こんにちは。これです。


東京や大阪などで、また緊急事態宣言が延長されましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。シネコンをはじめとして、休館する映画館も多く、いくつかの映画が公開延期になり、辛い時期が続いていますね。個人的には、映画館は換気もしていますし、映画を観ている間は基本喋りませんし、クラスターも発生していないので、営業していいと思うんですけどね。観終わって感想を言いあう人たちは、別に映画を観なくても喋るでしょうし、そこで感染したからといって、それは映画館の責任じゃないですよ。スタジアムは人を入れることができているんですから、映画館も開けていていいと思うんですけどね。


さて、幸運にも私の暮らす地域は、まだそこまでコロナが広まっておらず、映画館も営業できているので、5月も何本かの映画を観ることができました。数えたら18本観ていましたね。今回のブログは、そんな5月に観た映画のランキングとなります。果たして、どの映画が一位に輝いたのでしょうか!?









第18位:椿の庭


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写真家である上田義彦さんがメガホンを取ったので、ショット単位での画の綺麗さは特徴的です。ですが、自らの力量を披露したいのか、風景を収めたショットがやたらと多く、しかもストーリーを前進させるためのエンジンにはなり得ていないので、個人的には退屈だという印象が勝ってしまいました。ストーリーも悪い意味で何も起こらず、眠気を抑えることに苦労した記憶があります。今年観た方がの中では、現時点ではワーストに近いです。








第17位:裏アカ


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2015年のツタヤクリエイターズプログラムを受賞した企画が、6年の時を経てようやく映画化。しかし、時間をかけたにもかかわらず、裏アカウントの描写は、2016年公開の『何者』に劣る印象を受けました。満たされない心の渇きと「本当の自分」というテーマの掘り下げがなかなかに甘く、また4つぐらい明らかに尺が長すぎるシーンがあり、没入を削がれます。良かったのは、神尾楓珠さんのサイコな雰囲気ぐらいですかね。「住所を突き止めるのなんて簡単だよ」の人をどこかで登場させるくらいの、おぞましさがほしかったです。








第16位:彼女来来


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ゴールデンウィークに松本で観たMOOSIC LAB特集の、4作のうちの1作であるこの映画。ポスターにもある「ある日、彼女が別人になった」という趣旨そのままの映画で、入れ替わった彼女を演じた天野はなさんの不気味さが、映画の魅力の大きな部分を支えていました。前原滉さんの最初は拒絶しながらも、徐々に非日常に侵されていく演技も良かったのですが、いかんせんフックになる要素が少なすぎて……。唐突な終わり方自体は好きなんですが、全体として見ればこのくらいの順位になるのかなと。なお、6月にはいくつかの劇場で公開される予定です。








第15位:the believers


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MOOSIC LAB特集で観た映画その2。2016年ごろの新宿を舞台にした群像劇で、時間軸も行ったり来たりとかなり複雑な作りをしています。ビデオデッキで再生したような、画素数の少ない荒い画面は80年代の邦画を観ているよう。それぞれの話のキャラクターの交わりも最小限にとどめて、最後でエモーショナルなシーンを用意するなど、好きなところはいくつかありましたが、私はバカなので、その展開に少しついていけない感じもしました。完全に私のせいですね。コロナ禍前の街並みが懐かしかったです。








第14位:バクラウ 地図から消された村


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カンヌでも絶賛され、公開されるやいなや映画ファンの間でも話題を呼んだ映画も個人的にはあまりハマらず。『ミッドサマー』のホルガ村に並ぶ「行きたくない村ランキング第1位」映画で、村人が殺し屋たちを返り討ちにしていく後半は痛快なのですが、正直あまり事が起こらない前半が退屈で何度か落ちかけてしまいました。不穏な空気を漂わせていたのですが、とっかかりに欠けていて……。でも、殺し屋たちの末路にはゾクッとしましたし、スプラッター映画が好きな人たちにはハマるのかなと感じます。私が苦手なだけで。








第13位:いのちの停車場


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吉永小百合さん、広瀬すずさん、松坂桃李さん、西田敏行さんをはじめとした豪華俳優陣の映画も個人的にはあまりハマらず。命というテーマに向き合うには、これくらい力量のある俳優さんを揃えなければならないというのは分かるのですが、演技が上手すぎてかえってリアリティがないという事態が発生していました。個人的に気になったのは、松坂桃李さんが急に息子のふりをするシーンですね。あそこで涙を流すんですけど、俳優でもない一般人が急に泣けるか?と感じました。仲が険悪な父親を重ね合わせたのは分かるんですけど、それにしたってスピーディーすぎではと思います。








第12位:地獄の花園


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往年のヤンキー漫画を、OLを舞台にして、さらにバラエティ番組のノリを悪魔合体させたような映画です。モノローグでも30回ぐらい「ヤンキー漫画」と言うくらいには、ヤンキー漫画の定番をなぞっていて、良いところももちろんあるんですけど、それ以上に悪いところやツッコミどころもヤンキー漫画と一緒だなと。広瀬アリスさんの修行編の退屈さが尋常じゃなく、そりゃ皆修行編避けるわなという感じです。理由もなく強い永野芽郁さんは良かったのですが、アクション自体はまあそこまで…...。ラストは好きですけどね。








第11位:アポトーシス


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MOOSIC LAB特集で観た映画その3です。とにかく重くて、暗くて、その暗さは今年観た映画の中でも随一です。もうすぐ世界が終わるという設定を、これ以上なくシリアスにやりきっていて、カルト教団や自死もあるなかで、「生きるってなんだ」「どうして生きるんだ」という問いが発露する瞬間は観ていて、魂を揺さぶられました。この鉛色した雲みたいな重苦しさ、私は好きなんですけど、他の人が観たらどんな反応をするのか気になります。でも、こちらはラストカットがあまり好きじゃないです。「終わりです~」じゃないです。














第10位:ファーザー


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認知症の人から見える世界を描いたこの映画。その触れ込みから、もっと視覚効果でグラングラン揺さぶって来るのかと思いましたが、存在しない人物や会話を見せることに注力していました。認知症で、周囲に苦労をかけているという苦しみ、癒えない過去の傷、自分に対する自責の念。それらが一体となって、見せる世界は目を背けたくなるほど、辛辣なものでした。何が現実なのかが分からなくなっていき、頭は混乱していく。最初の会話さえ、主人公であるアンソニーが見た虚妄なのか。自分の認知機能も歪んでいくようで、恐ろしさを感じましたね。


さらに、アカデミー賞主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンスの演技も出色。自分が正しいと信じようと、言葉を重ねる姿は見ていて居たたまれなくなりますし、ショックを受けたときの表情がまた真に迫ってくる。史上最高の演技という謳い文句に偽りなしです。


ただ、いかんせん地味な印象もぬぐい切れず、この順位となりました。








第9位:JUNK HEAD


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公開当初から、密かに話題になっていたストップモーションアニメーション映画をようやく、ゴールデンウイークに鑑賞することができました。人類が生殖機能を失った後の世界観を描いていて、モンスターの造形や背景の作り込みなど細部にまでこだわっていて、これをかなりの部分一人で、しかも本職が内装屋さんの方が作ったというのは、それだけで驚嘆に値すると思います。


人間がほとんどいない、ある種アポカリプス的な世界観の中でも、オリジナルの言語を使ったり、音楽を使って逃走シーンを盛り上げたりと、映画的な楽しさも十分ありました。職長をやたらおだてるキャラクターや、いかにもモブっぽい戦闘員にやたらおしゃれな名前がついていたりなど、コメディ要素もあって退屈しませんでしたし、ヒーロー映画的な味付けがなされているのも嬉しいポイントです。


構想的には三部作らしく、また明らかに続編がある終わり方をしたので、二作目が公開されたら、また観たいなと思います。バズったことで、色々な人の協力を得られそうですし。それが良いか悪いかは分かりませんが。








第8位:ベイビーティース


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観る前はあまり好きそうな映画じゃないかなと思いつつ、どうかは観てみないと分からないと思って、観に行ったこの映画。結論から言うと、少女の成長を描いたわりと好きな映画でしたね。コンディションが整わず寝てしまったのが、悔しく思えるほどには。


この映画は、歯医者の娘さんが恋を通じて自分を成長させていく映画なのですが、細かく章が分けられていて、それぞれの章のタイトルにはシンプルながら好感触でした。また、少女の両親が突然現れた彼氏を、全く拒んでいないのも新鮮でした。結構早い段階で紹介が終わって、一緒に住んでますからね。親と彼氏の対立という安直なトラブルを用意して話を進める、といった映画になっていなかったことが一番好きなポイントですね。主人公の髪色がちょくちょく変わるのもちゃんと理由がありましたし。


でも、終盤の展開はそれほど…...。これはネタバレなのですが、主人公の少女は病気に侵されていて、ラスト付近で死んでしまうんですね。キャラクターの対立ではなく、病を話のエンジンにしているんです。なので、最後はかなり湿っぽくなってしまい、それまでの明るい空気との温度差が少なくない。難病モノにしなくてもよかったのにな、とはどうしても思ってしまいました。








第7位:夏時間


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ポスターでも触れられている通り、『はちどり』を思わせる、良い意味で特別なことが起こらない韓国映画が7位にランクインです。『はちどり』は個人的には、あまりハマらなかったのですが、この映画は個人的には好きです。ちょうど後述する一位の映画を観終わった直後で、強い衝撃を受けて頭が混乱していたのですが、そんな慌てた状況でも、すっと入ってくる優れた映画でした。『はちどり』よりも力みが少ないように感じたんですよね。あと、単純に上映時間も『夏時間』の方が30分ほど短いですし。


この映画の好きなポイントは、一つには夏休み特有の空気感があります。過度に楽しかったり、寂しかったりと演出するのではなく、どちらも含まれているちょうどいいバランスを感じられて、心地よかった。また、これもネタバレになるのですが、映画の中でおじいちゃんが死んでしまうんですよね。でも、この映画は過度にお涙頂戴をするのではなく、死さえも日常のありふれたものとして描いている。そのスタンスに好感が持てました。何か強いショックを受けた後の、清涼剤として観るのが一番良いと思います。もちろん単体でも面白いですが。







第6位:HOKUSAI


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去年公開のはずで、一年延期したにもかかわらず、状況は悪化しているという気の毒な映画。良いところと悪いところがはっきりしていますが、トータルで見れば私は好きでした。


この映画は4章構成になっていて、1章と4章はかなり出来が良いのです。1章で青年期の北斎を型破りな天才ではなく、ちゃんと師匠もいてどちらかというと計算で絵を描いている人物と再定義したのは新鮮でしたし、4章では親友を亡くしておきながら、それでも創作に打ち込む北斎の狂気が描かれていました。さらに、1章では玉木宏さんや阿部寛さんが、4章では永山瑛太さんが、男の色気を感じさせる素晴らしい演技を見せています。ここまで男が格好いい邦画は、現代ではなかなか貴重ではないかと思うほどです。


なので、2章3章で強度がガクンと落ちてしまったのはもったいなかった。大きなトピックもなく、俳優さんで引っ張るほどの強さもなく、中だるみしてしまっていた印象です。個人的には、富嶽三十六景のエピソードが弱いのが意外でしたね。結構ダイジェストみたいに流されてしまうので、あの波が出てきたときのカタルシスが薄いんですよ。1章の強度で最後まで突っ走っていれば、傑作になれたのではないかという、惜しい映画だと感じました。














第5位:ジェントルメン


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イギリス版の全員悪人映画が第5位にランクインです。映画の脚本案を友人に話すという体で語られる物語は、悪人たちの策略の巡らせ合い、騙し合い。地価の大麻農場で巨万の富を築いた主人公が、引退して後を継がせようというのが基本的なストーリーなのですが、セリフ回しに洋画ならではのウィットが効いていて、何人か人は死にますけれど、あくまでも娯楽映画として観ることができます。観終わった後、深いことを考えずに「あぁ面白かった」と感じられる。いい意味で後に引かないさっぱりとした面白さがありました。和牛は海外でも和牛なんだとか、アーセナルのスタジアムが登場したりとか、個人的にツボる要素もいくつかありましたしね。


その中でもこの映画の一番の魅力は、二転三転するストーリーでしょう。どこまでが脚本で、どこまでが現実なのか分からなくなるストーリーテリングが見事で、パワーバランスが次々と入れ替わっていく展開には痺れました。肉を剥ぎ取れとか、冷凍庫に死体を保管していたりなど、ゾッとする要素もスパイスとして効いています。また、セリフによってキャラを立てるという映画的な脚本も個人的には好きでしたね。会話劇としての面白さは、今年観た映画の中でも一二を争うと思います。特に何も考えず、素直に観ることができるので、まだ観ていない方がいたらぜひともお勧めしたい映画ですね。










第4位:ザ・プロム


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第4位にランクインしたのは、Netflix発のミュージカル映画です。配信自体は去年で、好評を得ていたのですが、いつでも観られると、いつまでも観ないという私の怠惰な性格もあり、地元の映画館で公開されたこのタイミングでの鑑賞となりました。


そして、感想としては映画館で観ることができて良かったという思いが、まず来ましたね。ミュージカル映画なので、大勢が一糸乱れぬダンスを披露するシーンがいくつかあるのですが、スマートフォンの小さい画面よりも、映画館の大スクリーンで観た方が、当たり前ですけど映えるんですよね。音響も良いですし。今、政府や自治体の謎の措置で、東京や大阪の多くの映画館が休業を余儀なくされている状況もあり、映画館で映画を観る醍醐味をより一層味わえた作品でした。今日日、こんな終わり方する?という大団円でしたし、エンディングにも工夫が凝らされていて、観終わった後、思わずハッピーな気分になれたことも嬉しかったです。


お話の方も、男女カップルでしか行けないプロムに、女性同士で行こうとする、慣習を突き破ろうとする現代的なテーマを帯びていて、ポイントが高いです。そこにメリル・ストリープやニコール・キッドマンといった名優が手助けをしようとするのですから、単純に観ていて楽しかったです。個人的に好きだったのが、主人公を演じた女の子の俳優さんで、名優に取り囲まれていても負けない華を持っていて、彼女によってもたらされた強度みたいなものは、この映画において大きかったと思います。ポスターに彼女が映っていないのは、個人的には唯一の不満点ですね。








第3位:POP!


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2020-21のMOOSIC LABのグランプリを受賞したのが、この映画。『アルプススタンドのはしの方』で一躍有名になった小野莉菜さんが、奇抜な髪形で、チャリティー番組のサポーターを務めているという設定のおかしな映画です。


この映画の強みと言えば、予測のつかない奇想天外な展開の連続。前のシーンからは想像もつかないシーンが次々と繰り出され、ジェットコースターに振り回されているよう。だって、こういう話で普通は爆弾魔とか出てきませんからね。観ている間ずっと飽きずに楽しむことができました。ハートマークを「これケツですよね?」と問うシーンが個人的にお気に入りです。


また、私がこの映画で一番好きなのが、主人公の孤独の描き方です。主人公はそのイメージから、わりと行動を制限される窮屈な生活を送っていました。また、ろくに整備もされていない山間の駐車場で、一人意味のないバイトをしていることも、心に来ました。クソ真面目に指さし確認をする姿が、哀愁を誘うんですよね。


それに、主人公は一人暮らしをしていますが、人工知能のアレクサ(みたいなもの)と一緒に暮らしてるんですよ。電気をつけたり、夜にしりとりをしたり。ただ一人で暮らすよりも、孤独をより如実に浮かび上がらせていて、この描写は斬新だなと感じました。こういった孤独が積もり積もって「私を消してよ」というシーンは『POP!』というタイトルにそぐわないほど重大なものでした。そりゃそうなるわなというロジックがあり、私は深く共感しましたね。


MOOSIC LABMらしく、Aru-2さんによる音楽も良く、最後のタイトル回収ではハッとさせられました。ぜひ多くの方に観て、楽しんでほしい映画ですね。








第2位:NO CALL NO LIFE


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公開自体は今年3月の、芸能事務所ホリプロの60周年記念映画です。その触れ込みだけで地雷臭がし、実際に評判もあまりよろしくはなかったのですが、個人的にはポスターの雰囲気からかなり好きな気がしていたので、観なければ分からないというマインドを発動し、観に行きました。そして、実際に見てみた結果、年に数本ある「評判はそこそこだけど、個人的には大好きな映画」いわゆる偏愛映画となりました。


何がいいって、その空気感ですよね。基本的なストーリーは普通の少女が、怪しい少年に惹かれていって、一緒に沼に引きずり込まれていくというお話なのですが、そのアンモラルな空気感が何ともたまりませんでした。少年は酒も飲むし、タバコも吸う。だけれど、心に傷を抱えていて、それは少女も一緒だった。二人が互いの足りないところを補うのではなく、一緒にいても傷は開いていくだけ。なのに、この人しかいないという思春期特有の未熟さが、ドツボにハマりました。


『ちはやふる 結び』などで知られる優希美青さんは、徐々に狂っていく少女を情感を持って演じていて良かったのですが、個人的にはこの映画で初めてお会いした、井上祐貴さんが想像以上に輝いて見えて。危ない雰囲気の中にある、痛さ、脆さ、か弱さをその立ち振る舞いで表現していて素晴らしく、今月最大の発見でした。現時点では、今年のベストボーイですね。今後の出演作にも注目していきたいです。


また、この映画はお互いがお互いのヒーローになる。二人で犯罪行為に手を染めるという意味で言ったら、4月に公開された『砕け散るところを見せてあげる』と少し似通っているんですよね。『砕け散る~』みたいな血の匂いがする青春映画が好きな私が、この映画を気に入るのは必然だったような気もします。過去からの電話というSF要素も、怖さというスパイスを加えていてよかった。井樫彩監督は『21世紀の女の子』で知ったのですが、個人的にこれから期待の監督さんのリストでも、かなり上位に位置しています。








第1位:きまじめ楽隊のぼんやり戦争


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ダントツです。今年単位で見ても、確実にベスト争いをするのではないかという超絶大傑作です。


舞台は9時から5時まで規則正しく戦争をしている町。ロボットみたいにガチガチに動くキャラクターに、お役所仕事で融通が利かない軍隊。どんな脅威かも忘れて戦争をしている。盗みをしたのに、市長の息子だからと警察になれる。打たれて片腕を失っても、感情に大きな変化はなし。女性は子供を産む道具としか見られていない。平坦な話し方は癖になり、そのブラックユーモアに思わず笑いが込み上げてしまいますが、冷静に考えたら笑えるところなんて、こぼれ落ちる白米ぐらいしかない。今の二本や世界を痛烈に皮肉っていて、その刃の切れ味が最高でした。


主人公は前線に出て、銃を打っていましたが、ある日楽隊への移動を命じられてしまいます。この楽隊に辿り着く過程も面白かったのですが、楽隊に辿り着いてからはきたろうさんのキャラクターもあり、面白さのギアが一段階上がっていきます。しかし、楽隊の仕事は軍隊を勇気づけること。かつて、日本でも戦時中に映画は国威発揚の道具として用いられていましたが、歴史は繰り返すのだと思わずにはいられません。


また、主人公は向こう岸の住人と音楽で心を通い合わせますが、最終的にはそれも何の役に立たず。今の文化芸術が真っ先に制限されているコロナ禍の状況さえも、意図的にではないにしても反映していて、その先見性に身震いがしました。文化芸術で世の中は変えられないというショッキングなラストは、観終わった後思わず放心状態になってしまうほどインパクトのあるもの。最悪に最悪を塗り重ねたあの終幕は、しばらくは忘れようとしても忘れることができないでしょう。


ユーモアを隠れ蓑にして、戦争の愚かさ、醜さ、滑稽さを描き切ったこの映画は、一人でも多くの方に観てもらいたい。5月だけでなく、現時点での2021年ベスト映画です。













以上で5月の映画ランキングは終了となります。いかがでしたでしょうか。5月は延期になった作品も多いので、新作映画があまり上位に食い込んでこないという結果になってしまいました。でも、個人的には割と満足しているランキングで。とくにベスト5はどれも面白い映画ですし、機会があればぜひ観てほしいと思います。


さて、6月に観る予定の映画ですが、新作としては


・賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット
・女たち
・るろうに剣心 The Beginning
・猿楽町で会いましょう
・キャラクター
・ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち
・夏への扉 キミのいる未来へ
・いとみち



あたりはマストで鑑賞予定ですし、新作以外でも、


・SNS 少女たちの10日間
・BLUE/ブルー
・僕が飛びはねる理由
・彼女は夢で踊る
・くれなずめ
・ザ・バッド・ガイズ



はぜひ観たいなと思っています。あとは、『胸が鳴るのは君のせい』と『映画大好きポンポさん』は、地元ではやっていないのですが、何とかして観たいなと。これ以上映画が公開延期にならないことを祈りつつ、上半期最後の6月も映画館ライフを楽しみたいと思います。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい 











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