で、BAD POSITIONを再結成。学祭に出ることを目指します。この三人の再起が『小さな恋のうた』の大きなテーマで、時間をかけて追っていかれる見どころの一つです。


再起を果たした三人は学祭で、屋上で「小さな恋のうた」を披露。立ち直った3人の姿と、後述する約束と希望を胸に演奏されるこのシーンは最初の感涙ポイントです。思わず泣いてしまいました。でも、「BAD POSITION」はルールを破って演奏しているんですよね。そして、その逸脱行為にしっかりと罰が与えられる。キラキラした後にはビターな展開を用意していて、私が『小さな恋のうた』を好きなポイントの一つです。舞がギターを壊されたりね。




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さらに、『小さな恋のうた』の最大の特徴は、沖縄の米軍基地問題を扱っていることです。あらすじにも「日本とアメリカ、フェンスで隔てられた二つの『国』が存在する場所」という青春映画にはおおよそに合わない一文がありますが、これが『小さな恋のうた』の最大のキーポイントです。社会的な一面が『小さな恋のうた』を単なる青春映画で終わらせない名作にしていました。


沖縄の米軍基地問題が未だ燻ぶっているのは、皆さんご存知かと思います。この映画でも、慎司を轢き逃げした車が米軍所有だったため、米軍人の仕業とみなして、デモ活動が展開されていました。猜疑心だけでデモをする人たち。時折挿入されるデモの様子が痛々しい。憎しみが憎しみを生むという負の連鎖。フェンス1枚で隔てられた両国間の距離は限りなく近くて、果てしなく遠い。何十年も前から繰り返されてきたデモ活動に、人間は分かりえないし、戦争はなくならないという事実を感じます。


慎司は生前、米軍人の娘・リサに会っていました。フェンスで隔てられ、直接触れ合うことはできませんが、慎司はリサに自作曲を聞かせていました。イヤホンのコードはフェンスの隙間を簡単に通り抜けます。イヤホンを片方ずつ分け合うというのは、定番のときめく展開ですが、それが国境をも越えるとなればなおさらです。音楽が国境を越えることを如実に表したこのシーンだけで、『小さな恋のうた』は勝利を掴んでいました




慎司が死んでしまったことを悲しむリサ。言葉が通じないながらも亮多は、学祭で慎司が残した曲を演奏すると約束します。そして、演奏された『小さな恋のうた』。このシーンには3人とリサの約束だけでなく、音楽は国境を越えられるという希望や、人と人は分かり合えるはずだという祈りまでもが乗っかっています。こういうフィクションの希望や祈りに弱い私は、無抵抗でただ涙を流すのみでした。あらゆる障壁を乗り越える音楽の力を激しく感じます


ただ、映画はこれでは終わらず、予告編にもありますがフェンスの前で3人は歌います。リサのためだけに演奏されたこのシーンでは、ある映画的演出がなされていて、曲がバラードであることも合わさって、感涙ポイントの二つ目となっていました。希望や祈りが視覚化されたシーンで、現実はそんなに簡単にいかない、いやいかないからこそ感動するシーンです。




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・日本アカデミー賞を狙えるぐらい脚本が素晴らしい!


『小さな恋のうた』の最大の長所は間違いなく脚本です。この映画では全ての展開が歌のために組み立てられており、その脚本の妙にただただ感嘆しきりでした。


『小さな恋のうた』は二つの物語が軸になっている映画でして。慎司の喪失から立ち直るBAD POSITIONの3人の物語と、米軍基地問題を含んだ、リサとBAD POSITIONの3人に慎司を含めた4人の友情の物語の二つです。前半は前者の物語が展開されるのですが、物語が進んでいくにつれて、後者の展開が色濃くなっていくんですよ。


その代表例が、屋上で演奏される「小さな恋のうた」。ここでは両者の物語が深く交差していて、「ほら、あなたにとって大事な人こそすぐそばにいるよ」の「あなた」とは、「大事な人」とはいったい誰なのか。それは慎司とリサだけではなく、亮多&航太郎と慎司、舞と慎司、亮多&航太郎&舞とリサなどいく通りもの解釈ができる。気づいたら歌が複数の意味を持っていて、とても感動しました。


それに、意味を乗せて歌詞をまた違った印象にするのも上手くて。例えば、米軍基地問題は歌い出しや「やさしい歌は世界を変える」に収斂されていきますし、何よりヤバかったのがBメロ。ここに序盤の演出がガツンと効いてきて、ほかのどの瞬間よりも涙腺を刺激されました。完璧かよ...。


また、その後の2曲も印象的で。映画の内容が歌に寄せているから当然っちゃあ当然なんですが、特に最後の1曲ですよ。ここも直前の展開と映画的演出、歌に入る前の亮多のセリフに感動、がバリバリに効いていて、三つ目の感涙ポイントです。『小さな恋のうた』には少なくても3つの感涙ポイントがあり、人によってそれはもっと増えるでしょう。泣けるシーンが複数ある映画はとても強く、『小さな恋のうた』もそんな強さを感じる映画でした。マジのガチで観てください。


そして観たあかつきには、この脚本を書いた平田研也さんにぜひ盛大な拍手をお願いします。本当に評価されて欲しいし、評価されるべき脚本だと思います。できれば、日本アカデミー賞の脚本賞も受賞してほしいくらい。とにかく素晴らしいの一言です。





映画を観た後だとより感動しますね。凄い。














以上で感想は終了となります。『小さな恋のうた』は名作なのでぜひとも観ていただきたいんですが、明日からは同じ音楽映画の『さよならくちびる』が始まるんですよね...。さらに、定番の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』や、見るからに日本アカデミー賞を取りそうな『長いお別れ』、東野圭吾さん原作の『パラレルワールド・ラブストーリー』など、6月第1週には注目作が目白押しなので、『小さな恋のうた』は上映回数が減ってしまうことが予想されます。


なので観るなら早めに、何なら今日観てください。これほどの名作が盛り上がらないのはおかしいので、ぜひぜひお願いします。


お願いだから観て!!!



お読みいただきありがとうございました。


おしまい


小さな恋のうた (講談社文庫)
平田 研也
講談社
2019-03-15



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こんにちは。これです。最近は暑くて大変ですね。でも、週末は一気に気温が下がるそうで。寒暖差に体調を崩さないよう、共に気をつけましょう。


さて、今回のブログも映画感想です。今回観た映画は『おっさんのケーフェイ』。谷口恒平監督の初長編作品です。おそらくここで初めて名前を知ったという方がほとんどでしょう。だって全国で6館しか上映してないですから。期待以上の良作だったのでもっと話題になって上映館も拡大してほしかったんですけどね...。みんな何してたんですか...。プロレスを全く知らない私でも面白く観れたのに


前置きはここまでにして感想を始めたいと思います。今回も拙い文章ですが、お付き合いいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。





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―目次―

・はじめに
・おっさんと子供のヒューマンドラマ
・嘘が本当になるということ
・虚構が現実に立ち向かうということ






―あらすじ―

大阪府道明市に暮らすヒロト(11)の悩みは、将来の夢や夢中になれるものが何もないこと。学校では、ダンスに打ち込むクラスメイトの輝男(11)からバカにされている。放課後は冴えない友人たちとともに、河川敷で過ごすことが日課になっている。
3人がいる対岸には、酔っぱらいながらプロレスごっこをしている正体不明の中年・坂田(48)がいるが、それも日常の一部。

ある日の放課後。たまたま目についた道頓堀プロレスの試合会場に1人で入っていくヒロト。そこれは、人気レスラー・ダイナマイトウルフの引退試合が行われていた。その試合を見て、ヒロトは今まで感じたことのない興奮を覚える。その帰り道、中学生に絡まれていたヒロトは、たまたま通りかかった坂田にプロレス技で助けられる。坂田が手にマスクを持っていたこともあり、ヒロトはダイナマイトウルフの正体は坂田だと考える。

坂田からプロレスを教わることになったヒロトであったが、友人から「やられるって分かっててなんでロープで跳ね返るん?」と問われ、言い返すことができない。そんな中、ダイナマイトウルフ政界進出のニュースが街を駆け巡る―。プロレスに真実はあるのか?そして、坂田の正体は?

(映画『おっさんのケーフェイ』公式サイトより引用)
 



映画情報は公式サイトをご覧ください。














・はじめに



感想を始めるにあたって、まずは『おっさんのケーフェイ』の予告編をご覧ください。個人的に今年観た中で一番好きな予告編です。






私がこの映画を知ったのは3月のことです。いつものように長野相生座ロキシーの上映案内を見ていると、今後の上映予定にこの映画がありました。軽い思いでクリックしてみたら、飛び込んできたのは「おっさんの嘘が子供たちをガチにする...!?」という文字。ここで観ることを即決しました。嘘が本当になるなんてとても熱い展開じゃないですか。面白いに決まってます。


さらに、上の予告編にバーンと表れる「本物vs偽者」。はい、面白い。偽者が本物に挑む展開大好物なんですよ。勝てないと分かっていて立ち向かうのめっちゃ熱くないですか。他にも「一緒にダイナマイトウルフ取り戻そうや」や「攻撃されるって分かってて何でロープで跳ね返るん?」などキラーフレーズの数々。少しネタバレしすぎだろうとも思いましたが、期待値は上昇していく一方です。


そして、観たところ期待にそぐわぬ熱い映画でした。最後の方は思わず涙がこぼれてしまうほどの感動。去年の『パパはわるものチャンピオン』もそうでしたが、プロレスと映画の相性は最高ですね




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。










・おっさんと子供のヒューマンドラマ


『おっさんのケーフェイ』の何が熱いかって、嘘が本当になっていくことです。この映画の主人公ヒロトは何もない小学生。道徳の時間?で特技を発表しあいましょうと紙を配られても何も書けずにいます。ヒロトの二人の友達も心から特技だと誇れるものはない様子でした。彼らを演じた子役の演技が『おっさんのケーフェイ』では良かったですね。


3人ともその辺にいる小学生って感じで、演技と素の部分がちょうどいいバランスで混じっているんですよ。ヒロト役の松田優佑さんは演技要素多めで堂々としていましたし、後の2人は棒読みっぽく感じたところもあったんですけど、それが逆に良かったと思います。実況の子が好みですね。


3人がだべっている河川敷。3人の向こうで練習をしているのが、怪しい中年・坂田です。演じているのは『菊とギロチン』や『anone』などの出演作がある川瀬陽太さん。安心と信頼の川瀬さんはこの映画でも、ぶっきらぼうなようで弱みもある坂田を好演していました。最初は怖いなと思ったんですけど、映画が進むにつれてどんどん応援したくなるんですよ。この映画が成功したのも川瀬さんの安定感のある演技によるもので、『おっさんのケーフェイ』が川瀬さんの代表作になればいいなと感じます。




ある日、ヒロトはひょんなことからプロレスを観に行きます。そこで活躍していたのが覆面レスラー、ダイナマイトウルフ。ここのプロレスシーンは、現プロレスラーの赤城さんが演じていたとだけあって臨場感があります。さらに輪をかけて最高なのが、このシーンで流れるテーマ曲です。チッツの「メタルディスコ」という曲なんですが、これが80年代感あっていい。


これはローカルな話になるんですけど、長野にアメリカンドラッグというドラッグストアがあって、そのCMに信州プロレスが起用されているんですが、そのCM曲と雰囲気が全く一緒なんですよ。なので、長野県民にとってはよりなじみ深く観れる、かもしれないです。


プロレスに魅了されるヒロト。本屋でプロレス雑誌を買いますが、近くの中学生に馬鹿にされてしまいます。それを助けたのが坂田。坂田はダイナマイトウルフのマスクを持っていました。ヒロトは坂田をダイナマイトウルフだと考え、プロレスを教えてもらうよう頼みます


ただ、プロレスは一人ではできません。ヒロトは友達2人を誘って坂田からプロレスを教わります。「メタルディスコ」が流れる練習シーンはギャグもあって、とても愉快なものでした。『おっさんのケーフェイ』はこの3人の小学生と坂田との交流が物語の主軸に置かれている点が特徴的ですね。ヒューマンドラマのような映画でした。




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・嘘が本当になるということ



繰り返しになりますが、『おっさんのケーフェイ』を語る上で大きなキーワードとなっていたのが「」と「本当」です。先程、プロレスと映画の相性は最高だと述べました。それは、プロレスと映画が「虚構」という点で一致しているからです。


ドキュメンタリー映画を除いて、映画は言うに及ばず台本がありますよね。また、プロレスにも台本とは言わないまでも、ベビーフェイスがヒールを倒すというストーリーはあるかと思われます。現実は筋書きのないドラマであり、筋書きのある映画やプロレスは「虚構」ということができるかと。


また、この映画のタイトルにもなっている「ケーフェイ」という言葉。Wikipediaによると、これはプロレスの演出、演技を示す隠語だそうです。演出、演技があるということは、もはや映画などと同じフィクションに近い、もしくはそれに準ずるものです。架空の設定を用いたプロレスはショーに近く、ファンもそのことを知って観に行っているかと、私は考えます。


これらのことから、私はこの映画の「プロレス」を「映画」に置き換えて観ていました。映画の中盤で、ダイナマイト・ウルフが本名の森田信司名義で市議会選挙に出馬します。テレビで森田がマスクを取るところを見て、坂田が本物のダイナマイト・ウルフでないことを悟るヒロト。坂田は嘘つきで、プロレスの、映画の嘘が音を立てて崩れて行くシーンでした。


でも、ヒロトの中では坂田のついた「プロレス」という嘘が本物になっているんですよ。ヒロトは特技として空気人形相手にプロレスを披露し、また、2人の友達と共にプロレスを繰り広げます。嘘が本当になったシーンであり、予告編にもある3人が拳を合わせるシーンは泣きそうになりました。




これはあくまで個人的な話なんですけど、どうして私が映画を観るかっていうと「嘘が本当になる」「嘘がリアルを超える」ところが見たいからなんですよね。映画の嘘が物語によって説得力を増していき、ついには本当以上になっていく。その瞬間に得られる感動はやみつきになるほど魅力的です。代表例を挙げるとすれば『ライフ・イズ・ビューティフル』でしょうか。これも映画の嘘がリアルを超えた瞬間が刻まれている映画です。


でもって、ヒロトがプロレスを披露したり、3人が拳を合わせるシーンは、まさに嘘が本当になった瞬間なんですよ。プロレス、映画と言う虚構が現実になった。これが感動しないわけがないでしょう。


さらに、感動するのが子供たちの「本当」が坂田の「嘘」を「本当」にしていくこと。ヒロトは坂田の正体を知り、家に帰ってきた坂田に「一緒にダイナマイト・ウルフ取り戻そうや」と励ます。ヒロトの中で「嘘」が「本当」になり、今度は意趣返しで坂田の「嘘」を「本当」にする。この映画において坂田は「嘘」の権化。つまりはプロレス、映画という虚構そのものなんです。この映画を観るのはプロレス、もしくは映画が好きな人が大半だと思うので、そういった人たちは好きの対象であるプロレス、映画=坂田に愛着を持って観ることでしょう。『おっさんのケーフェイ』は坂田に感情移入しやすい構造になっていて、坂田の再起がより心に響きます。



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・虚構が現実に立ち向かうということ


そして、映画は最終幕。坂田vs森田のプロレスを迎えます。この映画での森田は、虚構から脱した現実そのもの。「リングの上でいくら頑張っても世の中は変えられん」といって市議会議員になった森田のセリフは、リングの上→スクリーンの中と言い換えられ、フィクションである映画を否定されているようで悲しくなりました。この現実の象徴である森田に、私達が愛する虚構である坂田が立ち向かうんですよ。弱者が強者に立ち向かうという構図もあり、「メタルディスコ」が流れて坂田が登場した瞬間は、この映画の一番の盛り上がりで、気づいたら頬を涙が伝っていました。


まあ結果を言ってしまうとこの勝負は森田の圧勝で終わります。だって、10年間のブランクがある坂田が先日プロレスを辞めたばかりの森田に勝てるわけがないじゃないですか。そしてこれは、虚構は現実には勝てないということを表しているかと思います。所詮、私達は現実でしか生きていくことができない存在。虚構が現実を超えるなんてことはありません。


さらに、あえて言えばプロレスも映画も生きていく上では必須ではないじゃないですか。ヒロトの父親が「嘘をつくな」と言っていたように、プロレスや映画と言った虚構はなくても生きていくことはできます。ヒロトの先生が「プロレスなんかよりもっと他に特技があるはず」と言っていたのも、虚構が軽んじられている証拠です。これらは間違っておらず、むしろ正しいのが厄介なところです。


でも、聞きたいんですが、あなたの趣味は生きていく上で必須のものですか?衣食住に直接的に結びつかない趣味なんて時間の無駄じゃないですか?


きっと多くの方が「違う」と答えるはずです。生きていく上で無駄であるこれらの趣味がなければ、人生は潤いを失い、干からびた生活を送ることでしょう。私達の生活を豊かにしてくれるのは趣味なんですよ。『おっさんのケーフェイ』で描かれたのは、こういった趣味、とくにプロレスや映画と言った虚構の抵抗です。どうしようもなく苦しい現実に立ち向かうために、趣味や虚構が必要なんです。だから、『おっさんのケーフェイ』はプロレス好きはもちろん、映画好きはおろか、趣味を持つ全ての方に観てもらいたい映画です。




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以上で感想は終了となります。映画『おっさんのケーフェイ』。もう長野相生座ロキシーでしか上映しておらず、その上映も5月31日で終了。でも大丈夫。7月3日にDVDが発売されるので、見逃したというそちらをご覧ください。一人でも多くの方に観ていただきたい良作です。オススメですよ。


お読みいただきありがとうございました。




参考:

映画『おっさんのケーフェイ』公式サイト
https://www.ossan-movie.com/

ケーフェイ(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ケーフェイ


おしまい


おっさんのケーフェイ [DVD]
川瀬陽太
インターフィルム
2019-07-03



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先々週の長野県予選決勝に勝利し、天皇杯本戦出場を決めたAC長野パルセイロ。直近のリーグ戦でも勝利し、公式戦3連勝と調子は上向きつつあります。そして、迎えた天皇杯本戦。パルセイロの1回戦の相手は新潟医療福祉大学サッカー部(以下、新福大)です。


新福大とは去年も対戦しており、その際はパルセイロが3-2で勝利
。とは言っても先制して、逆転して、追いつかれて最後のところで突き放してという苦しい試合展開でした。昨年と同じ顔合わせで、リベンジを狙う新福大相手にパルセイロはどう戦ったのでしょうか。


それでは、観戦記を始めたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。











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長野駅からしなの鉄道と小海線を乗り継いで約2時間。11時頃に会場である佐久総合運動公園陸上競技場の最寄り駅、中込駅に到着しました。かつてよく通った中込駅。3年ぶりにもかかわらずさほど変わっていなくて、懐かしさがこみ上げてきます。ちょうど駅前を『北斗の拳』のラッピングバスが走っていたのが新鮮でした。原作者の武論尊先生は佐久市出身です。


さて、J3開催時には佐久陸までシャトルバスが出ていましたが、今回はありません。なので徒歩で行くしかなく、スマートフォンのナビを頼りにてくてく歩きます。5月とは思えない暑さの中、バイパスの階段の昇降が大変でした。道中に新しくファミリーマートができていましたね。


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中込駅から暑い暑いとのたまいながら歩くこと20分。入り待ちのチャントが聞こえる中、11時20分頃に佐久陸に到着しました。Uスタができた後もレディースの試合で来たことはありますが、それがいつかはもう忘れたほど久しぶりです。反対側には新たに野球場ができていて、大音量で校歌が流れていました。


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外にはパルセイロのグッズショップが出張していたり、


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飲食店も2店出店していました。後で寄ることにして、まずはメインスタンドに入場です。


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青いトラックにポツンと浮かぶピッチに懐かしさを覚えますが、とにかく暑い。佐久陸は屋根がメインスタンドの一部しかなく、日陰部分の席も既に埋まっていたため、直射日光を浴びながら見るしかありません。全面が屋根に覆われているUスタの有難みを改めて感じます。


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入場時に貰ったリーフレット。その裏はトーナメント表になっていました。パルセイロのところが赤く囲まれています。


今日は解放されているのはメインスタンドのみかと思っていましたが、実際入ってみるとゴール裏の芝生席にもパルセイロサポータがいました。なので、こちらもゴール裏に移動です。


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ゴール裏へ向かう通路から見たピッチレベルでの佐久陸。選手目線が新鮮です。


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選手がストレッチをしているのも簡単に見ることができました。


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昼食はコンビニでパンを買って食べていたのですが、なんか足りなかったので、外の売店で焼きそばを購入していただきました。オーソドックスなものもたまには食べたいなと思ったので。味は普通でした。


それと、この日は入り口近くの自動販売機が使えなかったんですよね。このファッキン暑い日には大打撃です。なので、飲み物は売店で買うしかありませんでした。ソフトドリンクは200円です。2回ほどお世話になりました。


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オーバーヒートしそうなスマートフォンで、ツイッターを見て時間を潰すこと十数分。芝生席もじんわり暑いので脇汗はダラダラ。少し辛くなってきた12時10分頃。ピッチ内アップが開始されました。


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後述しますが、この日のパルセイロはリーグ戦とほとんど変わらないメンバー。天皇杯も大事な大会。落とすことはできないというチームの意気込みを感じます。


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では、ここで両チームのスタメンです。




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パルセイロは先週のリーグ戦からメンバーを一人変更。#21立川選手が加入後初のスタメンを飾りました。フォーメーションは3-4-2-1です。


一方の新福大は4-4-2。去年の試合を経験したメンバーも4人残っています。アルビレックス新潟への加入が内定している#9矢本選手に注目が集まりますが、#11佐々木選手も去年の試合でゴールを決めており、他にも力のあるメンバーが揃っています。
















12時55分。選手入場に合わせて写真を撮るためにメインスタンドに移動です。


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この日のパルセイロサポーター。J3の時とは逆のスタンドに位置どっています。人数にして100人くらいでしょうか。


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逆側のゴール裏には分かりにくいですが、新福大の幟と弾幕が掲げられています。新福大の部員もこの日は佐久陸に来ていましたが、メインスタンドで観ていて、特に応援とかはしていませんでした。


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選手入場が始まる少し前だったんですけど、ベンチ外の選手が普通にスタンドを歩いてチーム関係者席に向かっていたんですよね。#6岩沼選手#7妹尾選手らが。素朴だなって思います。



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ゴール裏に戻っている最中に前半キックオフ!


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前半立ち上がりは新福大がボールを握ります。新福大はビルドアップの際にSBが開くことが多く、パルセイロはシステムのかみ合わせ上、どうしてもSBを抑えきれない状況になっていました。新福大はSBにボールが入った時に、FWが動きだしたり、ボランチが寄っていったりとボールを引き出す動きができています。パルセイロの高めのディフェンスラインの裏を狙うボールを前半は多く使っていました。ペナルティエリアに侵入する回数もシュートも新福大の方が前半は多かったです。


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一方のパルセイロはディフェンスラインでボールを回しこそしますが、なかなか前線に繋げられません。#29山田選手が落ちて打開しようとしますが、かえって中盤が空いてしまっています。また、熱さからか前線の動き出しも少なく、新福大のSHがしっかりとパルセイロのWBを見ていたため、サイドからの展開もあまり上手くいきません。新福大のSBの裏にボールを出そうとしますが、合わないシーンが続きます。


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前半中盤には、今シーズン初の飲水タイムも取られました。


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また、新福大は陣形をコンパクトに保っていて、セカンドボールを拾う機会も多かったように感じます。ルーズボールの競り合いでもパルセイロは後手に回っていて、それが試合を難しくしていた印象を受けました。


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前半は新福大に押し込まれながらも、パルセイロは終盤チャンスを迎えますが、決めきれず0-0のまま前半は終了。前半の途中から空には雲が出てきて、太陽を隠してくれて涼しくなってきていたので、運動量を増やしてゴールを奪うことが期待されますね。


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後半開始に当たって、新福大は選手を一人交代。#7東城選手に替えて#5吉岡選手を投入します。一方のパルセイロには選手交代はなく、後半キックオフ!


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後半からパルセイロはシステムを少し変更してきました。#27竹下選手#19三上選手の2トップにし、その下に#14東選手#29山田選手が2シャドーで控える3-3-2-2のような陣形です。この陣形には中盤を2人から3人にして、相手の2人とギャップを作ることや、新福大のビルドアップの際にシャドーにSBを見させるという役割をはっきりさせ、SBからのボール出しを封じようとする狙いがあったでしょうか。


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ただ、フォーメーション変更の効果は薄く、新福大に攻められるという展開は前半と変わりません。そこで横山監督は後半13分には#27竹下選手に替えて#23大城選手を、後半21分には#25有永選手に替えて#8堂安選手を投入して、自ら試合を動かそうとしてきていました。このあたりから流れはパルセイロに傾き始め、後半19分には#29山田選手が今戦からゴールに押し込みますが、これはオフサイドの判定を取られてしまいました。


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新福大も後半25分に#22有田選手に替えて#28オナイウ選手を投入するなど動きますが、後半30分あたりから先に足が止まり始めます。プレスが遅くなり、パルセイロがボールを持てるようになります。パルセイロは敵陣中央ほどまで侵入することができるようになり、パスが短くなった分、FWがサイドの裏を狙う攻撃も成功するようになっていきます。ただ、新福大の選手がシュートコースを確実に塞いできていたため、パルセイロはなかなかシュートにまでつなげることはできません。


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それでも後半38分。パルセイロは右サイドを突破し、クロスが入ります。これは流れてしまいますが、#18内田選手が左サイドで相手からボールを奪い、再びクロス。これに#19三上選手が合わせて、パルセイロは待望の先制点を挙げました。前半は負けがちだったデュエルに勝てたことで生まれた得点ですね。


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それからは、パルセイロのディフェンスラインが下がり新福大に攻められる時間が長くなりますが、セットプレーも#21立川選手を中心に守ります。後半42分に#14東選手に替えて、#9津田選手を投入し、後半アディショナルタイム3分もコーナーフラッグ付近で上手く時間を使い、試合終了。パルセイロが苦戦しながらも1-0で勝利し、天皇杯2回戦へと駒を勧めました。


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選手たちは喜びつつもやや厳しい表情です。


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この日のシャナナの時には#21立川選手#30浦上選手が前に出てきていました。#30浦上選手は見かけによらずノリがいいタイプなんでしょうか。


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さらに試合後には去年と同様、新福大の選手たちが挨拶に来てくれました。


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負けはしましたが、パルセイロにも引けを取らない戦いをしていました。来年はパルセイロ以外と当たって1回戦突破をしてほしいです。


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スタジアムを出て帰ろうとすると、ベンチ外の選手がその辺を普通に歩いていましたね。サポーターとも話していました。チーム全員でこれからも勝利を積み重ねていってほしいところです。


お疲れ様でした!

















公式記録(JFA)

監督コメント(Jリーグ公式)

選手コメント(Jリーグ公式)

天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権 1回戦 vs 新潟医療福祉大学(長野公式)














天皇杯1回戦を突破したパルセイロ。2回戦はJ1の清水エスパルスと初対戦です。IAIスタジアム日本平で、7月3日(水)の19:00~という時間帯ですが可能な方は応援をよろしくお願いします。


そして、その前にJ3もあります。パルセイロの次戦は6月2日(日)14:00~。ホームの長野Uスタジアムでカターレ富山を迎え撃ちます。富山はここまで3勝5分1敗の勝ち点14で6位につけており、パルセイロとしては勝って順位を入れ替えたいところです。ぜひ長野Uスタジアムにお越しいただいて、一緒にリーグ戦3連勝の瞬間を見届けましょう。


頑張れ!AC長野パルセイロ!!


おしまい





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こんにちは。これです。最近は一気に暑くなって、真夏日になる地域も増えてきましたね。今がこれだと夏はどれだけ熱くなるんでしょうか。心配です。


さて、熱いのは映画も同じ。とくにこの夏にかけてはアニメーション映画が激アツで、『天気の子』や『トイ・ストーリー4』をはじめ、『海獣の子供』、『きみと、波にのれたら』、『ミュウツーの逆襲-evolution-』、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 など注目作が目白押しです。その中で今回私が観たのはその先陣を切る映画『プロメア』です。


正直観るかどうかは迷っていて、今回観たのも金曜日に見ようと思っていた映画がちょうどいい時間にやらないからとか、舞台挨拶の中継もあるしせっかくだからぐらいの理由でした。しかし、これが大当たり。今年観た映画の中ではベスト5には確実に食い込んでくるような大大大好きな映画でした。マジ、みんなも観た方がいいよっていう気持ちです。


では、感想をどうぞ。前半ネタバレなし、後半ネタバレありです。




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―目次―

・はじめに
・キャストが最高!
・冒頭から素晴らしい!
・簡単にストーリーについて
・唯一の不満点について





―あらすじ―

世界大炎上

世界の半分が焼失したその未曾有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉だった。あれから30年、〈バーニッシュ〉の一部攻撃的な面々は〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。〈マッドバーニッシュ〉が引き起こす火災を鎮火すべく、自治共和国プロメポリスの司政官クレイ・フォーサイトは、対バーニッシュ用の高機能救命消防隊〈バーニングレスキュー〉を結成した。高層ビルの大火災の中、燃える火消し魂を持つ新人隊員ガロ・ティモスは、〈マッドバーニッシュ〉のリーダーで、指名手配中の炎上テロリスト、リオ・フォーティアと出会い、激しくぶつかり合う。リオを捕らえることに成功し、クレイからその功績を認められ、――ガロにとってクレイは幼き頃、命を救ってくれた恩人で憧れのヒーロー――誇らしげに喜ぶガロであった。

しかし、リオは〈マッドバーニッシュ〉の幹部であるゲーラ、メイスと共に捕らえられていた〈バーニッシュ〉を引き連れて脱走する。後を追ったガロが彼らのアジトにたどり着くも、そこで目にしたものは、懸命に生きる〈バーニッシュ〉たちの姿であった。そして、リオから〈バーニッシュ〉をめぐる衝撃の真実を告げられることに。


何が正しいのか――。


そんな折、ガロたちは地球規模で進められている"ある計画"の存在を知ることになる――

(映画『プロメア』公式サイトより引用)





映画情報は公式サイトをご覧ください。

















・はじめに


今回、『プロメア』の監督を務めたのは、『天元突破グレンラガン』、『キルラキル』などで知られる今石洋之さんです。また、上記二本の脚本は中島かずきさん。どちらもアニメファンには人気のある作品ですが、私は両方とも見たことがないんですよね。中島かずきさん脚本の作品も『ロボとーちゃん』しか見ていないと思います。さらに、『キルラキル』を製作したTRIGGERのアニメも見たことがないですし、ていうか普段TVアニメ全然見ない人間なんです。私は。


だから、観る前には不安もあったんですよね。「『グレンラガン』も『キルラキル』も見てないけど、大丈夫なんだろうか」って。でも、「『グレンラガン』も『キルラキル』も見ていない人間が、『プロメア』を観ちゃいけないなんて誰が決めた!?」「普段TVアニメを見ない人間にも訴求できるのがアニメ映画の良さじゃろがい!!」と開き直って観に行きました。劇場内では「ここにはいわゆるアニメファンしかいないんだろうな」と心寂しかったです。3割ぐらいしか入ってなかったけど。
 

前夜祭ということで舞台挨拶の中継を経て、いざ映画が始まると、感じていた私の愚かな不安はいずこかに吹き飛んでしまいました。熱い!とにかく熱い!終始テンションの高いアクションでぶん殴ってくる!キャラクターもガロを筆頭にみんな熱いですし、後半にかけての熱量は半端じゃない!普段アニメ見ないですけど、本当に観てよかったと思いました。この選択は大正解ですよ。今石監督がどうとかで怯まなくてよかったー。


では、ここから感想の本編を始めていきたいと思います。ただ、上にも書いてある通り、今石監督の作家性がーとか、中島かずきさんの脚本の妙がーとか、TRIGGERらしさがーとかいう感想は全くできないので、そういったものを期待している方には、まず最初に謝っておきます。ごめんなさい。あくまでも普段アニメを見ない人間の感想だと思って、読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。




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・キャストが最高!


最初に、舞台挨拶での佐倉綾音さんの言葉を借りますが、昨今の映画界では、プロの声優ではない俳優の声優や吹替が賛否両論を巻き起こしています。最近でも某アメコミ映画や某シリーズ映画が吹替で、(悪い意味で)話題になりましたよね。俳優声優は浮いてしまう作品があるのも事実ですが、ただ『プロメア』ではメインの声優に俳優を起用したことが、完全にハマっていて大きな効果を上げていると感じました。


まず、主人公のガロディモスを演じたのは松山ケンイチさんです。私は舞台も全然見ませんし、松山さんには(主に『DEATH NOTE』で)クールなイメージが個人的にはあります。でも、熱い熱いガロを見事に演じ切っていましたし、あんなに熱い声が出せることにビックリしました。ワイルドな声質が抜群にいいですし、見得を切るのもかなりキマってました。テスト段階から声を枯らすぐらいの熱量がバッチリ表れていて、この映画を熱く保ってくれていましたね。


次に、ガロと対立するリオ・フォーティアを演じたのが早乙女太一さんです。リオは可愛げのある造形で、舞台挨拶での早乙女さんの爽やかな印象もあり、結構高い声を想像していたんですよね。それがどうでしょう。低くて凛凛しい声ではありませんか。マッドバーニッシュのリーダーであることも頷けるカリスマ性を放っていました。事前のイメージとのギャップで、やだ...カッコいい...ってなりました。中盤のブチギレるところも良かったですし、この映画の個人的MVPです。


そして、映画の舞台プロメポリスの司政官であるクレイ・フォーサイトを演じたのは堺雅人さんです。前半は笑ってしまうほどそのまんまの堺雅人さんなんですが、後半になってからの変貌ぶりよ。まあ全員「コイツ怪しいな」って感じると思いますし、実際にそうなんですけど、本性を現してからのブチギレっぷりが素晴らしい。それまでの穏やかな演技とはまるで別人でしたね。松山さんや早乙女さんと呼応するようにぶちまける後半はぜひ観てほしいです。


繰り返しになりますが、今回のメインを務めた3人はいずれも素晴らしい演技でした。佐倉さんが言っていたように、「これを非と言う人はいないんじゃないか」レベルの熱演。3人のファンの方にはぜひ観て確かめてもらいたい作品です。


また、忘れてはならないのが佐倉さんをはじめとするプロの声優さんたちも全員が全員最高だったということ。全員が超好演していたんですけど、その中でも私がビビっときたのがルチア・フェックスを演じた新谷真弓さんです。バーニングレスキューのメカニックという役柄なんですが、少し濁声で鼻に詰まるあの感じ。ハル子だ!『フリクリ』のハルハラ・ハル子だ!と感じて嬉しくなりました。『フリクリ/オルタナ』でもこれくらいやってほしかった。セリフも結構多かったですし、最高です。




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・冒頭から素晴らしい!



『プロメア』は30年前、バーニッシュが出現したところから幕を開けます。ここの概念的なアニメーションもよかったのですが、タイトルが出てからの火事を消火するシーン、バーニングレスキューの顔見せシーンがとにかく素晴らしいんですよね。


まず、ゴリゴリにガジェットを搭載した車やヘリを見るだけでワクワクしますし、消火スーツの変形シーンはスピーディーで楽しい。隊員たちのレスキューの手際の良さには惚れ惚れします。ここキャラクターの名前がアルファベットとカタカナの赤文字でバーンと出て分かりやすかった。この文字が映像で残っていたシーンはメタ的で笑ってしまいました。


隊員たちの活躍を見せておいて、満を持して主人公ガロが登場します。そこに姿を現すマッドバーニッシュ。シャープな黒いガジェットに身を包み、バイクを猛烈な勢いで走らせる。ああ恍惚。ガロは見得を切って纏のような武器を使って、幹部の二人を拘束します。そして、リーダーのリオとの戦闘へ。その最中、マスクが一部破れ顔を表したのは美少年。定番ですけどときめくシーンです。追い詰められてからの隊員同士の連携という理想的な展開で、リオも拘束。ここはマッドバーニッシュの顔見せだけでいったん逃げられるんだろうなと思っていたので、いきなりの確保には驚きました。超スピーディ。




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この一連のシーンだけで、『プロメア』のアニメーションの魅力は詰まっていると感じます。まず、カメラワークが頻繁に切り替わるんですよね。視点が上下左右に動かされ、臨場感たっぷりです。今石監督は舞台挨拶で「普通のアニメーションの3倍、4倍、5倍手間がかかった」と語っていましたが、それも納得できる演出です。これ大変だったんだろうなぁ。カットが頻繁に切り替わると、背景とかもいちいち書き直さないといけないし。他にもゴツゴツしたガシェットやロボなんかも頻繁に出てきて、死にそうになりながらやっとたんやろうなぁ、と感じました。


また、今回『プロメア』を観て感じたのが、背景が平面的だということです。ビルとかかなりのっぺりとしていましたし、モブも立体感はあまり感じられませんでした。個人的にはこれはあえてやっていると感じましたね。歌舞伎などでも舞台の背景は絵じゃないですか。背景をあえて平面的にし、メインキャラクターを立体的に描くことで、これは活劇だということを印象付けていたように感じます。わざと非現実的にしているというか。これも手間かかったんだろうなぁ。だって最初に普通に立体的に描いておいて、削るわけでしょう。影とか。よく分かんないですけど。


でも、この平面的な絵とギャップになっているシーンがありまして。それが、ガロがバーニッシュのアジトに忍び込むシーンです。ここの洞窟の岩肌の描き込みは半端じゃなかったんですけど、何より火を取り囲むバーニッシュの姿が今までで一番立体的。リアリティを醸成し、リオの「バーニッシュだって人間なんだ」というセリフを補強していて、とてもグッとくるシーンでした。




さらに、色遣いにも特徴が見られます。『プロメア』で使われている色は原色が多く、とてもポップ。ただ、その特徴は完全な原色ではなく、白を混ぜているということにあると思います。バーニッシュの炎とかね。これのの利点については、まず単純に目に優しく疲れないということが挙げられるかと。いや、疲れるんですよ。熱い展開を豊富なアクションで畳みかけてきて。でも、その疲労を少しでも軽減しようと淡い配色に気を使っていた感じを、私は『プロメア』から受けました。爽やかさもあって色彩設計の方?はナイスですね。


それに、『プロメア』は音楽も素晴らしいんですよ。耳に覚えのある洋楽が中心で、洒脱で軽快。テンポよく映画に入る手助けをしていました。あとはSuperflyさんの主題歌2曲も良かった。まず、「覚醒」という曲が中盤で挿入されるんですが、これが物凄く効いてる。今石監督はこの「覚醒」について「曲が想像以上に『プロメア』の内容に即していたから流すシーンを変えた」と言っていましたが、これ以上は考えられないベストな場面で流れたので、思わず鳥肌が立ってしまいました。


一方、Superflyさんのもう一曲「氷に閉じこめて」。こちらはエンドロールで流れるのですが、意外にも穏やかな曲調でした。最初は少し違和感があったのですが、考えてみるとこの曲は「消火」の役割を果たしていると感じるんですよね。熱く燃えた炎を冷まして消火する。まあ冷めてないですけど、ガロの存在理由でもあり、『プロメア』のテーマの一つを汲んでいて、とても映画に合った選曲だと感じました。なので、『プロメア』を見る際にはその音楽にも注目していただけるとより面白くなると思います。ぜひ。




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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。










・簡単にストーリーについて


『プロメア』において、バーニッシュは30年前の大炎上を引き起こした存在として、厳しく取り締まられています。捕らえられ収容所に入れられていました。バーニッシュを匿うことですら罪になるという徹底ぶりです。


これは誰もが感じることだと思うんですけど、これって人種問題をそのまま表していますよね。アメリカの黒人差別のごとく。大戦中の捕虜のごとく。彼らのようにバーニッシュは酷く迫害されていました。カフェでのシーンが印象的です。バーニッシュが作ったピザを美味しい美味しい言って食べていたモブが、バーニッシュが作っていたと分かった瞬間捨てるんですよ。こんなの差別以外の何物でもないじゃないですか。そういった人種差別の問題を下敷きにしているのかなというのは観ていて強く感じました。


でも、バーニッシュも黒人や捕虜と同様に、懸命に生きているんですよね。ご飯だって食べるし、仲間が死んだときには悲しむし。前述しましたけど「バーニッシュだって人間なんだ」というリオの呟きがとても悲しいものに聞こえて、切なくなりました。


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ガロはそこでリオから、クレイがバーニッシュを使って人体実験をしていることを知らされます。クレイのもとを訪ねるガロ。クレイは地下にガロを案内します。そこでガロが見たのはこのままだと半年後には地中のマグマが噴き出して地球は死の星になるということ。それを見越してクレイは選ばれた1万人を宇宙船で地球によく似た4光年先の星に移住させる準備をしています。SFだとたまにある設定ですね。具体例は挙げられないですけど、定番ともいえる設定にときめきます。


ただ、その星に行くにはワープをしなければならず、そのエネルギー源はバーニッシュが発する炎でした。先程のカフェのバーニッシュが実験に使われ、灰になるところを見たガロはクレイに問いかけます。なんとか止めさせられないのかと。難しい問題ですね。人類の大義のためなら一部の犠牲は許されるのか。簡単に解決できる問題ではなく、この重厚なドラマも『プロメア』の魅力の一つです。『プロメア』はアクションだけじゃないんです。


まあ当然クレイの考えは変わらず、ガロは殴り倒されます。クレイはガロを収容するように伝え、科学者のエリス・アルデビットに研究を続けるよう命じます。このエリスはバーニングレスキューのアイナ・アルデビットの姉でして。この姉妹のドラマも『プロメア』で注目してほしいポイントの一つです。




そこからはもう怒涛の展開巨大ロボvs巨大ロボの戦いがあったり、宇宙規模にまで発展したりします。男の子ってこういうの好きなんでしょの詰め合わせ。冒頭に使用した武器や展開を終盤で再び使う展開は、嫌いな人いるの?というレベルでツボを押さえてきます。個人的にはクレイの技名がいちいちツボにはまってダメでしたね。真顔で開墾ビームとか言っちゃうんですよ。他にも邪王炎殺黒龍波みたいな技もありました。中二かよ。


それに、クレイの「地球を救うには犠牲が必要なんだ」という主張に対して、ガロたちが辿り着いた答えが超好きで。詳しくはネタバレになるので言えないんですけど、熱さが最高潮になるんですよ。とてもガロたちらしい答えで、観ているこちらも燃え上がりました。この熱はぜひとも映画館で体験してみてください。




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・唯一の不満点について


基本的には『プロメア』は本当に最高でして、不満は全くない!と言いたいところなんですが、正直一つだけ不満があります。それは映画終盤、デウス・プロメス博士が登場するシーンです。ここは物語の根幹となる設定の説明シーンで、映画には絶対に必要なシーンなんですが、ぶっちゃけ少し退屈に感じてしまいました。


なぜなら、そこまでの熱い展開が一旦区切られ、熱が冷まされたような気分になったからです。説明もそこまで易しいものではないですしね。説明の最中にガロが鼻ちょうちんを出して寝ている描写があったんですが、私も同じ気分になりました。ここもう少しテンション高く、熱を落とさず伝えてほしかったなというのが、『プロメア』に対する私のただ一つの不満です。


ただ、それ以外は特に不満もなく、最高に熱くなれる映画でした。アニメや実写を問わない熱い展開が目白押しで、アニメならではの表現や描写もふんだんに盛り込まれていて、しかもそれがまた面白いので、『プロメア』は普段アニメを見ない人にも受け入れられる映画だと私は思います。今石監督の作品やTRIGGER製作のアニメを見てなくても問題ないから、絶対に観て!!というのは声を大にして伝えたいところです。


お願いだから観て!!!!!!!!!!!!!!!!




cja






















以上で感想は終了となります。いろいろ書きましたけど『プロメア』は、声優さんの熱演が素晴らしく、熱いアクションがてんこ盛りで、超面白い映画だということです。もし、未見ならば一度見てみることを強くオススメします。何としてもヒットしてほしいですね。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい


「プロメア」オリジナルサウンドトラック
プロメア
アニプレックス
2019-05-24



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前節、SC相模原相手に2-0でホーム初勝利を挙げたAC長野パルセイロ。長野県サッカー選手権大会でも優勝するなど、公式戦2連勝で上り調子となっています。そして今節の相手は福島ユナイテッドFC。3勝5敗の勝ち点9で13位につけており、パルセイロとしては上位進出のためにも同勝ち点の相手には負けられません。勝利を掴み、まずは一桁順位に入りたいところです。












両チームのスタメンは以下の通り。






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パルセイロは前節からスタメンを1人変更。#26遠藤選手に替わり、#2松原選手が今シーズン初のスタメンを飾りました。また、#9津田選手も今シーズン初のベンチ入り。なお、#17明神選手はこの試合でJリーグ通算550試合出場を達成しました。凄い。フォーメーションは3-4-2-1です。


一方の福島は前節からスタメン3人を変更。#16キム・ミンジュン選手#11川中選手が今シーズン初のスタメンを飾っています。フォーメーションは#10橋本選手をアンカーに据えた4-1-4-1と思われます。


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前半キックオフ!




前半6分、いきなり試合が動きます。パルセイロは右サイドでスローインを獲得。スロワーは#2松原選手。SBでなくCB起用だと両サイドからロングスローを投げられるという利点がありますね。さらに#2松原選手はこの日がリーグ戦初スタメンで、初のロングスロー。福島も対策をあまり練ってきていなかったのでしょう。ニアサイドに選手を置いていませんでした。


#2松原選手のロングスローに#4内野選手が合わせようとしますが、これは空振り。しかし、味方選手にボールが当たり、ボールは再び#4内野選手のもとに転がります。これを#4内野選手は着実に決めて、パルセイロが先制に成功しました。#4内野選手は今シーズン初ゴールで、またチームとしても今シーズン初の前半での得点です。





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パルセイロが先制をしましたが、ボールを握っているのは福島です。福島は松田監督になってから、ディフェンスラインからパスを回して攻撃するサッカーを標榜しているので、ロングボールは少なく、ショートパス・ミドルパスで崩そうとしてきています。


これに対してパルセイロは前線からのプレッシャーで対抗します。この日のパルセイロは#27竹下選手がCBの一人にプレスをかけに行き、ボールサイドのシャドーはSBを、逆サイドのシャドーはアンカーの#10橋本選手を見ていました。2対1になっているので、当然CB間では回されますが、福島の攻撃は#10橋本選手を経由するパターンが多く、パルセイロはちゃんとそこに蓋をできていました。


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#10橋本選手からボールが出ないとなると、福島はCBにボールを戻すしかなくなり、そのぶん攻撃に時間がかかってしまいます。パルセイロはこの間に5-4のブロックを形成。CBの二人をフリーにする代わりに、#27竹下選手#10橋本選手につき、シャドーは両SBについています。このとき、パルセイロの守備9人に対し、福島の攻撃は7人。パルセイロとしては2人も数的優位があり、セカンドボールの奪取でも優位に立っていました。


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パルセイロが人数を揃えていたこともあり、福島のCBのパスの優先順位は①#10橋本選手、②SB、③ロングボールとなっています。#10橋本選手#27竹下選手が見ているので、SBにパスを出そうとしますが、シャドーの素早いチェックに遭い、ボールを戻す羽目になってしまっています。福島はボールを持っていても、立ち上がりは決定的なパスを出すことが出来ず、パルセイロとしてはボールを持たせているという構図になっていました。


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さらに、前半のパルセイロの守備が上手くいっていた理由として、ボランチのポジショニングも挙げられるかと思います。この日もボランチは#17明神選手#29山田選手という組み合わせでしたが、二人とも人につくよりもバイタルエリアを消すことを優先して守っていたように思えます。バイタルエリアを消すことで、福島のIH、#23田村選手#40樋口選手にブロックの外でボールを触るように仕向け、福島のゴール前の人数を減らすことに繋がっていました。


ここで、福島のIHが出てきたときにはパルセイロのボランチは基本的にはついていきますが、ディフェンスライン近くまでに引っ張り出されそうなときは、ついていくのをやめ、再びバイタルエリアを消します。この判断が抜群によく、パルセイロは福島にスペースをあまり与えていませんでした。


一方の福島。ボールを回すことはできても、決定的な縦パスを入れることが出来ません。これは思うにフリーでボールを持っても前方へとドリブルをすることなく、プレッシャーを受けるとすぐに後ろに戻してしまうことが原因だったのではないでしょうか。ドリブルで前に運べれば選手を複数人引き付けることができ、スペースができます。でも、福島はこれをしなかった。福島の選手はボールを持って前を向いてもリスクを取らなかったので、パルセイロにとっては守りやすかったのではないかと思います。


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また、この日の福島は攻撃の手段として、選手間のポジションチェンジを多く行ってきました。前線の選手は流動的にポジションを入れ替え、SBは頻繁に中に入り、ボランチとシャドーの中間ポジションでボールを引き出そうとします。


それでも、この日のパルセイロはマンツーマンというよりはゾーンに重点を置いて守っており、マークの受け渡しがたいへんスムーズにできていて、フリーにする瞬間を作りません。SBが中に入ってくるのにはやや手を焼いていましたが、ボランチが遅らせたり、福島の選手の消極的なプレーもあり、しっかり守れていました。


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パルセイロは攻撃時にはカウンターがメインになります。狙うはアンカーの#10橋本選手の脇。そこで#27竹下選手やシャドーの選手がボールを持てれば、最短距離でゴールを目指すことが出来ます。ただ、福島はこのスペースを埋めるためにSBを中に絞らせてきていました。この時、福島のサイド深くには大きなスペースが生まれています。前半のパルセイロはこのスペースを狙って前線の選手を流しており、SBのポジションが最初から中にいた分、この攻撃は普段よりも機能していました。


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また、ボールを繋いでのサイド攻撃でもパルセイロは優位に進めることが出来ていました。まず、#10橋本選手が中央を閉めています。この際にサイドには福島の選手はSB、SH、IHの3人。一方パルセイロはWB、#27竹下選手orシャドー、ボランチ、そしてサイドCBの4人を崩すことができ、単純に数的優位を得ています。


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ここで、パルセイロはサイドでボールを回して、WBにSBの選手が食いついた時に、シャドーの選手に裏を狙わせることができます。たとえ行き詰っても、ボールを戻せばそこではCBの選手がフリーになっており、アーリークロスを上げることだってできます。これに対して福島は選手をピッチの縦半分に全員入れて密度を高めて奪おうとしたり、ゴール前に人数を割くことで跳ね返していましたが、サイドの攻防ではパルセイロは優位に立っていました。


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さらに、福島はあまり前からプレスに来ず、リトリート主体の守備をしていたこともありますが、この日のパルセイロはビルドアップも上手くいっていました。福島は大体#18小牟田選手一人、来てもIHの選手と2人しか前線にプレスをかけてこず、パルセイロとしては3バックで数的優位に立てているため、いつものようにボランチを落とす必要性がありません。また、規制も緩かったので、ボランチやWBに簡単にパスが入り、福島の選手を引き出し、スペースを自ずから作っています。これが最大限に発揮されたのが前半40分の追加点のシーンです。


パルセイロは左サイド中盤からワンタッチでパスを繋ぎます。福島の選手はピッチを横に圧縮して守っているので、右サイドの#25有永選手がフリーになっており、そこに#27竹下選手がパス。#25有永選手はダイレクトでクロスを入れ、これに#19三上選手が合わせますが、シュートはポストを叩きます。ただ、こぼれ球もパルセイロ側に転がり、#19三上選手が一度ボールを下げたところに、#29山田選手が走り込んできて、ミドルシュートを突き刺しました。これで、パルセイロは前半で2-0のリード。#29山田選手は開幕戦以来の今シーズン2点目です。





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このゴールは#29山田選手のシュートも素晴らしかったのですが、その前のワンタッチでのパス交換に大きな要因があったと思われます。ここでのポイントは2つ。まず1つはパルセイロの選手がパス&ゴーを実践していたこと。#19三上選手のシュートに至るまでに、リターンパスが2度ほどあり、これもボールを出した選手が動きなおしてパスコースを作っていたことによる成果です。


2つ目のポイントはパルセイロの選手が、福島の選手を釣り出して作ったスペースを有効活用できていたこと。左サイドを崩す際に#10橋本選手#3阪田選手をパルセイロは引っ張り出しており、空いたスペースに#14東選手#19三上選手が入って斜め前のパスコースを提供しています。福島の選手はスライドが間に合わず、パスコースを消せていなかったこともあり、縦パスが立て続けに入ったことが、このゴールでは大きかったですね。おそらく福島がやりたいであろう崩しをパルセイロが実現して、奪ったゴールでした。過程からして、現時点での今シーズンベストゴールではないでしょうか。


そのままスコアは動くことなく前半終了。パルセイロの2点リードで試合を折り返します。ボールを握っていたのは福島でしたが、パルセイロは前線の選手が遅らせることでブロックを形成し、ほとんど危なげなく守れていた印象です。オフサイドもきっちり取れていましたしね。後半もこのまま続けていきたいところです。


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後半開始に当たって福島は選手交代を行います。#11川中選手に替えて、#17諸岡選手を投入。2点差をひっくり返すために、早めに手を打ってきました。#17諸岡選手はIHに入り、#23田村選手が左SHに移ります。


パルセイロに選手交代はなく、後半キックオフ!


後半になって福島はロングボールを使ってくるようになりました。#18小牟田選手がサイドに流れるようになり、ボールを引き出しています。また、パルセイロのディフェンスラインが前半よりも下がり目になっていたこともあり、スペースが徐々に空いていきます。特にSBがボールを受けた時に、シャドーがプレスに行ってボランチの脇が空いたところにIHの選手が落ちるというパターンが、福島は前半よりも高い位置で実行できていました。


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後半12分。福島が2人目の選手交代を行います。#18小牟田選手に替えて、途中加入の#20イスマエラ選手を投入。前線に新たなパワーを加えてきました。


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後半もパルセイロは変わらず、前線からプレッシャーには行かず、5-4のブロックを形成する守備で福島を迎え撃ちます。これに対して福島はSBを前半よりも自由に動かすことで崩そうとしてきました。福島の#6輪笠選手#14星選手の両SBは積極的に中に入っていき、時には逆サイドまで進出してきます。パルセイロはこの両SBの動きをあまり捕まえ切れておらず、それが後半に福島がゴール前まで近づいてきていた要因の一つだと思います。


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さらに、ボールサイドのCBはまるでSBのように振舞い、とても攻撃的。さらに、福島はリスク管理も後半になって修正してきています。両SBが上がった際にはCBがサイドのスペースを埋め、#10橋本選手とIHが中をケアしています。また、自陣に引いての守備でもIHのプレスバックを早くしたり、ボールサイドのSHがディフェンスラインに入り5バック化し、中に人数を確保して跳ね返しています。パルセイロは前半ほどには決定的なチャンスを作れなくなっていきました。


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後半32分。パルセイロが最初の選手交代を行います。#19三上選手#27竹下選手に替えて、#23大城選手#9津田選手を投入という2枚替えを敢行。前線でプレスがかからなくなり、ブロックが下がっていてしまったので、そこに対するテコ入れでしょうか。#9津田選手は今シーズン初出場です。


ただ、その直後の後半33分。福島は右サイドでのスローインから#17諸岡選手がペナルティエリア角でボールを受けます。ここで#6輪笠選手がオーバーラップを仕掛け、一瞬パルセイロの選手を迷わせ、その隙に#17諸岡選手は中にクロスを供給。ここで#1小澤選手が判断に迷ってしまい、少し前に出てゴールががら空きに。#20イスマエラ選手#4内野選手の上からヘディングでシュートを叩きこんで、福島が1点差に詰め寄ります。#20イスマエラ選手はこれがJリーグ初ゴールでした。







1点を返した福島は、徹底的に#20イスマエラ選手をターゲットにし、2点目を奪いに来ますが、パルセイロも集中して跳ね返します。#14東選手#8堂安選手#27池田選手#39雪江選手と両チーム選手交代を行いつつもゲームは最終盤に。後半アディショナルタイム3分もパルセイロはコーナーフラッグ付近で時間を使い、福島に攻撃に機会を与えません。そしてそのまま試合は終了。2-1でパルセイロがリーグ戦2連勝、公式戦3連勝を果たしました。


この試合においてはパルセイロのブロック守備が機能し、マークの受け渡しがスムーズにいったことが主な勝因ですね。また、2点目のシーンなど新たな可能性を感じさせるシーンも随所にありました。守→攻への切り替えが速くなってきていて、とてもいい傾向だと感じます。







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<ハイライト動画>














選手コメント(Jリーグ公式)

J3順位表(Jリーグ公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第9節 vs 福島ユナイテッドFC|試合結果(長野公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第9節 vs 福島ユナイテッドFC|フォトギャラリー
(長野公式)

2019 明治安田生命 J3リーグ 第9節 vs AC長野パルセイロ|試合結果(福島公式)

AC長野、今季初の連勝 10位に浮上(信濃毎日新聞)













この結果を受けてパルセイロは3勝3分3敗の勝ち点12で10位まで浮上。じわじわと順位を上げてきています。そして、次戦は天皇杯1回戦。5月26日(日)13:00~、佐久総合運動公園陸上競技場で新潟医療福祉大学サッカー部との対戦です。去年と同じ対戦カードですが、しっかりと勝利を収めたいところですね。


その翌週にはリーグ戦。パルセイロはホーム長野Uスタジアムでカターレ富山と戦います。6月2日(日)14:00~と観戦しやすい時間帯なので、よろしければUスタにお越しください。



頑張れ!AC長野パルセイロ!!


おしまい


愛がなんだ (角川文庫)
角田 光代
KADOKAWA
2006-02-24



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