こんにちは。これです。


緊急事態宣言が延長されることがほぼ確定的な現在、皆さんいかがお過ごしでしょうか。働いてくれている方はお疲れ様です。あなたのおかげで社会が回っていること、とても感謝しています。そして、家にいられる人は最大限家にいますでしょうか。ストレスもたまるでしょうが、感染拡大を防いでくれていることはとても有り難いことです。まだまだ先が見えない状況ではありますが、ともに乗り越えていきましょう。



さて、今回のブログは久しぶりの映画の感想になります。今回観た映画は『タイラー・レイク―命の奪還―』。『アベンジャーズ/エンドゲーム』を手掛けたルッソ兄弟制作のアクション映画であるこの一作。先月の24日からNetflixで配信されていますが、少し遅れてのこのタイミングでの鑑賞となりました。


映画館が休館してしまっていて新作が見られない今日この頃。こうやって家でも楽しめる環境があるのは不幸中の幸いと言ったところでしょうか。これからブログを続けるためにも、ちょっとずつNetflix配信作品や旧作映画の感想を書いていきたいと思いますので、よろしければお付き合いいただけると幸いです。


では、感想を始めたいと思います。拙い文章ですが、よろしくお願いします。ラストの展開に言及しているので未見の方はご注意ください。




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―目次―

・重厚なアクションが見どころ
・ドラマパートもグッとくる
・ラストシーンの個人的解釈





―あらすじ―

対立する麻薬王。誘拐された少年。無謀な賭け。いつもと同じはずの任務に過去の過ちを重ね合わせ、男は償いのために命を懸ける。

(Netflixより引用)





映画はこちらからご覧ください。










・重厚なアクションが見どころ


まず、この映画の一番の見どころとして挙げられるのは、激しくも重厚なアクションでしょう。主人公のタイラー・レイクは傭兵。攫われたインドの麻薬王の息子・オヴィを救出せよ―という任務が与えられます。しかし、その相手はバングラデシュの麻薬王アシフ、当然一筋縄ではいきません。


まず、バングラデシュについて即効、タイラーは拉致されてしまいます。そこにはアシフの手下どもがいました。そこにいたのは監禁されたオヴィ。少しご都合感を感じてしまう展開ですが、まぁそう目くじらを立てるようなことでもないでしょう。この映画のメインはあくまでオヴィを救出することよりも、無事にダッカの外まで送り届けることなのですから。


そして、銃を突き付けられたタイラーですが、ここから一気に形勢逆転。持ち前の銃さばきと格闘術でアシフの手下をバッタバッタとなぎ倒していきます。机を蹴飛ばして敵を倒すなど、台所というシチュエーションを生かしたアクションはとても練られていて、カメラも打撃の瞬間を狙って揺らすなど臨場感を演出しています。


また、タイラーを演じたクリス・ヘムズワースの無骨な雰囲気と合わさって、どこか泥臭く重厚な雰囲気を湛えています。鍬に顔を突き刺すのは流石にきつかったですが、名刺代わりのアクションに私は一気に引き込まれました。子供が銃を構えていたのは胸が痛かったですけどね。


そうして意外なほど呆気なくオヴィを救出。しかし、アシフはオヴィが逃げ出したことという情報を得て、ダッカの市街を封鎖します。警察を軽く動かせているのですから、どうもこの街の実権は麻薬王であるアシフが握っているらしい。何ともズブズブでおっかないですね。


船で川から逃げることに失敗したタイラーとオヴィの二人。オヴィの友人であるサジュにも狙われて、車で逃げることに。さらに警察も交えて三つ巴の展開に。そして、アパートでの戦闘に突入するわけですが、ここで冴えていたのは視点の演出。警察の一人にカメラの目線を託すことで、まるでシューティングゲームのような、FPSのような趣が出ていました。緊張感を煽るのと同時に、突然現れるタイラーの怖さが際立ちます。ナイフで頸動脈を三度刺ししてますからね。容赦ないですよ。


さらに、アパート内は階層があり、縦横無尽の戦いが繰り広げられます。さながらゲームのステージのように、自らがプレイヤーとなった気分を味わえ、タイラーがバッタバッタと倒していくので、ある種の気持ちよさが生まれます。さらに、部屋を跨いで移動し、市井の人々も移すことで、日常の中に突如もたらされたイベントであることを演出。ドキドキ感は増していきます。ドアを開けたら、即タイラーが撃ってくるのには気持ちよさを感じましたね。


その後も、サジュからの逃亡(事故の天丼に笑った)、少年兵との対決(社会情勢を思わせて悲しい)、旧知の友人との対峙(肉弾戦。一番実力が伯仲してた)などアクションシーンはてんこ盛り。ラストの戦闘も熱い展開が待っており、ヘリを打ち落とすなどお金もそれなりに掛かっているので、力の入れっぷりは随所に見受けられることができます。


個人的にはアパートのシーンが一番手に汗握りましたが、どのシーンも肉弾戦に銃撃戦、近距離に遠距離など趣向が凝らされているため、見ていて飽きません。アクションに力を入れたまさしく力作と形容していいでしょう。普段アクション映画をあまり見ないからか、新鮮さを持って見ることができましたね。


でも、本編じゅうずっとアクションだと見ている側も疲れてしまうので、動だけではなく静のパートも必要です。この映画はアクションだけでなくドラマパートもよくて、エピソードの積み重ねが、最後のアクションに生きるというとても理想的な展開となっていました
 



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※ここから先は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。









・ドラマパートもグッとくる


タイラーが最初にオヴィの救出という任務を受けた理由。それはです。傭兵とは金で雇われる者。そのことを地で行く有様です。理由は分かりませんが、タイラーは最初期は間違いなく金で動いていました。


しかし、アパートでの戦いを経て、潜伏した工場で状況は一変します。依頼主であるサジュからの入金が滞ってしまったのです。自分たちは利用されていることを知ったチームリーダーは、タイラーに任務の中止、オヴィを置いていくことを要請します。そのことを聞いていたオヴィは自分は荷物に過ぎないと自嘲していました。そんなオヴィにタイラーは連れていくことを決意。あくまで金のためと語っていましたが、明るい海でのシーンがインサートされているところを見るに、真意でないことが窺えます。おっさんと子供のゴールデンコンビがここに誕生しました。私のツボの一つです。


そして、他の多くの映画と同じように、この映画は二人が互いを理解し合うという展開を持ってくるんですね。オヴィは父親がいつも誰かを殺していると苛まれる、麻薬王の息子であることの苦しみを告白していますし。タイラーは息子を数年前にリンパ腫で亡くしていることを打ち明けます。息子の死に目に立ち会えなかった。戦地に志願していた。逃げていたんだ。勇敢じゃないと。ここのクリス・ヘムズワースの鋭いんだけど、どこか寂しげな瞳がたまりませんでしたね。


おそらく、息子は成長していたらオヴィと近い年齢になっていたかもしれません。タイラーはオヴィに自らの息子の姿を重ね合わせていたように、私には思えました。そこには単なる荷物ではなく、護衛対象でもなく、疑似親子とも言っていいような関係性が生まれていたと思います。完全に私好みの展開です。ありがとうございます。


そのことは、旧知の友人との会話にも表れていて。オヴィの首には1000万ドルの賞金がかけられているというんですね。帰ってもいい暮らしができる保証はないから、ここで殺した方がマシなんじゃないかと、タイラーに問うわけですよ。もし、映画序盤のタイラーだったらここで殺していたと思います。


ただ、オヴィの境遇を知って情が芽生えたからか、タイラーはそれを拒否するんですよね。そして、戦闘へと。このシーンは最後にオヴィが友人を撃って終わるんですが、初めて人を殺して泣くオヴィをタイラーが抱くんですよ。こんなの、もう完全に親子じゃないですか。どれだけベタな展開と言われようが、やっぱりグッとくるものはグッときます。


そして、ラストの銃撃戦は守るべきもののためにお父さん頑張る!と表現しても差し支えのないもので。このお父さん化したタイラーの最後の奮闘に、感動する人はきっと少なくないことでしょう。また、別軸で展開されていたストーリーとも合流して熱い展開ですし、音楽も合わさってアクションシーンを見ているのに泣きそうになるという不思議な感覚を私は味わいました。ドラマパートの展開の仕方もこの映画は優れていましたね。




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・ラストの個人的解釈


壮大なネタバレをしてしまうと、この映画は最後にタイラーが撃たれて死んでしまいます。それもアシフが送った少年兵によって。オヴィはヘリでダッカを脱出し助かりますが、苦い思いが残るラストとなっています。見ていて悲しくなりましたが、ただ、この展開もタイトルを考えると理に適っているんと思うんですよね。


この映画の原題は「EXTRACTION」。これは日本語に訳すと、やや固い意味ですが、生まれ血統素性という意味になるそうです。これは麻薬王の息子でもあるオヴィを刺しているのかなとも思ったんですが、タイラーにも適応されると思うんですよね。ここで注目したいのが血統という意味。いわば、血の繋がり。タイラーの息子が死んでしまったのだから、血の源流であるタイラーも死んで終わる。川は海に繋がっている。それほど血の繋がりは濃いものだとこの映画は言っていたのかもしれません。ざっくり言うと。


また、考えたいのがタイラーが息子の死の瞬間から逃げたということ。逃げた者には罰をという精神がこの映画には根付いていたと思います。いわば因果応報。そして、これはタイラーだけでなく、アシフにも言えると思います。アシフは自分の手を全く汚さず、全ての汚いことを手下にやらせ、自分は高見の見物を決め込んでいます。タイラーにとどめを刺したのも、彼ではなく彼が送り込んだ少年兵なのですから。いわば、アシフは自分で手を下すことから逃げていたと考えられます。だから因果応報で、最後に殺されてしまったというわけですね。あくまで私の考えですが。


加えて、この映画で重要視されていたのが意志でしょう。タイラーは登場シーンで、30mの高さから川に飛び込んでいました。そして、散る時も川に飛び込んで生涯を終えます。これはどちらも自分の意志ですよね。アシフに言われてタイラーを撃った少年兵とは対照的です。傭兵も任務をこなすだけで、そこに自分の意志はありません。せめて最後だけでも自分の意志を持てたこと。それは、タイラーにとっては数少ない幸せと呼べるものだったのではないでしょうか。


さらに、川といえばオヴィがこんなことを言っていました。


溺れるのは川に落ちるからじゃない。そのまま沈むからだ


意志なく沈むとそのまま死ぬだけですが、浮かび上がれば助かる芽も出てくるかもしれない。この映画のラストシーンはプールに飛び込むオヴィのシーンでした。オヴィが自分の意志で飛び込んだことは、タイラーを彷彿とさせますし、そこから浮かび上がっていこうとする姿は、最後のタイラーとは対照的です。それはタイラーの分も生きていくという決意表明に私には見えましたね。最後まで意志をキーにしたこの終わり方、私はこの映画にマッチしていて良いと思います。



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以上で感想は終了となります。『タイラー・レイク―命の奪還―』、エンドロールを除けば100分ほどと見やすい時間ですし、GWに何を見るか迷っている方には、おすすめしたい映画です。お暇があればどうぞ。


お読みいただきありがとうございました。


おしまい



Netflix
Netflix, Inc
2020-05-02




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