こんにちは。これです。今回のブログも映画の感想です。今回観た映画は『ジェミニマン』。ウィル・スミスvsウィル・スミスの近未来SF映画です。アクションが主体で見る前からNot for meな感じはしていましたが果たして……。
では、感想を始めたいと思います。拙い文章ですが、よろしくお願いいたします。
―目次―
・アクションやキャストはいい
・ストーリーが普通すぎるのがまずい
―あらすじ―
引退を決意した伝説的スナイパーのヘンリー(ウィル・スミス)は、政府に依頼されたミッションを遂行中に何者かに襲撃される。
自分のあらゆる動きが把握され、神出鬼没な暗殺者に翻弄されるヘンリーだったが、その正体が秘密裏に創られた"若い自分自身"のクローンだという驚愕の事実に辿り着く。
なぜ自分のクローンが創られたのか?なぜ彼と戦わなければならないのか?謎の組織"ジェミニ"とは…?
ヘンリーの監視役として潜入捜査を行っていたアメリカ国防情報局のダニー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)も、暗殺者の正体を突き止め、ヘンリーと共に"ジェミニ"の陰謀に立ち向かうことを決意。
追われる身となった2人は、謎の核心に迫っていく――。
"経験"と"若さ"のどちらが有利なのか?そして、ヘンリーが最後に下す究極の選択とは…!?
(映画『ジェミニマン』リーフレットより引用)
※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。
・アクションやキャストはいい
この映画を観終わったとき、私の頭にはある一つの言葉が浮かびました。それは普通です。この映画普通すぎるんですよ。
いや、アクションシーンは非凡なんですよ。ヘンリーとクローンのヘンリー、通称〈ジュニア〉が最初に撃ち合うシーンからカメラはガンガン動いて臨場感たっぷり。手投げ弾を銃で撃ち返すのには唸りました。そして、そこからのバイクチェイスは、街中でのアクションで、〈ジュニア〉が徐々にヘンリーを追い詰めていく緊張感もあり、手に汗握ります。バイクの後輪で、人って殴れるんですね。とても痛そう。〈ジュニア〉のバイク捌きは見事で、ここまでバイクを有効にアクションに取り入れた映画ってあまりないんじゃないかと思わされます。この映画の最大の見どころで、後の展開の期待も高まりましたね。終わってみたら正直ここがピークだった感は否めませんけど。
でも、その後のシーンがシンプルな殴り合いっていうのがまたいいんですよね。ブタペストの強制収容所を舞台にしていて、不気味な感じがありますし、ヒロインのダニーのピンチに颯爽と駆け付けたヘンリーはかっこよかった。経験を見せつけて面目躍如ですが、そこから感情をむき出しにした殴り合いになるのがいいんですよ。開放感のあった最初のシーンと違って、どちらが優勢かも分からないほど薄暗くて、閉鎖的。そのギャップが良かったですね。
さらに、最後の銃撃戦。マシンガンの雨あられで、店内が荒らされていく様子は圧倒されますし、そこからヘンリーとダニーが銃を握って、敵をバッタバッタとなぎ倒していく様が決まっていました。ダニーみたいな女性がごつい銃をぶっ放すのっていいですよね。まあどうして死なないんだろうというご都合はバリバリに感じましたけど、それを言ってしまったらおしまいでしょう。この三シーンとも臨場感はたっぷりで、この映画の一番のセールスポイントになっていました。3Dで見たらより凄かったんだろうなぁ。
それに、CG技術も凄くて。この映画って51歳のウィル・スミスと、23歳のウィル・スミスが共演しているんですけど、当然23歳のウィル・スミスはCGなんですよね。まず普通にウィル・スミスに演技させておいて、そっから顔のシワを修正し、体型を修正し、その他細かい部分まで修正して。さらにそれをアクションを支えるスピーディーな動きやカメラワークに対応させなければならない。どれだけの作業量なんだと途方に暮れてしまいそうです。でも、それを最新技術(詳しくは分からない)で可能にしていて、ウィル・スミスの全く異なる演技と合わせて、目を見張るものがありましたね。
この映画のウィル・スミスは、まあ凄いのは説明不要なんですけど、23歳のどうしようもない若さを存分に押し出していたのが個人的には好きで。本当、〈ジュニア〉の世の中を知らない子供っぽさたらなかったですからね。でも、それは引退間近のヘンリーにも共通していて、これからどうしていけばいいのか迷っている様子が感じ取れました。
また、ヒロインのダニーを演じたのは、メアリー・エリザベス・ウィンテッド。黒髪でコケティッシュで洗練されていて。まあ単純にタイプでした。今年観た洋画の中でも一二を争うぐらいには。足を引っ張っていないのが好感が持てます。
あとは、仲間のパイロットを演じたベネディクト・ウォンですかね。ガタイのいいアジア系で、戸惑うときに細めた目が印象的です。恥を忍んで言いますけど、私ずっとマ・ドンソクだと思って観ていたんですよね。『新感染』や『神と共に』の。あと『邦キチ!映子さん』でもおなじみの。でも、私はあまりマ・ドンソクの出ている映画を観たことが無くて。で、現れたときにテンションが上がったんですよ。ああこの人がマ・ドンソクなんだって。
(ベネディクト・ウォン)
(マ・ドンソク)
で、そこからはマ・ドンソクっぽい人の一挙手一投足に目を奪われていて。だらだらサッカーを見るマ・ドンソクっぽい人、歌いながらノリノリで飛行機を操縦するマ・ドンソクっぽい人。話についていけず戸惑うマ・ドンソクっぽい人。お亡くなりになられたときには合掌しましたもん。さらば、マ・ドンソクっぽい人って。
映画も終盤になって「マ・ドンソクっぽい人に持ってかれたわー」みたいな感想を書こうとも思ったんですけど、エンドロールを見たらなんと別人ではないですか。調べてみたらベネディクト・ウォンも『アベンジャーズ』に出演するくらいの著名な俳優さんで。ただただ私の無知を思い知らされた形になりました。まぁベネディクト・ウォンはベネディクト・ウォンで愛くるしかったからいいんですけどね。
とにかく、このスリーマンセルは魅力十分、アクションも凝っていて視覚的には楽しかったんですが、ただそれを打ち消してしまうだけのストーリーのまずさがこの映画にはありました。本当に普通すぎたんです。
・ストーリーが普通すぎるのがまずい
まず、ヘンリーは殺しに迷いが出てきて引退しようとします。それを狙う怪しげな黒幕の動きを、この映画は親切にもすべて説明してくれます。さらに、不穏な音楽でこれから襲われますよーというのを存分にアピール。この親切すぎる設計は序盤からかなり不安になりました。
ヘンリーと〈ジュニア〉の最初の対決の後、〈ジュニア〉はヘンリーのクローンであることが判明します。続いて、ヘンリーと〈ジュニア〉の二度目の対面。ヘンリーから自分がクローンであることを知らされ、〈ジュニア〉は自らの存在意義に悩むようになります。黒幕であるヴァリスに嘘をつかれていたことにショックを受ける〈ジュニア〉。武器として造られたことを突きつけられ、自我との葛藤が芽生えます。武器という役割を失くした自分は、これからどう生きていけばいいのかと迷い始めます(『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』みたいだ)。
別にこの葛藤自体はいいんですけど、ただこういった葛藤って、それこそもうドリー問題が表出した20年くらい前にやり尽くされていると思うんですよね。答えは出てないですし、出るようなものでもないんですけど、2019年になってクローン技術も進歩した現代だからこそ、もっと踏み込んでほしかったかなというのはあります。今さら20年前から進歩しない議論を焼き直されたって、時代は進歩して価値観も変化しているわけですから、それはもう過去のものになってしまって、新鮮な気持ちでは受け取れないですよね。でも、この映画って20年前と同じような議論に終始してしまっていて、単刀直入に言えば普通だなって感じます。近未来SFに初挑戦したアマチュア作家ですか。大のハリウッドが。
黒幕であるヴァリスのクローンを作る理由も、最強の軍隊を作ることができれば、戦争は無くなり誰も傷つくことはなくなるみたいな理論でしたが、それってただの恐怖政治でしょう。そこに対する議論もないですし、もうちょっとそこの動機付けを、作りこめなかったのかなとは正直……。もっと考えさせるような理由がほしかったですね。このあたりも先進的とは言えないと思います。
ただ、期待はしていたんですよ。どんでん返しがあるかもしれないって。このやり尽くされた議論をひっくり返す何かがあるかもしれないって。ただ、本当に何のどんでん返しもなく、ヴァリスの処理もめちゃくちゃ雑。そういう意味では、『彼方のアストラ』は凄かったんだなと思わざるを得ません。さらに、最後もまぁそうなるやろなというなんか良さげなシーンで締め。
もう普通すぎてびっくりします。このご時世にここまで普通な映画作られるんだなって。期待を越える展開が一個もない。もうちょっと単純なエンタメではない刺さる展開があったらなと。かなりの物足りなさを感じました。別に奇をてらってすべっている映画よりは全然いいんですけど……。いや、挑戦して結果すべってしまったのなら、それはそれでいいな。置きにいってすべるのが一番よくない。普通じゃない展開が見たかった……。残念です。
以上で感想は終了となります。映画『ジェミニマン』、私はあまりオススメしませんが、アクションは凝っているので、興味のある方はよろしければ。結末まで書いておいてなんですけどね。
お読みいただきありがとうございました。
おしまい
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