こんばんは。これです。今回は前置きは抜きにして早速本題に入ります。語りたいこといっぱいあるので。






今年で創刊50周年を迎えた「週刊少年ジャンプ」。六本木にジャンプ図書館ができたり、ジャンプをテーマにしたテレビドラマを放送するなどさまざまなアニバーサリーイベントを行っています。
そんな華々しいジャンプの中で今週の第14号で最終回を迎えた漫画がありました。『青春兵器ナンバーワン』(これでスプリングウェポンナンバーワンと読みます)です。
個人的に今のジャンプで一二を争うくらい好きだったこの漫画。その最終回があまりにもいいものだったので、触発されて今回のエントリーを書くことにしました。
『青春兵器ナンバーワン』。本当に面白い漫画なので、もっと読まれてほしいと思ってます。このエントリーを読んで一人でも『青春兵器』の単行本を手に取ってくれたら幸いです。では始めます。


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目次
・カオスなギャグ
・青春
・優しい世界
・王道展開
・まとめ





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・カオスなギャグ


まずは「『青春兵器ナンバーワン』ってなんじゃらほい」という方のためにあらすじを。


あらすじ:

世界征服をたくらむ人造人間組織”ナンバーズ”。彼らに対抗すべく極秘に組織された"MAPPO"のトップエージェントである北斗英二は高校生。そんな彼のクラスに”ナンバーズ”最強の戦士・難波零一が転校してきた!組織と零一の板挟みになりながら、学校の平和の維持に奔走する英二。結局、同居することになった二人。零一の部下・南場八もやってきて、ますます混迷を深める学校生活だが…!?

(コミックス第2巻より引用)


まず初めに押さえておきたいのは、この漫画がギャグ漫画であるということですね。
「青春兵器」はダブル主人公制を採用していて、上記の北斗英二と難波零一の二人が主人公になります。

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(コミックス第2巻「登場人物&ストーリー紹介」)

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北斗英二
(『青春兵器ナンバーワン』第1巻「mission1:転校生」より)

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難波零一
(同じく『青春兵器ナンバーワン』第1巻「mission1:転校生」より)


主にツッコミが北斗、ボケが零一という分担なんですけどもよく入れ替わるんですよこれが。笑い飯の漫才をイメージしてもらえると分かりやすいかと思うんですけど。
また、青春に対して先輩の零一よりもはるかに有能なハチ(No.8)、護衛対象にも拘らずヤバい七倉潤(委員長)、クールなツッコミ役として登場したのにどんどんぶっ飛んでいく白百合アンヌなど脇を固めるキャラクターも曲者揃いです。

また、この漫画はけっこう勢いで進んでいく漫画です。頭をあまり使わないで読めるタイプのギャグマンガですね。しかし、その勢いが加速しすぎて読者を置き去りにするようなカオスな展開も多々あります。

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(『青春兵器ナンバーワン』第2巻「mission9:イメチェン」より)
髪を切ってイケメンになったり(この後デカくなる)

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(『青春兵器ナンバーワン』第5巻「mission39:生命の授業」より)
兵器に子供が生まれたり(この後増える)

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(『青春兵器ナンバーワン』第5巻「mission37:ROMANCE DAWN」より)
英二がル〇ィっぽくなったり。(この後ギアセ〇ンドっぽくなる)


そもそも根幹の設定からしてぶっ飛んでいるので、展開もぶっ飛んだものにしやすいのがこの漫画の特徴でもあります。
もう何回腹抱えて笑ったことか。ツボに入ったときの破壊力はすさまじいものがあります。ゲーム大会の回とか、ゴローがペット大会に出る回が個人的には好きですね。















・青春

タイトルや先の零一のセリフにもある通り、この漫画は「青春」の物語です。
先にも触れたとおり、北斗は青春などくだらない、不要なものだと思っている堅物。
一方、零一は青春に憧れ組織を脱走してきた最終兵器。
この二人が出会い、表面上の「友達」となるところから物語は始まります。


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(『青春兵器ナンバーワン』第1巻「mission1:転校生」より)

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(『青春兵器ナンバーワン』第1巻「mission2:体力測定」より)
零一の方から一方的に友達になってきたことで、堅物だった北斗にも少しずつ変化が訪れます。

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(『青春兵器ナンバーワン』第1巻「mission5:林間学校②」より)

私が思うに、青春物語って3つの軸があると思うんですよ。まず成長、そして友情です。
青春物語に友情は必要不可欠で、『青春兵器』もそれに倣ってエージェントと兵器という特殊な友情要素を持っています。
最初は受け入れられなかった二人(ていうか北斗だけか)でしたが、いくつもの出来事を経て友情は深まっていきます。
それと、互いに相容れない者や敵対する者同士の友情ってアツいですよね。『あらしの夜に』みたいな。


加えて、この友情が育まれていくうちに二人とも自ずと成長していきます。
北斗は指令以外にも大切なものがあると知り、零一は自分本位の考え方から徐々に他者を思いやることができるようになっていきます。
一般的な青春物語っていうのには少なからず肉体的な成長もあると思うんですけど、二人はもう肉体的にはカンストしてしまってるので、精神的な成長がメインですね。
体は完全でも心は不完全だった二人が「青春」に触れて徐々に成長していくので、『青春兵器』はそんな二人の成長を楽しむ漫画でもあります。


そして青春物語の三つの軸の最後の一つ。そう「」です。
高校に転校してきたことで零一も燃えるような恋をします。

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(『青春兵器ナンバーワン』第2巻「mission8:初恋」より)
ファーストコンタクト。一目ぼれ。

しかし、零一が恋をしたのはよりよって敵方のアンヌというキャラクターでした。
傍から見れば叶うことのない恋ですが、零一はそんなこと知ったこっちゃありません。
あの手この手でアタックをかけ続けます。(ほとんど失敗に終わりますが)
『青春兵器』にはこういったラブコメの側面もあります。
そもそも長谷川先生の前作がラブコメ要素強かったですし。



というわけで『青春兵器』は友情、成長、恋の青春物語の3要素が揃っています。これさえあれば大丈夫ですね。ギャグマンガの他に青春物語としても『青春兵器』は確かに面白いのです。













・優しい世界

私が『青春兵器』を好きな一番の理由として、長谷川先生の作り出す「優しい世界」というものがあります。
これは長谷川先生のデビュー作『恋のキューピッド焼野原塵』からなんですけど、登場するキャラクター、キャラクターが全員いい奴なんです。嫌味なやつが一人もいない。

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(『恋のキューピッド焼野原塵』第3話「キューピッド標的に接近する」より)

『焼野原塵』のヒロイン・ユリ子ですね。天使。
これだけでも『焼野原塵』の「優しい世界」っぷりが窺えますし、実際そうなんです。下ネタを連発する奴だって内心はめっちゃピュアですし。

こうした『焼野原塵』の「優しい世界」は『青春兵器』にも受け継がれています。

例えば「mission31:文化祭②」。

青春のメインイベントのひとつ、文化祭
当然零一は大張り切りです。
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張り切りすぎ。

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アカン。

まあ零一の計画通りに事が進むはずもなく、すべての手伝いが終わったころにはとっくにフォークダンスの予定時間を過ぎてしまいました。

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やっぱり。

しかしここで『青春兵器』流「優しい世界」が発動します

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優しい北斗

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そして零一は好きな女子とフォークダンスを踊ることに成功します。まさに青春。


どうですか。凄い優しいでしょ。体がむず痒くなるくらいに優しいでしょ。
他のどのエピソードも『青春兵器』は優しさに溢れています。
それによってストレスを感じることなく読むことができるといったわけです。


あと、そもそも週刊少年ジャンプ自体が「厳しい世界」ですよね。連載するのだって何十倍、何百倍という競争を勝ち抜かなくてはいけないですし、そうして苦労して勝ち取った連載もアンケート結果が悪ければ10週で切られてしまうこともあります。
そうなったら収入はなくなり、また激しい競争を勝ち抜いていかなければなりません。
成功できる人間なんてほんの一握りです。

そうした「厳しい世界」のなかで「優しい世界」を貫き通すのは並大抵のことではありません。
「厳しい世界」に身を置いているうちに、思考もどんどん「厳しい世界」によっていくことでしょう。
しかし、長谷川先生は「厳しい世界」に身を置いてるにも拘らず、一貫して「優しい世界」で通しています。
これはそれだけで大きな価値があることですし、なかなかできることではないと思うので、長谷川先生にはずっとこのまま「優しい世界」を貫いてほしいと私は思ってます。勝手ながら。













・王道展開

それと、長谷川先生の漫画ってかなり王道を往く展開が多いんですよ。もう「焼野原塵」のころからそうでした。


『恋のキューピッド焼野原塵』あらすじ:
片思いに苦しむ平凡な中学生・吉丸は、ひょんなことから焼野原塵と名乗る、元魔王の恋のキューピッドを召喚してしまう!ボロボロで、くすんだ色の”運命の赤い糸”を持つため、このままでは一生恋人ができない吉丸の運命を変えるべく、学校内に設置した恋愛相談室で二人は他人の恋を手助けし、人間の魂が持つ恋に恵まれる力、「LOVE力」を貯めることになった。全ては、糸でつながれた運命の相手・ユリ子ちゃんと結ばれるために——!!


この『焼野原塵』の設定を見て何か気づきませんか。似通ったものを感じませんか。
そう、『ドラえもん』です。
ダメな主人公が未知の存在と出会うことで成長していく。これはもう『ドラえもん』から脈々と受け継がれる物語の王道です。『ネウロ』とか『暗殺教室』とか。私は読んだことないけど『うしおととら』も多分そうなんでしょう。
そして、このタイプの物語には3つの構成要素があります。すなわち「出会い」「成長」、そして「別れ」です。
未知の存在というのはいずれ主人公の手に届かない遠くに行ってしまいます。
『焼野原塵』にもこの別れのシーンは訪れます。

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(『恋のキューピッド焼野原塵』最終話「キューピッド魔界に帰る」より)
 
いくつもの恋愛の手助けをすることで吉丸は成長しました。
いくじなしを卒業した吉丸が振り絞った言葉。
泣かないと決めていたのに止めどなくあふれる涙。

ここで思い出すのは…もうひとつですね。
『ドラえもん』第六巻収録「さようなら、ドラえもん」です。
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多くの人が涙したであろうこの名シーン。私も泣きました。


そして、それに対する塵の返答。

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(同じく『恋のキューピッド焼野原塵』最終話「キューピッド魔界に帰る」より」)

最後に覚悟を見せた吉丸。
その姿を見た塵は安堵します。
自分の役目は終わった。もうこの人間に自分は必要ない」と。
そして別れの言葉。
ただでさえ泣ける展開なのに、「優しい世界」という温かさが下敷きにあるので、余計に涙腺に来ます。私は当時このシーンを読んで泣きました。


「青春兵器」でももちろん「別れ」のシーンは描かれます。というか「青春」にだって「別れ」はつきものです。それは転校だったり、卒業だったりさまざまです。
最初は北斗と零一の間に相互の友情関係はありませんでした。零一から北斗にはあったんですけど、北斗から零一にはなかったんですね。でも数多の出来事を零一とともに経験したおかげで、北斗から零一に対しても友情が芽生え始めます。そしてこのままの生活がずっと続けばいいと感じていた矢先、別れの時は不意に訪れます。
そこで二人は何を語るのか。そして二人が下した決断とは...。
この先はコミックスで確かめてください。1話から欠かさず読んだ人は全員泣くと思ってます。いやマジで。














・まとめ

というわけで『青春兵器ナンバーワン』というのは笑いあり、カオスあり、王道あり、青春あり、そして涙ありの様々な要素が詰まった名作漫画なのです。

どうしてこんな素晴らしい漫画が人気が出なかったんでしょうか。それは長谷川先生特有の「優しい世界」というものに最大の原因があると私は考えています。

「週刊少年ジャンプ」というのはメイン層は曲がりなりにも中学生・高校生です。
そしてこの年頃は思春期真っ盛りであり、自分を大人に見せたいがために『青春兵器』のような「優しい世界」よりも、近年ブーム真っ盛りのデスゲーム系に代表されるような「厳しい世界」を好むのではないのでしょうか。
その中には「青春兵器?あんなの子供が読むものじゃん」と斜に構えている人もいるのではないのでしょうか。

また、多くの場合建前上は中学高校時代が「青春時代」とされています。その真っ只中にいる彼らはまだその「青春」の価値に気づけていないことも多いです。
でも中学高校時代というのは多くの場合、人生で一回きりです。後から振り返って懐かしむときが必ず来るのです。良かった思い出も悪かった思い出も。

確かに『青春兵器』で描かれている「青春」は「優しい世界」の中での「理想」に過ぎないかもしれません。「こんな高校時代送ってねーよ」という人も多くいると思いますし、私もそのうちの一人です。昼休みは屋上へと向かう階段が居場所でした。

残念ながら現実は必ずしも「優しい世界」とは限りませんし、この漫画はフィクションです。実在する人物・団体・事件とは一切関係ありません。

でも『青春兵器』の中には私たちが思い描いた「青春」が確かにそこにあります。文化祭で焚火に囲まれフォークダンスを踊り、林間学校で寝る前に枕を並べて好きな子の話をし、望みの薄い恋をする。私たちが体験できなかった「青春」がそこにはあるのです。

「そんなキラキラした青春なんて見て何が楽しいんだよ」という人も心の奥では自分が過ごせなかった「青春」に対して憧れを抱いていると思います。『青春兵器』はそんな人でも読むことで「青春」を追体験することができます。

それを可能にするのが長谷川先生の創り出す「優しい世界」です。前述しましたが『青春兵器』には嫌な奴が一人もいません。みんながいい奴です。その「優しい世界」が私たちの心の中の氷を溶かしてくれます。ストレスを感じることなく読めて読後感がとてもいい漫画です。

えーと、つまり何が言いたいかって言うと『青春兵器ナンバーワン』は「ギャグマンガだから低年齢向け」という事ではなく、「全年齢対象」の漫画ってことですね。ギャグはちゃんと笑えますし、油断してるとホロリとも来ます。読んで損することはないと思いますので是非買って読んでみてください。みんなで長谷川先生に回らないお寿司を食べさせよう!



P.S.
『青春兵器』は終わっていましたが、私も長谷川先生の次回作を楽しみにしている一人です。早くジャンプに帰って来てほしいと願っています。また長谷川先生の優しい漫画、温かい漫画が読みたいです。長谷川先生、どうぞお体にはお気をつけて頑張ってください。


























5/2追記

・最終7巻を読んで思ったこと

読者には有名な話なんですけど、「青春兵器」のキャラクターの名前は「ウルトラマン」の登場人物の名前をモチーフにしたものが多いんです。

北斗英二→北斗星司(ウルトラマンA)
白百合アンヌ→友里アンヌ(ウルトラセブン)
東光太→東光太郎(ウルトラマンタロウ)
藤アキ→フジ・アキコ(ウルトラマン)
ミコナミ・ユウ→南夕子(ウルトラマンA)
他色々...
(参考:https://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/37027.html

なんでウルトラマン関連の名前が多いかっていうと長谷川先生が「ウルトラマン」が好きだからなんですね。最終7巻で長谷川先生は「ウルトラマン」について「『ウルトラマン』は僕が物心つく前から見てきたものなので、僕にとってあらゆる”好き”の根底にあるものというか、最も大切なものの一つです」と語っています。

そして、長谷川先生は「ウルトラマン」の好きなところについて「ウルトラマンという地球人よりはるかに大きな力や知恵を持った宇宙人が、人間の心や勇気などに感動し、時には醜い部分に戸惑いながらも、人間のことを好きになり共に戦ってくれるそんな『人外から見た人間の素晴らしさ』みたいなところ」と語っています。

これはもう「青春兵器」や「焼野原塵」そのままです。前述しましたが、この両作品とも人間と人外との交流を通じて、それぞれが成長していく姿が描かれています。一人では何も出来なかったアイツらが、交流を通じてできることが増えていく。子供の成長を見守る親のような感情です。子供の成長が親の胸を打つように、「青春兵器」のキャラクターの成長が私たちの胸を打つのです。なんて素晴らしい。長谷川先生も「前作も今作もそうですが、僕の作品に書きたいテーマみたいなおこがましいものがあるとすれば、今のところこれだけです」と言ってますしね。



また、最終7巻ではジャンプ単行本おまけコーナーの王道「Q&Aコーナー」があります。その中で長谷川先生がミスを突っ込まれて慌てふためいたり、「BLEACH」の作者・久保帯人先生にガチファンレターを出したりしてるんですが、その最後の質問が「零一はなぜ青春に憧れたの?」というものでした。

これに対して長谷川先生は「おそらく彼にとって、機会を人間を隔てる多くのものの中でも特に決定的に感じたものが、機械と違い不完全であやふやな”心”を持った人間がそれぞれの異なる人格を形成していく”青春”という成長過程だったからではないかと思います」と答えています。

”心”と言えば長谷川先生も大好きな「BLEACH」のこのシーン。

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(©『BLEACH』)

「BLEACH」でも屈指の名シーンですね。私は「BLEACH」を詳しく知らないので説明は今回省くんですけど。

人間にあって機械にない”心”を探しに外の世界へと飛び出した零一。そこにあったのは十人十色、色とりどりの心たち。「青春」という成長過程は、そんな人間の色とりどりの”心”に触れながら自己のアイデンティティーを確立していく時期だと私は考えています。英二やアンヌや他の大勢の人間たちの"心"に触れながら「戦うこと」がアイデンティティーだった零一他ナンバーズたちも別のアイデンティティーを確立していきます。

それが一番顕著だったのがNo.3ですよね。ここは本編を読んでいきたいところなんですが、彼が一番外の世界での自己のアイデンティティーを確立してるんですよ。だから私はナンバーズの中で彼が一番好きなんですが。

ここにはもう人間と兵器の違いなんて存在しませんよね。誰もがもがき苦しみながら、でも一歩一歩自己のアイデンティティーを確立していく。まさに成長ですまさに青春です。前述しましたが「青春兵器』は零一や英二たちの「成長物語」なので、「成長物語」が好きだ!と言う方には自信を持ってお勧めできる漫画になっています。全7巻とそこまで長くないからGW中の空いた時間に読んでほしいです。


ところで、「人間の素晴らしさ」という言葉は「人間讃歌」に置き換えることができます。「青春兵器」も人間の素晴らしさを描いているので「人間讃歌である」ということができます。そして、「人間讃歌」と言えば思い出すのは、そう「ジョジョの奇妙な冒険」ですね。

 
人間讃歌とは勇気の讃歌ッ!!
人間のすばらしさとは勇気のすばらしさ!!
(©ウィル・A・ツェペリ)



ツェペリさんも言うように「人間の素晴らしさ」とは「勇気の素晴らしさ」です。私、特撮ほとんど見ないのでイメージの話になってしまうんですけど、「勇気」というのは「ウルトラマン」をはじめとした特撮においても重要なテーマだと思うんですね。

人間の力でははるかに及ばない怪獣が目の前に立ちはだかる。そこにあるのは絶望。しかし、人間にあって怪獣にないものが一つだけある。それは「勇気」。唯一の武器「勇気」を持って何度やられても立ち上がる人間達。「何でこいつらは希望なんてないのに戦い続けるんだ?」「そうか、これが『勇気』というものなのか」。そして現れる希望。勇気が希望を呼び起こす。希望が絶望を塗り替えていく。そして勝利へ―。

何か恥ずかしい文章になってしまいましたけど、大体特撮ってこんな感じかなーっていう私のイメージですね。あくまでも。で、この「勇気」っていうのは「青春」にも必要だと思うんです。

隣の席のあいつに話しかける勇気。思い切って部活に入ろうという勇気。好きな女の子に告白するという勇気。他にも「青春」には「勇気」が必要なシーンで溢れています

で、零一にはこの「勇気」だけはあったんですよね。初対面の英二に「友達になろうぜ」とか言っちゃいますし、思いを寄せてるアンヌにも思い切って告白したりする。なによりモサリーナの元から脱走して「青春」に飛び込んだのがすごいです。零一にとっての「青春」は未知の世界ですからね。最初の一歩を踏み出す勇気が一番大変ですから。未知のものに対する恐怖も少なからずあったことでしょう。でも零一はその壁を突き破りました。これによって物語は動き出します。つまり、「青春兵器」は零一の「勇気」から始まったんですよね。「青春兵器」は「人間讃歌」なんですけど、人外である零一他ナンバーズの存在も決して疎かにしていない。キャラクターみんなを大事に扱っているので、そこも「青春兵器」をおすすめしたいポイントの一つになります。



最後に。ある人が言ってました。

「特撮好きな大人、信用できる」

私もその通りだと思います。となると「ウルトラマン」という特撮の最たるものが好きな長谷川先生も信用できる。そしてその信用できる長谷川先生が描いた「青春兵器ナンバーワン」も信用できる

「青春兵器ナンバーワン」を面白く感じるかどうかは人それぞれですが、「青春兵器ナンバーワン」はジャンプ髄一の「信用できる」漫画だと私は思っています。ぜひ買って読んで、その信用できる青春兵器ワールドを味わってみてください。

以上、追記でした。


※画像は『恋のキューピッド焼野原塵』『青春兵器ナンバーワン』『BLEACH』及び『ドラえもん』から引用しました。


おしまい