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スタメンをもう一度確認して
前半キックオフ!
山雅は立ち上がりから前線のプレスに出ます。いつものように近いボランチへのパスコースを切りながら寄せる3人のFW。川崎はプレスを受けているときは4バックで、4対3の数的優位を作りボールを回そうとしますが、立ち上がりは山雅のプレスの勢いが勝り、前半7分など高い位置でボールを奪うシーンが複数回見られました。
山雅はボールを持ったらサイドに展開することを目指します。右WBの#3田中隼選手は連携を駆使して、左WBの#44高橋選手は自ら縦に仕掛け、タイプの異なる攻撃でサイドを崩そうとします。しかし、川崎は守備時にSBがサイドに釣られた時に、CBが出ていくのではなく、ボランチが中央とサイドの間のハーフスペースを埋めるという約束事があるようです。5バック気味にして、ハーフスペースに侵入しようとする山雅の選手の動きを阻害するともに、中に人数を固めてクロスを跳ね返そうとしてきました。
川崎のビルドアップですが、前述の通り川崎は必ず数的優位を作ってビルドアップをしようとします。まず、山雅が前線からプレスに来た場合。川崎は4枚で回します。SBが下がってボールを受けようとするのですが、このとき川崎のSBには山雅のWBがついていきます。山雅はSHをCBの両サイド、CFの#20知念選手を#31橋内選手がマンマークでマーク。SBにWBを上げるというプランで臨んでいたようですが、ここでWBの選手が釣りだされるとCBとの距離が空いてしまうんですよね。川崎はそこでSHにボールを受けさせて、サイド攻撃を始めようとしていたように見えました。開始位置が山雅よりも断然高いです。
ただ、前線からプレスに行ってる間はあまり川崎にボールを出させていなかったので、まあ走らされてよくはないんですが、何とか機能していたように見受けられます。しかし、問題は前線からプレスに行かない時です。
山雅は前線では#7前田選手と#10レアンドロ・ペレイラ選手が中央に縦パスを通させないようポジションを取っています。このとき川崎はボランチの片方を下げ、3バックのような形でビルドアップをしてきます。このとき両SBが高く上がるのですが、これが山雅の守備を混乱に陥らせていました。
山雅は守備時にはWBを下げた5-3-2のブロックを敷いて守ります。5バックはペナルティエリアの幅をカバーしているんですが、このときサイドがぽっかり空いてしまっているんですよね。中を固めて失点を防ぐというコンセプトなのですが、これを利用して川崎はSHが中に入り、SBを外に高く張り出します。ここで中に入ってきた川崎のSHは山雅のWBが見るので、外に開いたSBを見る選手が誰もいません。なので川崎は空いたSBにボールを入れてサイド攻撃を始めます。
山雅のWBを釣りだせればCBとの距離が空きます。いわばハーフスペースが空くわけですが、川崎がボランチを下げて埋めてきたのに対し、山雅はCBが寄っていくものの中央を守る意識が強く、ハーフスペースをケアしきれていません。中央にいるSHやFWに斜めに動き出され、ハーフスペースを使われるシーンも試合を通じて多く見られ、山雅は川崎に多くチャンスを作られてしまっていました。
さらに、この日の川崎は右サイドから攻めることが多かったのですが、川崎の右SB#27鈴木選手はもともとFWの選手。高い位置を取るのに慣れていて、ボールを引き出すのも上手く、山雅は対応に大分手を焼いていました。それに#27鈴木選手は中に入っていくこともあるのですが、その時には中の#14中村選手やボランチがサイドに出ていくんですよね。たぶんこれも川崎の約束事にあり、整備された流動的な動きと言えそうです。山雅はこちらもなかなか捕まえ切れていませんでした。
これを防ぐためには前線からプレスに行って川崎のSBを下げるという手段が最も有効ですが、ただずっと行ってると疲れてしまうんですよね。90分持つようにペース配分をしなければいけないですし、行けない時間帯だって当然ある。でも、行かないとなると川崎の狙い通りにやられてしまいますし、山雅は試合を通してこの難しい問題に明確な解決策を掲示できていなかった印象です。
また、山雅を悩ませていたもう一つの問題が#14中村選手です。この日#14中村選手は1.5列目にポジションを取っていました。山雅は守備時に川崎のFWとSHの3人を5人で見ていることが多く、#14中村選手が浮いてしまっています。また、#14中村選手は山雅のボランチとCBをはじめとした四角形の中央に入る動きが上手く、山雅は#14中村選手を捕まえ切れていませんでした。
これを解決するにはアンカーを置く3-3-2-2みたいなフォーメーションにして、#14中村選手にアンカーの選手をマークさせるという案がありますが、でもこれを実行したら今度はアンカーの脇を突かれそうですよね。で、最終的には変わらず5-3-2になる。難しい問題です。
この日初スタメンを飾った#10レアンドロ・ペレイラ選手。山雅の攻撃はこの選手にロングボールを当ててからの展開を目指していました。#10レアンドロ・ペレイラ選手は193㎝の長身を生かして#3奈良選手や#5谷口選手にも競り勝っていましたが、その後が続きません。後ろにすらして#7前田選手が裏に走り込むという形が理想形なんでしょうが、川崎もカバーリングをしっかりしており、チャンスはなかなか生まれてくれません。また、川崎に押し下げられているため、ボールが入っても周囲との距離が遠くパスが繋がりません。#10レアンドロ・ペレイラ選手自体は決して悪いパフォーマンスではなかったと思いますが、周囲との連携はまだまだこれからですね。
川崎の最大の特徴なんですが、攻→守への切り替えが速いんですよ。ボールを奪われたら近くの選手がすぐ守備に行って遅らせ、もう一人が寄せて奪う。また、パスコースの限定も絶妙で、山雅の選手に特定の方向にパスを出させて奪う。予測も正確ですし、山雅はなかなかペナルティエリアまでボールを運べません。守備の上手い#8阿部選手のスタメンも効いていましたね。
また、山雅はビルドアップ時に3バックでボールを回すんですけど、川崎はこれにぴったり3人当ててくるんですよね。寄せも速くてタイトですし、山雅のCBは余裕をもってボールを扱うということができません。その結果蹴るのはアバウトなボールになり、川崎に拾われてカウンターを受けてしまうというシーンが多く見られました。ビルドアップでミスが多発してしまったのはこの日の課題の一つですね。
川崎に一方的に押されながらも、山雅もなんとか耐えます。しかし、迎えた前半44分。#41家長選手が左サイド高い位置でボールを持ちます。事前のプレーでカードを1枚もらっていた#15エドゥアルド選手は強く寄せることができず、クロスを上げられてしまいます。このクロスは流れていきますが、逆サイドで拾ったのは#2登里選手。#2登里選手の縦への突破を#3田中隼選手は防ぐことができず、クロスを上げられてしまいます。
このとき#20知念選手が少し引いた位置にポジションを取っています。#31橋内選手はニアサイドの#14中村選手を見ていて、#15エドゥアルド選手はボールを見ていて#20知念選手がフリーになっていました。そして、#2登里選手のクロスを#20知念選手に合わせられて山雅は失点。#20知念選手のポジショニングが光った得点でしたが、前半を0-0で折り返したかった山雅にとってはこの上なく痛い時間帯での失点となってしまいました。
そしてそのまま0-1で前半は終了。途中雪も降りだすなど寒かった前半。山雅としては攻撃の形を作れず、川崎にハーフスペースをいいように使われ劣勢に陥ってしまった45分でした。ちょっと形を変えていかないと後半も厳しいのではないかと思ってしまいます。なんとか跳ね返してほしいです。
松本山雅FCオフィシャル@yamagafc前半終了📣
2019/03/31 14:49:35
松本 0-1 川崎
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⚽️松本vs川崎
🕒14:00KO
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ハーフタイムにはガンズくん、ふろん太、カブレラがピッチを一周していました。かすかな癒しのひとときです。
両チーム選手交代のないまま後半キックオフ!
前半はほとんど攻め手のなかった山雅。後半が始まると#7前田選手と#8セルジーニョ選手の左右を入れ替えてきました。川崎の#27鈴木選手が高めの位置を取っているので、その裏を#7前田選手のスピードでつきたいという考えでしょうか。
この日の山雅のシャドーはピッチの縦半分をそれぞれ分担していて、反対のサイドに入ることはあまりありませんでした。ただ、川崎の素早い帰陣の前にサイドは数的不利になっていましたし、FWとシャドーの2人ともう一人のシャドー1人との距離が遠く、コンビネーションが発揮できません。時間が経つにつれて少しずつ逆サイドへの進出も増えていましたが、もっと自由に動けるように設計しても面白いのではないかと思います。
#8セルジーニョ選手は下がり目の位置でボールを捌こうとします。2列目と中盤の間に入ってボールを受けようとしますが、#8阿部選手のプレスバックにより、なかなか前を向けません。ただでさえこの日のセルジーニョ選手は判断があまり速くなかったのですが、#8阿部選手ともう1人の2人に挟まれることで、ボールを奪われてしまっていました。
後半19分。山雅は右サイドで前線からのプレスに出ます。しかし、プレスのかかりが遅く#3田中隼選手が上が手出来たスペースに、ボールを出されてしまいます。これを#20知念選手が受け、中に侵入。サポートに来た#41家長選手にボールを落とします。ここで#6守田英選手がペナルティエリアへ斜めに走ることで#35宮阪選手を連れ出し、バイタルエリアを開け、そこに#8阿部選手が侵入。#41家長選手はそこにパスを出し、#8阿部選手はペナルティアークからミドルシュート。これがバーを叩いてゴールインし、川崎が2点目を奪いました。#8阿部選手のシュート技術の高さはもちろん、山雅のプレスの穴を突く川崎の戦術と#6守田英選手のフリーランが決め手になった得点です。後半にかけて少しずつ攻める機会が増えてきていた山雅にとっては勢いをそがれる痛い失点ですね。
後半22分。川崎が最初の選手交代を行います。#3奈良選手に替えて#7車屋選手を投入。CBの交代は少し不自然に感じたのですが、どうやら#3奈良選手の体調不良だったようですね。#7車屋選手はそのままCBに入りました。
その直後には山雅も選手交代。#10レアンドロ・ペレイラ選手に替えて#17塚川選手を、#8セルジーニョ選手に替えて#20杉本選手を投入します。#17塚川選手はこれがJ1初出場になりますね。これにより前線の構成は#7前田選手のワントップに、#17塚川選手と#20杉本選手の2シャドー。#17塚川選手には潰し屋ボランチとしてのイメージがあったのでやや意外でしたが、思えば岡山での1年目はシャドーでもよくプレーしていましたね。
この二人の投入により山雅は守備時には5-4-1の陣形になりますが、それでも川崎の攻撃を止めることはできません。#41家長選手はキープ力がありますし、#14中村選手は相変わらず選手の間に入っていくのが上手く、#20知念選手は背後を取る動きが絶妙です。また、川崎は常にボールホルダーに対して二人以上がパスコースを作れるようにポジションを取っていて、山雅はカバーしきれずボールを回されてしまいます。山雅のディフェンスラインはどんどん下がっていってしまい、CBとボランチの間にスペースが生まれてしまっていました。ボールを奪う位置が低く前にボールを出そうとしても、川崎の適切なポジショニングの前にカットされてしまい、前線にボールが入らず1点も遠い状況です。
この嫌な流れを断ち切るために後半30分。山雅は最後の選手交代を行います。#7前田選手に替えて#9高崎選手を投入。前線に再びポイントを復活させ、アバウトなロングボールでも収めようとしてきます。
この日の入場者数は18,563人。ホーム開幕戦の18,922人よりはやや少ないですが、それでも満員に近い数字です。
前線をフレッシュにしたことで山雅のプレスの勢いは復活し、敵陣でボールを奪う回数も増え、高い位置でプレーできるようにもなってきましたが、それでもゴールをこじ開けることはできません。川崎は後半43分に#14中村選手に替えて#11小林選手を、後半アディショナルタイム2分には#25田中碧選手に替えて、この日がJリーグ初出場の#44カイオ・セザール選手を投入し、試合を終えようとします。
しかし、後半アディショナルタイムに入ると山雅は#15エドゥアルド選手を上げてパワープレーを敢行。CBとSBの間に入ってボールを受けたり、裏に抜け出したりとチャンスを二度ほど迎えます。しかし、そのどちらも決めることはできずに試合終了。川崎が2-0で勝利を収めました。山雅はこれでリーグ戦3連敗。しかもそのいずれにおいても得点を挙げられていません。J1の厳しさを痛感する結果です。
この試合においては川崎のワイドに開く攻撃と、素早い攻→への切り替えが機能し、山雅はチャンスを作ることができませんでした。しかし、前線からのプレスで何度かボールを奪える機会もあったので、次はそのボールを確実につなぐことが課題になってきますね。ビルドアップも改善したいところです。
完敗もサポーターは拍手で選手を迎え入れます。次は勝ってほしいという願望の表れですね。選手は力の差を感じたと思いますが、くじけずに練習を重ねていってほしいと思います。
松本山雅FCオフィシャル@yamagafc【ニュース】2019 明治安田生命 J1リーグ 第5節VS 川崎フロンターレ戦の結果 https://t.co/6lqPJ982rZ #yamaga
2019/03/31 16:01:14
川崎フロンターレ@frontale_staff本日、松本戦に現地参戦していたふろん太とカブレラ。ひと仕事終えて、1枚撮らせてくれました。嬉しい勝利でしたね!【広報】#frontale https://t.co/E7qIhCxBaX
2019/03/31 16:12:19
松本山雅FCオフィシャル@yamagafc【3.31🆚川崎】
2019/03/31 19:05:23
本日も最後までご声援ありがとうございました!
下を向かず、次に向けて挑戦し続けます!
#yamaga #jleague #onesoul #境界突破
✍️試合結果はこちら… https://t.co/tDVPq3rtlb
<ハイライト動画>
監督コメント(Jリーグ公式)
選手コメント(Jリーグ公式)
J1順位表(Jリーグ公式)
2019 明治安田生命 J1リーグ 第5節|試合結果(松本公式)
(ホームゲームイベント)2019明治安田生命 J1リーグ 第5節 松本山雅FC vs 川崎フロンターレ|フォトギャラリー(松本公式)
2019明治安田生命 J1リーグ 第5節 松本山雅FC 0-2 川崎フロンターレ|フォトギャラリー(松本公式)
2019/J1リーグ 第5節 vs.松本山雅FC|ゲーム記録(川崎公式)
封じられた山雅、3連敗 川崎に0―2(信濃毎日新聞)
【J1第5節 松本×川崎F】川崎がリーグ5戦目で待望の今季初勝利!知念・阿部のゴールと開幕戦以来の無失点で松本下す(ドメサカブログ)
【J1採点&寸評】松本0-2川崎|圧倒的な力量差。2得点に絡んだ川崎のCFは「7」(サッカーダイジェストWeb)
【松本】3戦連続無得点で痛恨の3連敗……FW前田大然が考える3つの改善案(サッカーダイジェストWeb)
中村憲剛@kengo19801031ようやくリーグ初勝利‼︎
2019/03/31 16:03:49
ここからみんなで巻き返していきましょう‼︎
#祝リーグ初勝利
#知念ナイスヘッド
#安心安全あべちゃん
#松本まで来てくれてありがとうサポーター https://t.co/wcmpHp2dDH
中村憲剛@kengo198010312019/03/31 23:05:49
ガンズくん@yamagafc_gans昨日はさむーい中、みんな本当にありがと!
2019/04/01 08:48:25
お友達も来てくれて、足湯まで、ご一緒してもらったんだ!川崎サポのみんなも山雅サポのみんなもこの1日をとっても楽しんでくれてたね。やっぱりぼくはアルウィン大好き!まだまだシーズンは序盤だよー… https://t.co/xfn3vyU83t
宮阪政樹@masakimiyasakaたくさんと応援ありがとうございます!次に向けてしっかり練習したいと思います! https://t.co/rUBHa9iXuf
2019/04/01 21:12:12
この結果を受けて山雅は1勝1分3敗の14位に順位を落としてしまいました。次節負ければ高各県に転落してしまう可能性があるので、なんとしてでも勝たなければいけません。そんな次節は再びホームゲーム。4月6日(土)19:00からサンプロアルウィンでヴィッセル神戸との対戦です。イニエスタ選手やビジャ選手など世界的スターを擁する神戸はここまで3勝1分1敗の勝ち点10で4位と好調。山雅にとってはまた格上の相手ですが、4年前の初J1では神戸戦で降格が決まってしまったのでそのリベンジを果たしたいところ。チケットは完売しているので、行けない方はDAZNでの観戦をよければお願いします。
頑張れ!松本山雅FC!!
おしまい
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