こんにちは。これです。2019年ももう終わりが近づいてきた今日この頃。皆さんいかがお過ごしでしょうか。元気で映画を観れていますでしょうか。私の方は何とか元気でいます。幸いなことに映画もまだ観られています。ありがたいことです。
さて、今回のブログは年末のお楽しみ、2019年映画ベスト10になります。ツイッターでも大きな盛り上がりを見せるこの企画。いくら弱小で零細で稚拙とはいえ、一応は映画ブログをやっている私としては、参加しないわけにはいきません。何日も前からどの映画にしようと、考えるのはとても楽しかったですね。そして、考えに考えた結果今年のベスト10を決めました。当たり前ですが、個人的には満足のいくランキングになったのではないかと思います。
では、これからベスト10を発表していくのですが、今回はまず下半期、7月~12月に観た映画のベスト10を作成し、その後に上半期と合わせた年間の総合ベスト10を選出したいと思います。下半期は下半期でベスト10を作らないと映画が少し可哀想ですもんね。やっぱり一つでも多く選びたいですし。その思いで、今回も下半期のベスト10には入らないけど、推したい3作品を選出しています。そちらも合わせて楽しんでいただければ幸いです。
さて、その選出基準ですが、私の映画ベスト10の選出基準は以下の二つです。
・2019年の1月~12月に映画館で観た作品(下半期なら7月~12月)
・私自身の好きを最優先すること
まず、一つ目。私は地方に住んでいます。地方だと東京や大阪といった大都市で公開された、特にミニシアター系の作品は、2,3か月遅れで公開されることが普通です。なので、1月~2月に観た作品でも、公開自体は去年ということが結構あるんですね。でも、ここでは公開日に関係なく私が2019年に観たことを基準にさせていただきます。
また、近年ではNetflixオリジナル作品が躍進を遂げています。今年も『アイリッシュマン』や『マリッジ・ストーリー』、『失くした体』などの作品が高い評価を得ていました。しかし、私はまだ映画館で映画を観ること自体が好きなので、Netflixまで手が回せないというのが正直なところ。なので、これらの作品は今回の記事からは外させていただきます。観たいとは思っているんですけどね。来年はもっとどうにかしたいと思います。
続いて、二つ目。これは勉強不足もありますが、正直私は映画の出来がどうかについてはあまりよく分かっていません。一定のレベルを超えると、どれも良いと思ってしまう単純な人間です。なので評価も完全に主観的な評価になってしまいます。
でも、それでいいんだと思います。別に開き直るわけではありませんが、客観的な評価は評論家の方がしてくれるでしょう。しかし、近年のいわゆるバズる映画には、個人の好きという気持ちが触媒となって拡散されていっているのではないでしょうか。人を動かすのは「好き」という気持ちです。私はそのことを大切にしたいと思っています。ランキング自体も「好き」を優先して選んだほうが、十人十色、バラエティに富んだものになるでしょうしね。
それでは選考基準を説明して、ランキングに入る前に、参考として2018年のベスト10と、今年の上半期映画ベスト10を置いておきたいと思います。これを見れば、私がどんな傾向で映画を選んでいるのか少しお分かりいただけるかと。
2018年映画ベスト10
第1位:ペンギン・ハイウェイ
第2位:レディ・プレイヤー1
第3位:勝手にふるえてろ
第4位:志乃ちゃんは自分の名前が言えない
第5位:劇場版ポケットモンスター みんなの物語
第6位:万引き家族
第7位:僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ―2人の英雄―
第8位:アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル
第9位:ボヘミアン・ラプソディ
第10位:レディ・バード
詳しくはこちら↓
超私的!2018年映画ベスト10
2019年上半期映画ベスト10
第1位:バジュランギおじさんと、小さな迷子
第2位:海獣の子供
第3位:翔んで埼玉
第4位:スパイダーマン:スパイダーバース
第5位:プロメア
第6位:メアリーの総て
第7位:女王陛下のお気に入り
第8位:さよならくちびる
第9位:居眠り磐音
第10位:小さな恋のうた
詳しくはこちら↓
個人的2019年上半期映画ベスト10+3
さらに続いて、こちらも参考までに下半期に観た映画を列挙していきます。これらの作品から下半期のベスト10を選びます。なお、少なくない数の映画が並んでいるので、面倒な方は読み飛ばしてもらっても構いません。
2019年下半期に観た映画一覧
・ホットギミック ガールミーツボーイ
・劇場版 FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん
・ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
・トイ・ストーリー4
・天気の子
・チャイルド・プレイ
・旅のおわり世界のはじまり
・アメリカン・アニマルズ
・ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
・新聞記者
・ライオン・キング
・アルキメデスの大戦
・アマンダと僕
・イソップの思うツボ
・ダンスウィズミー
・ロケットマン
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
・ハッピー・デス・デイ
・月極オトコトモダチ
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 永遠と自動手記人形
・いなくなれ、群青
・王様になれ
・無限ファンデーション
・台風家族
・いちごの唄
・ハッピー・デス・デイ 2U
・HELLO WORLD
・おいしい家族
・アイネクライネナハトムジーク
・見えない目撃者
・任侠学園
・よこがお
・蜜蜂と遠雷
・ディリリとパリの時間旅行
・JOKER/ジョーカー
・空の青さを知る人よ
・真実
・メランコリック
・楽園
・スペシャルアクターズ
・存在のない子供たち
・ジェミニマン
・IT イット THE END/"それ"が見えたら、終わり
・閉鎖病棟
・スタートゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて
・マチネの終わりに
・ひとよ
・エセルとアーネスト ふたりの物語
・影踏み
・地獄少女
・エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
・ゾンビランド:ダブルタップ
・殺さない彼と死なない彼女
・決算!忠臣蔵
・ドクター・スリープ
・サンタ・カンパニー~クリスマスの秘密~/コルボッコロ
・ブルーアワーにぶっ飛ばす
・ホームステイ ボクと僕の100日間
・カツベン!
・屍人荘の殺人
・ぼくらの7日間戦争
・ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん
・宮本から君へ
・ボーダー 二つの世界
・僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング
・羊とオオカミの恋と殺人
・ヒックとドラゴン 聖地への冒険
・ガリーボーイ
・この世界の(さらにいくつもの)片隅に
以上、下半期は合計で70本の映画を観させていただきました。上半期と合わせて、今年の鑑賞本数は124本になります。去年が52本だったので、その倍以上ですね。よく行ったものです。去年の今頃は来年は80本ぐらい観られたらなと思っていたので、目標達成ということになります。やった。独り身でよかった。
それでは、前置きもこのくらいにしておいて、いよいよ本題に移りたいと思います。果たして私はどの映画を選んだのか!?
まずは、下半期ベスト10には入らないけれど推したい特別賞3作品の発表です!
※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。
特別賞:月極オトコトモダチ
―あらすじ―
「男女の間に友情は本当に存在する?」
アラサー女性編集者の望月那沙は、ひょんなことから、「男女関係にならないスイッチ」を持つと語るレンタル"オトコトモダチ"の柳瀬草太に出会う。
一方、那沙のリアル"オンナトモダチ"である珠希は音楽を通じて柳瀬と距離を縮めていき…。
仲良くなっても、「契約関係」の壁はなかなか越えられない。
恋愛と友情、夢と現実のはざまで悩む男女が織りなす、不思議な関係の行きつく先は……?
(映画『月極オトコトモダチ』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『月極オトコトモダチ』感想【「友達」って言っちゃえば「友達」なんだよ】
男女間との友情という永遠のテーマに挑んだこの映画。その特徴は何といっても、「軽さ」にあると思います。この映画では男女の三角関係が描かれます。三角関係はドロドロになりがちですが、この映画の持つ空気はとてもサッパリとしたもの。主人公の那沙も恋愛や結婚に焦っているキャラクターではないですし、飾ったセリフもありません。実に気軽に観ることが、私がこの映画が好きな一番の理由です。
それに、那沙役の徳永えりさんと柳瀬役の橋本淳さんは20センチ以上の身長差があり、そのギャップも見どころの一つ。全く照れずにドキドキする行動を柳瀬がするので、ラブコメとしても十分に楽しむことができます。テーマに直結する音楽の使い方も上手い。
私は、この映画を観る前は男女間に友情はないと思っていたんですけど、観た後には男女間に友情はあるなと考え方が180度変わりました。小規模公開でしたが、観てよかったです。DVDも現在、発売&レンタル中、そしてAmazon Prime Videoでも配信中です。よろしければどうぞ。
徳永えり
2019-12-18
特別賞:いちごの唄
―あらすじ―
恋をした。七夕、親友の命日にだけ会える、僕たちの”女神”に。
コウタは不器用だけど優しい心を持つ青年。たったひとりの親友・伸二は、中学生の頃2人が“天の川の女神”と崇めていたクラスメイトの千日を交通事故から守り亡くなった。10年後の七夕、伸二の命日。コウタと千日は偶然高円寺で再会する。「また会えないかな」「そうしよう。今日会ったところで、来年の今日・・・また。」毎年ふたりは七夕に会い、環七通りを散歩する。しかしある年、千日は伸二との過去の秘密を語り「もう会うのは終わりにしよう」と告げる・・・。
(映画『いちごの唄』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『いちごの唄』感想【「正しくない」を肯定する優しさに溢れた素敵な映画】
ぶっちゃけて言うと、人を選ぶ映画です。演技も過剰気味ですし、セリフで何でもかんでも説明してしまうという明確な欠点もあります。でも、私はこの映画超好きなんですよね。観終わった後ガッツポーズしたくなるくらいには。
この映画の何が魅力的かというと、まず主人公のコウタが挙げられるでしょう。演じたのは『ひよっこ』の古舘佑太郎さんなんですが、ピュアさが凄いんですよ。リュックの紐を触るちょっとした仕草からチェリー感も感じられましたし、とても共感したんですよね。そのチェリーのレンズを通して見た女優さんたち、石橋静河さん、清原果那さん、蒔田彩珠さん、岸井ゆきのさん、恒松祐里さんetc...が非常に魅力的で、それだけで好きと断言できるほどでした。
それに、映画の内容も好きでして。この映画って世間一般から見て「正しくない人」や「正しくない行為」が多く登場するんですよね。で、そんな彼らを肯定するのが、「正しくない」音楽であるパンクロックというのが最高なんですよね。銀杏BOYZの曲が溢れていて、特に「ぽあだむ」は泣きそうになってしまいました。「正しくなさ」が否定されないというのが、私がこの映画を好きな最大の理由です。
そんな『いちごの唄』、現在DVDが発売&レンタル中。Amazon Prime Videoでも観ることができるので、こちらもよろしければぜひ。
特別賞:ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん
―あらすじ―
舞台は19世紀ロシア、サンクトペテルブルグ。
14才の貴族の子女サーシャには悩みがあった。1年前に北極航路の探検に出たきり帰ってこない大好きな祖父。探索船は出たものの未だ行方が分からない。祖父と家族の名誉は失われ、祖父の名を冠する予定だった科学アカデミーの図書館も開館が危ぶまれている。ロシア高官の父は、そんな状況にあって、なんとかローマ大使の道を模索するが、そのためには社交界デビューの娘が皇帝の甥っ子に気に入られるしかないと考えている。
社交界デビューの日、サーシャは祖父の部屋から航路のメモを見つけ、それが捜索船がたどったものとは異なる事に気付く。再び捜索船を出して欲しいとサーシャは舞踏会の場で王子に懇願するが受け入れられない。王子の不興を買い、父からの叱責を受けた娘は、自ら祖父の居場所を突き止めようと決意する。― サーシャが目指すものは、祖父との再会、それが叶わなくとも遭難した艦船ダバイ号の発見、そして何よりも真実を突き止める為の旅だった。
なんとか港までたどり着き、北方行きの商船ノルゲ号に乗せて貰おうと船長の弟に話しを持ち掛けるが、手違いもあり港に取り残される。食堂の女主人オルガの手助けにて、住み込みで調理や給仕といった未経験の仕事をしつつ船の戻りを待つ。その頑張りが認められようやく船に乗り込んだ後に待ち受ける多くの試練。船乗りの経験も無く、しかも女性であるサーシャには、想像を絶する困難が待ち受けていた。
そして―
(映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【微ネタバレあり】映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』感想【想像を掻き立てるシンプルなアニメーションが魅力】
フランス・デンマーク共作のこの映画。特筆すべきは輪郭のないアニメーションでしょう。ベタ塗りのシンプルな画面には想像の余地があり、頭の中で補完することでイメージがリアルなものになります。実際、北極のシーンの迫力は鳥肌もので暖房がついているのに寒く感じてしまった自分がいました。
個人的には、ちぎり絵のような雪が降る描写が好きですね。
一方、話は直球勝負。奇を衒ったことを何もしておらず、王道展開が続きます。何よりいいのがサーシャが頑張っているところ。北極圏で行方不明になった祖父を探すんだという強い思いのもと、積極的に動いていて、やはり主人公は能動的じゃないとと思わされました。この映画ってけっこうご都合主義な場面もあるんですが、それは頑張った主人公にはご褒美をあげないと、という良いご都合主義で、物語のあるべき姿を見たような気がしました。
そんな『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』、まだまだ全国の映画館で上映中&上映予定ですので、機会がある方は観てみてはいかがでしょうか。
以上、特別賞3作品でした。どれも小規模公開ではありますが、好きな映画です。よろしければどうぞ。
それでは、ようやく下半期のベスト10の発表です。今年話題をさらったあの映画から、小規模公開の隠れた名作まで。いったいどんな映画が並んでいるのでしょうか。
まずは、第10位~第4位の発表です!
第10位:JOKER/ジョーカー
―あらすじ―
本当の悪は、人間の笑顔の中にある。
「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母親の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。
都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに密かに好意を抱いている。
笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気あふれる〈悪のカリスマ〉ジョーカーに変貌したのか?
切なくとも衝撃の真実が明かされる!
(映画『JOKER/ジョーカー』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『JOKER/ジョーカー』感想【『ジョーカー』、最高!!】
今年のベネチア国際映画賞で金獅子賞を受賞し、下半期最も話題になった映画といっても過言ではない『ジョーカー』。他の人はどうだか知りませんが、私は観ている最中はとてもノリノリでした。間違いなく私も虐げられる側にいるので、アーサーによって反旗を翻される様子が痛快だったんですよね。アーサーに深く感情移入しながら、とても楽しく観ることができました。「『ジョーカー』、最高!!」って親指を立てたい気分でしたよ。
でも、それは観ている最中の話で、観終わった後は、この映画を楽しんでいる自分に死にたくなったんですよね。アーサーは外的要因によって多くを失って、唯一残されたのが簡単な犯罪でした。私の境遇に近いところもあって、アーサーのように犯罪に走るのなら死んだほうがいいと思ったことが一つ。自虐ネタで自らの身を傷つけるアーサーにいたたまれなくなったことが二つ。
『ダークナイト』のジョーカーは理解できない絶対悪だと思うんですけど、この映画の「ジョーカー」は理解できる悪になっていて、私たちが引いている境界線を乗り越えてきたのが、この映画の特徴でした。現代ではアーサーのような人々が増えてきていますし、様々な議論を巻き起こした今年を代表する映画だと思います。なのでベスト10に入れざるを得ませんでした。まあ、これもジョーカーの手のひらの上かもしれませんけどね。
DVD/BDは1月29日に発売&レンタル開始。デジタル先行配信も1月8日にスタートです。
第9位:いなくなれ、群青
―あらすじ―
ある日突然、僕は〈階段島〉にやって来た。ここは捨てられた人たちの島で、どうして僕たちがこの島に来たのか知る人はいない。この島を出るには、失くしたものを見つけなければいけない。だが、疑問さえ抱かなければ、島の日常は安定していた。幼馴染の彼女に再会するまでは──真辺由宇。この物語はどうしようもなく、彼女に出会った時から始まる。「納得できない」と憤慨する真辺は、島から出るために、僕と周囲を巻き込みながら島にまつわる謎を解き明かそうとするのだが──。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。
(映画『いなくなれ、群青』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『いなくなれ、群青』感想【魅力的な若手俳優によって浮き彫りになる人間の悪い部分】
隔離された離島・階段島を舞台にファンタジックな雰囲気が漂うこの映画。キャストは横浜流星さんや飯豊まりえさんなど、これから注目されるであろう若手俳優さんたちが出演しています。その誰もが好演を見せていて、映画もその若手俳優さんたちの魅力に行方を委ねているのですが、その采配は大成功していたように思えました。本当に全員好きで、思春期の迷いや諦めをこれでもかというほど感じられるんですよね。個人的には真面目な学級委員長を演じた松本妃代さんが特に好きでした。
そして、映画の内容を一言で表すならば「人間の悪い部分が沈殿した映画」だと思います。人間には様々な側面があり、大人は「良い人間」でいることを押し付けてきます。成長していくにつれて、自分の悪い部分は見ないように蓋をされる。でも、この映画ではその悪い部分にスポットライトが当たっているんですよね。私には悪い部分しかないので、これは私の映画だ!私も階段島にいる!と強烈に感じました。
しかし、長所は短所で、短所は長所。この映画では、悪い部分が反転して人を助けることに一役買っており、悪い部分もあっていいのかもしれないという希望を抱かせてくれます。だから、私はこの映画を下半期のベスト10に推したい。多くの人に見ていただきたいのですが、ソフト化や配信の予定は今のところないのが残念。出演した俳優さんたちが有名になり、いつかもっと広まることを望みます。
第8位:見えない目撃者
―あらすじ―
日本中を震撼させる女子高生連続殺人事件。
唯一の手がかりは、目の見えない目撃者だった――警察官として将来を有望視されながら、自らの過失による事故で視力も大切な弟も失い、失意の底にあった浜中なつめ(吉岡里帆)は、ある夜、車の接触事故に遭遇。なつめは慌てて立ち去る車の中から助けを求める少女の声を耳にするが、彼女の訴えは警察には聞き入れてもらえない。視覚以外の人並外れた感覚、警察学校で培った判断力、持ち前の洞察力から誘拐事件だと確信するなつめは、現場にいたもう一人の目撃者高校生の国崎春馬(高杉真宙)を探し出す。
事件に気づきながら犯人を見ていない目の見えないなつめと、犯人を見ていながら少女に気づかなかった高校生の春馬。
“見えない目撃者”たるふたりの懸命の捜査によって、女子高生連続猟奇誘拐殺人事件が露わになる。
その真相に近づくなつめたちに、犯人は容赦なく襲いかかる。絶命の危機を前に、彼女らは、誘拐された女性を助けることができるのか。
「わたしは、あきらめない」
(映画『見えない目撃者』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『見えない目撃者』感想【私はこういう映画が観たいんだよ!!】
2011年公開の韓国映画『ブラインド』をリメイクしたこの映画。正直、説明しすぎな部分が目について、映画としての評価は必ずしも高くありません。この映画よりも高い評価の映画は、ベスト10外にもあります。ただ、私がこの映画を下半期の8位に推すのは、この映画が私にぶっ刺さったからなんですよね。
まず、何がぶっ刺さったかというと主演の吉岡里帆さんですよ。見えないのに見透かされているような目力の強さ。真犯人を突き止めようとする強い姿勢は、ある意味狂気的でもありました。今まで明るい役が多かった吉岡里帆さんのまさに新境地といったところ。コンビを組んだ高杉真宙さんも負けず劣らず良かったですし、この二人の演技は映画の大きな長所となっていました。
ただ、それ以上にぶっ刺さったのがストーリー。この映画ってインザダークの人の物語なんですよ。暗闇の中で光を求めてもがいている人たちの話なんですよ。私も先が見えない日々を送っていて、毎日挫けそうになるので、この映画はまさに自分事。そして、終盤に主人公のなつめが発したあるセリフにはめちゃくちゃ心を揺さぶられました。それでも生きるという強い決意表明ですよ。これが聞きたかった!もう色々と度外視して大好きです。
なお、DVDは来年の2月5日発売とのことです。
第7位:エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
―あらすじ―
中学校生活の最後の一週間を迎えたケイラは、「学年で最も無口な子」に選ばれてしまう。不器用な自分を変えようと、SNSを駆使してクラスメイト達と繋がろうとする彼女だったが、いくつもの壁が立ちはだかる。人気者のケネディは冷たいし、好きな男の子にもどうやってアプローチして良いか分からない。お節介ばかりしてくるパパはウザイし、待ち受ける高校生活も不安でいっぱいだ。中学卒業を前に、憧れの男子や、クラスで人気者の女子たちに近づこうと頑張るが…。
(映画『エイス・グレード 世界で一番クールな私へ』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『エイス・グレード 世界で一番クールな私へ』感想【拍手は一人分でいいのさ】
SNS時代の新たな青春を描いたこの映画。主人公のケイラは再生回数0回の動画をYoutubeにアップし続ける毎日を送っています。まず、このケイラのキャラクターがよかったですよね。SNSでは笑顔になれるけど、現実ではうまく他人と関わることができないという。私もこんな弱小零細ブログをやっているので、ケイラにはすごく共感しましたし、それゆえプールのシーンは残酷で、目を背けたくなるほど辛かったです。
これは分かるかどうか知らないんですけども、ケイラって「ストレンジカメレオン」なんですよ。the pillows(ザ・ピロウズ)の。周りの色に馴染まない出来損ないのカメレオンなんです。彼女も、私も。
でも、この映画が良かったのはそんなケイラが否定されないことですよね。ケイラのお父さんはケイラの動画にも理解を示してくれていますし。ケイラは多数からの承認を求めていたんですけど、お父さんからの承認だけで救われることができたという。まさに「拍手は一人分でいいのさ」(これもストレンジカメレオン)ですよね。SNSに居場所がある人も現代に入るはずで、その人たちもないがしろにしない優しい青春映画だと感じ、下半期の7位に選ばせていただきました。
第6位:劇場版FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん
―あらすじ―
「この人が死んだ時、僕は泣いたりするんだろうか」 ── 父親の背中を見ながら、心の中で呟くアキオ(坂口健太郎)。広告代理店に 勤めるアキオは、ずっと単身赴任中だった父の暁(吉田鋼太郎)のことを何も知らない。そもそもアキオが子供の頃から、典型的な仕事人間の父はいつも出張ばかりだった。たまに家にいる時も、ムスッと押し黙ってテレビを睨んでいる。そんな父が、突然会社を辞めて、家へ戻って来た。何があったのか一切語らない父に、母の由紀子(財前直見)も妹の美樹(山本舞香)も困惑するばかり。
父のことが知りたい、そう思ったアキオは、ある計画を閃く。すっかり忘れていたが、父と遊んだ思い出が一つだけあった。かつてゲーム「ファイナルファンタジーIII」で一緒に戦ったのだ。アキオは今自分がプレイしているオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」に 父を誘い、正体を隠して共に冒険へ出ようと考える。アキオは顔も本名も知らないからこそ、本音で語り合えるゲーム仲間たちに協力を依頼する。
さっそく、退職祝いの名目で、父にゲームソフトをプレゼントするアキオ。父は自分の“光の戦士”に、“インディ・ジョーンズ”と名付けてゲームを始める。父に気付かれないように、自室のパソコンから参加するアキオの名前は“マイディー”だ。数日後、思い切って“インディ”にフレンド申請してからは、父のもう一つの顔に驚くばかりのアキオだった。最初こそ、言葉づかいも 硬かったが、仲間と共に戦ううちに、「一人で冒険するより皆さんと一緒の方がずっと楽しいです! 」と、オンラインゲームの素晴らしさに目覚めたのだ。
そんな中、先輩の吉井(佐藤隆太)と重大なコンペに参加することになり、アキオを慕う同僚の里美(佐久間由衣)が心配するほど、 急に仕事が忙しくなるアキオ。ある夜、久々にログインすると、父はすっかりこの世界を楽しみ、アキオが「これ、本当に父さんだよな?」 と呆然とするほどはしゃいでいた。協力して強敵を倒し、また一歩心の距離が縮まった“インディ”に、“マイディー”は仕事で悩んでいることを打ち明ける。すると“インディ”は、自分の経験から的確なアドバイスをくれる。その言葉を活かしたアキオは、見事仕事を 獲得するのだった。
仲間たちと、さらに胸躍る冒険へと突き進む父とアキオ。「もっと、感動したいです」とコメントする“インディ”に、“マイディー”は 最強の敵への挑戦を持ちかける。アキオはこの勝負に勝ったら、自分の正体を明かすと決めていた。だが、約束の金曜日の21時、思いもかけない出来事が二人を待ち受けていた──。
(映画『劇場版 FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『劇場版 FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん』感想【生きていくうえで必要のないモノだって人を救えるんだな】
この映画、公開自体は6月ですが、観たのは7月なので下半期の映画として扱います。そして、下半期に観た映画の中でも最も優しい映画でした。
この映画は、FFを通じた父子のコミュニケーションを描いているのですが、FFを知らなくても全然大丈夫。ゲームの画面は映画館の大スクリーンに耐えうるどころか、とても綺麗で圧倒される出来。吉田鋼太郎さん演じるお父さんがゲーム初心者あるあるを連発してくれるので、笑えるポイントも多かったのも個人的にはお気に入りです。身構える必要はなく、とてもありがたい映画でした。
そして、この映画って「救い」の映画でもあるんですよ。ゲームってただ生きるだけには必要ないモノじゃないですか。でも、『エイス・グレード』もそうなんですけど、その必要のないモノに救われている人だって確実にいるんですよね。実際、この映画ではFFが二人を救ったわけですし、それが結実したお父さんの最後の台詞には泣いてしまいました。
私はこれを映画に置き換えて考えていて。映画もただ生きるだけなら必要ないですし、私は現実に向き合わずに映画にばかり逃げているので、このままでいいんだろうかというのは毎日思っています。でも、この映画は、そんな映画自体や私をも肯定してくれたようで、観終わった後には心がジーンと暖かくなりましたね。
なお、この『光のお父さん』、DVD/BDが現在発売中。レンタルもされており、Amazon Prime Videoでも視聴可能です。良ければ年末年始にご覧ください。
第5位:王様になれ
―あらすじ―
「もしかしたら必然かも、ピロウズと出会ったの。」
カメラマン志望の祐介(岡山天音)は、叔父の大将(オクイシュージ)のラーメン屋で働いている。
亡き父の影響で始めた写真にのめり込みプロのカメラマンを目指すも、夢を叶えるには現実は厳しく苛立ちと焦りにさいなまれながら過ごす日々。
初めて足を運んだthe pillowsのライブで、思いを寄せるユカリ(後東ようこ)をみかけ、話すようになる。
ユカリとの距離が近づくにつれて、祐介はthe pillowsの魅力にもどっぷりはまっていく。
カメラマンとして崖っぷちの自分を奮起させるべく、ライブ撮影を行うカメラマン虻川(岡田義徳)の存在を知った祐介は弟子入りを直談判し、仕事のチャンスを掴む。
微かな可能性に必死に食らいつこうともがく祐介と、応援しつつも自分の人生に不安を抱えるユカリ。
二人は未来に向かって一歩を踏み出していく――。
(映画『王様になれ』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレ少なめ】映画『王様になれ』感想【ここは途中なんだって信じたい】
the pillows結成30周年のアニバーサリーの一環として制作されたこの映画。ベスト10に選出したのはもう完全なる偏愛です。
というのも、私が一番好きなバンドがthe pillowsなんですよね。高校2年の時に出会ってから今までずっと好きで。主人公じゃない人間の不完全な音楽にずっと支えられてきたんですよ。辛いときに聞いて何度も励まされて、今の私が生きていられるのもピロウズのおかげです。そんなピロウズの映画となれば、ベストに選出しないわけにはいきません。最初から最後までピロウズ愛に溢れていて最高でした。
ただ、これは単なる色眼鏡じゃなくて。何者でもない主人公が立ち上がる劇映画として良くできていたんですよ、この映画は。ただのドキュメンタリー映画でも好きと言っていたとは思うんですけど、このある種ベタともいえるライジングストーリーがめちゃくちゃ骨身に染みました。あと曲が使われるタイミングも完璧でしたしね。『ハイブリッドレインボウ』と『この世の果てまで』が特に良かったですね。
ポスターに「昨日まで選ばれなかった僕らでも、明日を持ってる」とありますよね。『ハイブリッドレインボウ』のこの一節。ピロウズが歌ってきたのって、まさしく「昨日まで選ばれなかった僕ら」の歌なんですよ。その精神性がこの映画にも受け継がれていて、後半はもうずっと泣いてました。下半期だと一番泣いた映画です。だって私も昨日まで選ばれていませんし。世の中に多くいる「昨日まで選ばれなかった僕ら」に観てほしいと心から思えた映画でした。
第4位:ホームステイ ボクと僕の100日間
―あらすじ―
「当選しました」その声で、死んだはずの“ボク”の魂が、自殺した高校生ミンの肉体に“ホームステイ”することになった。ミンの自殺の原因を100日間で見つけ出さないと、“ボク”の魂は永遠に消えると告げられ、手にはタイムリミットを告げる砂時計が残されていた。新生“ミン”として“ボク”はもう一度人生をスタートさせる。初めて訪れた街で見知らぬ家族や同級生に囲まれ、違和感だらけの学校生活を送る “ミン”。誰にも気づかれないように謎解きを始めるうちに、秀才の美少女パイと出会い一瞬で恋に落ちる。バラ色の日々もつかの間、1台のパソコンの存在を知り、自殺したミンを苦しめた残酷な現実と対峙することになる・・・。
(映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』公式サイトより引用)
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』感想【フィクションとして完璧】
この映画も偏愛枠です。今、これを読んでいる方の中には「え?こんな映画あったの?」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際あまり観られてはおらず、2019年ベスト10に上げる方もごく少数。でも、私はこの映画が大好きなんですよ。それは、フィクションとしての理想が完璧に描かれていたからです。
この映画は森絵都さんのベストセラー小説『カラフル』を、『バッド・ジーニアス』の制作陣がタイで実写化した作品です。『カラフル』はアニメ映画もありましたが、こちらはそれとはまったく違うタイ風のアレンジ。厳しい学歴社会や当たり前のように出てくるドリアンなど、タイのお国柄をビンビンに感じられる映画となっていました。
また、この映画では今時珍しいくらいのストレートな青春をしているんですよね。主人公の"ボク"とヒロインのパイが一緒に屋上で花火を観たり、良く分からない罰ゲームで笑いあったりしているんです。今日びキラキラ映画でも観ることのできない青春。正直ずっと観ていたかった。ここだけでもこの映画の評価は、私の中でうなぎのぼりです。
ただ、この映画の一番いいところは終盤の展開。詳しくは言えませんが、この映画は「死にたい」が「生きたい」に変わる瞬間を描いているんですよ。常々私はフィクションは生を肯定してナンボだと思っていますし、私が映画を観るのだって生きるためのエネルギーを受け取るためという理由もありますからね。だって毎日「もう死ぬべきだな」と思って生きていますし。なので、その「死にたい」が「生きたい」に変わる瞬間は涙しながら観ていました。あれはズルい。今年屈指の名シーンだと思います。
公開初週は『ジョーカー』の陰に隠れ、第二週は台風が直撃と、運に恵まれなかったこの映画。このまま埋もれさせるにはあまりにも悔しい。2/5にDVDが発売開始ですし、おそらくレンタルもされると思います。本当にお勧めなので、よろしければぜひ。
以上、第10位~第4位の発表でした。いかがでしたでしょうか。『王様になれ』や『ホームステイ』といった映画は、ツイッターを見てもほとんど選出している方がいないので、少し意外に感じられたのではないでしょうか。私が選ばなければ誰が選ぶの!?といったテンションで選出させていただきました。また、選出した映画を観るとその傾向が浮き出てきますね。まあ、そういうことです。
では、ここからは下半期のベスト3を発表させていただきます。さあ、1位に輝いたのはどの映画なのか!?
第3位:空の青さを知る人よ
―あらすじ―
山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、二人きりで暮らしてきたのだ。あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして、ある男の名前が発表された。金室慎之介。あかねのかつての恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人。高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。それを知ったあおいの前に、突然“彼”が現れた。“彼”は、しんの。高校生時代の姿のままで、過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。思わぬ再会から、しんのへの憧れが恋へと変わっていくあおい。一方で、13年ぶりに再会を果たす、あかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。
(映画『空の青さを知る人よ』公式サイトより引用)
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【ネタバレあり】映画『空の青さを知る人よ』感想【かつて「狭い世界」にいた人達への応援歌】
『あの花』や『ここさけ』の長井龍雪監督の最新作。予習として『ここさけ』を見たんですけど、思春期のアンビバレントな感情が描かれていて好きな映画でして、この感じでやってくれるのならこの映画も好きだろうなと思っていたんですよ。ただ、この映画はその期待を超えてきまして。中高生向けかと思ったら、今を生きる全ての大人たちへの応援歌だったんですよ。
子供は学校という狭い世界で生きている。でも、大人たちは社会という広い世界を生きている。狭い世界から広い世界に移るということは視野が広がったり得るものもある一方で、失うものもあるんですよね。それは身の程知らずの夢だったり、自分の可能性に対する期待だったり青い感情と呼ばれるものです。
この映画はそんな狭い世界にいたかつての自分が、広い世界にいる今の自分に発破をかけるという映画なんですよ。しんのが慎之介に「こうなりたいって思わせてくれよ!」と言うように。でも、出した結論は狭い世界に回帰するのではなく、広い世界で生きること。過去の自分というフィクションから力を貰って。最後の慎之介の「まだ諦めていない」という言葉は、彼を始めとした大人の前向きな変化を表していてグッときました。
で、この映画は確かに大人に響く映画なんですけど、私は学生にもこの映画を観てほしいと感じていて。なぜなら、進学するにつれて彼ら彼女らの世界は広くなっているはずですし、幼い子供のころの夢は捨てた人も多いと思うんです。学生だって悩んで失っている。だとすると、この映画で描かれたことは学生も共感できるはずで、全年代に向けた映画になっていると感じました。
吉沢亮さんや吉岡里帆さんを始めとした声優陣も素晴らしかったですし、あいみょんさんの主題歌が流れるタイミングも最高。主人公のあおいはベーシストで音楽映画としても好感度は高いですし、もっと観られてもよかった映画かなと思います。私は公開されてから3日で2回観ました。それくらい好きな映画です。
第2位:チャイルド・プレイ
―あらすじ―
最先端テクノロジー企業・カスラン社の期待の新商品、“バディ人形”。
引っ越しをして友達がいない少年アンディは、誕生日に音声認識やセンサー付きカメラ、
高解像度画像認識などの機能が付いた高性能人形を母親からプレゼントされる。
自らを“チャッキー”と名乗る人形だが、実は欠陥品だと判明。
的外れな受け答えに最初はあきれるアンディだが、「君が一番の親友だよ」と話す
チャッキーに次第に夢中になる。
その後、“彼”が豹変することなど知らずに―。
(映画『チャイルド・プレイ』公式サイトより引用)
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【ネタバレあり】映画『チャイルド・プレイ』感想【2019年、チャッキーは「無敵の人」として生まれ変わった】
1988年公開の『チャイルド・プレイ』をリブートしたこの一作。私は「好きなホラー映画は?」と聞かれたら、『チャイルド・プレイ』と答えるぐらいにはオリジナル版が好きなので、この映画も公開されて初週に観に行きました。そして、観て驚きましたよ。単なるホラー映画ではなく、現代社会の問題を含んだ社会性のある作品として生まれ変わっていたのですから。
まず、オリジナル版よりもホラー要素は増しています。今度のチャッキーはAI搭載。オリジナル版ではほぼ包丁で刺すのみだったチャッキーが、この映画では芝刈り機、電動ノコギリ、自動運転車の暴走など実に多彩な殺し方をしています。特にドローンのシーンは、制作陣はドローンに何か恨みがあるのかというぐらいのおぞましいシーンでした。
それに、孤独だったアンディの成長物語としてもこの映画は優秀で。アンディに友達ができて、彼の鬱屈した感情は無くなっているんですよね。最後の展開は『IT』や『スタンド・バイ・ミー』を観ているようでした。
ただ、この映画が重要なのはその社会性。オリジナル版ではチャッキーには連続殺人鬼の怨念が宿っていますが、この映画では、ただのしがない一工場員です。しかし、彼の社会的地位は低く、会社をクビになり、「誰も助けてくれない」という絶望の中で死んでいっています。誰かに認められたい。この映画のチャッキーの行動原理は承認欲求だと私は思います。しかし、アンディの承認は他者に向けられていて、チャッキーはその承認を自らに向けたかった。これがチャッキーの殺人の動機だと私は考えます。
そして、同じことは世界中で起こってしまっているわけですよ。もちろん日本でも。この映画って『ジョーカー』に通じるところがあると私は思います。私も社会的弱者なので、この映画は評価しなければならないという強い使命感を抱きました。年間の1位に選ばなければならないと思ったほどです。
現在、DVD/BDが発売中。またレンタルも開始されており、Amazon Prime Videoでも視聴可能です。よろしければご覧ください。
このように私に大きな衝撃を与えた『チャイルド・プレイ』。ですが、その『チャイルド・プレイ』よりも強いインパクトを残した映画が、下半期に一つだけありました。
第1位:ホットギミック ガールミーツボーイ
―あらすじ―
都内のマンションに住む女子高生・成田初は、優しい兄・凌、元気な妹・茜と両親と、ごく普通の家庭で暮らしていた。ある日、茜に頼まれて内緒で購入した妊娠検査薬を、同じマンションに住む橘亮輝に知られてしまう。バラされたくなければ"奴隷"になれ、という条件を突き付けられ、その日を境に初は亮輝の無茶な命令に振り回されるようになる。そんな時、小学校の時に突然転校してしまった幼馴染・小田切梓がマンションに帰ってくる。今や人気雑誌モデルとして第一線で活躍する梓が、昔と変わらず自分を守ろうとしてくれるその姿に初は自然と心惹かれ、2人は遂に付き合うことに。幸福感に溶けてゆく初だったが、ある夜、彼の本当の目的を知ってしまう。動揺し、深く傷ついている初を心配し、常に寄り添い愛情を注いでくれたのは兄の凌だ。昔から兄としての優しさも絶やさず、しかし凌も知られざる秘密を抱えていた。3人の男性との恋に揺れ動きながら、少しずつ自分の中に芽生える本当の気持ち。初は悩みながらも1つの答えに辿り着く。喜び、痛み、迷いの先にある、物語の最後に彼女が見出した、その想いとは―――。
(映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』公式サイトより引用)
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【微ネタバレあり】映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』感想【観ていて逃げだしたくなった】
今年の下半期映画ベスト10、第1位は『ホットギミック ガールミーツボーイ』です。こちらも公開されたのは6月なのですが、観たのは7月だったので下半期のランキングに入れさせていただきました。『溺れるナイフ』『21世紀の女の子』の山戸結希監督の最新作だったこの映画は、観ている途中ずっと圧倒されっぱなしで、終わった後に思わず「凄い……」と呟いてしまう。語彙力を全て奪われてしまうほどの凄まじい映画でした。
この映画、一人の女の子に三人の男子が言い寄ってくるという、設定だけ見れば典型的なキラキラ映画のように思えます。しかし、山戸監督はこのキラキラ映画の枠をぶち破ってきました。カット数が異常に多く、カメラワークもバンバン切り替わるので圧倒的なスピード感があり、数本の映画を観たような情報量が頭に叩き込まれます。さらに、オープニングから静止画を多用するなど山戸監督の演出や、それを実現する編集も冴えに冴えていました。揺れ動くなんて甘っちょろい言葉じゃとても説明できない、初の激動がひしひしと伝わってきます。
さらに、特筆すべきはその台詞回しです。私は山戸監督の映画の真骨頂は、テンポが異常なほどいい台詞回しにあると思っていまして。それは『21世紀の女の子』内の短編『離ればなれの花々へ』でも存分に発揮されていましたが(こちらもレンタルできるので見てほしい)、この映画ではさらにそれが進化。体言止めを多用し、歯切れのよい台詞回しで観ている人の脳みそを強烈に揺さぶります。
また、山戸監督の映画の特徴として挙げられるのが、全編にわたって音楽が流れている時間が多いということ。これは観ないと分からないのですが、キャラクターが喋っているんじゃなくて歌っているんですよ。しかも音楽が流れていない時間帯でも、頭の中にはすっと音楽が流れていてキャラクターが歌っているという一種のトランス状態に私は陥っていました。
もう気がつくと泣いていたんですよね。そんな泣くようなシーンじゃないのに、その演出力のあまりの高さに。今観ているのは映画なのだろうか?もっと恐ろしい何かではないだろうか?そう感じて、途中で逃げ出したくなったんですよね。こんなこと初めてですよ。
ここまで外側の話ばっかりしてますけど、映画のストーリー自体も抜群に良いんですよね。山戸監督曰く、この映画は「主体性を得るための失恋」というものを描いているらしくて。今まではボーイミーツガールで、女子が男子に恋して自らを委ねて主体性を失っていったのに対して、この映画はその真逆をやっている。フェミニズム?やジェンダー論?みたいな難しいことは良く分かりませんが、私にとってはその演出の斬新さも合わせて、とても新鮮なものとして受け止めることができました。最後の初が主体性を獲得するシーンなんて、感情の爆発が凄かったですからね。途轍もなかったです。
以上、『ホットギミック ガールミーツボーイ』が下半期1位の理由とそのインパクトについて語ってきましたが、実際文章で読むよりも映画を観た方が早いでしょう。今、この映画はNetflixで全世界に配信されています。山戸監督の演出にあまりハマらない方もいるとは思いますが、私はぜひ観ていただきたいです。強く勧めます。
2019下半期映画ベスト10一覧
特別賞:月極オトコトモダチ
特別賞:いちごの唄
特別賞:ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん
第10位:JOKER/ジョーカー
第9位:いなくなれ、群青
第8位:見えない目撃者
第7位:エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
第6位:劇場版 FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん
第5位:王様になれ
第4位:ホームステイ ボクと僕の100日間
第3位:空の青さを知る人よ
第2位:チャイルド・プレイ
第1位:ホットギミック ガールミーツボーイ
というわけで、2019年下半期のベスト1は『ホットギミック ガールミーツボーイ』でした。インパクトという面では他の追随を許さない映画でしたね。山戸監督の次回作も楽しみです。
それでは、ついに!とうとう!2019年映画ベスト10を発表したいと思います!!
と、その前に注意事項。もうすでにこの記事は15,000字をオーバーしてしまっています。いい加減長い。なので、ここからはコメントはなしで、タイトルのみの発表とさせていただきます。上半期公開の映画でランクインした映画につきましては、個人的2019年上半期映画ベスト10+3や各映画の感想記事を参照ください。何卒お願いします。
では、2019年映画ベスト10の発表です!!!
2019年映画ベスト10
第10位:プロメア
感想はこちら↓
【ネタバレあり】映画『プロメア』感想【絶対観た方がいいよ】
第9位:王様になれ
第8位:ホームステイ ボクと僕の100日間
第7位:スパイダーマン:スパイダーバース
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【ネタバレ少なめ】映画『スパイダーマン:スパイダーバース』感想【スパイダーマン初心者でも楽しめる傑作】
第6位:空の青さを知る人よ
第5位:翔んで埼玉
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【微ネタバレあり】映画『翔んで埼玉』感想【Jリーグサポーターにこそ見てほしい映画】
第4位:海獣の子供
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【ネタバレ少なめ】映画『海獣の子供』感想【「わからない」から面白い】
第3位:チャイルド・プレイ
第2位:ホットギミック ガールミーツボーイ
第1位:バジュランギおじさんと、小さな迷子
感想はこちら↓
【微ネタバレあり】映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』感想【今必要な「願い」の映画】
というわけで、2019年映画ベスト1は、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』でした。いかがでしたでしょうか。
こうして見てみると、今年ベスト10に選出した作品には音楽が印象的な映画が多かったように感じます。『プロメア』、『王様になれ』、『空の青さを知る人よ』、『ホットギミック ガールミーツボーイ』、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』。上半期だと『小さな恋のうた』、下半期だと『いちごの唄』と音楽が映画に占めるウェイトの大きさを改めて思い知らされた一年でした。音楽が良いとそれだけで満足度は上がりますしね。来年も映画に耳を傾けていきたいと思います。
また、私のランキングの特徴は、優しい映画が多いことだと思います。年間ベスト10でも、『チャイルド・プレイ』と『ホットギミック』の他はすべて優しい映画ですし、下半期の6,7位が『光のお父さん』と『エイス・グレード』であることにそれは顕著ですよね。というのも、これは私のパーソナリティに起因してのことです。
私って生きていちゃダメな人間なんですよ。映画を観ていちゃダメな人間なんですよ。給料も最低賃金で、コミュニケーション能力も低いから友達もいない。そのくせろくに努力もせず口をついて出るのは不平不満ばかり。こんな人間が生きていていいと思います?違うでしょう?
でも、私はやっぱり生きたいんですよ。生きるためには癒されなくてはならなくて、人とのかかわりの中で癒されない私は、映画などのフィクションに逃避するしかないんです。なので、そんなフィクションには私が求めているものって「生きていることを肯定してくれること」。生きていていいんだって思いたいんですよ。
もちろん現実に向き合わなければならないのは分かってますよ。でも、たまには逃避したっていいじゃないですか。このベスト10は言い方を変えれば、そんな私を癒してくれた映画です。生き延びさせてくれた映画です。すいません、ものすごく気持ち悪い理由で選んでしまって。でも、これが私の胸中です。切実な思いです。分かってくださいとは言いません。ただ、貶さないでください。お願いします。
湿っぽい話はこれくらいにして、ここからは未来の話をしましょう。ここで、他のブロガーの方がしているように大きな目標を掲げられたらいいのですが、あいにく私にそんな余裕はなく、現在で既にいっぱいいっぱいの状況です。そもそも飽きっぽい私が、ブログを2年続けているだけで奇跡的ですしね。なので来年の抱負としては、
・新作映画を100本観る
・そのうちのなるべく多くの映画の感想をブログに書く
この2点を目標に頑張りたいと思います。
最後になりますが、改めて本年中のご愛顧、誠にありがとうございました。弱小で、零細で、稚拙で、いつ突然終わるかも分からない不安定なブログですが、来年もこんなちっぽけな私の感想にお付き合いいただけるのであれば、これほど嬉しいことはありません。2020年も何卒よろしくお願いします。
一年間の感謝を込めて。
お読みいただきありがとうございました!!!
おしまい
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