こんにちは。これです。今回のブログも映画の感想になります。コロナウィルスが大流行しているこんな状況下で、映画館に行くのは本当は良くないことなんでしょうけど、私は映画館を潰したくないので。手洗いやアルコール消毒などを万全にしたうえで、今日も映画館に行ってきました。


今回観た映画は『スウィング・キッズ』。今年の頭に公開された韓国映画です。朝鮮戦争とタップダンスという相反する要素をモチーフとしているようで。今年は韓国映画に勢いがありますし、期待も高まります(韓国での公開自体は2018年でしたけど)。


では、感想を始めます。最初に断っておきますけど、映画の途中で寝てしまいました。なので、かなり内容の薄い感想となっています。また文章自体も相変わらず拙いです。それでもよろしければどうぞ。



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―あらすじ―


1951年。朝鮮戦争当時、最大規模の巨済(コジェ)捕虜収容所。新しく赴任した所長は収容所の対外的なイメージメイキングのために、戦争捕虜たちによるダンスチーム結成プロジェクトを計画する。収容所で一番のトラブルメーカー ロ・ギス、4か国語も話せる無認可の通訳士 ヤン・パンネ、生き別れた妻を捜すために有名になることを望み、愛に生きる男 カン・ビョンサム、見た目からは想像できないダンスの実力を持った栄養失調の踊り手 シャオパン、そして彼らのリーダーであり元ブロードウェイのタップダンサー ジャクソンまで、紆余曲折の末、一堂に会した彼らの名前はスウィング・キッズ!それぞれ異なる事情を抱えてダンスを踊ることになり、デビュー公演が目前に迫っていた。国籍、言葉、イデオロギー、ダンスの実力、全てがちぐはぐな寄せ集めダンスチームは前途多難でしかないが…。

(映画『スウィング・キッズ』公式サイトより引用)



映画情報は公式サイトをご覧ください













この映画はまず、時代背景の説明から入ります。時は1951年。朝鮮戦争の真っただ中。韓国と北朝鮮間の戦争は、アメリカと中国という大国の代理戦争と化していました。そして、両国から何万人もの捕虜が北と南の収容所に分けて収容されています。ただ、条約のおかげで捕虜といえども基本的人権の保護は成されている様子。『大脱走』とは大違いですね。


しかし、同じ収容所の中に韓国からの人と、北朝鮮からの人が収容されていて、自由主義と共産主義という二つのイデオロギーが混じっている様子です。まさに、南北朝鮮の縮図といった感じです。実際、この映画の舞台となる巨済捕虜収容所の所長は、北朝鮮側の過激派に襲撃を受けていましたし、北の収容所に比べて、南の収容所は少し荒んでいるといった紹介が、映画の冒頭になされます。


これに腹を立てたのが、新しく赴任してきた所長です。所長は巨済収容所のイメージを作るために、捕虜たちに何かをさせる事を思いつきます。そこでまず白羽の矢が立ったのが、所内一のトラブルメーカーであるロ・ギス。彼は朝鮮戦争の英雄を兄に持つ、共産派の憧れのような存在でした。映画はじめは。


ギスはある日、アメリカ軍のパーティに乗じて食料を持ち出そうとします。パーティの前にはこっそりタップダンスを踊る黒人が。これがダンスチームのリーダーとなるジャクソンでした。しかし、パーティーの楽しそうな様子に我慢ができず、踊りに参加してしまいます。当然、怪しい空気になりますが、そこは今作のヒロインであるヤン・パンネが助け舟を出します。このパンネは両親を亡くしていて、生活のためにお金を稼がないといけないというキャラクターでしたね。


さて、ジャクソンは所長からダンスチームを結成するように命令を受けていて、簡単なオーディションを開きます。そこからメンバーを絞っていく過程で、妻と離れ離れになったカン・ビョンサムと、太った見た目のわりにダンスが上手いシャオパンと出会います。そして、5人が集まりタップダンスチームが結成されました。




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ここまでの話はあらすじをなぞった程度のものしかなく、ここから本編の話をしていきたいと思うのですが、正直あんまり覚えていないんですよね……。何度もうつらうつらしてしまって。今自分が寝たなと感じた瞬間も何度もありましたし。そんなに複雑な映画じゃないと思うんですけど、対立の構図とかそれぞれのイデオロギーの把握が全然できなくて……。


映画を観ている最中はメンバーがどっちの国の火とかさえもわかっていなかったですからね。で、それを考えるのに頭を使って眠くなるという……。本当に残念な頭ですよね。この程度で眠くなるなんて。もう私は映画を観るのに根本的に向いていないことがありありと分かりました。本当に駄目な人間です。


でも、観ていて楽しくはあったんですよ。それもひとえに音楽とダンスのおかげで。この映画って、タイトル通り、スウィング、楽器の演奏が多いんですよ。パーティーのシーンもそうですけど、個人的に好きなのが、ギス、ビョンサム、シャオパンの三人が覆面をつけて踊るシーン。このシーン途中でレコードの音楽が止まってしまうんですけど、三人が踊り続ける様子を見て、バンドが音楽を奏で始めるっていう。粋なシーンだなと感じます。他にも、明るい音楽が多くて、観るだけじゃなくて、聴いているだけで楽しくなる時間がこの映画にはたくさんありました。


そして、音というと忘れてはならないのが、この映画のモチーフであるタップダンスですよね。乾いた靴音はとても軽快なもので、イデオロギーの対立や分断という重いテーマを扱っているこの映画を、重くなり過ぎずエンターテインメントとして見せていました。タップダンスシーンも多く、観ている途中も足を動かしたくなったほどです。観終わった後に足で軽くリズムを刻むことは間違いなしです。


さらに、それ以外にもこの映画ではダンスのシーンが多い。アメリカ軍人とジャクソンを除く4人の、ダンスバトルはその象徴的なシーンでしょう。ここ最終的には暴力になってしまいましたけど、その前のダンスバトルは意外性もあって観ていて楽しかったです。他にも最初のパーティのシーンはもちろん、練習風景や決意のシーンなどバラエティ豊かなダンスシーンもこの映画の大きな見どころの一つだと思います。最後の盛り上がりは、それまで多くのシーンを見逃してきた私でも、感動しましたしね。この音とダンスが合わさって、れっきとしたエンターテインメント映画にこの映画はなっていました。


あと、お勧めしたいのがギスとジャクソンの友情ですね。ギスからしてみれば、アメリカ軍人のジャクソンは決して受け入れてはならない存在です。でも、ダンスの前では1人対1人の人間同士。そこに国籍も言葉も関係ありません。二人は徐々にお互いを理解していきます。その極めつけは崖の上のシーンですね。ジャクソンがギスにカーネギーホールの写真を見せるんですよ。ここで踊っているところを想像しろみたいに。で、ギスもお前の踊りはまだまだだなみたいに答えるんですよ。言葉は通じていなんですけど、心は通じているシーンですよね。その後にロングショットで二人が踊るシーンを映すのが、また心憎い演出です。



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※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。









クリスマスコンサートの出演が決定した5人。しかし、ここで戦争の英雄であるギスの兄が捕虜収容所にやってきます。さらに、戦争で負傷した元軍人?に焚きつけられ、共産派は熱を取り戻してしまいます。祖国万歳という旗の元、アメリカ軍を襲い、とうとう反応の悪いギスに「所長を襲撃しろ」とまで持ち掛けてしまいます。映画が終わりに向かう一方で、徐々に危険なムードが醸し出されていきます。


でも、5人は<スウィング・キッズ>と自らを称して、クリスマスコンサートの舞台に立つわけですよ。このコンサートのシーンは問答無用で盛り上がるシーンで。尺的にもタップダンスをしっかり見せてきますし、俳優さんたちの練習の成果をヒシヒシと感じます。また、バンドとの掛け合いも楽しく、乾いた靴音が気分を上げてくれます。このあたりでようやく目が覚めた私も、このシーンでは思わず泣きそうになってしまいましたね。


それは、その前のシーンでパンネとジャクソンが話すシーンがあったからです。この二人は自由主義、共産主義というイデオロギーはクソだと話すんですよね。元を辿れば二つの国は同じ民族ですし、新しい捕虜が来るたびに、自らの知り合いではないかと両国の人が殺到するシーンは、同一性を大きく印象付けます。でも、人間の思想と違って、タップダンスはタップダンスでしかないんですよね。自由主義も共産主義も関係なく、ただ踊っている人間がいるだけで。イデオロギーなんて関係ない、クソだと彼らは踊って主張しているようで、その祈りにも似た願いに私は泣きそうになってしまったんですよ。


本当にこのシーンは、それまでのドラマの積み重ねを見過ごしてきた私でも印象に残るシーンで良かったですし、<スウィング・キッズ>のダンスが終わって、ギスが一人で踊るシーンなんて、カーネギーホールをだぶらせて見せる演出に、素直に感動しました。だからこそ、この後の展開がですね……。辛いんですよ……。はい……。


ギスがバックヤードに戻ると、そこにいたのはギスの兄。この兄貴がステージに出てきて、銃を乱射してしまうんですよ。所長を襲撃する目的で。所長は間一髪助かるんですけど、帰り際に下した命令が「黄色いアカどもを全員殺せ」というものでして。5人に銃口が向けられてしまうんですよね。パンネ、ビョンサム、シャオパンの3人はあっけなく撃たれて死んでしまいますし、ギスも製紙はぼかされていましたけど、下半身を撃たれてしまいます。


もう、このシーン本当にきついんですよ。だって、タップダンスに意味がなかったってことになるじゃないですか。いやもともと意味なんてないんですけど、そこに意味を見つけるのが人間の心の働きであり、創作の存在理由でしょう。イデオロギーの対立の前に、創作は何の役にも立たないし、何も変えることはできない。厳しい世界です。


確かに、創作じゃ何も変わらないですよ。いくら世界平和を訴える映画を観たところで、外に出てみれば平和になってるかといえば、全く状況は変わらない。憎悪や怨嗟が渦巻いています。創作じゃ人生はあまり変わらないですし、そんなことは分かり切ったことです。


でも、それを映画で見せる必要があるのかなってことなんですよ。映画の中でぐらいハッピーエンドが見たいと思うのは、子供な私のわがままでしょうか。でも、現実がきついからこそ、創作の中では希望を見せてほしいと、私は勝手に託してしまっているんですよね。現実は何も変わりませんよって、そんなこと映画館を出れば否応なしに思い知らされるんですから、わざわざ映画の中で突き付けてこなくてもねぇ。いや、誠実な態度ではあるんですけど......。


ほら、今ってコロナウィルスが流行しているじゃないですか。東京ももう感染爆発寸前で。創作なんて完全に不要不急のものですし、エンタメやイベント産業は窮地に立たされていますよね。映画もどんどん公開延期になっていて。本当に悲しくて心配です。私はこんなご時世だからこそ希望が見たいって思ってしまっているので、この映画は希望を見せてくれた半面、絶望も突き付けてくれて、何とも言えない後味が残りました。いい映画で観て良かったとは思っているんですけどね......。難しいです。




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以上で感想は終了となります。お読みいただきありがとうございました。


おしまい 


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Well Go Usa
2019-06-18



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